【完結】じゃんじゃかジャンカードーザー傭兵   作:白河童小鼠(人間)

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上陸と侵略

 中央氷原。

 封鎖機構の遺構が残る久しく人が踏み入れていなかった土地。

 そこで俺達は調査を進めていた。

 

「こちら親友。防衛設備が生きているウォッチポイントを確認した。攻略は困難と推定」

『こちらオペレーター。地形情報を統合しました。送信します』

「助かる。ヒアルマー採掘場は何も無かったからな……さて、次の場所は」

 

『こちらご友人です。グリッド012の損壊状況は酷いですが、そのおかげで贈り物を隠すことが可能でしょう。素敵だ……』

『各員に伝達します。こちらオペレーター。タンカーに載せきれない戦利品はグリッド012に搬入してください』

 

『殺し屋だ。索敵に引っかかった野生のC兵器を撃破した。情報通り爆発武器が有効だ。被弾は無いが、右肩の補給をしたい』

『こちらオペレーター。WR-0999 DELIVERY BOYの補給準備をします。起業家は交代の準備をしてください』

 

『今野生のC兵器と聞こえたのだが!?』

『こちらオペレーター。起業家、通信の開始時にはコールサインを名乗ってください』

『さっさと出撃するんだな起業家』

 

『……こちら起業家。野生のC兵器とはいったいなんなんだ?』

「親友だ、横から失礼する。このルビコンの地においては、人通りの少ない土地で無人兵器が稼働していることがある。アイビスの火直後ではベリウス地方でもC兵器は出現していたが、ルビコニアンの努力によりその数を減らしていった。つまり、手つかずのこの土地にはC兵器が跋扈しているということだ」

 

 BAWSが企業勢力襲来まで存続していたのはC兵器に対抗するためという理由があった。

 昔にBAWSのテストパイロットのバイトをしていた時に知ったのだが、コーラルの存在がリークされる前は惑星封鎖のせいでまともに爆発属性の武器が手に入らなかったらしい。

 

 そんな中でミサイルの代替として開発されたのがMA-T-222 KYORAIというナパームランチャー。

 大地に着弾することで陸を火の海にするこの兵器は、ミサイルの誘導技術とFCSに疎いBAWSが地上戦が主体のC兵器を相手するために製造した画期的な兵器だった。

 

 現行のBASHOになる前の機体をシミュレーターで知っている自分からすると、FCSにも射撃武器適正にも依存しないナパームランチャーはあまりにも画期的に見えた。

 

 なにせ、BAWSの開発したFCSは兵器の制御だけしか機能しておらず、照準はマニュアルエイムどころか腕の制御すら手動だったのだ。

 

 ルビコン解放戦線の思想的指導者サム・ドルマヤンはこの手動での機体制御の達人であり、全盛期はこのルビコンで並び立つ者無しと謳われていた。

 故に、老い衰え戦場に立つことの少なくなった今でも上位の戦力と見なされている。

 ……話が逸れた。

 

『危険じゃないか』

『安心してください。私の考案した火炎放射器は、その情熱で鎧をも容易く融かします』

「大丈夫、起業家ならやれるやれる」

『敵機の反応を確認。対処してください起業家』

『……まあ良いだろう。これも信用の拡大だ』

 

 調査の合間に他愛もない雑談に興じる。

 

 奇妙なコールサインを使っているのは、封鎖機構に通信から識別情報を特定されないため。

 親友が自分、ご友人がオーネスト・ブルートゥ。

 殺し屋がコールドコールで起業家がノーザーク、そして最後にオペレーターがケイト・マークソン。

 

 そう、ケイトには事務管理をしてもらっている。

 事前の作戦では、とにかく戦利品を船に詰め込んだら中央氷原からトンズラする我ながら杜撰な計画だったが、そういうのが得意なやつが居るならやってもらうに越したことはない。

 

