<平田side>
まさか落合くんがグループチャットにいないとは思ってもいなかった。確認すればすぐわかることなのに。
落合くん……ちょっと、いや、かなり不思議な生徒ではあるが、須藤くんたちみたいに問題となる行動を起こしてるわけじゃないし、高円寺くんみたいにクラスに関心がないわけじゃない。むしろ僕らに友好的に接しようとしてくれていたのかもしれない……かもしれないのかな?
「ねぇ平田くんちょっといいかな?」
そんなことを考えていると声をかけられる。
「どうしたんだい松下さん?」
声をかけてきたのは松下さんだった。
松下さんは
「実は今日の勉強会にさ、落合くんのこと誘ってみるのはどうかな?」
「なるほど、珍しいね松下さんがこういう提案をしてくるなんて」
「あはは、ちょっとね。まぁ、ぶっちゃけると教える側の頭数が足りてないんだよね」
「たしかにそうだね」
Dクラス中でも勉強を教えれる人間は少なく、正直に言うと手が回らなかった。しかしここで落合くんの協力が得られるのならばそれは凄い力になる筈だ。
「それで、どうかな」
「断る理由なんて無いよ、そうだね放課後に落合くんを誘ってみようか」
「そっか、じゃあ私からも声をかけるけどさ、平田くんからもお願いできる」
「もちろんだよ」
「OK、じゃあそういうことで」
そうして松下さんは自分の机の場所に戻っていった。落合くんに昼休み辺りに声をかけてみよう。
<天嶺side>
昼休み入ってすぐに平田から勉強会の誘いと連絡先を聞かれた。またしても友達が増えた、しかも同じクラスのだ。これは友達100人の夢の達成も近いかもしれない。
「あ!落合くんこっち!こっち!」
俺は呼ばれた方へと向かう。
「ごめんね、急に呼び出しちゃって」
「構わない、こんにちはだな」
「うん、こんにちは」
俺を呼び出したのは一之瀬たちBクラスの生徒だった。……一之瀬と隆二、姫野しか知らないが。
「よく来たな落合、さぁ座るといい」
隆二が自分の隣の席を示す。しかしそこの机のところには定食が置いてあった。
「いいのか、誰かが座ってるんじゃないのか?」
「いや、お前が座るために用意した」
「この定食は?」
「お前のために用意した、この前の中華のお礼だ」
「私もポイント払おうとしたんだけどさ、神崎くんが譲らなくてさ、今度は私からも何かお返しさせてね」
一部から中華ってなんのことみたいな反応があるが、まぁそれはおいておこう。
「では、ありがたくいただく、お返しはまた今度する」
「む、ならば俺はお返しのお返しをしなくてはな。期待しておくといい落合」
「……ならば俺はもっとすっごいのをやる、すっごいのを」
「だったら俺はさらにすっ「その話一旦、やめてもらっていいかな!?」……む」
一之瀬の言葉もあり、俺たちの言い合いは止まる。
絶対隆二にすっごいのをお返ししてやる。
「そういえばなんで俺は何で呼び出されたんだ?」
「それはね「もちろん、俺がお前と一緒にご飯を食べたかったからだ」……」
「神崎くん、少し黙ってくれると嬉しいな」
一之瀬が喋ろうとしたところに隆二が被せて喋り、一之瀬の隣に座っているショートカットの女子生徒の圧によって強制お口チャックされる。
隆二、さっき一之瀬に被せられたこと根に持っていたのかな?
「……まぁ、食べたかったのもあるけど。テスト範囲のことだよ、結局どうだったのかなって?」
あぁ、なるほど。そういえばBクラスの勉強会に参加したから気づいたことだし、その場に一之瀬もいた。
「実は茶柱先生のうっかりミスではなく、どうやらDクラスだけ誤った範囲になっていたらしい」
俺の言葉にBクラスの面々は驚いた顔をしていた。一之瀬と隆二と姫野しか知らないけど……そういえば……
「隆二、姫野はいないのか?」
「む、姫野か……たしかお弁当があるからと言っていたから、教室で食べていると思うぞ」
「……そうか」
折角なら、一緒に食べたかったが、仕方ない。
「なるほどねぇ……じゃあ、朝のホームルームの時間にDクラスから凄い声がしたけどもしかしてそれって」
「あぁ、テスト範囲の件だな」
「あ、そういばさ、実は私ちょっと気になって見に行ったんだけどさ」
一之瀬と話していると一之瀬の隣側にいるポニーテールの女子から声がかかる。
「なんか、落合くんがなんか言った後にさ、お通夜みたいな空気になってなかった?」
『!?』
「あのときさ、落合くん何って言ったの?」
Bクラスの面々から視線を感じる。
もしかして、あの出来事の経緯を説明しなくてはならないのか?
