【完結】じゃんじゃかジャンカードーザー傭兵   作:白河童小鼠(人間)

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俺も書いたんだ
AC6二次創作を書いてくれ


グリッドの盗掘者達
拾い物と転機


 

 きっかけは廃棄されたグリッドに入っていくACを目撃したことだった。

 

「なんだぁ?どうしたよお前」

「なんでもない。……いや、やっぱり相談したいことができた」

 

 相方のドーザーと仕事をした帰り道。

 遠目に見た武装したACから騒動の予感を感じ取り、相方にジャンク漁りを提案した。

 

 ACが戦った跡は多かれ少なかれ敵対者のスクラップが残る。

 自分たちのようなジャンカーが金を稼ぐには絶好の機会だ。

 

 崩落の危険がある区画は怖かったが、飯の種に困るしがないジャンカーからすれば、金の気配は見逃すわけにはいかない。

 恐る恐る進んでいくと、案の定グリッドの一部が崩れる轟音が聞こえた。

 

「おい、あれ見ろよ!」

「そこまで叫ばなくても聞こえるって」

 

 MTの望遠機能を使用する。

 相方が示した先には、凄まじい機動で戦うACが2機も居た。

 片や、RaD製の探査用ACとは思えない、機敏な動作で接近する近接機体。

 片や、生物的な滑らかな装甲をした、精密無比な動きで近距離ギリギリを維持する謎の機体。

 

 近接機体が軽マシンガンとアサルトライフルで着実にダメージを与える一方で、謎の機体は有効打をほとんど決められていない。

 どちらが優勢かは一目瞭然だった。

 

「懐に入ったぞあのキッカー!」

「キッカーじゃなくてただのパイルバンカー持ちだろ。あっ、溜めパイル決まったな」

 

 すぐに決着は着いた。

 相当な手練れなのだろう。

 滑るように相手の背面に潜り込んだ近接機体が、背中へとパイルバンカーをぶち込んで終わり。

 正しくお手本のような一撃だった。

 

「あの野郎、内装ぶっ壊しやがったな?」

「ジェネレーターは駄目になったかも」

「あの様子だとブースターもイカれたんじゃねえか?」

「かもな。あれだけ綺麗にヤられたらアイツにそのまま持ち帰られるか?」

「いーや、あのACはパワーが足りないと見た!武装もたくさん積んでやがるから、パージしない限界まで積載してパーツ2つって所だろうよ!」

 

 少し残骸が残れば儲けものだ。

 スクラップとはいえACなので食費の足しにはなる。

 

 相棒と品定めをしている最中、勝者はデータ回収でもしていたのだろうか?

 じっと動かずその場に留まった後、なんとそのままブースターを吹かして帰ってしまった。

 

「おいおいあのAC、どっか行きやがった!」

「まあ待て相棒。念のため他の奴が潜んでないか確認する」

 

 相棒が歓喜の声をあげる。

 こちらも雄叫びをあげたいのをグッと堪え、MTのレーダーを最大出力で使用する。

 お宝を見逃さないために良いレーダーを装着していた事に感謝しつつ、探知圏外まであのACが出ていった事を確認した。

 

「どうだ……?」

「反応無し、行ってよし!」

「ヒャーッ!ハッハッハハッ!!!」

 

 馬鹿みたいな笑い声を発しながらMTが駆けていく。

 その後を追いかけてこちらもMTを走らせる。

 最高の気分だ。

 戦利品を確認するこの瞬間の為に生きていると言っても過言にならないぐらい、脳がアドレナリンを分泌している。

 

 相棒がコーラルに酔っている時と同じぐらいのテンションでACに近づいた。

 

「なんだァ?見たことねえACだが……」

「装甲に損害軽微。背中から一突きされてジェネレーター破損。メインブースターは……駄目そうだな。カタログで見たことないから高く売れそうなものなんだが……それにしても綺麗に殺ったもんだ」

「それで、実際どうなんだ?」

「見張っててくれ。調べるから。COM、このACにアクセスして、まだ使えそうなパーツを教えてほしい」

 

 相棒に周囲を見張ってもらい、ACにアクセスしてデータを漁る。

 こんなでも相棒はけっこう腕が立つ。

 近接攻撃に特化したMTなのに勘で敵の有無を見抜いたり、勇敢に突っ込んで敵を血祭りにあげてくる。

 探索に特化した自分とは対照的で頼りになる相方だ。

 そうこう回想している内に、アクセスは完了した。

 結果が信じられなくて念のためにもう一回スキャンし直したのはナイショだ。

 

「おい、マジかよ。ジェネレーターとブースター以外まだ動かせるみたいだ」

「あぁ?嘘こけ、コア部分は背中がぶっ壊れてんだろうが。操縦席グチャグチャになって動くはずなんか無いだろ」

 

 確かに、背中から中身が見えるぐらいの破損をしている。

 しかし、念のためもう一回スキャンを走らせたが、COMは動作可能と判断を下している。

 その原因とは何か?

