ようこそ青春を目指す教室へ   作:雪印のフラン

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よう実3期が終わってしまいました。果たしてこの小説がアニメに追い付く日は来るのか……きませんね。というわけで本編どうぞ


チキチキ友達大作戦

天嶺視点

 

プールの一件が終わってからなんか皆に避けられている気がする。いや、高円寺や堀北、綾小路とかはいつも通りだが、それ以外からは明らかに避けられている。外村とか俺を見た瞬間に脱兎の如く逃げていく。何かしただろうか?俺はただ勝負の結果が知りたかったからこの試合を撮影している筈の彼を頼っただけなのに。これにより【プールで活躍して友達を作ろう大作戦】は失敗に終わってしまった。しかしこれで諦める俺ではない。クラス内で失敗したのであればクラス外だ。

 

「……というわけで協力してくれ有栖」

 

「どういうわけですかね?」

 

俺は放課後にカフェで有栖達と話していた。有栖の後ろでは神室、橋本、鬼頭の三人が立っている。この三人は有栖のお友達であり【神室真澄(かむろますみ)】、【橋本正義(はしもとまさよし)】、【鬼頭隼(きとうはやと)】である。有栖達のAクラスでは友達内派閥があるらしく、彼らは有栖内の派閥の人間だそうだ。それにしてもクラス内で派閥があるとはAクラスも大変そうだな。

 

 

坂柳視点

 

天嶺くんから大事な話があるから来て欲しいという連絡をいただき、放課後私は私の派閥であり、天嶺くんとも面識のある三人を連れてカフェに来ました。もう4月も終わるというこの時期に連絡とは……一体どんな話が聞けるのかとワクワクして来てみれば。なんなら私から話を切り出そうと考えていました。なのに、いきなり

 

「……というわけで協力してくれ有栖」と言われましても、どういうことなのか説明していただきたいですね。まぁとりあえず彼の話に耳を傾けましょうか。

 

「あの、落合。俺らも姫さんも主語がないとわからないぜ」

 

橋本くんが天嶺くんにそう言いました。天嶺くんは思考を自己完結する癖があります。なので周りからも勘違いをされがちですし、彼も勘違いします。まぁ仕方がないんですけどね、彼の育ってきた環境からしたら。周りに頼るなんてことがほぼ無かったのですから。そうして落合くんが語り始める。

 

「わかった。……先日俺はプールの授業をやったんだ」

 

「はい、私たちもやりましたね」

 

「そこで俺はとあることを思ったんだ……足が速いとこの世界では人気者になれるんだろう」

 

「ん?」

 

何かものすごく偏った知識が露見しましたね。

 

「だから俺は水泳で一番をとって、人気者になって友達を作ろうと考えたんだ」

 

「……もしかして、本気で泳ぎました?」

 

「あぁ泳いだ」

 

「タイムは?」

 

「20秒41」

 

20秒41……やらかしましたねこの人。橋本くんも鬼頭くんも凄い驚いてます。

 

「ねぇ……私あんまり水泳のタイムわかんないだけど速いのはわかるけどそんなに凄いのそれ?」

 

ここで神室さんが天嶺くんのタイムについてよくわからず聞いてきます。

 

「そうですね、神室さんは競泳の世界記録についてご存じですか?」

 

「知らないから聞いてるのよ」

 

でしょうね知ってて聞きましたから。まぁ少しイラついてきている彼女の質問に答えましょうか、

 

「50M自由形であのプールは長水路ですので……私の記憶が正しければ20秒91でしたね」

 

「20秒91……ってそれ!?」

 

「はい、非公式な記録ではありますが世界記録を上回っています」

 

これには神室さんも非常に驚いていますね。私も世界記録に近い記録は出すとは思っていましたが、まさか越えてくるとは思いませんでした。

 

「そんなに驚くことか?高円寺も出していたぞ」

 

高円寺も出していた!?天嶺くんに近い実力を高円寺くんは持っているということでしょうか……侮れませんね。

 

「マジかよ、落合が運動できることは前のボウリングで知ってたけど……高円寺もかよ」

 

これには橋本くんも驚き……ん?

