インフィニット・ストラトス ~その拳で護る者~    作:不知火 丙

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第四話

― 斎藤一樹 ―

 

プァァァァァァァン!!!

 

 俺は今、バイクに乗り公道を爆走中である。

 お巡りさんが居れば即座に追跡を開始するであろう速度でだ。

 まあ、見つけた次の瞬間には追跡できない距離に居ると思うが。そして俺の前には千冬さんが乗っていて、後ろにはすずかが落とされまいと必死に抱きついている。

 まさかの三人乗りである。スサノオのサポートで振り落とされるような事は無いのだが。で、何故そんな事になっているのかというと、

 

「アリサちゃんまだ生きてますよ」

 

 すずかからその一言を聞いたからだ。

 きっかけはみんながどういう風に生きてきたかを知りたかったので、あの後みんなはどうなったのかを聞いたのだ。

 そしてその言葉を聞くことになった。

 

「お前は何を言ってるんだ?」

 

 それを聞いた俺はすずかが何を言っているのか分からなかった。

 

「だから、アリサちゃんまだ生きてるの。ただ、もうあまり長くはないって……」

 

「ちょ、ちょっと待て? 生きてたとしても120歳オーバーだぞ? 俺の事覚えてるのか?」

 

 こっちにきた時千冬さんに言われたことをそのまま言う。

 

「はっきりと覚えてますよ。ボケてきてるわけでもないですし、普通に会話もできます。ただもう体が限界なんです。もともと気力で支えてた部分があったけど、最近その「生きよう」って感じが弱くなってきちゃったんです」

 

 すずかが話しながら暗くなっていく。

 

「私はもう会えないんです。百年も同じ姿のまま、みんなが年をとっていく中私は何時までもこの姿のまま。なのはちゃんが、はやてちゃんが! フェイトちゃんが!! 亜夜ちゃんが!! 知っている人が、大切な人が亡くなっていく光景を何度も見てきた!! 何も出来ずに!! ただ見ることしか出来なかった!! 私も、みんなと一緒が良かった!!」

 

「すずか……」

 

「もう辛いのは嫌なんです。もう友達が亡くなるところなんか見たくない」

 

 泣き出してしまうすずか。俺はそんなすずかに近づき、両手で頬を摘み左右に引っ張った。

 

「ふぇ?! ひひゃい! ひひゃいふぇふ! ひゃなふぃふぇふふぁふぁい!!」

 

「お~、よく伸びる。しかもさわり心地が良いとは。癖になりそうだ」

 

 俺はそこそこ堪能したところでパッと離す。

 

「な、何するんですか! まじめに話してるんですよ?!」

 

 そう涙目で言ってくる。

 

「な~にが「まじめに話してるんです!」だ。すずか、お前いつからアリサに会ってねーんだ?」

 

「え?……かれこれもう30年くらいは……。電話とかで話してはいますけど……」

 

 俯きながら答える。

 

「どーせその電話も仕事とか事務的な電話じゃねーのか?」

 

「うっ……」

 

 俺にそう言われすずかがうめく。どうやら図星のようだ。

 

「何で会ってやんねーんだよ?」

 

「だって、会えないですよ! 年をとってないんですよ! 「化物」なんですよ!! みんなと過ごす時間が違うのに!! こんな姿でどうして会いにいけるんですか?!」

 

「まあ、言ってることは分からんでもないが訂正しろ。お前は「化物」なんかじゃない」

 

「どうしてですか!?」

 

「前に言ったろ? 俺に勝てないのに「化物」を名乗るなって」

 

 俺が月村家の正体を知ったときだ。まあ、はじめから知ってはいたが。

 

「勝ってますよ!! 少なくとも寿命と言う点だったら!!」

 

「ふむ、今お前が125歳だったか?」

 

「……そうだけど」

 

 ムスッとして答える。年齢に関しては複雑な気分みたいだ。

 

「まあ、確かに俺がその年齢まで生きられるか分からんねーけど」

 

「そ、そうだよ勝てっこな「じゃあ、お前亀に勝てるか?」……はい?」

 

 突然の問いかけに面くらうすずか。

 

「純粋な寿命の勝負ってんなら亀は250年生きた記録があるぞ?」

 

「そのぐらいだったら……」

 

 まあ、この位だったら生きそうだよな。現に忍さんはそろそろ200歳になるだろうし。

 っていうか忍さんって一体何歳なんだ?