 まあ、オールマインドには色々と筒抜けになるかもしれないが、皆で儲かるならそれで良い。

 どうせ全員腹に一物抱えた連中だ。

 諜報されて出し抜かれるなら、あまり好きじゃない言葉だが自己責任というやつだろう。

 

 それに封鎖機構から大々的に指名手配されると、賞金目当ての殺し屋からとんでもなく執拗に狙われるとはコールドコールの言葉。

 この為に態々我々の機体を識別不明機体に仕立て上げたのだ。

 ただのドーザーと思って貰えたほうが今は都合が良い。

 

 さて、雑談の話に戻る。

 実際ブルートゥが考えたWB-0000 BAD COOKは、かなり凄まじい性能をしている。

 

 似た武装として競合となるのは、大豊核心工業集団のガトリングガン、DF-GA-08 HU-BEN。

 これと比べるとBAD COOKはスタッガーに追い込むための衝撃値蓄積能力が皆無だが、弾薬一発当たりのダメージ量が3倍。

 その上でガトリングより冷却性能が高く、オーバーヒートし難いのだ。

 

 ガトリングにはガトリングの強みがあるのだがそれはさておき。

 

 重MTぐらいまでのC兵器を相手取るには、衝撃値よりもダメージを重視するのは理に適っていると言えるだろう。

 

 この広い中央氷原から広がる大地。

 補給回数を考えるとBAD COOKのような大量の弾薬を搭載出来るぐらいが丁度良い。

 それはそれとして次の目的地へ急ぎつつ、通信を切って一人言を呟く。

 

「ネペンテスは健在、封鎖システムはウォッチポイントに集中しているな」

 

 軽く封鎖システムの通信量を解析した結果、ウォッチポイント・アルファと通信しているのは封鎖衛星ぐらいと判明した。

 

 他の基地や拠点との通信は今のところ皆無であり、襲撃先に通信妨害を仕掛けておけば、まず封鎖機構に俺達の事がバレる恐れは無いだろう。

 

 念の為、ウォッチポイント・アルファの入口からカメラを投下し、ネペンテスが稼働しているのも確認した。

 

 只でさえ超広大な中央氷原の地下に根差すウォッチポイント・アルファは現段階では攻略不可能だろう。

 さすがは惑星封鎖機構。

 悔しいが盤石の体制である。

 

「それはそれとして地表がザル過ぎないか」

 

 真っ白な雪原を進む愛機ポテイトーズ。

 途中、小規模な補給拠点の跡地も発見したが、完全にもぬけの殻だった。

 

 封鎖機構が企業勢力との戦場であるベリウス地方に注力していることは事前の予想通り。

 その予想通りと言えばそうなのだが、封鎖機構は地表の施設を予想以上に放棄していた。

 

 もし、何も物資が残っていないぐらい朽ち果てていたらと考えると、圧倒的過ぎる赤字に俺は表舞台から抹殺され、強化人間の実験体にさせられる所まで想像してしまう。

 

 怖い、怖すぎる。

 

 その場合、無理矢理赤字を補填する為には、責任を取って俺がウォッチポイント・アルファに降下しネペンテスを鹵獲するしかないだろう。

 

 EN防御の圧倒的に劣るこのBASHOフレームで?

 まず無理だ。

 

 なので、仲間たちには悪いが、皆殺しにして行方を眩ませる方が楽に生き延びる事ができるだろう。

 悲しいがこれが独立傭兵の渡世。

 利益の為に殺し殺されは日常茶飯事だ。

 

「葬式は流石に必要かなあ」

 

 まあ、バートラム旧宇宙港近傍の通信基地が生きている事はわかっているので、それを持ち帰りさえすれば赤字はまず無いと思って良いのだが。

 

 そうこうしている内に目的地に到着。

 アイビスの火以前は宇宙への玄関口、以降は惑星封鎖機構の発着場として使用され、ウォッチポイントの建設に伴いその役目を終えた大規模施設。

 

