【完結】じゃんじゃかジャンカードーザー傭兵 作:白河童小鼠(人間)
今回は残酷な描写強めです。
苦手な方は後書きまで飛ばしてください。
いつもの輸送ヘリの中。
新たな異物で騒がしくなった船内はより一層の混乱を増してきていた。
「小童ァ!なんだこの訳のわからない機体は!」
「知らないって!俺も報酬がこんなのなんて知らなかったし!」
輸送ヘリ内に鎮座する異物、それは先の護衛依頼で護衛対象だった大豊AC。
なんと大豊は気前が良いことに、ACを丸ごと一機報酬として寄越してくれたのだ。
……広告用の機体として。
いや、うん。
そりゃあ最初の接触が大豊の広告をするという契約だったから理由はわからなくもない。
だが、それがいったいどういう意図を経て丸々一機贈ろうという話になったのだろうか。
そもそも俺は、地道に貯金して大豊の機体を買って広告としての依頼をこなそうとしていた。
こうして贈られることで貯金が浮いたと思えばとても良いことなのだが……如何せん今は28日連続出撃中の身だ。
余計な任務は避けたいというもの。
しかし、機体と共に依頼を寄越されたら断れないというのが人情でもある。
仕方ない、断腸の思いだが今日は最強無敵のラミーとの出撃を諦めて別働隊として動くしかないだろう。
くっ、面倒くさそうで慣れない機体での依頼だから少しでも戦力が欲しかったが、相棒を一人で出撃させるととんでもないことになる。
ここは今日出撃するレックに世話を頼もう。
「おいレック、相棒を頼んだぞ」
「任せておけ。マッドスタンプとやらは塵も残さず撃破しておいてやろう!」
「違っがーう!マッドスタンプは相棒の機体だからちゃんと指示を出して敵を殲滅させるように動かせって言ってるんだよ!おいマジで頼むからなレック、ちゃんと稼いで来いよ!」
「フゥーハハハ!お前は心配性だな小童ァ?この最恐にして赫怒の闘士レイジ・レック様が失敗など犯すわけなかろうて!フィーッハッハッハッ!」
高笑い、哄笑、自信過剰。
駄目だコイツ。
朝っぱらからコーラルキメてハイになってやがる。
こうなったら少し心配だが、相棒の世話を相棒に頼むしかない。
「なあ相棒、申し訳ないけどレックがあんな調子だから、今日は自分で判断して敵を倒してほしい」
「おうよ!ったく、ガキはガキらしく大人を頼っておけってんだ。目に見えるもの全部ぶっ壊してくりゃあ良いんだろ?」
「大体合ってる。この写真の機体は友軍だから腕に貼っておくよ。この写真の機体は攻撃しちゃ駄目だからね?」
「わかってらぁ!」
大丈夫かなぁ?
まあ、他ならぬ自分のことだ。
相棒自身が大丈夫って言うなら大丈夫なんだろう。
こちらはこちらで依頼を遂行しようか。
ーーーーー100%
『独立傭兵
大豊核心工業集団所属、惑星ルビコンⅢ広報戦略担当兼任の
先日の依頼では様々な手違いがありご迷惑をお掛けしたことを深くお詫び申し上げます。
そこで今回は広報用に一つ、簡単な依頼を用意いたしました。
場所はベリウス地方西部ボナ・デア海岸、そこに巣食う海賊の排除となります。
ご存知の通りここはドーザーの根城であるグリッド086に隣接した海浜であり、そのドーザー集団にすらあぶれた社会不適合者がたむろしています。
海岸線が近く船を利用した撤退も容易なことから我々大豊の輸送にも悪影響が出ており、これは到底見過ごせるものではありません。
そこでドーザーの生態に精通しているあなたに依頼することが可決されました。
近頃はヴェスパーと封鎖機構を退けたとのことで、その武名は上層部でも高く評価されています。
ここらで一つ、広告のためにも華々しい活躍をお願いします』
ーーーーー
海賊排除
作戦領域:ベリウス地方西部 ボナ・デア海岸
依頼者:大豊核心工業集団
作戦目標:敵部隊殲滅
報酬:120,000 coam
詳細
・敵撃破に応じて報酬を加算
・機体制限あり
・大豊製武器に限り弾薬費補填
ーーーーー
機体構成
右腕武器 DF-MG-02 CHANG-CHEN
左腕武器 DF-BA-06 XUAN-GE
右肩武器 DF-GR-07 GOU-CHEN
左肩武器 DF-ET-09 TAI-YANG-SHOU
頭部 DF-HD-08 TIAN-QIANG
コア DF-BD-08 TIAN-QIANG
腕部 DF-AR-08 TIAN-QIANG
脚部 DF-LG-08 TIAN-QIANG
ブースター BST-G2/P06SPD
FCS FCS-G2/P05
ジェネレーター DF-GN-02 LING-TAI
ーーーーー
不活性化したコーラルで濁った海上。