 

「ボウリング?」

 

「あ、やべ」

 

「ちょっと!」

 

橋本くんが自分の失態に気づいたかのように声を漏らして、それに対して神室さんが睨んでいる。鬼頭くんはそっぽを向いた。

 

「橋本くん……私の聞き間違いで無ければボウリングと言っていた気がするのですが」

 

「……はい、言いました」

 

「いつ?」

 

「この前の土曜日です」

 

 

そうして橋本くんは写真を見せてくる。そこにはボウリングのピンの着ぐるみを着て、ストライクのチャレンジを成功させ、日付の板を持っている天嶺くんと鬼頭くんの姿が。二人とも真顔である。その後ろでは、腹を抱えている笑っている橋本くんとジュースを吹き出している神室さんの姿が見えました。

 

 

何これ?

 

「はしw橋本wwや、やめなさいよその写真www」

 

神室さんが爆笑しており、橋本くんも少し震えてます。恐らく笑っているのでしょう。天嶺くんと鬼頭くんは首を傾げていた。恐らく橋本くんがはめたのでしょう。いつもの私なら笑っていたところでしたが、今回は違います。

 

「随分と楽しそうですね。ところで私は誘われていないのですが?」

 

「えっと……それについては落合が……」

 

なるほどどうやらこのボウリングの立案者は天嶺くんのようですね。

 

「天嶺くん。人の(おともだち)を誘っておいて、付き合いの長い私を誘わないとはどういう了見でしょうか?」

 

「姫さん、【駒】とかいて【おともだち】とは読まないぜ」

 

シャラップです橋本くん。私は今天嶺くんに聞いてるのです。

 

「ちゃんと確かめてきた、これを見てくれ」

 

そう言って天嶺くんはボウリング場にある滑り台を写真で見せてくる。

 

「……これは」

 

「ボールスライダーというらしい。これがあるか皆で確認してきた。あったからこれでまた今度有栖も一緒に行ける」

 

「……天嶺くん」

 

どうやら私の為に調査しに行ってくれたそうだ。私は体が悪く、ボウリングの玉を投げることはできない。きっと彼はその事を考えて私を誘わなかった。ボウリングをできない私が楽しめないであろうから。

 

でも一声ぐらいかけるべきじゃないでしょうか!?

 

別に一人だけ誘われなくて寂しいという訳じゃありませんが。土曜日、特に用事も無かったので皆さんに電話したら誰も出なかったから寂しかったとかそいうわけじゃありませんけど、私は一応派閥のトップですよ!!遊びに行くときに声かけぐらいするもんですよね!!まぁいいですこの件は後で神室さんに八つ当たりするとして

 

「なんでよ!?」

 

「それよりも話がだいぶ脱線しましたが、天嶺くんは結局何が言いたいんですか?」

 

「クラス内に友達が全然できません、助けてください」

 

「随分とぶっちゃけたな!!」

 

要はクラスメイトに避けられ、友達ができないってことですね。全くなんでこんなに話が拗れたのか。

 

(姫さんのせいでは?)

 

「シャラップです橋本くん」

 

「俺何も言ってないっすよ!?というか心読んだ!?」

 

口を滑らした橋本くんがそもそもの原因でしょうに。それでクラス内に友達が出来ないと。

 

「へぇ、ちなみにクラスで連絡先を持っているのは?」

 

「……一人だけ」

 

「その一人が気になるところですが」

 

どうやら彼はクラス内での友達づくりを失敗したようですね。まぁ、だろうなとは思ってましたよ。入学初日に哀愁漂う背中を見せてましたから。それにしても友達の作り方ですか……正直言いますと、私はアドバイスできるほど友達の作り方を知らないんですよね。小中では学校内でできたことはないですし。神室さんは弱味を握っただけですし、橋本くんと鬼頭くんはあちらから話しかけてきましたし。そもそも神室さんと鬼頭くんは交流が広いとは言えませんので。

 

「橋本くん、何か思い付きましたか?」

 

「え、俺ですか……いや、俺しかいないのか」

 

私たちの中で最も交流関係が広いのは橋本くんです。まぁ彼の戦略の影響もあるでしょうが、まぁ鬼頭くんや神室さんよりかはマシな意見が出るでしょう。

 

「そうだな、まずは共通の趣味とかだな」

 

なるほど共通の趣味ですかまともな意見ですね。ところで落合くんに趣味なんてあったでしょうか?彼はほとんど娯楽に触れてきませんでしたからね。もし趣味ができたらどんなものなのか気になりますね。

 

「趣味か……あ、最近料理を始めた」

 

料理ですか、気になりますね。彼が包丁を握ってる姿とか想像できませんから。

 

「いいじゃねぇか料理、例えば何作るんだよ?」

 

「ミートソース、ナポリタン、カルボナーラ、ペペロンチーノ、あとはボロネーゼにペスカトーレ……」

 