 バートラム旧宇宙港。

 

 在りし日の映像に違わぬその威容。

 ジャンカーとしての嗅覚が、お宝の気配を感じ取っていた。

 

『メインシステム 戦闘モード起動』

 

 通信を再開してケイトに報告する。

 

「こちら親友。バートラム旧宇宙港に到着。先行調査を開始する」

『こちらオペレーター。情報ログを定期的に送信するようお願いします』

「了解、1時間毎に送信しよう。万が一の通報を防ぐため通信基地から探っていく」

 

 さて、バートラム旧宇宙港近傍にある通信基地の事は覚えているだろうか?

 

 ハーロフ通信基地。

 ゲームにおいて、援軍への通信妨害のためにV.Ⅳラスティが撹乱を行った場所だ。

 

 バートラム旧宇宙港にも多様な施設はあるが、ここはあくまで発着するための空港。

 肝心要の飛行できる機体は、とっくに惑星封鎖機構によって持ち去られていることだろう。

 

 というかさっきほとんど何もないのが見えた。

 所々警備するMTが見えたが、地面に残った跡から察するに何十年も自動で巡回しているだけだ。

 それは価値の高いものじゃない。

 

 そこで狙うのがハーロフ通信基地。

 通信施設ということは、何かしらの情報ログが残っていることが期待できる。

 数十年前だが、それでも惑星封鎖機構の情報だ。

 

 何も情報だけが目当てな訳じゃない。

 通信設備、それも軍用に耐える上等な代物。

 この世界の通信技術は100年ぐらい前から多少便利になった程度で変わっていないので、この設備は大層な高値で売れるのではないだろうか?

 

 本命は基地を守る兵器を持ち帰る事なのだが、それはそれとして利益を逃す事はしない。

 

 俺が制圧して、ブルートゥに根こそぎ持ち帰らせてやろうじゃないか。

 そう考えるとテンションが上がってきた。

 

「テーマパークに来たみたいだぜ」

 

 ハーロフ通信基地に到着。

 裏口から侵入し、移動中に特定した封鎖機構の帯域……とか関係なく無差別ジャミングを行う。

 

 こういう時、ACはとても多機能で便利だ。

 例えBAWSの旧式であっても規格を満たしたACである。

 アーマードコアという機械は兵器としてハイエンドだったのだ。

 

 もっと細かく通信工作?

 あれはACに乗りながらできるものじゃない。

 

 集中して丁寧に行ったとして、自分の腕前ではすぐに復旧されておしまいだ。

 ハッキングツールが情報収集に偏っているので、改竄や妨害などの干渉は不得手なのだ。

 

 不得手なだけでやれなくはないが。

 やれなくはないが!

 

「セキュリティが古くて助かった」

 

 閉じられた裏口を解錠し、堂々と侵入する。

 中の広さはグリッドの通路と同じぐらいだろうか?

 慎重に進んでいるとスキャンに反応あり。

 第一村人発見だ。

 

「ハロー、ハロー、ナイストゥミーチュー、オーイェー」

 

 鎮座しているのはBAWS製四脚MT。

 有人用機体なので当然稼働していないのだが、問題はその隣にある巨大コンテナの中身。

 

 愛機のブースターを吹かし、中身を覗き込む。

 

「うわあ」

 

 四脚MTの残骸。

 土木工事に使い潰したのだろう。

 流石は財力のある惑星封鎖機構。

 10や20では利かない廃棄された残骸が中に入っている。

 

 宝の山だ。

 宝の山だが、探しているのはこれではない。

 

 これをBAWSに売り払ったとして、修理すればまた使えるようになるのでそこそこの高値がつくだろう。

 今は企業と解放戦線に対して死の商人として兵器を売り捌いているので売り先には困らない。

 

 しかし、求めているのは封鎖機構の機体。

 BAWSの機体ではない。

 

「もったいないことするなぁ」

 