 

「じゃあ、ハマグリ。こっちは410年だそうだ」

 

「そ、それぐらい……」

 

 お、まだ粘るか。

 

「お次は南極海の海綿動物こっちは1550年生きたそうだ」

 

「………………」

 

 これぐらいになると自信がなくなるんだな。

 まあ、某有名な心の下に刃な吸血鬼も500年生きたみたいだけど、その三倍となると流石にな。

 ……ん? 忍さんってあれ? 刃の下に心有るな……。心の下じゃねーけど。モデルになった訳ではあるまいな?

 

「極めつけなだとベニクラゲ。こいつにあっては不老不死だってよ。ベニクラゲって時期になると、さなぎのような状態になるらしくて、数日後にはクラゲの幼生である「ポリープ」になって、ふたたびクラゲへと成長するっていうループを繰り返しているらしいぞ? まあ、正確には若返りだな。でも一説によると5億年いきた猛者もいるって話らしいぞ?」

 

「……勝てないよ」

 

 それを聞いたすずかはとうとうギブアップした。

 

「だろう? 自然界にそんだけ長寿の生き物が居るんだ。まだまだ化物は名乗れんな。いや~化物になる道は遠く険しいな~」

 

 けらけらと笑う俺。

 

「でも、それとこれとは!「同じだって」……」

 

「それにすずかが化物ってんなら俺だって化物じゃんか。だってそうだろ? 俺が本気で人を殴ったらミンチになるぞ?」

 

 まさに頭がパーン! である。

 

「人間にそんなことが出来ないのなら俺も化物の仲間入りだ」

 

「一樹さんは……」

 

「それでも自分の事を化物だって思うならそれでも良いさ。その代わり俺も化物の仲間入りだがな」

 

 フッフッフと笑う。

 

「ず、ずるいです」

 

「ずるくて結構。結論!「すずかは化物じゃない!」これで終了! んで、化物語りは置いといて。アリサは待ってるよ」

 

「………………」

 

「行ったら絶対笑顔で迎えてくれるよ。まあ、その後は怒られるかもな。「今までどうして会いにこないんだ!!」って」

 

「……そうだね。一樹さんアリサちゃんの事よく分かってるんだね」

 

「当然。って言うか俺だけ会いに行ったらアリサにどやされちまうよ「何ですずかをつれてこないんだ!」って」

 

「そこに行き着くんだ……」

 

 はあ、とため息をつくすずか。でもその顔は暗い顔ではなく笑顔が戻っていた。

 

「まあ、行かないって言っても無理やり連れてくけどな!!」

 

「大丈夫、もう平気だよ。なんだか悩んでたのが馬鹿みたい」

 

「今頃気が付いたのか」

 

「その言いは方酷いよ!?」

 

「でもまあ、間に合ってよかった。葬式だけに出たんじゃ幽霊になって出てくるぞ? たぶん枕元に立たれるんじゃね?」

 

 リリちゃ箱で幽霊だっただけに。あれ? でも廃工場に行かないと会えないんだっけか?

 

「そ、それはやだな~」

 

 この吸血鬼、どうやら幽霊は苦手なようだ。自分もオカルトな存在なのに。

 

「そんなわけだから行くか」

 

「え?」

 

「アリサんとこ。もう三ヶ月以上会ってないんだ。そろそろアリサニウム補充しないと俺が死ぬ」

 

「なにそれ?」

 

 首をかしげすずかが聞いてくる。

 

「アリサからしか取れない希少な成分。ちなみに俺専用。効果はどんな疲れも一瞬にしてふっ飛ぶ。しかし、釘宮病を併発する可能性があるという。そんなわけで、さ、すずか案内してくれ。一刻も早くアリサに会いたい」

 

「釘宮病ってなに?」

 

「こまけぇこたぁ気にすんな!」

 

「言ったの一樹さんじゃないですか! もう、分かりました案内しますよ」

 

 そう言ったすずかは晴れやかな顔をしていた。

 

「じゃあ、試運転がてらRR乗ってくか」

 

「そうだね。織斑さんはどうするの?」

 

「もちろん連れてく。嫁を紹介しなくてどうする」

 

「……結婚してなかったよね?」

 

「婚約はしてたから問題なし」

 

「……まあ、そうだね。その辺はアリサちゃんから聞けば良いだろうし」

 

 はあ、とため息をつくすずか。

 

「何のことだ?」

 

「行けば分かるよ」

 

「なら行くしかないな。ちょっと千冬さん呼んでくるからガレージで待っててくれ」

 

「はいはい」

 

