ようこそ青春を目指す教室へ   作:雪印のフラン

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まじですみません。久しぶりすぎる投稿で色々と忘れてると思いますが暖かい目でみてくれると嬉しいです。


それじゃあ意味がない

<神室side>

 

放課後、私は坂柳に呼び出されてカフェに来ていた。

 

「来てくれましたか真澄さん」

 

坂柳はテーブル席に座りながら、私を歓迎した。

 

「遅かったな神室ちゃん」

 

「………」

 

そこには橋本と鬼頭もいた。このメンバーで一緒にいると落合がイツメン扱いするので辞めてほしい。

 

「それで何の用よ」

 

わざわざコイツらと一緒に呼び出されたんだから、何かあるに決まっている。

 

?「実は橋本くんが面白いものを手に入れてくれたんですよ」

 

そう言って坂柳は一枚のプリントを差し出してきた。それは本物のテストかのようなできのプリントだった。

 

「……何?橋本が職員室からテストでも盗んできたの?」

 

「いや、俺はそんなことしないから!?」

 

「面白い発想ですが、残念ながら違います。これは天嶺くんが作って橋本くんに渡したテスト形式のプリントですよ」

 

「落合が?」

 

落合はいつも意味不明な行動をする奴ではあるが今回に限ってはまるで意味がわからない。わざわざ敵のクラスにこんなのを送る必要などあるのだろうか?

 

「……過去問があるのに、テストを作る意味があるのか?」

 

珍しく鬼頭が意見を出す。でも、確かに過去問と全く同じ内容が出ることを橋本と一緒に過去問を入手していた落合は知っているはずだ、わざわざテスト作るなんてある余計な手間である。

 

()()()()()()()()()()()

 

坂柳は嬉しそうな顔をしながらそう言う。

 

「じゃあ何、いつもの意味不明な行動ってこと?」

 

「違いますよ真澄さん、()()()()()()()()()()()()()()()

 

「は?どういうことよ?」

 

()()()()使()()()()()()、彼にとってはこれが意味の無い行動です」

 

坂柳の言葉に私たちは疑問符しか浮かばない。

 

「神室さんたちも見たはずですよ、彼の小テストの結果を」

 

そうして私は数日前の落合のテストの結果を思い出す。確かアイツの点数は……

 

「満点だったよな」

 

そう100点なのである。

 

「この際言っておきますと、高校…いや、大学レベルも含め、彼が勉強で躓くことはありえません」

 

「……それって本当なんすか姫さん」

 

にわかには信じられなかった、そんなことがあり得るのだろうか。おそらく橋本も同じことを思って質問をしたのだろう。

 

「本当ですよ。彼は()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

()()()()()()()()()()()()、そう言う坂柳はひどく楽しそうであった。

 

「随分と詳しいわね」

 

昔から交流があると聞いてはいたが、坂柳は随分と落合に詳しい。それに2人はお互いを名前で呼び合っている。

 

「当然ですよ。私にとっては初めてできた自分と対等に渡り合える同年代…()()なのですから」

 

坂柳の【友達】の言い方にどこか落合のようなものを感じた。

 

「後付け加えるなら、私は彼を弟のように思っています」

 

確かに落合は子供っぽいところがあり、同年代には見えないことが度々ある……とはいえ……

 

「いや、身長的に姫さんの方が妹では?」

 

橋本がまさかの直接言った!?私でさえ自重したと言うのに!?

 

この発言には鬼頭も驚きを隠せてない。何なら自分で言った橋本も「あ、」みたいな顔をしている。

 

私たちは恐る恐る坂柳の顔を見る。

 

坂柳は笑顔だった。それはもういい笑顔だった。しかし何故だろうその笑顔から感じる圧は?

