地上に現れた、もう一人のユーナイト。
その、まるで一個の大型工業用機械のような造形に、言葉を失う。
あれは、エレキか。
本当に、どうしてこうも……僕自身を含めて、フォーゼを汚すモノたちばかり、この学園に。
『余所見している場合かなぁ?』
と、気と視線が逸れた一瞬を、ロケットユーナイト突かれた。
僕にタックルをかましてそのまま組み付く。
屋上への落下の間際に、その拘束から逃れて、床を滑る。
彼女自身は階下に飛び込んでいく。
自分が壊れることがまるで頭にない暴走。常軌を逸している。
階下で悲鳴が上がっている。おそらくは校内を飛び回る彼女から逃げ惑う、生徒の叫び声。
だけど皮肉にもその悲鳴で再び上がってくるタイミングと場所は予測がつく。
そして足下を砕いて迫ってきたロケットを、避ける。
すぐさま迎撃の態勢を整えて彼女を強襲した。
連続した蹴りを浴びせる。だがそれは兵器化させた結奈の腕に全て阻まれた。当然だ。そのための攻め、反撃を誘うための、一手だ。
その読み通りに、彼女はロケットを突き出した。脚部の噴射で以てそれを飛び越え、横顔にソバットを叩き込む。
そして自身のドライバー、右端を制圧しているレバーを引き抜き、次いで抜き取ったジャイロスイッチをそのレバーに重ね合わせてセットする。
〈Gyro on〉
流用音声と共にレバーが変形する。
元々の部分はグリップ代わりに、銃器のような形状へ。銃口に当たる部分で、風車が高速回転を始める。
それをロケットユーナイトの胴体部に、肩口に叩き込む。
散らされる火花。削れる装甲。
そして崩れる結奈の体勢。
距離を取ろうとする彼女に向けて引き金を絞る。
射出された風車は手裏剣のように旋回しながら怪人を追い立てる。
「くそっ、腹立つ!」
「んー?」
「…… フォーゼの時より、断然動きやすい!」
「じゃあイイじゃん。そこはお礼を言うところじゃない?」
「ありがとう!」
エレキユーナイトを相手どるローゼに、半ばヤケクソ気味に礼を告げる。
『……もう、良いわ! じゃあ貴方たちは重力に縛られてれば!?』
付き合いきれないと言うのはこっちの思いなのだけど、散々に抵抗された結奈はそんな憤懣とともに、火柱をあげて上昇した。
そして、瞬く間に小さくなって空高くに打ち上がっていく。
その火熱から倒れるバッドガールたちを庇っていた僕には、止める間も無かった。
「あいつ、あのまま宇宙にでも行く気か……?」
「行けるワケないじゃない」
僕の独り言に、天火が答えた。
「所詮スイッチ一つ分のコズミックエナジーだよ? 成層圏あたりで耐え切れなくなった肉体がバラバラになるのが関の山」
その見立ては、冷血でありながらおそらく正確な読みだろう。
このまま見送っていたら、結奈は死ぬ……
かと言って、すでにフォールのスペックで追いつける速さ、高度じゃない……
単身、だったら。
僕はスイッチを抜いて、代わりもう一方のレバーを手にする。
両手に左右のレバーを握りしめたまま、手すりの外に一息に飛び降りた。