落合side
俺は
いいな~Aクラスになりたいな~*1
そんなことを考えながら朝の支度をしているとメッセージが届いた。メッセージの主は隆二であった。どうやらクラスで勉強会をするので良かったら来てほしいとのことらしい。
勉強会だと!?
どうやら、ししょーができた件といい、運はこちらに向いてきているらしい。そういえば、Bクラスに知り合いは隆二しかいないのでこれは良い機会だ。これを機にBクラスの友人を増やすことにしよう。
そうして俺はウキウキとした気持ちで学校へ向かった。
昼休み、俺は神室に捕まって有栖たちと一緒に昼飯を食べることになった。
「なぜ俺は連れてこられたんだ?」
「坂柳がアンタを連れてこいって、ったく」
俺と神室は食事を持ちながら有栖のいる席へとやって来る。 神室は少し苛立ちながら、坂柳の隣に座った。ちなみに俺の正面には有栖、有栖の右隣に神室、俺の左隣に橋本でその隣に鬼頭となっている。
「ご苦労様です、真澄さん」
あれ?いつの間に名前呼びになってる仲良くなったのかな?
「こんにちわ天嶺くん、あれからどうですか、お友達はできましたか?」
「あぁ、できた。あとししょーもできた」
「それはなによりです」
「姫さん?明らかに変なワードがあったんですけど無視っすか?」
「ところで小テストをおこないましたよね?テストを見せて貰っていいですか?」*2
「いいぞ」
俺は有栖に小テストを渡す。
「へぇー、落合のテストの点数か俺も気にな───100点!?」
橋本が覗き込むようにして俺の答案を見て叫ぶ。神室も鬼頭も答案と俺を目線で何度も行き来する。まぁそんなことより
「橋本、食堂でそんな大声を出したら迷惑だぞ」
実際、橋本が叫んだせいでこちらに注目が集まっていた。
「──あ、いや悪い、つい驚いちまった。それにしても意外だな落合、お前頭良かったのかよ」
「意外とは失礼だな、俺はこれでも頭が良く、運動神経がいいというすごいやつとやらで通ってきたんだぞ」
「ものすごい不確ね、でもあんたそんなので通ってきてるのにクラスにまともな友達いないじゃない」
ゴフッ!?
「あ、落合が沈んだ」
「駄目ですよ、真澄さん。天嶺くんの心は角砂糖のように脆いんですから」
「いや、それ脆いなんてレベルじゃないんじゃ?」
「いるもん、クラスにも友達いるもん。綾小路とか堀北とか松下とかいるもん」
「早く謝ってくだざいよ真澄さん、天嶺くんが拗ねちゃったじゃないですか……ところで天嶺くん
「めんどくさいわねこいつ!?頭良いけどバカなんじゃないの!?」
「随分と賑やかな食事だな坂柳」
突然知らない声が聞こえたので、拗ねるのを止めて声のした方向を見るとそこには長髪の男が立っていた。有栖とはどうやら知り合いらしい。
「見ないうちに配下を一人増やしてお姫様ごっことはお前も手が早いな」
「これはどうも龍園くん。しかし人聞きが悪いですね、私は友達との食事を楽しんでいるだけですよ」
長髪の彼、どうやら龍園という名前らしい、その龍園と有栖が見つめあっている。どうやら、有栖もこの学校で色んな知り合いができていたらしい。俺も友達になりたいぞ、ここは思い切って話しかけてみるとしよう。
「なぁ、長髪の龍園だったか?」
「坂柳の手下風情がなに気安く俺に話しかけきやがる」
怖いんだけどこの人、話しかけてくるなとか言ってくるんですけど。でもちゃんと否定はしなくては
「俺は有栖の手下ではなく、友人なのだが」
「何だと、どういうことだ?」
「彼の言葉の通りですよ、天嶺くんとはこの学校に入る前からの友人ですよ」
「ふん、本当らしいな。それにしても意外だな、お前に友達なんているとはな坂柳」
「あら、そんなに意外でしたか?」
「当たり前だろ、お前がこんな奴と対等な関係だとはな。何かしらあんだろ」
「彼はとても優秀な人間ですよ」
「なるほどな、お前がそこまで持ち上げるとはな。おい、お前名前は?」
「Dクラスの落合天嶺だ」
「Dクラス、雑魚の集まりじゃねぇか。坂柳お前の目はどうやら曇っているらしいな」
「おやおや、決めつけるのはまだ早いんじゃないですか」
そうして有栖は俺の小テストの答案を差し出す。というかまだ有栖が持っていたんだ。
「……100点な、ガリ勉なだけだろ」
龍園がそんなこと言いながら、俺の答案を後ろに投げ捨てる。
いや、俺の答案!?