 

「橋本くん、それはあれですか?私が天嶺くんより小さいから子供っぽいと」

 

「え、いや……その……」

 

「まぁ、一旦置いときましょう。私の方が姉です。次はないですよ」

 

「りょ、了解です」

 

「……じゃあ何故、落合は過去問を?」

 

鬼頭が話を戻す。私としてもこれ以上落合と坂柳の話を聞くつもりなどはない。

 

「そうですね、恐らく誰かが過去問の存在を彼に教えたのでしょう」

 

「過去問を思い付いたのは落合じゃないってこと?」

 

「はい、天嶺くんはそもそも躓くことがないので過去問なんて発想は一生思い付かないでしょう」

 

頭がいいからこそ、そういう考えは思い付かない。何ともムカつく話である。

 

「そうだとしてもこの意味不明な行動の答えになってないじゃない。わざわざ他のクラスに塩を送るなんて、あいつのクラスはただでさえポイントが無いのに」

 

「確かにな……もしかしてその過去問を思い付いた奴の作戦か?」

 

「それはないでしょう」

 

橋本の考えを坂柳が否定する。

 

「過去問の存在に気づいていないであろう、BクラスとCクラスに恩を売るならわかりますが、Aクラスにまで渡す必要はありませんからね」

 

「じゃあどういうことなのよ」

 

坂柳はこちらをからかうように話す。そんな態度に私は思わずしびれを切らした。

 

「ただの善意ですよ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

〈松下side〉

 

「これが過去問を元に作ったテストだ」

 

私は落合くんの部屋に呼び出されて、作られたプリントを見せられた。

 

「すごい完成度……ってあれ?過去問をそのまま使わないの?」

 

折角過去問がそのまま出題されるのだから、過去問を始めから使った方がいいのではないかと思う。

 

「頼まれたのは()()()()()()()()だぞ、そのまま出すわけにはいかない」

 

彼はどうやら言葉の通りに受け取っているらしい、変に素直だからなぁ落合くん。

 

「でもさ、過去問を使った方が確実に赤点で退学者なんて出ないんじゃない?」

 

答えを全て知っている状態であれば、いくら須藤くんたちとはいえ赤点は取らないであろう。

 

「……それでは意味がないだろ」

 

「意味がない?」

 

どういうことだろうか?

 

「この学校は実力を測る。茶柱先生はそう言っていたな」

 

「言ってたけど」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、これが世間一般でいう実力のある人間なのか?」

 

「それは……確かに違うけど」

 

「それにこれが通じるのは今回だけだろう」

 

「え?」

 

「茶柱先生も今回のテストだけと念を押していた」

 

確かに茶柱先生もそんなことを言っていたいたような気がする。

それにしても本当にこの人はよく細かいところを見ている。なにか理由でもあるのかな?

 

「それにしても、やっぱり反対だな。他のクラスにもこの落合くんのテストを渡すんでしょ?」

 

「あぁ」

 

「それはどうして?」

 

「ん?」

 

「渡したところでうちのクラスにメリットなんてないよ。それどこか私たちのクラスが持っているアドバンテージを他のクラスに、しかも無償で渡すなんてデメリットでしかないよ。」

 

彼がこのことをわかっていないはずがない。それか、もしかしたら彼にはなにか戦略があるのかもしれない。

 

「………松下の言う通りだ。俺のこの行動はクラスに利益をもたらすものじゃない。()()()()()()()()()()()それだけの理由でしかない」

 

落合くんは目を閉じ、何かを思い浮かべるようにそう言った。

 

「落合くんがしたいから?」

 

「俺は学校というものに生まれて初めて通うことになる」

 

落合くんが、少し寂しそうに話す。

 

というかさらっととんでもないこと言わなかった今!?

 

「そんなここでできた友達は俺にとってはちょっと特別なものなんだ………誰一人としていなくなってほしくない」

 

彼はよくわからないことが多い。表情は変わらないし、なに考えてるのかもよくわからない。そもそもクラスにもあんまりいない。頭はいいし、運動神経もいいけど変な行動をする。

 

そんな彼と1カ月にも満たない、短い時間であるが関わってきてわかった。

 

落合天嶺は友達思いなのだ。

 

友達が困っていたら、自分の損得関係無しに助けようとするそんな人間なのだ。

 

「………わかったよ。もう、落合くんは全然折れなさそうだしね。私は理解のある女の子ですから」

 

「………ありがとう、俺のわがままに付き合ってくれて」

 

「そもそも、そのテストは落合くんが作ったものだしね。私がどう使おうとかあれこれ口だすのはお門違いだしね」

 

「いや、過去問を提案してくれたのは君だ。だからこそ、俺は君に了承を」

 

「はい、この話もうやめ!」

 

意外としつこいな彼。あんまり言われるとこちらの意思がまた揺らいでしまいそうだ。

 

「ねぇ、落合くん」

 

「なんだ?」

 

私はさっき彼が言っていたことが気になった。

 

「落合は私のこと友達と思ってる?」

 

「思ってるが………やはり君は俺のことを!?