 こうして俺はアリサの入院している病院に向かうことになった。

 そしてバイクで飛ばすこと数十分、目的の病院に着いた。

 

「まさかとは思ったけど此処だったか。まあ、面影は一切無いがな!!」

 

 そうして見上げた先には海鳴大学病院がそびえ立っていた。

 そう、そびえ立っているのである。はやてが通っていた病院の面影は一切なく、もう如何にも「金掛けました! 最先端です!」っていう雰囲気がめちゃくちゃ出てる。

 百年ってスゲーな。千冬さんも珍しいのか見上げている。

 

「それはそうだよ。此処の病院もバニングス系列だから」

 

「……はい?」

 

 すずかがなにやらトンでも発言をしたような気がした。

 

「正確に言うなら買い取ったって言った方がいいかな?」

 

「それはどうしてまた?」

 

「それはアリサちゃんが入院することになったからだよ。下手な治療を受けさせて万が一のことがあったら困るでしょ? だから最先端の治療が受けられるように病院ごと買い取っちゃったの」

 

「……OH」

 

「名前がそのままなのは単にアリサちゃんが変えなくて良いって言ったから。アリサちゃんも子供のころから知ってる病院だしね」

 

まあ、海鳴にすんでいる奴なら一度はお世話になっているだろう。

 

「そんじゃアリサんとこに行きますかね」

 

「うん、アリサちゃんどんな顔するかな?」

 

「きっと吃驚するぜ?」

 

「それはそうだよ」

 

 そういいながら三人で病院に入っていく。

 向かうのは最上階。ホテルで言えばロイヤルスイート。贅沢なことに最上階は一部屋しか無いそうだ。それって本当に病院か?

 そう思っていると、すずかがエレベーターに乗って扉を閉める。その後階層のボタンの下にあるパネルを開き暗証番号を入力する。

 すると階層を表示する場所が20と表示される。ボタンは19階までしかないのにだ。どうやら最上階には限られた人間しかいけないようだ。

 エレベーターはとても静かに、とても速く最上階に到着した。

 

ポン

 

 と音がして、扉が開く。そしてそこには頭を下げた状態のファリンさんが居た。

 

「お久しぶりです。すずかお嬢……さ……ま?!」

 

「よ! 久しぶりファリンさん」

 

「…………?!ひゃーーーーー!!!!お化けェェェェェーーー!!!」

 

 たっぷりとした間のあと、ファリンさんが大声で悲鳴を上げる。お化けじゃねーし。生きてるし。

 

「どうしました! ファリン!!」

 

 その悲鳴に反応してノエルさんが出てくる。すでに臨戦態勢だ。そして俺と目が合う。

 

「よ、ノエルさんも久しぶり」

 

「……へ?」

 

 お、ノエルさんがぽかんとしている。なかなかのレアな画像だ。スサノオで写真に収めつつ、歩いて近づいていく。

 

「アリサは中に居るのか?」

 

「え? え? あ、はい中に居ます……って、えーーーー?!」

 

 ノエルさんの叫びを背中に受けつつ、部屋の扉を開ける。

 そこは最上階を広く使った部屋だった。ダブルタイプのベッドが置かれており、見舞いに来た人をもてなすための豪華なソファーにテーブル。

 調度品も部屋にあっており、豪華ではあるが、病室らしく落ち着いた雰囲気が出ている。でも、正直病室って言うよりはホテルのスイートです。

 そして、そのベッドの上には、本を読んでいる女性が居た。顔に、手にしわがあるが、伸ばされた金髪は綺麗なままで、とても120歳オーバーには見えない。

 そして左手の薬指に嵌められた指輪。間違いなく俺が買った結婚指輪だった。それを見たとき涙が出そうになった。

 

「どうしたのノエル? 何があっ……た…………」

 

 ノエルに向けられた言葉は最後まで言われることはなく途中で途切れてしまった。

 

「ただいまアリサ。遅くなった」

 

「カ……ズキ?」

 

「ああ」

 

 俺はゆっくりとアリサに近づいて、ベッドの横に移動する。そしてアリサの手をやさしくつかむ。

 

「どう……して……」

 

「いろいろあって、百年未来に飛ばされちまった」

 

「………………」

 

「ごめんアリサ。こんなに待たせちまって。さっさと片付けて戻ってくるって言ったのにな」

 

「………………」

 

 俯いて震えるアリサ。

 

「どんなに謝っても足りないかも知れない。でも、ありがとう。生きててくれて。そのおかげでまた会えたわヴぁ!?」

 

 こめかみに衝撃を受け、きりもみして吹き飛ぶ。

 

ギュルルルル!! ドグシャ!