 後ろ髪を引かれる思いを味わいながら進む。

 こうして見学しているとわかるが、やはり封鎖機構は真面目な組織だ。

 

 分別された廃棄物は規則的に積まれたコンテナの中に収まり、何が入っているのかわかりやすく表記されている。

 

 現存しない例だがコジマみたいな汚染物質が見当たらない辺り、危険物はきっちり処理してあることがわかる。

 

 その辺の環境問題に対してルビコニアンはかなり雑だ。

 ドーザーに倫理が無いのは当然のこととして、普通のルビコニアンですらベリウス地方の汚染市街で廃水をドバドバ流している。

 

 余裕が無いせいで環境を気にしていられないのはわかるが、そのせいで未来が閉ざされていっているのはいつか直面することだろう。

 

 別に綺麗ごとを言いたいわけじゃない。

 

 その頃にはもう俺は生きていないので関係ない話だが、こういった未来を考えることのできる暇人が居ないのは少し寂しさを感じるというだけの話だ。

 

「みんな必死だもんなぁ」

 

 思えば自分もずっと余裕なんて無かった。

 着の身着のまま貯蓄など手持ち限り。

 

 そんな余裕の無いゴミのような同胞を集めてお山の大将をしていた事もあったが、結局生きるために群れて自衛していただけだ。

 

 ノーザークとの交渉で体よく使ったが、今でも呼びかけて集まってくれる奴らが居たのは素直にとても嬉しかった。

 

 ただ、昔は百人近く居た大所帯も、気づけば40人を下回る数しか残っていない。

 それだけルビコンIIIは過酷な惑星であり、人の住まうべき土地ではないということだ。

 

「平和が恋しい」

『警戒を怠らないで下さい』

 

 そんな独り言を漏らして感傷に浸れている時点で自分は恵まれている。

 だからこそ俺は、生意気な馬鹿として軽い御輿であるべきなのだ。

 今まで俺を信じてくれた奴らの為にも、俺に着いてきてくれている奴らの為にも。

 

 俺は幸せであると言って、親愛で奴らに報いるべきなのだ。

 

 だからこそノーザークは俺に共感を覚えて協力してくれているのだろう。

 その点では自分はノーザークに近い感性をしている。

 

 片や、今まで受け取った信用の為に、更に信用を拡大し続けるノーザーク。

 片や、今まで受け取った親愛の為に、更に親愛を拡大し続けるナイトシェイド。

 

 そこになんの違いもありはしないだろう。

 

「いや、借金は違うのか?」

 

 わからなくなってきた。

 まあ良い、どうせクズどもだ。

 目くそ鼻くそを笑う程度の違いしかないのだから、五十歩百歩というものだろう。

 

 悪事千里を走るとは言うが、その点ノーザークはルビコン星系に名を轟かせる途方もない債務者。

 

 百歩ぐらいノーザークの方がクズということで結論としておこう。

 そうして奥へと足を進めている内に、ハーロフ通信基地の最奥にたどり着いた。

 

「このくそでけぇコンピュータが

俺が今から誰が真の親友か教えてやるよ」

 

 屋上にそびえ立っているであろうアンテナが備え付けられているその直下、宇宙まで届くであろう無線を制御するコンピュータが俺の目前にある。

 

 これはわからせ甲斐がありそうだ。

 

 だが、ここまで無防備に通信設備が放置されているとなると、やはり嫌な予感がしてくる。

 計器を確認しても環境に異常は示されていない。

 ならば防衛兵器だろう。

 

 試しにコンピュータにアクセスしてみると、重苦しい音と共に左の隔壁が開いていく。

 

 スキャンを行い、骨太な輪郭が見えた時点で踵を返してアサルトブーストを点火。

 

「お、おあーっ!?」

 

 情けない悲鳴が漏れてしまった。

 狭い通路をアサルトブーストでかっ飛ばして逃げる。

 逃げる、逃げる、我ながら器用にコンテナを避けて逃げる。

 

