ようこそ青春を目指す教室へ   作:雪印のフラン

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年末までには書き終わるだろうと思って箱イベしていたら、猫アルクが襲来し、いつの間に新年を迎えていました。皆さんあけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。それでは本編どうぞ


報・連・相は大事である

<松下side>

 

「なるほどここはこうなるんだね。わざわざ教えてくれてありがとう」

 

『構わない』

 

私は勉強でわからないところがあったので落合くんに電話で聞いてみた。すると落合くんは電話越しでもわかるように丁寧に説明してくれた。流石100点の男。

 

「それにしても教えるの上手いね、そういう経験あるの?」

 

『あるぞ、今日も何人かに教えた』

 

「あれ?勉強会参加してたっけ?」

 

平田くんの主催したDクラスの勉強会には申し訳ないと思いながらも、ややこしくなるので彼に参加させないように仕向けていたが、誰か別の人が主催したものに参加したのだろうか?

 

『あぁ、B()()()()()()()()に参加した』

 

「Bクラスの!?」

 

これには流石に驚いた。まさか彼がBクラスの勉強会に参加していたとは。

 

「大丈夫だったの?」

 

この学校では一部の人を除いて、他のクラスは敵だと認識している人が多いと思っていた。実際私はそう考えている。それなのに違うクラスの勉強会に参加するなど良い印象なんて持つはずがない。

 

『問題ない、それに友達も増えた』

 

おそらく落合くんが例外なだけであろう。あのクラス外にも顔が広い櫛田さんでさえ、他のクラスの勉強会なんて参加していないのに。

 

それに電話越しでも友達が増えて嬉しいって感情が伝わってくる。ここだけだと幼い子供みたいに思えてくる。

 

「それはよかったね。だけどどうやって参加したの?」

 

これは本当に疑問だった。クラス内でも孤立気味であった落合くんが他のクラスの勉強会に参加できるとは到底思えない。

 

だがこの疑問はあっさり解決した。どうやらBクラスに彼の昔からの知り合いがいたらしく彼との繋がりで参加したようだ。それにBクラスのリーダーはあの一之瀬さんである。まぁ蔑ろにはしないはずだ。

 

「なるほどね、じゃあそのお友達に感謝しなきゃね」

 

『あぁ、夕飯も一緒に食べに行ったからな』

 

「めっちゃ仲良くなってる!?」

 

彼から写真が送られてくる、そこには中華料理と一緒に四人の男女が写っていた。写っていたのは落合くん、一之瀬さん、落合くんの友達である男の子と全然知らないけどたぶんBクラスの女の子。表情はバラバラではあるものの全員が楽しそうしていた。

 

「え?今日友達になったんだよね?」

 

『そのとおりだ』

 

めっちゃ打ち解けるの早いな!?

 

もしかしたら、自己紹介を成功させていればクラスでも平田くんや櫛田さんのような立ち位置になれていた……かもしれないと思ったけど無いな。

 

彼を平田くんや櫛田さんの位置に置き換えてみたけど、彼がクラスのみんなから頼られているのは想像がつかない。クラス命令を出す魔王のような落合くんの姿ならすぐに思い浮かんだのに。

 

「君はすごいね」

 

『急になんだ?』

 

「いや、なんとなくね」

 

落合天嶺という人間は私が会ったなかで一番すごい人間だ。そんな人間のただ一つの欠点というのが私は他者とのコミュニケーションだと思っていたが、どうやらそんなこともなかったようだ。

 

そもそもコミュニケーションが欠点であるのならば、私が今こうやって勉強を聞くなんてこともしないはずだ。

 

本当にすごいなぁ

 

……待って、つまりこれってわざわざ彼が他のクラスの利益になることをしてるってことだよね!?ただでさえうちのクラスは崖っぷちだっていうのに!!

