噓企画2024(フォーゼ反転物)   作:大島海峡

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プロローグ:いつか、どこかの灯台にて

 灯台に、一人の若者が佇んでいる。

 その頭上では銀色のオーロラがカーテンのようにはためき、色とりどりの時の雨が降り注ぐ。

 そこは彼にとって今居る場所であり、どの過去からも通じる道であり、誰かにとってはいずれ(きた)る海の世界……未来(ミライ)である。

 

「亜種令和ライダー」

 

 海兵帽を、さらにその上から雨除けの黒いフードを被った、青年に見えるそれは、誰にともなく空を仰ぎ見て口を開いた。

 

「……と、彼らは本来の令和ライダー時間軸と比較して呼ばれている。0(ゼロ)から1(ワン)へと至らなかった世界線。無数にある可能性の一条(ひとすじ)。平成ライダーと地続きながらも、似て非なる者たち」

 

 その彼の声に呼応するかのように、鉄錆びた、物哀しい音と共に、灯台が動く。その照明を空中へと向けると、月の如き円形の窓が生じてその中央に、『W』のシンボルが浮かび上がる。

 

 

 

「それは、分離と仮定(イフ)妖精譚(ものがたり)

 という言葉に誘われてそのシンボルが二つの粒子へと変容する。

 

「悪魔と相乗りをしなかった『もしも』。分たれた要素(エレメント)

 風の精へ、炎の蜥蜴へ、そして月光の狼へ。

 三者三様、三色のエネルギー、形に再変換された幻想たちがやがてレンズに収まり、そのレンズがドライバーに変わる。

 眼鏡を模したもの。ガスバーナーに見えるもの。引き金(トリガー)の取り付けられた、片刃の黄金太刀。

 そしてそれらを身につけた三人の戦士へ。

 本、モノクル、風。様々な面を持つ探偵(ライダー)

 燃える炎、あるいは蜥蜴を模した鋼の闘士(ライダー)

 狼の尾飾りを後頭部より垂らした、月刃を担いだ剣士(ライダー)

 

「一度散ったそれらはやがて、三つの物語を進み、そして鼎立して再び絡み合う」

 そう締めくくった時、灯台がふたたび軋り、首をスライドさせた。

 

 

 

「それは、継続と祝福の後日談(ものがたり)

 映し出されたは、鷹、虎、飛蝗を縦に組み合わせた、三位一体のシンボル。

 

「コアメダルの復活から百年。欲望は再び殖えて満ちる」

 その中心あたり、袈裟懸けに大きく亀裂が奔り、色褪せ、朽ち行くそれに、縋るがごとく無数の手が伸びてまとわりつく。

「生まれながらにして腐り落ちた新世界。袋小路の人々は、都合の良い神様に救いを求めて手を伸ばす」

 

 その外縁に、王冠が巡る。様々な形状のボトルがぶつかり合う。

 人々の欲望と崇拝の腕をすり抜けて、一本の腕がその内の一個、紅き鷹を王冠を掴み取る。

 

「咎を背負いし一族の裔は、荊冠と知りつつあえて被る。空の玉座を目指し、真なる祝福を追い求める。その前に立ちふさがるのは――千古の墓守」

 

 その青年が降り立った時、背中合わせに男が侍っていた。

 枝に下着を引っかけ、異形の右腕で掴んだアイスバーにかじりつく、青年の姿形を持つ、死にぞこない。

 やがて彼らは、霊鳥の仮面を頂く仮面ライダーとなり、互いに向き直り、異形の拳を互いに打ち放つ。

 

 

 そして――と。

 未来を司るその存在は、灯台を巡る。

 それに合わせて、照明が向きを変える。

 

「それは、反転と墜落の物語」

 虚空を照らし出されたのは、白い宇宙飛行士のマスクをデフォルメ化させたシンボル。

 それが、翻る。

 色はドス黒く染まり、上下は逆さまに。

 

「正義は悪に、悪は味方に。これは、青春を騙るインベーダーに、とある少女たちが堕ちながら抗うお話だ」

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