 

 飛んだ方にはソファー等がありそれらを巻き込んで墜落する。

 

「はあ、はあ、はあ」

 

 アリサは読んでいたハードカバーの本を振りぬいた体勢で止まり、肩で息をして、俺のほうをきつく睨みつけている。

 

「あ、アリサちゃん?!」

 

 途中まで感動の再会だったはずなのに急展開で修羅場と化した。

 

「「「…………」」」

 

 千冬さん、ノエル、ファリンは呆然としている。

 

「すまんすずか。俺アリサのこと分かってなかったわ」

 

 突っ伏しながら手を上げ言う。笑顔で迎えてくれると思ったんだけどな~!

 

「おっっっっっっっそいのよ!! あたしがどれだけ待ったと思ってんの?!」

 

 アリサはベッドから立ち上がり、ズンズンと俺のほうに向かって歩いてくる。

 俺は巻き込んだソファーやらテーブルやらを押しのけ上半身を起こす。するとすでにアリサは目の前まで来ていて、両手で胸倉をつかまれた。

 

「え~っと、百年くらい?」

 

 冷や汗だらだらで答える。何これちょー怖い。

 

「ええそうね! 百年ずっと待ったわよ! あんたは死んでなんかいない! ひょっこり戻ってきてまたいつもどおりに暮らせるって! お腹にいた子と幸せに暮らせるって!! そうずっと思ってたわよ!!」

 

「…………」

 

「あんたが死んだって聞いて、あたしがどんな思いだったか知ってるの!? 何度あんたを追いかけようと思ったか! でもしなかった! あんたは帰ってくるって言った!! 昔から約束だけは破ったことは無かったから!! お腹にあんたの子もいたから!!」

 

「……ごめん」

 

「ごめんじゃないわよ!! どんだけ、どんだけ辛かったか!! いつも守ってくれたあんたがいない!! いつも笑ってくれたあんたがいない!! いつもみんなの中心だったあんたがいない!! 急に胸にぽっかり穴が開いて!! みんなが笑わなくなって!! どんなに辛かったか!!」

 

 そう言って、アリサは胸倉をつかんだまま俺の胸に額をつける。

 

「馬鹿!……待ってたんだから。ヒック……ずっと、待ってたんだから……」

 

 そう言って嗚咽を上げ泣きはじめるアリサ。そのアリサをやさしく抱きしめる。

 

「ごめん、そんなに待たせて。ごめん、そんなに辛い思いさせて」

 

 俺がそういうとアリサはそのまま俺の胸の中で泣き始めてしまい、アリサが泣き止むまで随分と時間が掛かってしまった。

 アリサが泣き止んだ所で俺の事情を説明した。三ヶ月前にこっちにきたこと、千冬さんに助けられたこと、IS学園で働いていること、墓参りに行ったときすずかに会ったこと、それでアリサが生きていると知ったこと。もちろん、

 

「あんたね、三ヶ月もあったら全部自分で調べて、もっと早く会いにこれたでしょうに」

 

 と呆れられてしまった。そんなときに、千冬さんも謝った。

 

「申し訳ありません。私も憶測で軽はずみなことを言ってしまったので」

 

「いいのよ、それが普通なんだから。私は数少ない例外よ。それに一樹の事だから百年分の漫画やらアニメやらゲームやらをずっと見てたんでしょうし」

 

 ジト目でこっちを見てくる。大正解なので反論なんか出来るはずが無いので目をそらす。その反応を見て呆れたようにため息をつき肩を落とすアリサ。

 そんなやり取りを苦笑いで見つつすずかがアリサに謝ってきた。

 

「アリサちゃんごめんね今まで全然会いにに来なくて」

 

「本当よ! どうせ年齢のことでウジウジしてたんでしょ? まったく、すずかと親友になったあの日から、そんなの覚悟してんのよ。それにね、こっちだって申し訳ないのよ? あんた一人を残して逝っちゃうんだから……」

 

 はじめはプリプリと怒っていたが、結局アリサは、すずかのことを一番心配していたのだ。

 

「うん、ごめんね」

 

「そう思うんだったらこれから毎日でも来なさいよ。こっちは一日中暇なのよ」

 

「うん! そうするよ!」

 

 とすずかも笑顔で答えた。で、俺の番になり。

 

「アリサ」

 

「何よ……」

 

 さっきの気恥ずかしさからか目をそらして返事をする。

 

「さっき俺の子がいるって……」

 

 さっきの会話の一つを聞く。

 

「……もういないわよ。私より先に逝っちゃうんだもん」

 

 覚悟はしていたがやっぱりそうか。

 

「そうか……。名前は?」

 

「………………カズキ」

 

「……へ?」

 

 少し間があり、ポツリとつぶやく。

 

「五月蝿いわね! カズキよ! カズキ・S・バニングスよ!!」

 

 顔を真っ赤にしていってくる。

 

「ちょ、おま!」

 

 親と同じ名前にするとか……。それってアレだよな? 映画とかで恋人が死んだらその人の名前を付けるってそんな感じじゃね?!