俺は椅子から飛び出し、ヘッドスライディングでキャッチする。なんとかキャッチした。これこの後の勉強会でも使う予定なのに汚れでもしたらどうするんだ。
「……ッ!?落合!?」
突然、鬼頭の大きな声。そういえば、今日初めて鬼頭の声を聞いた気がする。
振り返るとそこには俺を蹴ろうと振りかぶっている龍園の姿があった。これはこのままだとまずい。俺は急いで答案をしまい、前へと転がりその勢いで立ち上がり、龍園の蹴りを足で止める。
「何!?」
「悪いが素直に蹴られる趣味はない、蹴るならボールをおすすめする」
「おもしれぇ、キレイな面してんのに
「君の指事語が何を指してるかはわからないが、これ以上続けるのであれば」
「容赦はしない」
そう、これ以上続けると俺は昼飯を食べ逃してしまう。
「……そんなに睨むなよ、今日はこれで勘弁してやる」
そう言って龍園はこちらに背を向ける。どうやらこちらの意思は通じたようだ。
「Dクラスの落合だったな、お前とは本気で遊べそうだ。クラスの支配が完全に終わったらお前たちのクラスで遊んでやるよ」
そんなことを言って龍園は立ち去っていった。
「おやおや、目をつけられちゃいましたね天嶺くん」
有栖がこちらを見ながら面白そうに言ってきた。
「有栖、聞きたいことがある」
「どうしましたか?」
「これで俺は彼と友達になれただろうか?」
「はい?」
「だって彼はさっき
俺がそう言いきると有栖は大変愉快そうに笑っていた。あれ?なんかおかしなこと言ったか?
「落合、アンタやっぱり馬鹿でしょ」
神室がデザートであるプリンを食べながらそう言ってくる。
……待て、それ俺のプリンでは?いつ奪った?え?もう食べちゃった?……そうか。
このあと鬼頭が漬物をくれた。鬼頭優しい。
姫野side
今日は放課後にテスト範囲が変更されたこともあり、クラスの一部で勉強会を行うらしい。正直に言ってめんどくさい。しかし断れる理由もとくには無いので、参加しなくてはならない。しかも今回はどうやら別のクラスの神崎くんの知り合いが参加するらしい。この学校のシステム的にそんなことあり得るのか。何なら妨害をするためにやって来たのではないかと邪推をしてしまう。
まぁ、クラスのリーダーである一之瀬さんがすごいお人好しであり、全員がそのお人好しに影響されているクラスだ。
(そんなこと私みたいなのしか考えていないんだろうな)
私たちは図書室の窓のある日当たりのいい位置の席に座っていた。
「神崎くんの友達の子まだ来てないね」
「ふむ、落合は常に俺の先を行っている男だからな。既に来ていると思っていたが」
神崎くんの話から察するに彼は相当、落合とかいう人に入れ込んでいるらしい。基本的にクールで物静かな彼が今回の勉強会へ落合という生徒の参加を熱心に説得していたので今回の参加者の全員が珍しいと思っていた。
私もほんの少しだけ落合という人物がどんな人なのか気になっていた。
そんな時だった。
コンコンと外から何かを叩く音が聞こえた。
ん!?外から!?
ここは建物の上の階であり、ベランダなんて存在しない。
それなのに外から音が聞こえた。私たちは窓の方をみる。
するとそこには窓の外でロープを片手に困ったようにしている男子生徒がいた。
『きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』
こんな状況だ、図書室で叫んでしまった私たちは何も悪くないと思う。クラスの男女全員驚いて腰を抜かしている。一人の男子は覗いてだが。
そんな状況を見てこちらに向かってきた一人の女子生徒がいた。その生徒は慌てた様子で窓の鍵をあけて窓をあけた。男子生徒は窓から入ってきた。
「すいません、もっと時間がかかると思ってたので準備を忘れてました」
「いや、こちらの不手際でもある。わざわざすまない」
「いえいえ、それではごゆっくり」
男子生徒と二、三言会話した後、こちらに向かってお辞儀をして女子生徒は立ち去って行った。
「流石だな落合」
唯一腰を抜かしておらず、後方で腕を組ながら頷いている神崎くんには誰か文句を言って欲しい。そんな神崎くんは窓から入ってきた男子生徒である落合くんのほうに近づいて言った。
「紹介しよう、俺の昔からの友人である落合だ」
「落合天嶺という、よろしく頼む」
こちらは全員腰を抜かしているというに何事もないように普通に自己紹介してきたぞこの人たち!?