 

「違う、違う!?私も思ってるから」

 

やはりって何!?彼からした私はそんな薄情な風に見えていたのだろうか

 

そうか安心したと一安心している彼。って違うそういうことを聞いているのではない。

 

「私が困っていたらさ、落合くんは助けてくれる?」

 

思わず聞いた、聞いてしまった。彼がどんな風に答えるのかそれが気になってしまった。

 

「やっぱり今のなし」とそう言う前に彼は

 

「約束する」

 

 

「俺の持てる力を全てを使って、君を助ける」

 

優しい笑顔で彼はそう答えた。

 

その顔をみたとき、「そんな顔もできるんだ」とそんなどこか違う感想とこの人なら約束を守ってくれると安心感を感じた。

 

<落合side>

 

なんやかんやありながらテスト当日を迎えた。といっても特に大きなイベントはなく、隆二から感謝のメッセージと龍園から感謝?のメッセージ、有栖から「どうしてこんなに無駄に大きくなったのでしょうか」と謎に杖で叩かれたくらいだ。

 

まぁ、有栖はいつもこんな感じか。

 

「もし、お前たちが無事にこの中間テストと7月に実施される期末テストを乗り越えることができたら、お前ら全員を夏休みにバカンスに連れていってやろう」

 

テストが始まる前に茶柱先生が話していた、どうやら赤点を誰も取らなければ夏休みは島でバカンスだとか。

 

いいな~船とか乗ったことないから乗ってみたい。

 

待てよ、確かこの学校は水泳の授業に力に入れていた。確か()()()()()()()()()()()()とか

 

つまり、泳いで島まで向かうということか!!

 

さすが有栖のお父さんが運営してる学校、スケールが違うな。でも有栖泳げないけどどうするだろう?

 

橋本が背負えばいいか*1

 

こうしてテストは始まったが特に躓くこともなくテストは終わった。

 

 

 

テスト発表の日、どうやら須藤は赤点を取ったらしく、退学になるはずだったが、堀北が何とかして退学は回避したらしい。

 

あれ、綾小路は?綾小路も一緒に出てったけど無関係なの?

 

 

放課後俺は喫茶店に来ていた。

 

「すご、本当に100点だったんだ」

 

「疑っていたのか」

 

俺の目の前に座りテストを見ていたのは西野。とある飲食店で意気投合したCクラスの友達である。

 

「信じられなかったからね、まさかあんたが頭いいなんて」

 

ちょっとショックである。

 

「それで何か用か?美味しいお店ならたしかこのパン屋さんとか………」

 

「その話じゃないから………いや、その話も気になるけど」

 

俺がパン屋さんの情報を見せようとするとそれを阻止してくる。しかしパン屋さんの情報はチラ見している。

 

「龍園がそろそろ本気で動き出すって」

 

「そうか」

 

「………反応薄くない、私結構重大な情報持ってきたんだけど」

 

「心配するな、いずれ彼とも友達になる」

 

「………本当にあんたって100点取ったの?」

 

そういう問題じゃないでしょと溜め息をつく。

 

 

 

フフフ、中間テストが終わってもまたイベントがやってくるとはこの学校は退屈しない。

 

この学校に来て本当によかった

 

 

 

 

 

 

<???視点>

 

「毎回思うけど、この家の廊下長すぎない」

 

()()()()()を教育によって生み出すためにできた、あらゆる才能を育成する施設……という名目で運営されている広い屋敷のようなもの、しかしここにいる生徒はたった1人。そもそもここを運営しているのはその生徒の身内であるため、教育機関という名の家族の家である。

 

私の目的はその生徒である彼に会いにきたのだ。

 

もう二ヶ月以上ここに来ていない。

 

「私に会えなくて寂しがってるかな?」

 

自分で言ったことだが笑えてくる。彼は言葉にこそしないがすごい寂しがり屋だ。

 

確か前に何週間か会えなかったときには

 

──────────────────────────

 

『別に気にしてないぞ。またすぐ来ると言って全然来なかったことなんて気にしてないからな』

 

──────────────────────────

 

そっぽを向きながらこんなことを言っていたっけ

 

この人、本当に私より年上か?