嫌だぞ、俺が皆から連絡先を教えてもらえない悲しい奴みたいになるぞ!?
でも、さすがにこの状況で説明しないなんてできないよな。
「……テストの件でな、範囲の変更についてもっと早く教えれたんじゃないかと文句を言われてな、櫛田に至っては俺が皆のことを仲間に思っていないと泣かれたんだ」
「そんなことがあったんだね、でも確かに私もあのとき思いつかなかったけど、伝えるぐらいはできたかもね」
「いや、できないんだ」
「え?何で?」
「俺がみんなの連絡先を知らなかったし、そもそも俺は今日グループチャットの存在を知った」
『………』
俺は両手で顔を覆う。
俺が連絡先聞かなかったのは悪いかもしれないけどさ?だって俺が近づくとみなさん目を反らすやん、挨拶返してくれるのも、高円寺と綾小路だけだし。
すると肩をポンポンと叩かれる。
叩いてきたのは隣に座る隆二であった。
「落合、Bクラスに来るといい。お前にそんな思いはさせないし、そもそもDクラスはお前にふさわしくない」
「ありがとう隆二……だが、俺はDクラスで頑張りたいんだ」
「落合……わかった。……だが、覚えていてくれBクラスはお前を待っている」
そうして俺と隆二は握手をした。
「いや、別にいいけどさ、落合くんなら構わないけどさ。私たちにも一声かけてからにしてよ!?」
一之瀬はそう叫んだ。
Bクラスとの食事も終わり、俺は教室戻っているときに電話がかかってきた。電話をかけてきたのは松下であった。
俺は廊下の端の方によってから電話に出た。
『落合くん、今ちょっといいかな?』
「構わない」
休み時間中に松下が電話をかけてくるのは珍しい。松下は基本的に軽井沢、佐藤、篠原の四人グループで行動しており、学校内での連絡は大体メッセージとして送られてくる。
「何かあったか?」
『実はさ、今日の放課後にさ、うちのクラスである勉強会に参加してほしいと思ってさ』
「なんだと」
まさか、誘ってみるとは言っていたが、こんなにすぐに誘われるとは思ってもみなかった。
「ひっ!?」
「ねぇ、あれって前に図書館にいた人を殺しそう目をしてた子だよね!?」
「ちょっと聞かれたらどうするの!?」
なんか周りが騒がしくなってきたな、一体何事だ?
『怖いから急に大きな声出さないでよ!?』
「え、あ……ごめんなさい」
どうやら勉強会という単語に興奮して思ったよりも大きな声を出しいていたらしい。
いや、それよりも
『まぁ私もさ、急な話だと思うけどさ』
それはそう
「どういうつもりだ?」
『まぁ、当然の疑問だよね』
彼女の当初の計画では俺がもう少しクラスに馴染んでからと考えていた気がするが?
松下は一拍置いてから話し始める。
『……前にも少し話した気がするけど私は何としてでもAクラスになりたいの……』
その言葉はこれまで聞いてきた松下の言葉の中で、一番感情が籠ったものであった。最も何が籠ってるかなんかは知らない、俺は松下じゃないからな。
だが、まぁ……
「今日の放課後だな。わかった、協力しよう」
『……いいの?』
「君から誘ってきたんだろう?」
『……結構、君のことを都合がいいように扱ってると思うけど』
「……君はあれだな、ひねくれてるな」
『ひねくれてる!?』
「
『………!?』
あれ?返答が帰ってこないですけど?
もしかして友達と思っているの、俺だけ!?
