【完結】じゃんじゃかジャンカードーザー傭兵   作:白河童小鼠(人間)

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短いので朝に続いて連続投稿します


捕虜と密航者

機体構成 JUNK SLED

 

右腕武器 VP-66LH

左腕武器 WR-0777 SWEET SIXTEEN

右肩武器 WR-0999 DELIVERY BOY

左肩武器 BML-G1/P20MLT-04

 

頭部 HD-011 MELANDER

コア AC-J-120 BASHO

腕部 AC-2000 TOOL ARM

脚部 RC-2000 SPRING CHICKEN

 

ブースター BST-G2/P04

FCS FC-008 TALBOT

ジェネレーター DF-GN-06 MING-TANG

 

「こんなものかな」

「素敵だ……」

「敵のACを修理するとは、な」

「私は反対したからな!」

 

 広大なアーレア海を一隻のタンカーが進む。

 出港から約1週間が経つ。

 その中では俺達四人が集まって馬鹿騒ぎをしていた。

 

「んじゃあ改めまして。

 俺はベスティー・ナイトシェイド。ジャンカー上がりの独立傭兵だ。見た目も歳もガキだしコーラルアレルギーだが、ドーザーの頭目やオペレーターをやってたこともある。よろしくな!」

 

 重厚な装いにも関わらず走って壇上へ。

 樹大枝細を体現する機体に扮した子供が自己紹介をする。

 

「私はノーザーク。常日頃から信用の拡大に務めているしがない独立傭兵だ。間違っても借金王とは呼ばないように」

 

 腕を広げて注目を集めながら壇上へ。

 眼鏡にスーツといったビジネスマンのような容貌の若者が自己紹介をする。

 

「ドーザーのオーネスト・ブルートゥ。趣味はダンスとサプライズを企画することです。新しいご友人、楽しい時を過ごしましょう!」

 

 大きな靴音を一度鳴らして滑らかに壇上へ。

 ダンススーツを改造した作業服を纏った奇妙な男が自己紹介をする。

 

「殺し屋コールドコールだ。普段は企業を客にしている。よろしくお願いしよう」

 

 左手を大きく振る特徴的な歩きかたで壇上へ。

 西部劇のような格好をした髭の似合う壮年が自己紹介をする。

 

 これで総勢四人。

 おそろしく個性的なメンバーが集まったものだ。

 

「それでコールドコールさん。その機体で戦えそう?」

「2日ほどシミュレーターで慣らせば一先ずはやれるだろう」

 

 テンガロンハットを弄ぶコールドコールに問いかけると頼もしい答えが帰ってくる。

 AC『JUNK SLED』は補給の利くパーツでACデッドスレッドをデチューンした機体だ。

 

 RaD製機体の部分はオーネスト・ブルートゥからの部品提供、武装のレーザーハンドガンと頭部はノーザークの補給部品。

 コアとRaD製武器は自分からの提供となる。

 ちょっとアンバランスな機体構成だが、とりあえず動かせるACには仕上がっている。

 これはご友人と俺で夜通し作業した成果だ。

 まさか船の中でアセンブルすることになるとは思ってなかった。

 しかし、これも良い経験となるだろう。

 

「なあ親友。悪いことは言わないからこの男を追い出さないか?」

「逆に聞くが親友、コールドコールさんほどの実力者が親友の護衛についてくれるのに何が不満なんだ?」

「不満もなにもこの男は私を殺しに来たんだが!?」

 

 ノーザークが反発している。

 自分だって殺しにきた殺し屋を側に置きたくないのは経験済だ。

 気持ちはよく分かる。

 

「殺しているんだ、殺されもする」

「親友、昨日の敵は今日の友って言うだろ?」

「可哀想なご友人……器が狭いのですね」

 

「ちくしょう!味方が居ない!」

 