「よし、全員集まったところだし勉強会を始めるとしよう……どうしたんだ皆、座らないのか?」
「……いつまでも床に座っていたら迷惑なのではないか?」
神崎くんと落合という生徒が不思議そうに聞いてきた。
「君たちのせいだよ!?」
正確にはこの窓から侵入してきた落合くんのせいたが……まぁ一人で勝手に進もうとしている神崎くも同罪であろう。一之瀬さんの叫びを聞きながらそんなことを思っていた。
「はぁ、まさかこの前の弟子一号くんが神崎くんの友達でここまでの問題児だったとは」
溜め息をつきながら一之瀬さんがそうこぼした。弟子一号って何?
「さっきから思っていたが。一つ訂正したいことがある、俺と隆二は友達ではないぞ」
「落合!?」
何か神崎くんの驚いたような悲しそうな声が聞こえた。
「親友だ」
「落合!!」
神崎くんと落合くんが抱き合う。それを見て少し歓声が上がる。
もう、帰っていいだろうか!?
「それよりもうそろそろ勉強始めようか」
一之瀬さんの言葉によってようやく、勉強会が始まろうとする。
「そうだ始める前に落合くんってどれぐらい勉強できるか教えて貰っていいかな?」
「わかった」
そう言うと彼は鞄から一枚のプリントを出した。どうやらそれは先日受けた小テストの回答のようだ。
「何々、落合天嶺、点数は……100点!?」
『!?』
その言葉に私達全員が驚く。嘘だろ!?図書室に窓から侵入してくる男が100点を取るなんて誰も思いはしないはずだ。
「何を動揺しているんだ、落合だぞ。それぐらいやってのけるさ」
神崎くんがさも当然かのように言ってのける。
いや、知らねぇよ
今日が初対面の人間なのにそんなこと知ってるわけがない。
「それじゃあ、落合くんと教える側に回ってもらって勉強会を始めようか!」
こうしてようやく勉強会が始まった。まだ始まってもなかったのに凄く疲れたのだけど。
勉強会は意外にも変なことが起きずに進んでいった。落合くんは怖く話しかけにくい雰囲気ではあるものの実力は本物らしく、何人かは彼に感謝を述べていた。
途中で起きたことといえば教える側にいる神崎くんが何故か落合くんに教えて貰っていたり、落合くんが何故か凄く白波さんに睨まれていたぐらいである。
「……ん」
現在私は少し難しい数学の問題を解いていた。しかし何度計算しても答えが合わない。どこを間違えたのだろうか?
「そこの問題、最初のところで計算ミスをしているぞ」
「え?」
問題に集中していると不意に前方から声が聞こえてくる。顔を上げるとそこには落合くんが座っていた。
「そこはこうするといいぞ」
そうして彼はルーズリーフに式を書いて、こちらに見せてくる。そこには手順が書いてあった。私はその手順に書かれていたとおりに問題を解く。答えとようやくあった。
「どうだ、あってたか?」
「……ありがとう……ってか何で前にいるの?」
「さっきから一人で黙々とやっていたからな」
余計なお世話である。
そうして私は勉強を進める。
カキカキ
「………」ジーッ
カキカキ
「………」ジーッ
カキッケシケシ
「………」ジーッ
「……あのさ、さっきから何なの?ジーッとこっち見てきてさ、ちょっと集中できないんだけど?」
さっきから無言でこちらにずっと視線を向けられている。正直に言って怖いのだが。
「すまない、癖でついつい見てしまった」
「癖?」
女子の手を無言で見つめることだろうか?……まぁ違うと思うけど。
「俺の知り合い君に似た人がいて、そいつの勉強をよく見ていたんだ」
「ふーん」
「そいつがな『私の勉強を見てるんだから、自分以外は見ないで』と言ってきてな」
「そ、そうなんだ」
別に知りたかったわけではないが、とんでもないことを知ってしまった。
「ちなみにこれを言ってきたのは隆二だ」
「嘘でしょ!?」
「あぁ、嘘だ」
嘘なのね!!紛らわしいな!!