俺がそんなことを心配していると、電話越しから笑い声が聞こえてくる。とても楽しそうで、本当に愉快なものを見たのかと思えるほどだ。
「……余程面白いことがあったらしいな」
『うん、あぁお腹痛い。やっぱり落合くんってものすごく面白いね、人が覚悟して話したのがバカみたいじゃん』
「俺は面白いこと言ったつもりはないんだが」
『そっか、そっかじゃあさっきのお願いは無し。改めてお願いするね、
「先ほども言ったつもりだが、無かったことにされたからな。改めて言う、協力する」
『ありがとう』
そうして電話は終わった。……いや、正確には最後に奇妙なことを言っていた。
何やら教室に戻ったら平田から誘われるからそれに了承すればいいと。
俺、平田と話したこと片手で数えるぐらいしかないけど、どうして平田から誘われるのだろうか?
教室に戻ったら本当に平田から話しかけられ、本当に勉強会に誘われた。
もしかして……松下ってエスパー?
<松下side>
放課後、落合くんが参加して初めての勉強会が始まった。
成果はというと
「?」
誰も落合くんに話しかけれてない。
理由は分かる、今日の朝の件で落合くんを責めていた生徒もこの勉強会には参加している、正直言って申し訳ないのだろう。……まぁそれよりも普通に怖くて話しかけずらいのだろう。
そういえばよくBクラスの勉強会であんなに打ち解けられたなと思ったが、たしかBクラスには彼の友人が居るんだけっけ?彼は友人を潤滑油としてBクラスとの生徒と交流を深めていったのだろう。
表向きに彼を誘った平田くんは今、別の子を教えていて手が離せない。
……なら、しょうがない……困っているのならば、助けてあげる
私はテキストとノートを持って彼の前の席に行く。
「ねぇ、落合くん。ここ教えてくれないかな?」
私の行動にみんな目を見開いて驚いていた。あの落合くんも少し目を見開いていた。だけどすぐにいつもの彼に戻った。
「……わかった、
どうやら彼は私の意図を組んでくれたようである。
「うん、
「あぁ、
そこからはトントン拍子に事が進んだ。
私が彼に教えてもらっている光景を見て、少しずつみんなが彼に問題を聞き始め、勉強会は今までに無いぐらい順調に進んでいった。
こんなことならもっと早く参加させれば良かったかも……いや、きっかけがなかったから無理か。
そんな訳で今回の勉強会は初めて成功という形で終わった。
「お疲れさま、大成功だったよ」
私は今回の成功の立役者である落合くんを労いに行く。勉強会が終わってからもう数分は経っている。ほとんどの生徒はもう帰宅している。私は忘れ物があると言って、図書室に本を返すために残っていた落合くん会いに行った。
「君のお陰だ」
「何のことかな~?」
私は敢えてとぼけてみる。
「一人でいたからわざわざ声をかけにきてくれんだろう」
「……バレちゃったか」
「さすがに分かる……君が聞きにきたのは
「フフーン、じゃあさ一人でいる友達のために頑張った私にご褒美が必要なんじゃないかな?」
「……そもそもこの勉強会は君から誘ってきたものだと思うが」
「それはそれ、これはこれだよ」
「……まぁいいか、何処かご飯でも奢ろう」
「待ってました」
彼も納得したことだし、何を奢って貰おうか……そうだな……
「じゃあ、中華で!」
私の言葉を聞いて、落合くんは少し顔をしかめる。
「……数日前にも食べたばかりなのだが」
「フフフ、乙女の食後にあんな美味しそうな写真を送ってくる君が悪い」
そうして私たちは中華料理を食べに行った。中華料理はとても美味しかったし、何より落合くんと一緒にご飯を食べるのは楽しかった。
きっとこれからクラスの皆が彼の凄さに気づいていくんだろう。まぁ、すでにプールの授業で片鱗は見せていたが。
きっとクラスにとって重要な存在に彼はきっとなる。
……もう少し、私だけ独占したかったな……なんて
今回思ったよりボケれなかったのが悔しいです。折角Bクラスというボケをしやすい奴らを出したのに。
というわけで作者側の事情は以上です。次回の更新は早めにしたいと考えています。それでは今回も見ていただきありがとうございました。
作者の思う現段階のネタの作りやすさ
Dクラス (主人公がいるクラスなのに交流が少ないためボケれない)
Cクラス (龍園しか出てない。何なら落合の友達となった生徒すらまだ出てきてない)
Bクラス (めっちゃボケれる。もしかしたら原作から一番離れるのはこのクラスかもしれない)
Aクラス (森下出しとけばだいたいボケになる)