 それもCOMが教えてくれた。

 

「このAC、技研製無人機らしい。コックピットが小さいからギリギリ操縦席とかの制御系が無事だ」

「……は?おいおいおい、なんだその技研ってのは」

 

「アイビスの火を起こした主犯で今は存在しない組織だ。機能停止の原因はジェネレーターの破損。奇跡的に緊急停止と燃料放出に成功して爆発を抑え込んだみたいだ。機体損傷が少なかったことと操縦席の計器が少なかったことが功を奏したんじゃないか。データログを見る限りじゃあこの辺でずっと休眠してたっぽいが……」

 

「ウダウダうるせえ。俺にもわかるように言え」

 

「……ジェネレーターとブースター、あと念のためにFCSを突っ込めば移動できる。お前のMTたしかAC用のジェネレーターとブースター使ってたよな?FCSは俺のMTのを使うから丸々持って帰ろうぜ」

 

「なんだそういうことかよ。良いぜ、儲けは山分けな。んで、どこに売るよ」

 

 そうだ、どこに売ろうか。

 

 ACにMTのパーツを移植しつつ考える。

 

 BAWSに売るには需要が無いだろう。

 惑星封鎖されているせいとはいえ、復興にかかりきりな上、ルビコン開放戦線への支援にリソースを割かれて技研ACを欲しがってはいないだろう。

 

 エルカノも同じく、資金的に余裕が無いはずだ。

 あそこは高額パーツを開発して扱っているせいで、重機としての需要が少なくなっていると聞く。

 間違いなく値切り交渉をされてしまう。

 

 なら、RaDという最近やってきた奴らが仕切ってるドーザー集団はどうだろうか?

 意外と高い技術力を持ち、相方愛用のチェーンソーもRaDの製品だ。

 ……いや、逆に小競り合いが多すぎて資金的な余裕が無さそうだ。

 それに、自分たちを棚に上げるがドーザーはイマイチ信頼できない。

 現物だけ払わされて最悪持ち逃げされてしまうだろう。

 

 ならば星外企業はというと、惑星封鎖機構のせいであまりルビコンに入ってこれていない。

 輸出のコストで儲け分など消し飛ぶ赤字だ。

 支社もあるにはあるが、外部へのパーツ供給が少なすぎて開店休業中のようなもの。

 ACを駆る傭兵には売っているらしいが、伝手の無い俺達では縁遠い話だ。

 

 最終手段でコヨーテスのジャンク市で売るか?

 無理だ。

 MTならともかくACは凄まじい値がつくので強奪されそうだ。

 

「……どうしたものか」

「ならよぉ、あそこに売れば良いんじゃねえか?ほら、最近傭兵に粉かけてる……なんだったか?」

「もしかしてオールマインドか?」

「それだ。オールマインドだ」

 

 傭兵支援システム『オールマインド』。

 ここ何年かで存在感を強めている気鋭の集団。

 そこそこ昔からあるルビコン土着の傭兵支援組織で、独立傭兵を相手にした商売をしているらしい。

 そう、独立傭兵を相手にした。

 

「俺たちは独立傭兵じゃないから相手にされないんじゃないか?前に登録しようとした時はACを持ってなきゃ相手にされなかったぞ」

「お前、そんなことしてたのかよ。なら、この機体を修理さえすれば登録できるんじゃねえか?登録した後に売れば良いんだよ」

「……天才か?」

「無敵だからな!」

「無敵凄いですね」

「おうよ!」

 

 流石相棒だ。

 コーラルをナマでイッてるだけあって、発想が無敵だ。

 登録して売ったあとの事を考えていないのも無敵ならではの発想だろう。

 しかし、一番現実的な案が出てきた。

 

 売った後は一番安く買えるACで、相方に傭兵でもやらせるか?

 ……血の気が多すぎるから修理費で赤字になりそうだ。

 偶に簡単な依頼をこなすだけ、というのも相方の性格上難しいだろう。

 なにせコイツはドーザー。

 コーラル中毒者なので、単独で仕事をさせるのはかなり不安がある。

 

 その上、血の気が多いので勝手に出撃した危険な依頼で死に腐る姿が容易に想像できる。

 コイツはどこぞのドーザー集団に雇われて番犬でもやっているのが性に合うのではないかと思う。

 

「なあ、相棒。もし大金を得た後はどうするつもりだ?」

「おお?そりゃもういっぱいコーラルを買って……」

「それも良いが、将来の話だ。何か考えてるか?」

 