というか今の落合くん凄い腹立つ。別に表情は変わっていないのだが、『してやったぜ』みたいな感じがするのが凄い腹立つ。
「ちなみに隆二じゃないが言われたのは本当だ」
「それは本当なんだ!?」
そこも嘘であってほしかったのだが。
「……はぁ」
何なんだこの人間は関わるだけでも疲れてくる。
「どうした溜め息なんてついて」
「誰のせいだと思ってるのさ」
首を傾げてこちらを見てくる落合くん。ダメだこの人本気でわかっていないタイプの人だ。
「……聞いてもいいか?」
「急に何?」
「君のことを色々知りたい」
え?何?本当にどうかした?もしかして………
「……ナンパ?」
「……?船になんか乗ってないぞ」
「それは
「大阪の?」
「それは
「忍者が歩いたとされている同じ側の足と手を動かす歩き方?」
「それはナンバ(歩行法)」
「番号?」
「それは
「主に初対面の異性を口説こうとすること?」
「それはナンパ…………ってそれだよ!?」
何で私は初対面の男と漫才みたいなことをしなくてはならないのだ。
「ナンパではないぞ。俺はただ君と友達になりたいだけだ」
「ナンパの模範解答みたいなこと言い出してきたんだけど」
「友達になりたいだけでナンパなのか!?」
なんかショックを受けている落合くん。
これは私が悪いのだろうか?
「……つまり俺はクラス全員をナンパしなくてはいけないのか?」
「ちょっと待って!?」
なんだクラス全員をナンパって?この人もしかして本当にヤバい人なのか!?
もしかしたら彼と私で認識の齟齬ができているかもしれない。
数分後
「つまり、友達100人を作りたかったと」
「そうだ」
どうしてここまで大きい勘違いが起きたのだろうか不思議で仕方がない。
あれから私は落合くんとナンパの定義について話し合った。いや、なんでこんなことを初対面の男と話してるだろうな私。というかコイツもコイツである。一般教養を受けてないのかと疑うほど鈍かった。
「だが嬉しいぞ、また友達が増えた」
「友達?誰が?」
「君だ」
「………は?」
何を言っているんだ?
「こんなにも長く話していたんだ。もう、友達だろ」
「……いや、こんなにって、たかが数分じゃん」
「数分でも俺は君と話せて楽しかった。また話したいと思った」
……そういえば、たった数分でも誰かと一対一で話したのなんていつぶりだろうか?
基本的に私は一人でいること好きだし。大勢でいるときも場を崩さないように二、三言喋って、あとは適当な理由をつけて退散したはずだ。それなのにこの男に対して私は普段なら言わないはずの本音までぶちまけて喋った。
なんでだろうか?
「……嫌か、友達になるの?」
捨てられた子犬のようにこちらを見てくる。
ウッ、大の男がやっている筈なのに精神が思いの外幼いから罪悪感が。
……仕方ない、諦めるとしよう。
「……姫野ユキ」
「どうしたんだ急に?」
キレていいだろうか?………いや、今のは私も言葉が足りなかったか。
「……私の名前。さっきから君ってしか言わないから。友達なのに君呼びは失礼でしょ」
「……!!これからよろしく頼む姫野!」
彼が本当に楽しそうにこちらに向かって言ってくる。それにしてもあれだ体のわりには随分と幼い印象を受ける。まぁ美形であるから何をしても絵になるだろう。
「……姫野ユキか」
「急に何?」
突然感慨深そうに私の名前を呟く。本当に急にどうしたのだろうか?
「俺の知り合いに君に似た人がいると言っただろ」
そういえば言っていたような
「……まさか私の名前と同じだったとか?」
「いや、正反対だった」
「正反対って何!?」
ユキの正反対ってなんだろうか?