「外へ!狭い所というかここはまずい!っべあ!?」

 

 アラーム音が鳴り、咄嗟にクイックブーストで機体をずらすと横にレーザーが通っていく。

 

 そのクイックブーストで丁度ジェネレータのエネルギーが空になり、転がるように外へと躍り出た。

 

 急いで体勢を立て直して背後の敵に相対すると、相手もゆっくりと戦闘態勢に切り替えている所だった。

 

 無骨な砲塔ともいえるシルエットが変形し、大柄な二足歩行の人型兵器へと変貌する。

 AAP03: ENFORCER。

 惑星封鎖機構の無人防衛兵器。

 

 どうやらこんなものまで配置していたらしい。

 通信基地周辺の広範囲を防衛するなら、そりゃあ機動力とパワーのあるこのエンフォーサーが最適だ。

 これは運が良い。

 

「へっへっへ……お幾らで売れるかねぇ」

 

 取らぬ狸の皮算用。

 しかし、目の前に居て狩る機会があるのならば、実力で実現すれば良い。

 変形を終えたエンフォーサーが動き出し、こちらもアサルトブーストを起動する。

 

 チャージされた右手の砲塔から光線が放たれ、それをアサルトブースト中の横クイックブーストで躱す。

 

 挨拶代わりの一撃はゲームの頃と変わらないらしい。

 それならこちらもやることは簡単だ。

 

 エンフォーサーの直上に陣取り、バーストマシンガンETSUJINの弾幕を浴びせかけつつオペレーターとの通信回線を開く。

 

「コード15、敵性大型兵器!」

『こちらオペレーター。応援は必要ですか?』

 

「コード78、輸送部隊のご友人を頼む。10分で終わらせるから運び出しが必要になる」

『……コード78を受領。コールサインご友人を向かわせます』

「ありがとうオペレーター!」

 

 テンションが上がって封鎖機構のコードを言ってしまったが、ケイトがその辺を知ってて良かった。

 割と無茶振りだったがノッてくれる辺り人間の機微というものを理解しているのだろう。

 

 それはさておき。

 ジェネレーターのエネルギーが減ってきたので着地する。

 容赦なく着地狩りに横薙ぎのレーザーブレードがとんでくるが、BASHO脚部の運動性能の高さを活かし軽いジャンプで躱す。

 

「他愛なし」

『警戒を怠らないで下さい』

 

 COM先生の注意に気が引き締まった。

 

 そのまま突きに派生してきたので、これを横へのクイックブーストで躱す。

 ここでエネルギー切れ。 

 しかし、相手の背後に回り込んだので攻撃はされない。

 

 悠々とエネルギーを全回復させたところで、浴びせ続けていたバーストマシンガンによりエンフォーサーがスタッガー。

 即座にレーザースライサーからの蹴りを叩き込み大ダメージをくらわせた。

 

『強制執行システムとの通信に失敗。

脅威度を測定。パターンE、出力リミッター解除。

各部アクチュエータ、駆動コストおよび上限値再設定。対象を排除します』

 

 エンフォーサーから警告アナウンスが発される。

 なるほど、こういうパターンもあるのか。

 

 思っていたよりリミッター解除が早かった。

 リミッターの解除により各種エネルギー兵器の威力が上がるが、むしろこれは好機だ。

 様々な攻撃の威力が上がるが、その代わり攻撃がかなり大振りになる。

 むしろリミッター解除前の方が厄介なぐらいだ。

 

 エンフォーサーが滾るエネルギーを地面にぶつけ、全方位の接地している敵に向けて攻撃を放つ。

 

 これは美味しい攻撃だ。

 迫るエネルギーの波をジャンプで飛び越え、そのままアサルトブーストに移行。

 

 エンフォーサーは接近するポテイトーズに対して素早く引きつつパルスガンを放ってくるが、こんな攻撃全て受けなければ対したダメージではない。

 

 ターゲットロックを一時的にマニュアルエイムに切り替え、エンフォーサーに対して緩やかな弧を描くように突撃すると面白いぐらいパルスの弾幕を躱すことができた。

 

 再度ターゲットロックを行い、蹴りからのミサイルとバーストサブマシンガンの疑似十字砲火。

 ん?サブウェポンに向くだけでサブマシンガンじゃないか?