「全部パスタじゃねぇか!?」

 

「あぁ、パスタはうまい。しかも茹でてソースを掛ければいいだけだ」

 

「……それは料理なのか。いや、パスタが料理じゃねぇって言うつもりはないけどよ。趣味として語るくらいなら、パスタ以外も作れるようにはならないと」

 

「そうか……」

 

天嶺くんが悲しそうに俯いています。彼にとって自由こそが一番の不自由なのかもしれませんね。天嶺くんの世界は彼の家の中で終わっていた。そんな中で急にこの学校に来て自由となった。自由研究のテーマが自由だからこそ、何をするのかわからないのと似たようなものですかね。ここは彼の友達を作る為に協力してあげましょうか。

 

「天嶺くん、この際です、新しく趣味を作ってみてはいかがでしょうか」

 

「新しい趣味か」

 

「はい、天嶺くんであればある程度のことならすぐにできるようになるでしょうからね。この学校の図書室であればあなたにあう趣味が見つけられるかもしれません」

 

「なるほど、早速行ってみることにする」

 

そうして天嶺くんは席を立ち上がり、カフェから出ていった。顔には出ていませんが満足そうでしたし、よかったです。

 

「……いいの?落合に聞きたいことがあったんじゃ」

 

神室さんが私に聞いてくる。そういえば私からも質問する予定でしたね。

 

「いいですよ、彼はどこか抜けているところはありますが、愚かではありませんので」

 

まぁ、彼が愚かではなくても。私はカフェにいるとある人たちに目を向ける。

 

「これ以上は時間の無駄よ。わたしにとってあなたの発言全てが不愉快なの」

 

彼のクラスメイトが愚かであるかどうかは知りませんがね。騒がしいカフェの中を一人で去っていく少女を見て私はそう思った。

 

 

 

<天嶺視点>

 

有栖からアドバイスを貰って、俺はありとあらゆる趣味に関する本を借りた。楽器、料理、工作、経営、キャンプ、釣り、スポーツ、カメラ、ファッション、裁縫から押し花に至るまでありとあらゆる本を借りた。本を読むのは楽しくてすぐに読み終わってしまった。これで完璧だ。サブカルチャーとやらは時間の都合上あまり触れられなかったが、これだけの趣味があれば何かしら話が通じる人はいるだろう。さぁ、作戦スタートだ。俺は図書室で借りてきた本の全てを机の上において席に座る。こうすれば自分と同じ趣味を持つ誰かが話しかけてくれるはずだ。

 

「………」

 

《数分後》

 

「………」

 

 

《さらに数分後》

 

「………」

 

 

《……放課後》

 

「………」

 

 

誰も話しかけてこなかっただと!?

 

馬鹿な作戦はほとんど完璧だったはず!!一体何が原因何だ!?

 

……仕方ない、今日は潔く帰るとしよう。そういえばもう月末である。結局友達はあんまり出来なかったか。Cクラスに一人、Bクラスは隆二だけ、Aクラスは有栖、橋本、鬼頭、神室。うちのクラスでは綾小路だけと何故か別クラスの方が友達が多いという変な結果になってしまった。

 

「……帰るか」

 

本を全て鞄へとしまって教室をあととする。この本たちも全て読んだため、帰りに図書室へと寄って返しにいこう。……そういえば夕飯の材料があんまり無かったな、帰りにコンビニかスーパーに寄っていくことにしよう。

 

 

<松下視点>

 

「はぁ……」

 

軽井沢さんたちと遊び終わってから私はスーパーへと来ていた。別に友達関係や学校に不満があるわけではない。むしろこの学校は明らかに待遇が良すぎる。授業中に喋っていたり、端末を弄っていたりしても何も言われない。須藤くんなんて居眠りをしてる。今日やった小テスト中も少ししたらすぐに寝息が聞こえた。こんなので本当に自分の将来が保証されるのだろうか。軽井沢さんたちにそれとなく話をしてみたが気にしすぎだと流されてしまった。私はある程度の食材を取ってからレジへと向かう。その途中で0円コーナーを見つける。これもおかしいと思う。毎月ポイントが貰えるはずなのになんで0円のものが存在するのであろう。学食や自販機にも0円のものが存在している。まぁ、軽井沢さんみたいに計画もなしに使う人もいるし、多分そういう人たちのためであろう。

 

「ん、あれって確か」

 