「落合、少しいいか?」
神崎くんがこちらにやって来る。
「どうかしたか?」
「もうそろそろいい時間帯だからな、今日はここまでにしようとなってなそれを伝えにきた」
「わかった」
「姫野も構わないか?」
「……うん、大丈夫」
私たちは勉強の用意を片付けた。最後のほうはあまりできなかったがまぁいい。友達という名の都合のいい家庭教師ができたんだ存分に活用させて貰おう。
「それにしてもこのクラスは偉いんだな」
落合くんが片付け終わってから急に変なことを言ってきた。
「え?何の話?」
本当に意味がわからない。
「
「え?」
「ん?どうかしたか?」
「落合、お前に伝えるべきことがある」
そうして神崎くんと落合くんが話しだす。といってもただのテスト範囲の確認なのだが。そもそとこの勉強会はテスト範囲の変更があってのものなのだけど。
「……なんだと」
そう言って落合くんは急いで端末を取り出し、誰かにメッセージを送っていた。メッセージを送り少してから相手から連絡が返ってきたようだ。
「……どうやらAクラスもCクラスもそっちと同じ範囲に変更になったらしい」
「ふむ、なるほどDクラスだけが」
どうやら落合くんは他のクラスにテストの範囲を確認したらしい。それにしてもこの男他のクラスに友達いたんだな。意外とコミュニティは広いのかもしれない。そんな落合くんの情報はさておき。
「ねぇ、これって」
「あぁ、間違いない」
「「茶柱先生のうっかりミスだな」」
「いや、それはないでしょ!?」
どう考えても学校側が意図的にそうしてると考えるはずでしょ。
「茶柱先生も人間だ、うっかりすることがあるかもしれない」
いや、全然無さそうだけど!?どっちかというと
「来週にでも茶柱先生に確認するとしよう」
「そのほうがいいな」
今日は週末だからすぐに確認しに行ったほうがいいんじゃないかなとは思ったけれど、まぁ私には関係ないしいいかな。
「あれ?神崎くんに姫野さんに落合くんもまだ残ってたんだ、もうみんな帰っちゃったよ」
三人で話してると一之瀬さんがこちらにやって来た。
「悪い、俺たちももうそろそろ帰る。そうだ落合、どうせなら何処かで夕飯を食べて行かないか?」
「ありだ。美味しい中華のお店があったんだ」
「中華!!ねぇねぇ、私もそのお店行っていいかな?」
どうやら神崎くんと落合くんは帰りに中華のお店に寄っていくらしい。一之瀬さんも中華のお店に興味を持っているのか行きたがっている。中華か……ここに来てから久しく食べていない。
「構わないかが一ついいか?」
「どうかしたの?」
「君の名前は何だ?」
「今さら!?」
「すまない、姫野のときも思ったがそういえば勉強を教えているが名前知らないなぁ~って」
「アハハ、そういえば自己紹介どころじゃなかったけ……ってもとを辿れば君のせいだからね!!」
全くもってそのとおりである。窓から入ってこなければこんな当たり前ことを一之瀬さんも忘れなかったはずだ。
「じゃあ改めて、
「よろしく頼む一之瀬。よし、じゃあ行くか」
そうして鞄を持って図書室から出ようする落合くん。それについていく神崎くんと一之瀬さんの二人。私も今日の夕飯は中華にしようかな?だったら色々買わないとな。
「……ん?何をしてるんだ姫野。早く来ないとおいてくぞ」
「……ん?ちょっと待ってなんで私も行くことになってるの?」
「中華嫌いなのか?」
「中華は別に嫌いじゃないけどさ、なんで私も行くことになってるの!?」
私行くなんて一言も言ってないよね!?
「駄目か?俺は姫野も一緒がよかったんだが」
「え」
「いいじゃないか姫野」
「うんうん、私も姫野さんとも一緒に行きたいな」
神崎くんと一之瀬さんの援護射撃も受けて、引くに引けない雰囲気になった。
まぁ、たまにはいいか。中華も食べたくなってきたし。
「わかったよ」
「よし、じゃあ改めて出発だ」
そうして私たちは落合くんに着いて行き、中華のお店へと行った。四川麻婆豆腐がとても美味しかったし、デザートの杏仁豆腐も絶品であった。今回は落合くんに奢ってもらったが、お手頃な値段だったのでまた行きたいなと思った。
なにより、久しぶりに誰かと一緒に楽しい食事ができた。食事ってこんな温かいものだったんだ。
Dクラスのテスト範囲の変更って学校側からそうしろとかいうルールは無いんですってね。次こそはようやくDクラス内での話ができそうです。それでは今回も見ていただきありがとうございました。