 親友には味方がいなかったようだ。

 かわいそうに。

 きっと殺しに来たやつと友人になった経験が無いのだろう。

 まあいい、今日の用件はまた別だし。

 

「じゃあ今日のミッションを説明しようか」

「この海原の上でなにかあるのか?」

「ま、ちょいと野暮用でね。ブリーフィングを始めようか」

 

ーーーーー100%

『今回のミッションはいわばネズミ捕り

 密航者が居ないかを探すものだ

 対象はIA-27: GHOST

 モニター欺瞞式のステルスを使う技研兵器だ

 以前各所にハッキングを仕掛けた際に知ったこの兵器だが、俺の探査用MTの広域スキャンにコイツが一機引っかかったんだ

 多分知り合いの遣いだから発見したら俺に知らせてほしい

 報酬は発見者に5000 COAM

 スキャンが有効だから小遣い稼ぎと思ってくれ

 なお、戦闘はくれぐれも避けるように頼む』

ーーーーー

 

『ご友人なのですか?』

「いや、たぶん恩人」

 

 ブルートゥの問いに予想の範囲で応える。

 モニター欺瞞式ステルス機ゴースト。

 作中では洋上都市ザイレムの防衛兵器として以外に、オールマインドの使役する機体としてあらわれた。

 今回の場合は如何なる目的なのか。

 見極めさせてもらおう。

 

『メインシステム 戦闘モード起動』

 

「よーし、それじゃあ反応のあった座標を囲むように動こうか」

『ナイトシェイド。後ろのそのMTはなんだ?』

「これ?俺が昔使ってた探査特化のMT」

 

 コールドコールに言われて後ろを振り向くと、円盤とアンテナを抱いたような奇妙なMTが目にうつる。

 今や懐かしさすら覚える元愛機。

 

 元のBAWS製MTとは最早別物レベルで改造したスキャン特化型。

 そのスキャン性能は戦闘能力が皆無な反面、企業のACにも勝る優秀な性能を持っている。

 短所は待機時間の長さだが、そこは戦闘用ではないので問題はない。

 

「ブルートゥ。スキャンに向いていないミルクトゥースの補佐として貸し出す。くれぐれも取り扱いには気を付けてくれ」

『贈り物をくれるのですね……素敵だ……』

「おう、後で返してほしいな」

 

『ノーザーク。こいつ等は色々と大丈夫か?』

『知りませんよ。失敗したらシェルパを持って逃げるだけですからね』

『愉快な小者だな』

『誰が小者ですか!』

 

 そんなこんながあって探索開始。

 開始したのも束の間、すぐに見つかってしまった。

 一番奥底からコールドコールが探したら見つけてしまったのだ。

 

「さすがは殺し屋。獲物に対する嗅覚が鋭い」

『お褒めに預かり光栄とでも言っておこう』

「よしコールドコールさん凄い!じゃあ通信を試みるから帰って休んでていいよ」

『はぁ。もう少し人の心を慮るんだな』

「あいよ!」

 

 こうしてゴーストと一対一となる。

 静かな睨み合い。

 しかし、向こうが動かないのは好都合だ。

 通信を試みよう。

 

「あー、あー、聞こえる?聞こえますか?」

 

 反応はない。

 確かに暗号通信のチャンネルに合わせたはずだが。

 まあいい、勝手に喋っておこう。

 

「一応、ハッキングで多少の情報は得てるんですよね。そこの情報から推測するに、あなたはオールマインド直属の独立傭兵ケイト・マークソンだと考えています。いかがですか?」

 

 反応はない。

 一人で喋るのは寂しいが、経験が無い訳ではない。

 

「無視は悲しい。しかし、まずはこれだけは言っておこうかな。俺に敵対の意思はないということを。別に密航を咎めるつもりは無いんですよ。ただ単に、普通に場所がとられると邪魔になるかもしれないというだけですので。もし、そちらが協力してくれるのなら、暇な時に荷運びを手伝ってくれると助かります。オールマインドには個人的に恩を感じているので、積極的に排除しようとは考えてません。こちらも協力できることがあれば協力します。持ちつ持たれつでいきたいものですね」