0円のコーナーを見ているとそこに見知った存在がいる。落合天嶺くんである。自己紹介からプールの授業、そして今日持ってきた謎の大量の本とある意味話題がつきない人物であった。なんなら何度か話にあがることもある。でも話を実際にしたことはない。そんな彼は0円コーナーから肉と野菜を取っていった。そんなのもあるんだ。彼が0円コーナーを使うとは、見る限り散財をするタイプには見えないからな。興味が湧いた私は話しかけてみることにした。

 

「ねぇ、落合くんだよね」

 

「……確か、松下だったか」

 

「うん、覚えてくれてたんだね」

 

「君こそ、話をしたことはなかったと思ったが」

 

うん、君のことは絶対忘れることはないと思う。色々な意味で──って今話したいのはそこじゃない。

 

「0円コーナーで何かしら取っていたけど、もしかして散財でもしちゃった」

 

「ポイントならそこそこある。部活動にある賭け試合とかで稼いだりしているからな」

 

「そんなことしていたんだ……なら余計0円コーナーを使う必要なんてある?普通に買えばいいじゃん」

 

「出費が少ないほうがいいからな」

 

「ほほう、家庭的だね」

 

話してみるが別に普通に会話が出来ている。コミュニケーションが特別苦手なわけではないのか。そういえばよく綾小路くんと話している姿も見たりもする。あれかな会話はできるんだけど周りから怖がられたりしているからかな。平田くんや櫛田さんも話しかけようとはしていたりするけれど、結局やめちゃうし。彼と話したことがある人なんてクラス内でも極僅かな人たちしかいないだろう。すごい人だとはわかっているんだからここで交流をしよう。

 

「そういえば、0円コーナーもそうだけど買っているもの比較的安価なものばっかり買ってるね」

 

彼のカゴの中には安いものが多く入っている。ポイントを稼いでいるのであれば少しは贅沢をしてもいいんじゃないかな。

 

「あぁ、できるだけポイントは残しておきたいからな」

 

「なんで?今日は月末なんだし、明日に10万がまた貰えるから折角ならパーっと使えばいいじゃん」

 

「……10万?」

 

そのとき、落合くんが本当に不思議そうな顔をしていた。

 

「あれ、もしかして最初の方の話聞いてなかったの?毎月1日に10万ポイントがって話」

 

「毎月10万ポイントが貰えるなんて話、俺は聞いたことがないぞ」

 

「え?本当に聞いてなかったの茶柱先生が──」

 

あれ?本当に言っていたっけ?そういえば茶柱先生は──

 

「俺は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()としか聞いてないぞ」

 

思わず冷や汗が流れる。そうだ、落合くんの言う通りである。茶柱先生は毎月10万ポイント振り込まれるとは一言も言ってはいなかったか。つまり10万ポイントが振り込まれる保証はない。

 

「とりあえず会計をしに行っていいか、ここで話していると邪魔になりそうだからな」

 

「……うん、私も行く。その後でいいから少し時間を貰えないかな」

 

落合くんが頷く。そうして私たちは会計をすまし、人目のつかない自販機前のベンチにへと座る。

 

「何か飲みたいものがあるか?」

 

「……いいの?」

 

「俺からも聞きたいことがあるからな、遠慮なく言ってくれ」

 

「じゃあ……ミルクティーで」

 

そうして彼はミルクティーを買って渡してきた。彼は少し悩んで『おしるこソーダ』を購入していた。

 

おしるこソーダ!?

 

なんか絶妙に合わない組み合わせのジュースを買っている。それを飲んだ。

 

「……美味しいのそれ?」

 

「うん、美味しい」

 

表情が全くもって動かないため、本当かどうかわからない。でもまぁ、嘘をつく性格ではなさそうだし、美味しいのかな。今度買って見ようかな……ってそんな話をしにきたわけじゃない。

 

「……ねぇ、早速だけどポイントの話についてどう考えているか話を聞いていいかな?」

 

そうして、彼は話を始めた。

 

「さっきの話の続きだが、茶柱先生はこうも言っていた。

この学校は実力で生徒を測る。入学をした俺達にはそれだけの価値と可能性があると」

 

確かに言っていた。だから浮かれていた。この学校の倍率は非常に高く、私の知り合いも受かった人はいなかった。それに対する報酬としての10万ポイント、私たちにはそれを渡す価値があると言われたからだ。

 

「なら、それだけの価値が無いと判断されたら」

 

「価値が無い……」

 