 

そして恐らく彼はそのことに気づいていない。……いや、そもそもそんなことを気にすることすらしてないのだろう。

 

「……はぁ」

 

『どうかしたか?』

 

「原因は君だよ」と声を大にして言いたかったが、恐らく彼には通じない。

 

これはある意味私のせいなのかもしれない。クラスの仲のことを考えて彼を勉強会へと参加させなかった判断が逆に失敗だったのかもしれない。

 

「ねぇ、落合くん」

 

『……ん?』

 

「そろそろさ、こっちの勉強会にも参加してみない?」

 

これは一種の賭けであろう。この賭けを失敗すれば、私たちのクラスは大きなもの……落合くんの力を本格的に得ることができる。失敗をすれば落合くんとクラスの皆に大きな溝ができてしまう。そんな賭けだ。

 

『……前に君に参加するなとメッセージがきたが』

 

「そのときはごめん。でもこのままじゃあ私たちはAクラスに上がることができない」

 

今のこの状況をどうにかするためにはこのテストで挽回をするしかない。しかし、今クラスは平田くんや櫛田さんのお陰でなんとか持ちこたえているが、正直諦めている生徒も何人かいる。

 

()()()()()()()()()A()()()()()()()()()()、だからここで諦めるわけにはいかない。

 

『まぁ、せっかくお呼ばれしたんだ。ありがたく参加させてもらおう』

 

彼からの了承は得た、あとはどうやって周りを納得させるかだ。

 

『……こんなすぐに二度目勉強会にありつけるとは、最近の俺は運がいい』

 

……勉強会に参加するだけなのにこんなに喜ぶ人は初めて見た。普通の人は勉強と聞くと少し嫌そうな顔をするのに。

 

まぁ本人が乗り気なんだしいいか。それより私は彼を参加を納得させるような理由が欲しい。

 

『そういえば、この件について松下にも聞いておかなくては』

 

「この件?」

 

一体何の話だろうか?

 

()()()()D()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

は!?

 

『今日、姫野と一緒に勉強をして気づいたことなんだがな。他のクラスにも念のために確認を取った、どうやらDクラスだけ範囲がずれているようだ』

 

「……どうして

 

『ん?』

 

「どうしてそんなに大事なことを早く言わないの!?」

 

それものすごく大事なことだよね!?なんでそんなついでみたいなノリで言うのさ!?

 

……でもこの情報はもしかしたら使えるかも?

 

 

<綾小路side>

 

週末を終えて月曜日。Sシステムの詳細や、中間テストの範囲の発表などがあり、クラスのほとんどの人間に余裕はなかった。

 

まぁ余裕そうなのは数名いるが。高円寺とか落合は至って普通だ。いや、落合はなんか紙を見ている。あれには何が書かれてるのだろうか?

 

そんなことを考えていると茶柱先生がやって来る。朝のホームルームが始まる。

 

「おはよう、朝のホームルームを始める。といっても特に連絡はない。強いて言うなら中間テストの勉強を頑張ってくれ」

 

「先生、その中間テストについて質問をいいでしょうか?」

 

特に何もなくホームルームが終わると思っていたが、落合が手を挙げて茶柱先生に質問をしようとしていた。

 

クラス中の視線が落合に向く。

 

「構わん、なんだ落合?」

 

()()()()()()()()()()()()です」

 

「ほう」

 

仏頂面であった茶柱先生の表情が落合の発言を聞いてから、興味深そうな笑みに変わった。

 

「Dクラスに伝えられた中間テストの範囲と他のクラスで伝えられた範囲が違うのはどういうことでしょうか?」

 

クラス中がざわめく。もしかしたら自分たちに伝えられていたテスト範囲が異なる可能性があるのだ。

 

「どうやら、私はお前たちを過小評価していたようだ」

 

「それで質問の答えは」

 

「お前ならもう察しがついてるのだろう。そうだ、Dクラスに伝えられたのは誤ったテスト範囲だ。本来なら中間テスト一週間前に発表される予定だったが、こんなに早く気付かれるとはな」

 

「友人のお陰です」

 

「良い友人を持ったな。さてとお前たちも聞いている通りだ。正しいテスト範囲だが、帰りのホームルームまでには渡そう……と思ったが、どうせお前のことだ、持っているんだろう?」

 

落合は紙を見せるそこには手書きで今まで伝えられていたテスト範囲とは異なった範囲が書かれていた。

 

「ふむ、それで問題ない。お前から全員に伝えておけ。質問は落合のみだな、以上でホームルームを終了する」

 

茶柱先生が周囲の様子を見て、ホームルームを終了しようとするが、最後に思い出したかのように一言付け加える。

 