 

 返答はないが、動きはあった。

 のそりと起き上がったゴーストは、しかし優雅な動きで一礼して歩いていった。

 歩いていった先は俺達のたまり場となっている隅っこ。

 

『な、なんだこの機体は』

『おや?新しい友人が訪ねてくる……素敵だ……!』

『さっきのMTか』

 

 そこで固まっていた仲間たちに対しても優雅に一礼。

 

『はじめまして皆様。私は独立傭兵ケイト・マークソンです。私を探していたようですね。今回はBAWSからの意向で皆様の監視を行っていました。引き続きよろしくお願いします』

 

 そこでようやく喋ってくれた。

 どうやら敵意は無いらしい。

 良かった良かった。

 

『おい親友。さっきオールマインド直属とか言ってなかったかい?』

「ベスティー・ナイトシェイドは空前絶後の独立傭兵だが、間違いはあると思ってくれ」

 

『胡散臭いことこの上ないな』

『ご友人がそれを言うのですか?』

「みんな違ってみんな胡散臭いからなぁ」

 

 そうだなぁ。

 ここに集まった奴らは胡散臭い。

 詐欺師に虚言癖、殺し屋に黒幕気取りとくる。

 ここまでくると一緒にいる俺も胡散臭くなってしまう。

 

『腕利きのAC乗りである皆様と親睦を深めたいところですが……』

「その時間は無いかもな」

 

 船倉の窓から外を覗くと、流氷が交じっているのがわかる。

 

 そろそろ到着だ。

 ベリウス地方の対岸、中央氷原に。

 

「みんな準備してくれ。愉快な遠足のはじまりだ!」

 

『親友、到着は明後日では?』

『可哀想なご友人……きっと頭が可哀想なのですね』 

『今のはレッドガンG1ミシガンの真似でしょうか』

『ミシガンも人気になったものだ』

 

「……ミシガン総長格好良いよな!色々語ってくれよコールドコールさん」

 

 早とちりした羞恥を押し隠して、実際にG1ミシガンと面識があると思われるコールドコールに話を振って誤魔化す。

 

 さあ、到着まで愉快な雑談の始まりだ。

 

 




ケイト・マークソン:中央氷原行きの船にいつの間にか乗船していた独立傭兵。ステルス機で密航したら普通に見つかってしまった。なお、ケイト・マークソンという偽名は名乗ったことが無く、ドーザーの妄言をそのまま採用した形になる。

コールドコール:捕虜としてノーザークの護衛をすることになった。彼からするとこの船は完全に死地であり、脱出しようとすればとんでもないボスラッシュになるので逆らわないことにした。ノーザークをからかって憂さ晴らししている。

ノーザーク:コールドコール脱出に当たって一番面倒な相手。警戒心が強く、操船権限を持っており、真っ先に殺さねば船長室に籠もられて脱出不可能になる。殺害が最も容易だが、一度仕留め損ねると逃走し再捕捉が不可能になる。

オーネスト・ブルートゥ:裏ボス枠。艦内を回りながらトラップを大量に仕掛けており、仮に外部から乗り込まれてもコイツ単独で敵部隊を殲滅できる。殺さなくても脱出はできるが、時間を与えると何を仕出かすかわからない狂人。

ベスティー・ナイトシェイド:クソボス。友好的なので不意討ちは容易だが、全身鎧に散弾銃とノコギリ槍で完全武装している単騎最強。正面戦闘でのコールドコールの勝ち筋は、オーネスト・ブルートゥが持つコーラルを盗み出し、コイツが持っている散弾銃で宇宙服の頭部を破壊して直接コーラルを吸わせること。全攻撃が命中さえすれば即死コンボに繋がるクソボス。
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