「会社とかでもあるとか話で聞いたぞ、入社するまでの情報ではとても優秀であったが、いざ働いてみたら全然使えないどころか仕事もやらない。そんな人間はどうなるのか」

 

そんな人間は……減給、もしくは解雇である。

 

「……ちょっと待ってよ……じゃあ、私たちは」

 

今の私達は当たり前である授業すらまともに受けていない。言うなれば小学生よりも劣る状況である。そんなことになれば折角入学できたこの学校を……

 

「……流石にいきなり退学は無いと思うが……ポイントの減少は避けられないと思う」

 

「……だよね」

 

ハハハ、さっきまでは普通に過ごせてたはずなのにな。一気に不安が押し寄せてくる。……当たり前だったはずだ、なのにその当たり前さえ出来てすらいなかった。

 

「……ねぇ、ポイントはどれぐらい減ると思う?」

 

「わからない、1ポイントも貰えないこともあると考えている」

 

「そっか……」

 

多分この学校はそれすらも試されているんだろう。この真実に気づけるのかどうかということも。実際に気づいた人もいたりするわけだ。

 

「……まぁ、その、俺の考えすぎの可能性もあるかな……その……」

 

落合くんが必死に私をフォローしてくれようとしてくれる。

 

「フフフ、なんだ落合くんって思っていたより優しい人なんだね」

 

「?」

 

彼が首を傾げている。入学当初から今日話すまではずっと怖い人だと思っていた。表情も全く動かないし。感情のないロボットか冷徹な魔王みたいなものかと思っていた。実際は表情は変わらないが私を心配そうに見つめているし、私の表情をみてフォローを入れたりしてくれる優しさもある。

 

「いや、落合くんってさ、失礼だと思うけど感情のないロボットか冷徹な魔王みたいに考えてたからさ、正直に言って近寄りがたかったんだよね」

 

「……ロボット……魔王」

 

私の言葉を聞いて落合くんが落ち込みだす。本当に表情には全然出ないけど彼の感情を身体全体で表している。というか不味いな折角フォローをしてくれたのに私は落合くんを傷つけてしまっている。

 

「えっと……その、あ!そういえば落合くんも聞きたいことがあったんだよね、何かな?」

 

「……いや、いい解決した」

 

「え、ちょっと待ってよ気になるじゃん。教えてよ」

 

勝手に解決されては、こちら側の立場としては気になって仕方ない。それに落合くんが聞きたいことに興味もある。私は期待の意味を込めて落合くんをじっと見つめる。やがて落合くんは諦めたようにしぶしぶ口を開く。

 

「……なんで俺がクラスメイトから避けられるか原因に心当たりがあるか聞こうとした……ロボットや魔王と思われているのは思わなかった」

 

「あ、」

 

どうやら彼はクラスで避けられていたことを気にしていたらしい。てっきり高円寺くんみたいに己の道を突き進んでおり、気にしていないと思っていた。

 

「ハハハハハハハハハwww」

 

思わず私は笑ってしまった。お腹が痛い。多分ここに入学してきてから一番笑っていると思う。今日の意味不明な行動の意味がわかったからだ。落合くんが机に大量の色々なジャンルの本を置いていたのは、話しかけて欲しかったわけか。そう考えるとお腹が痛い。

 

「……笑わせるつもりはなかったが……まぁ、さっきの表情よりかは全然いいな、君に合っている」

 

そうして落合くんはおしるこソーダを飲み干してゴミ箱に入れて、私に背を向ける。

 

「話に付き合ってくれてありがとう。疑問も解消した。君の言葉を踏まえた上でまた考えてみる」

 

彼は寮へと戻ろうとする。

 

「待って」

 

私は落合くんを引き留める。

 

「どうした?」

 

「落合くんはさ、多分友達が欲しいんだよね」

 

「あぁ」

 

驚いてはいたもの彼は肯定してくれる。

 

「……ならさ、私と友達にならない」

 

それを聞くと彼は目を光らせた。表情には出ないけど顔には本当にでる。

 

「……いいのか」

 

食い気味に彼は答えくれる。

 

「いいのかなんて必要無いよ。落合くんも私も友達になりたい。ならさ、それで十分じゃない」

 

「!?──なるほどそういう考えがあるんだな。……うん、よろしく頼む、松下」

 

「うん、よろしくね、落合くん」

 

そうして私は落合くんと連絡先を交換した。このときは考えもしてなかった。私と彼が───────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




落合(やったー!!友達できた)



次回はようやく実力主義の教室へとようこそされます。では今回も最後まで見ていただきありがとうございました。

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