複雑な地形をした入江に頭上を覆う巨大なグリッド。
グリッドの堅牢な土台のおかげで足場が無いということもなさそうだが、それでも地の利を得た海賊を追い詰めるには不利というのが正直な話だろう。
ましてや、今回の機体は身軽に動き回れる軽量機でもない。
通常のブースト速度に優れたブースタであるBST-G2/P06SPDのお陰で、愛機Potoooooooo並の巡航速度で移動はできる。
しかし、EN容量の少ないDF-GN-02 LING-TAIとQB消費ENが多めなBST-G2/P06SPDの特性が組み合わさって、いつものように身軽に動くことはできない。
しかしまあ、なんだ。
海賊に地の利があると言うのであれば、こちらも地の利のあるやつを捕まえて使うだけだ。
下準備として、RaDで仕事しているブルートゥに廃MTを一機送ってグリッド086から落下させてもらった。
スクラップになってもう動かしようが無いとはいえ、MTはかなり貴重な部品が集まっている。
廃MTを3か4個ぐらい集めれば動かせるMTぐらいは作ることができるし、なんなら自分の昔乗ってたMTはそうやって作成されたジャンクMTだ。
解散する前のD&Jにはそういった解体と組み上げが得意なやつが居たから組んでもらった機体だけど、予想以上の性能で拡張性も抜群。
最後に会った時はまたMTを爆散させていたが元気にしているだろうか。
……任務に戻ろうか。
廃材を求めて群がっているドーザーに大豊製グレネードGOU-CHENを突きつけて脅せば簡単に吐くだろう。
おや、早速来やがった。
武装車両とMT2機で回収に来たジャンカーたちだが、どうやら海賊とはまた別の方角から来ている。
ACに比べると遅い速度で廃MTに近づいて、回収作業を始めたが……まあ、アジトを知ってるなら良し。知らなかったら知らなかったで廃材が増えるだけだ。
のそのそとTIAN-QIANGの巨体を物陰から表し、グレネードの砲口を向けて威圧する。
「海賊どものアジトを教えろ。言わなければ、こうだぞ」
『ひ、ひえーっ!』
『おい!なんで独立傭兵が居るんだよ!』
『おおっおっ俺たちは海賊じゃない別口だ!』
武装車両とMT2機で回収に来たジャンカーたちだが、事前の予想通り別口らしい。
慌てた様子で情けない声を上げている。
可哀想に。
俺もジャンカー時代にACに脅迫されたら泣いて命乞いしていたかもしれないと思うと少し同情する。
まあ、基本的にジャンカーなんてクズばかりだし死んでも心は痛まない。
死のうが死なまいが俺はどっちでも良いんだ。
「もちろんタダで教えろとは言わないさ。もしアジトの場所を教えてくれるならきちんと対価を払う」
『本当か!?』
「ああ、本当だよ。それに知らないなら見逃しても良い。ただし、嘘をついたらRaDにチクってお前たちを探し出して潰す。よく考えて喋ってくれ」
『タ、タイム。作戦タイム!少し話し合うから待ってくれよ!』
「仕方ないなぁ。5分だけだぞ」
『しゃあっ!テメェら集まれ!』
MTと装甲車が集まって何かを話し出す。
アイツら、機体や車から顔を出して肉声で話し合っているな。
五分後に鳴るアラームをCOMにセットし、暫しの暇に思考が流れはじめる。
通信で打ち合わせしようものなら傍聴してやるつもりだったが、生憎と肉声を集音するのは難しい。
元からACの稼働音がうるさくてまともに聞こえないので、色々諦めて造られた外部の物理マイクはあまり性能が良くないのは仕方がないことではある。
そもそもこの今使っている機体は樹大枝細を体現する大豊の機体だ。
必要ない機能も必要な機能も削ってしまった頭部パーツDF-HD-08 TIAN-QIANGはそういった性能も最低限しかない。
これがせめてAH-J-124 BASHOならば雑音混じりでも集音できたかもしれない。
それでもできなかったかもしれない。
だってBASHOの頭パーツも大概旧型で内部性能があまりよろしくない。
そもそもAH-J-124 BASHOの強みは頭部パーツの中で最大のAPと高い耐弾・耐爆性能による戦闘における頑強さ。
それを言うならDF-HD-08 TIAN-QIANGは非常に軽量でEN負荷が少なく、ジェネレータの中で最も低出力なDF-GN-02 LING-TAIでACを運用する事に適したパーツだ。
なんて言ったって相棒のインビンシブル・ラミーが駆るマッドスタンプの頭部パーツはDF-HD-08 TIAN-QIANGだしな。
こんなパーツでもちゃんとした戦果を叩き出してくる辺り、実は相棒の潜在能力って凄まじいものがあるんじゃないか?