 途中まで出かけた言葉を飲み込む。ふと周りを見ると、すずかと千冬さんとノエルとファリンがヒソヒソと話をしている。

 

「それでね、子供が生まれたときその名前しか嫌だって言うんだよ」

 

「そうですか、それほど一樹のことを……」

 

「あのときのアリサ様は譲りませんでしたからね」

 

「でも、ものすっごく母親の顔をしていました」

 

 なんて話をしてた。

 

「ちょっとすずか! 何話してんのよ!」

 

「え? アリサちゃんが母親になったときの話だよ」

 

「そうじゃないわよ!」

 

 ギャーギャー言い始めるアリサ。そんなアリサにもう一つ質問する。

 

「アリサ、今家族はどうなってんだ?」

 

「ああ、もうすずかの奴! え~っと、孫にアスカ、曾孫にテレサ、玄孫にマリアがいるわよ」

 

「や、玄孫?」

 

 そんなに行くのか…………。

 

「120まで生きるとそのくらい行くわよ。アスカとテレサはアメリカ、マリアは来年IS学園に行く予定で今は海鳴の私の家にいるわ」

 

「そうなのか」

 

「そうなのよ。来年マリアの事よろしくね。今度紹介するわ」

 

「ああ、任された」

 

「他には何かある?」

 

「う~ん、そうだな。管理局と連絡は付けられるか?」

 

「いいえ、今はもう無理ね。なのは達がいたときは連絡が付けられたけど、今はもう無理」

 

「もうこっちに来たりもしてないのか?」

 

 ヴォルケンリッター達はどうなったんだろう?

 今生きている可能性がある管理局組みはそれぐらいだし。

 

「さあ、どうかしらね? 私もその辺は分からないわ。来てるかもしれないけど、もう知り合いもいないしね」

 

「それもそうか」

 

 さてそうなると管理局に連絡する正規ルートは無しか。まあ、それはそれでいいか。

 

「後は?」

 

 う~ん、あ、あったあった。これ一番重要だ。

 

「アリサ」

 

「何?」

 

「結婚しよう」

 

「んなっ!?」

 

「「「「!?」」」」

 

 俺がそういった瞬間顔を真っ赤にするアリサ。

 それを横で聞いていた四人が耳を大きくする。

 

「うん、やっと言えた」

 

「ば、馬鹿じゃないの!? あたしもうこんなに年を取っちゃったのよ!? そこにすずかとか織斑さんとかいるじゃない!!」

 

「「ブーーーーー!!」」

 

 そういわれた瞬間二人が飲んでいた紅茶を噴出しむせる。

 

「む、馬鹿はそっちだ。俺の帰りを百年も待っててくれた良い女なんだぞ? ちょっと年取っただけじゃねーか」

 

「百年をちょっと済ますんだ」

 

 ファリンが突っ込む。

 

「で、でも!」

 

「アリサ、俺はお前が好きだ。愛してるんだ。世界で一番愛してるんだ。百年も未来に来て一番悔いた事がアリサとの約束を守れなかったことだ。あの楽しかった日に戻れないって知ったとき死にたくなるほど悔しかったんだ。だから今からでもいい。一緒に暮らそう。二人の時間を取り戻そう。俺はそれだけでいい。他に何もいらない。アリサがいれば良い。だから……結婚しよう」

 

 真剣に、アリサの目をしっかり見て告白する。

 

「……私で良いの?」

 

 アリサは不安そうに言って来る。

 

「アリサじゃなきゃ駄目なんだ」

 

 そんなアリサの不安を消すように答える。

 

「こんなにおばあちゃんになっちゃたのに?」

 

「今だって十分綺麗だ」

 

「……馬鹿///……しょうがないわね! するわよ結婚!///」

 

 アリサは顔を真っ赤にしてそういった。

 

「ありがとう」

 

 そう言って俺とアリサは人生で二度目のキスをした。

 

 

 

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