 

まぁ、そういうところがかわいくもある。普段がクールぶっているぶん、ギャップ萌えという奴だろう。

 

そうこうしているうちに彼の部屋の前の扉に着く。地味に足が疲れた。これは彼に労いの意味を込めて、膝枕でもしてもらおう。特別寝心地がいいわけではない。しかし彼が近くにいるということ、その一点がどんな枕にも敵わない、最高の利点となっている。

 

「センパイ~、入るよー」

 

センパイとは愛称である。昔は名前で呼んでいたが、私が中学に入ってから年上の人をこう呼ぶと教えたときに気に入ったのかこれからはそう呼んでほしいと頼まれた。

 

まぁ、確かに彼と関わる年下の人間って私しかいないから、敬われていると思って気分がいいんだろう。

 

それはさておき返事はなかったが扉を開ける。部屋には誰も居なかった。

 

「あれ、センパイ?」

 

トイレにでも行ってるのだろうか?いや、それにしてはおかしすぎる。本来あるはずのパーツが足りないようなそんな嫌な感じがしてくる。

 

「あれ桜子ちゃん、来てくれたの?」

 

廊下から彼の母親がやって来た。この人には彼の様子をよく聞かれる。家族なんだから直接聞けばいいと思うのだが、彼の家族はなんでか拗れている。誰かが、素直になれば話が終わるのだがそうはならない。この家族は全員頭はいいが、どこかその辺の察しは悪い。

 

まぁ、そこは今聞くことじゃない。

 

「お久しぶりです。すみませんけど彼は?」

 

私は彼がどこにいるのか聞いた。母親なら息子の動向ぐらい知っているはずだ。

 

「あら、言ってなかったのね。あの子、春から高度育成学校に通うことになったのよ」

 

え?

 

「あの子いつも窮屈そうだし、なにか変化が必要かと考えてお父さんが通わせることにしたのよ」

 

………

 

「だから、ごめんね。確か全寮制の高校だったから三年は会えないと思うわ」

 

………三年?

 

「そうですか………」

 

「ごめんね、ちょっと待って今飲み物持ってくるから」

 

そうして彼の母親はどこかへ向かった。

 

私は彼の机の上に向かう。そこには高度育成学校のパンフレットが置いてあった。恐らく真面目な彼のことだ。入学する前に何度も読み直したのだろう。ところどころに読み込んだあとがついている。

 

そのパンフレットの近くに便箋が置いてあった。桜模様の便箋であり、私宛の手紙だった。

 

『これを君が読んでいるということは、どうやら君には直接伝えることができなかったらしい。だからここで伝える俺は高校に通うことになった。前から君の話を聞いていて、学校というものに憧れはあったが、自分が通えるようになるなんて夢にも思わなかった。全寮制であり、長期休みでも帰ることができないらしく、卒業まで会うことができない。君がいないということだけが心残りではあるが俺は君が言っていた【青春】というものを目指してみようと思う。立派に成長してみせるから待っていてほしい 天嶺

 

手紙を読んで、彼らしいなと思う。そして私は彼からの手紙を

 

 

ビリビリに破く

 

 

当然だ。彼は私を裏切ったのだ。

 

私から離れないそう約束した筈なのに。

 

私がいない場所で【青春】を目指す?

 

「違うよ天嶺、違う。それじゃあ意味がない

 

天嶺に【青春】について話したのは私との時間をそう刷り込ませるためだったのにどうやら失敗したようだ。どうやらあの唐変木には直接本心を言わないと伝わらないそうだ。

 

「はぁ、台無しだよ。なにもかも」

 

わざわざ計画のために会う期間を開けたというのに、その全てが水の泡である。

 

「油断したな」

 

こんなことになるなら首輪でも着けておくべきだった。そしたら天嶺は逃げずにここにいたのかな?なんて

 

()()()()()()()()()

 

天嶺、私が三年も()()()()()()()()

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だっけ?」

 

私は掴むよ、そしてもう離さない。

 

 

「待っててね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
橋本「え?」




やっと一巻の内容が終わりました。ちなみに須藤の件に関しては主人公は一切関わっていません。まだ友達じゃないからね。次からは二巻です。どうやって佐倉と関わらせよう。あと果たして本編に落合の後輩が出てくる日は来るのか?とりあえず今回も見てくださりありがとうございました。
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