灯台に、一人の若者が佇んでいる。
その頭上では銀色のオーロラがカーテンのようにはためき、色とりどりの時の雨が降り注ぐ。
そこは彼にとって今居る場所であり、どの過去からも通じる道であり、誰かにとってはいずれ
「亜種令和ライダー」
海兵帽を、さらにその上から雨除けの黒いフードを被った、青年に見えるそれは、誰にともなく空を仰ぎ見て口を開いた。
「……と、彼らは本来の令和ライダー時間軸と比較して呼ばれている。
その彼の声に呼応するかのように、鉄錆びた、物哀しい音と共に、灯台が動く。その照明を空中へと向けると、月の如き円形の窓が生じてその中央に、『W』のシンボルが浮かび上がる。
「それは、分離と
という言葉に誘われてそのシンボルが二つの粒子へと変容する。
「悪魔と相乗りをしなかった『もしも』。分たれた
風の精へ、炎の蜥蜴へ、そして月光の狼へ。
三者三様、三色のエネルギー、形に再変換された幻想たちがやがてレンズに収まり、そのレンズがドライバーに変わる。
眼鏡を模したもの。ガスバーナーに見えるもの。
そしてそれらを身につけた三人の戦士へ。
本、モノクル、風。様々な面を持つ
燃える炎、あるいは蜥蜴を模した鋼の
狼の尾飾りを後頭部より垂らした、月刃を担いだ
「一度散ったそれらはやがて、三つの物語を進み、そして鼎立して再び絡み合う」
そう締めくくった時、灯台がふたたび軋り、首をスライドさせた。
「それは、継続と祝福の
映し出されたは、鷹、虎、飛蝗を縦に組み合わせた、三位一体のシンボル。
「コアメダルの復活から百年。欲望は再び殖えて満ちる」
その中心あたり、袈裟懸けに大きく亀裂が奔り、色褪せ、朽ち行くそれに、縋るがごとく無数の手が伸びてまとわりつく。
「生まれながらにして腐り落ちた新世界。袋小路の人々は、都合の良い神様に救いを求めて手を伸ばす」
その外縁に、王冠が巡る。様々な形状のボトルがぶつかり合う。
人々の欲望と崇拝の腕をすり抜けて、一本の腕がその内の一個、紅き鷹を王冠を掴み取る。
「咎を背負いし一族の裔は、荊冠と知りつつあえて被る。空の玉座を目指し、真なる祝福を追い求める。その前に立ちふさがるのは――千古の墓守」
その青年が降り立った時、背中合わせに男が侍っていた。
枝に下着を引っかけ、異形の右腕で掴んだアイスバーにかじりつく、青年の姿形を持つ、死にぞこない。
やがて彼らは、霊鳥の仮面を頂く仮面ライダーとなり、互いに向き直り、異形の拳を互いに打ち放つ。
そして――と。
未来を司るその存在は、灯台を巡る。
それに合わせて、照明が向きを変える。
「それは、反転と墜落の物語」
虚空を照らし出されたのは、白い宇宙飛行士のマスクをデフォルメ化させたシンボル。
それが、翻る。
色はドス黒く染まり、上下は逆さまに。
「正義は悪に、悪は味方に。これは、青春を騙るインベーダーに、とある少女たちが堕ちながら抗うお話だ」