「あ?このままジャンカーを続けるんじゃねえか?俺はコーラルでハッピーハッピーになれりゃそれで良い。んで、お前はどうよ」

 

「……考えたんだがな、大金を持っていると他のドーザーに襲われるだろ?」

「おう、俺でもそうするに決まってら」

 

「なら、何かしらでパーっと使う必要がある。でも、その豪遊を嗅ぎつけられたら金の気配を感じ取ったドーザーに襲われるだろ?」

「違ぇ無え」

 

「それで、この金は自衛に使った方が良いと考えた。要するに、ACを買ってどこかの勢力で就職すれば良いんだ。相棒ならACに乗ればMT相手に無敵だろ?売り込む先はRaD辺りで……」

 

「ソイツは別に構わねえけどよ!相棒、お前はどうするんだ?潔癖で煙が大ッ嫌いなテメェはRaDじゃやっていけねえだろ」

 

「それは」

 

 答えられない。

 痛いところを突かれてしまった。

 自分の身体は物理的にはかなり頑丈なのだが、実のところ体質に繊細なところがある。

 

 具体的には、相棒主催のドーザー達のパーティーに参加した結果、気化したコーラルを吸ってしまい倒れた。

 命に別状は無かったものの、その後半年ほど喘息気味だった。

 

 昔からそうだ。

 自分の身体、特に呼吸器は汚い環境に耐えられない。

 今でもMTの空気清浄機を稼働させている上に、防塵マスクを着用している。

 ドーザー「集団」であるRaDの環境では、馴染むことはできないだろう。

 

「馬鹿じゃねえか」

「うるさいな」

 

 ドーザーの相棒に馬鹿にされた。

 悔しい。

 しかし、否定できない。

 

 自分のMTは戦闘能力がほぼ皆無なので、単騎で強い相棒の存在が不可欠なのだ。

 

 ならば、今後はどうしたものか。

 相棒とはそこそこ長い付き合いなので、離れて行動することは頭に無かった。

 猪突猛進な武力担当の相方と、空気清浄機に機能を占められて探索特化になった自分。

 奇跡的に噛み合ってコンビを組んでいたが、これからは一人になるのか。

 色々と頭を巡らせるが、良い考えが思いつかない。

 

「あ、良いこと思いついたぜ」

「……」

 

 上手く生意気な口を叩けなかった。

 無言で続きを促す。

 

「お前、機体が戦闘できない構成なだけでシミュレーターの戦績は良かったよな?」

「それは所詮シミュレーションだから……まあ、うん」

 

 闇市で新型MTの操作体験をした時の話だろう。

 そこそこ高い金を払わされたが、中々良いシミュレーターでいつもの鬱憤を晴らすことができたので印象に残っている。

 

「なら、オールマインドに登録したまま独立傭兵やれば良いじゃねえの。ACなら極限環境用に空調が凄いんじゃなかったか?」

 

「お前、今日は本当にどうしたんだ?いつもより冴えすぎだろ。別人と入れ替わってたりしないよな?あっ、貧乏だからコーラル切れてたのか。すまん、今度奢るわ」

 

「はァ!?喧嘩売ってんのか!」

「売ってねえよこのコーラル駆動の無敵馬鹿が!」

「あァ!!?馬鹿って言った方が馬鹿なんだよ!」

 

 そんな軽口を叩いてる間に、補修作業は完了した。

 相方はこんなドーザーだが、意外と器用で機体調整が得意だ。

 震える指先であそこまで器用なのは天性の才能なのだろう。

 もう既にACに乗り込んで感覚を確かめている。

 こっちはその背後で相方のMTをキャリーさせようとワイヤーで括り付けている。

 

「なんだよこのAC。修理中も思ってたが気持ち悪いコックピットしてやがる」

「ちゃんと動かせそうか?」

「舐めんな」

 

 そろそろ確認が済んだころだろう。

 こちらもMTの括り付け作業が終わったところだ。

 万が一、ACが転んだときに巻き込まれないよう距離をとる。

 

「扱いづらいACとかって話だが、この無敵のラミー様に不可能なんてねえ。行くぞおおぉぁあ!!?」

 

 勢いよく立ち上がるAC。

 崩落する足場。

 通信から鳴り響く悲鳴。

 

 あんまりにもあんまりだ。

 勢い良く滑落していくその姿に、俺はため息を隠すことができなかった。

 




 オリ主:転生者のクソガキ。大気中の不活性コーラルで酔っているため精神が不安定。対人関係の距離感はバグってるし口の悪い馬鹿。頭が馬鹿。

 インビンシブル・ラミー:コーラルを常飲するドーザー。コーラル中毒で記憶障害を起こしている。ある日、目が覚めると相棒を名乗るガキが生えてきたが、無敵なのでさしたる問題はなかった。頭が無敵。
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