 まあいい、戦闘に集中しよう。

 

 更に後退するエンフォーサーを蹴りつけ、ETSUJINのマガジンに残る弾を全て吐きつけてここで相手が再度スタッガー。

 

 左側面からレーザースライサーからの蹴りを浴びせた。

 未だ敵機健在。

 とはいえ、二度も大ダメージを負わせているので、次のスタッガーで殺しきる事はできるだろう。

 たぶん。

 

「それにしても硬いな」

『熱源反応を確認。対処してください』

 

 オペレーターからの警告通りに大技が迫る。

 袈裟斬りから飛び上がり、凄まじい勢いで突撃してくるエンフォーサー。

 

 アサルトブーストのような突進。

 こんな機能を隠し持っていたとは驚いた。

 まともに直撃すれば、EN防御が弱いこの機体では即死だろう。

 

 まあ、当たらないのだが。

 すっと逆方向に切り返して避ける。

 空振りして雪原にかっとんでいくエンフォーサー。

 その背をアサルトブーストで追いかけてスタッガーからの連撃を叩き込む。

 

 倒しきれなかったので追撃で4回ブーストキックを入れてようやく撃破できた。

 

 崩れ落ちるその背中は、ミサイルのせいだけではなく煤けて見えた。

 

 




エンフォーサー:AAP03: ENFORCER。本来はウォッチポイント防衛区画を巡回している惑星封鎖機構の無人防衛兵器の一つ。今回の個体はウォッチポイント・アルファを防衛しているエンフォーサーとは別物であり、数十年間独立して地上警備を行っていた。複合可変式のレーザー兵器とパルス兵器に可変式六連ミサイルを搭載しており、高機動形態の多脚型と戦闘形態の執行モードを使い分けて広範囲を防衛している。

ケイト・マークソン:オペレーター。明朗な発声と手慣れた事務捌きからオペレーターに任命された。全体の進捗と物資を管理している代わりに容赦ないスケジュールで業務を任されており、密航した当初の目的である調査が全く果たせていない。航海中のACカードゲーム大会で奇策がはまり優勝した。

コールドコール:殺し屋。当初はノーザークの護衛をする予定だったが、明らかに多い野生のC兵器の数から交代で船を護衛することになった。内心ノーザーク暗殺の隙を伺っていたものの、乗機デッドスレッドを人質に取られたことでひとまず諦めた。気分転換で航海中のダーツ大会とサバゲー大会で圧勝している。

ノーザーク:起業家。中央氷原に蔓延るC兵器や明らかに命を狙っているコールドコールに戦々恐々としていたが、持ち前の胆力で段々と慣れてきた。本来の武器をコールドコールに貸与しているものの、代わりに火炎放射器を装備することで効率的にC兵器を撃退している。航海中のチェス大会とカラオケ大会、そしてかくれんぼ大会で全勝した。

オーネスト・ブルートゥ:ご友人。無人MT部隊を率いてクソガキとは別行動していて、輸送ルートの安全性を確保している。物資隠蔽予定地グリッド012にて技研製無人ACと交戦しこれを討ち取った。航海中のモノづくりコンテストでは廃材を加工して自らのエンブレムを再現し最優秀賞を獲得した。

ベスティー・ナイトシェイド:親友。威力偵察担当。航海中は数多くのイベントを開催し、トラブルが無いよう船員を見張り続けている。料理大会で優勝したものの、コーラルアレルギーなので自らの料理を食べることができない。
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