「真実に気づいた褒美として最後に一つ付け加えておこう。今回の中間テストだが、()()()()()()()()()()()()()()()()とだけ言っておく」

 

含みのある言い方をして茶柱先生は教室を去って行った。

 

 

「どういうことだよ落合!?」

 

ホームルーム終了後、落合の席の近くには人だかりができていた。もちろん落合が人気者だからというわけではなく、テスト範囲の変更についてだ。

 

「なんのことだ?」

 

「テスト範囲の変更についてだよ!?」

 

「あぁ、この紙なら黒板に貼っておく」

 

池たちが中心となって落合へと文句を言いにいく。だが、落合はマイペースなのでそんなことを気にしてない。そんな反応がさらに池たちを怒らせた。

 

「皆、落ち着いてほしいな」

 

平田が池たちと落合の間に入り、仲裁をしようとする。

 

「でもよ、平田。そいつは情報を一人だけ知ってたんだぜ、きっと独占しようとしてたんだ!!」

 

「独占するなら、わざわざ朝のホームルームを使って話したりはしないんじゃないか?」

 

池の文句に落合が首をかしげながら反応する。落合の言っていることは正しいが、今言うべきことではない。

 

「とりあえず話がしたいんだ。落合くんテスト範囲の変更について知ったのはいつからなんだい?」

 

「金曜日の夕方ぐらいだな、すぐに確認したかったが先生はもう帰っていると思ったから先ほど確認した」

 

「そうなんだね」

 

「でもさ、それだったらクラスグループチャットだったりで連絡してくれてもよかったんじゃないかな?」

 

平田の質問で何人かは納得しかけるが、そこで櫛田が落合に質問を投げ掛ける。

 

「もしかして落合くんが今日までなにも連絡してくれなかったのってさ、私たちのこと仲間だって認めてないから?」

 

櫛田の言葉により納得しかけていた者も落合に疑問を抱く。

 

「ごめんね、私たち落合くんみたいにすごくないけど、認められるように頑張るからさ」

 

泣きそうな顔をしながら落合へと語りかける櫛田。櫛田の言葉に女子たちは櫛田を慰めにいき、男子たちは落合を責めはじめる。

 

肝心の落合は目を少し見開いて驚いたような様子をしている。

 

「落合くんどうかしたのかい?」

 

平田はそんな落合の変化を見抜いたのか、落合に問いかける。

 

「グループチャットってなんだ?」

 

『え?』

 

落合の発言に教室の空気が凍った。

 

「………」

 

『………』

 

「先ほどの言葉を否定させてもらう。櫛田、俺はクラスの生徒をしっかり仲間だと思っている。伝えなかった理由は不確かな情報で混乱を招くのを防ぐためと……」

 

 

「そもそも俺は君たちの連絡先を知らない」

 

『………』

 

一限目の授業が始まるまでずっとこの空気感であったとだけ言っておく。

 

それにしても落合がホームルームが始まるまで見ていた紙、()()()()()()()()()()()()()()()()()であった気がするが?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




落合 グループチャットに普通に入れてなかった人。Dクラスで持っている連絡先は綾小路、松下、高円寺だけ。ちなみに最初に見ていた紙はカンペであり、松下が作ったもの。

綾小路 原作主人公、クラスを一番冷静に客観的視していた人。どうやって他のクラスのテスト範囲を知ったか気になっている。

松下 今回のMVP、自分でテスト範囲の変更を言うのも考えたが落合をクラスの勉強へ参加させるきっかけにしようとした人。グループチャットのくだりになったときものすごく笑いそうになった。なんなら家に帰ってからめちゃくちゃ笑う。ちなみにグループチャットに落合がいないのは知っているし、あえていれなかった確信犯。

平田 櫛田辺りが連絡先を知ってグループチャットにいると考えていた

櫛田 平田辺りが連絡先を知ってグループチャットにいると考えていた。もう少しで怒りが爆発しそう。

池 テスト範囲が変更したことを知っていた落合にキレていたが別に勉強をしたいたわけではないのでそこまで影響はない。

茶柱 時間があったので、実は終わったあとにこっそり話を聞いていた。連絡先を知らないというところで一人ツボに入った人。
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