さすがは相棒。
よっ!無敵のラミー!
『五分経過』
COM先生の言葉が鳴り響く。
そうか、もう五分経ったのか。
「よーしお前ら、結論は決まったか?」
『決まった!決まったからその物騒な獲物を下ろしてくれ!』
「悪い悪い。それで、結論は?」
さっさと話し合いの結果を白状するよう促す。
強硬的に武器を突きつけているのは一応理由がある。
万が一こちらの勧告を受け入れない結論だった場合に、脅迫の恐怖によって一部だけでも翻意してくれれば情報は手に入る。
あまりよろしくない手段だが、こんな場所に来るやつはロクでなし。
こうして脅かさないとどんな行動をとるかわからないんだ。
『結論は……』
嫌に長く感じる時間。
格好つけてもったいぶっている?いや、この状況ではありえない。
引き延ばし?それだ!
『クソ喰らえだ。死ね!』
いつもとは違う警告アラートが多重に鳴り響く。
このアラートは索敵外からの照準?
方角は右後方、海からだと!?
咄嗟に機体を跳躍させて敵機のFCSを揺さぶる。
あと少しのところでACの真下を掠める複数の高速弾頭の軌跡。
左右にブレが無い、まさかこれは……
「マニュアルエイムによる狙撃か?」
『逃げろ逃げろ!戦いはアイツらに任せるぞ!』
「逃さん、死ね」
空中でグレネードを発射。
散開しかけていたクズどもを爆風が薙ぎ倒していく。
よし、これで一先ずの落とし前はつけた。
あとは狙撃してきた腕利きを倒さなければ。
機体を高速旋回、海に向きなおり突撃を開始する。
「COM、敵機体のデータ情報を解析してくれ」
『識別情報を照合、MT-J-048、BAWS製四脚重MT』
「狙撃してきた武器の情報はあるか?」
『BAWS製スナイパーキャノンに砲音が酷似』
「アレに?それにしては射程が長すぎ……どわっとぉ!?」
再度警告音が鳴り、辛くも避ける。
それでも前進しているだけ距離は縮まってきているはず。
敵機を視認して適切な攻め方を考えねばなるまい。
グリッドの足場を飛び移りつつ前進すること数十秒。
周波数を合わせ続けてようやく下手人の通信を傍受できた。
『や、やべぇぞアイツ!全弾避けやがった!』
『お前の狙撃ってマニュアルエイムによるノーアラート射撃だろ?そんなわけ無いさ』
『おーい、スナイパー。アイツどこに行ったよ?見失っちまった』
『グリッドの足場を縫うように近づいてきてやがる!撤退するぞ船を出してくれ!』
『おいおい、アレだけイキってた癖に臆病風に吹かれたかぁ?』
『マジでやべぇんだって!あっ、クソッもうそこまで来てやがる!こうなったら船で引き撃ちするぞ!』
「面倒な真似しやがって」
暗号通信じゃなくて良かった。
暗号の復号に時間がかかっていたら逃げる時間を与えてしまっていたかもしれない。
ゆっくりと遠ざかっていく、半壊したBAWS製四脚MTを乗せた船。
速さはブースト速度にして80ぐらいだろうか?
四脚の内一つが見当たらず回転する台に載せて運用している。
おそらく修理する余裕が無く簡単な小細工で間に合わせているのだろう。
自分もジャンカーだった時は似たような修理をしたことがあるが、それにしたってこれは発想が奇抜だ。
船側の回転台で脚と大雑把な角度を調節し、四脚MTの上半身で細かな照準を合わせる。
戦闘を考えない奇襲狙撃特化であれば問題なく運用できるだろう。
だが、悲しきかな。
大して速くないこのACでも追いつきつつある。
「COM、敵船との距離を教えてくれ」
『約550。速度有利』
敵船まで距離およそ550。
これは十分に手持ちのバズーカであるDF-BA-06 XUAN-GEとグレネードDF-GR-07 GOU-CHENの射程圏内だ。
マニュアルエイムを起動し上空へと僅かにアサルトブースト。
振動の少ない空中で敵船との進行方向を合わせつつ、バズーカを発射。
弾着、爆発が船の後背を抉る。
『ぐがぁ!?』
『やべぇ!やべぇって!』
『げえっ、タービン破損!?動けねえぞ!』
『脱出艇を出すぞ!』
『そんなものはない』
『んだとこの野郎!』
『海に飛び込めぇ!運が良けりゃ死なずに済む!』
『ちくしょう!せめて一発くれてやる……!』
交差する照準。
しかし、足元が沈みつつある向こうと空中で照準を終えていた自分とでは発射までのラグが違う。
重厚な砲口がグレネードを放ち、やや遅れ気味に放たれたスナイパーキャノンがなんとそれを撃ち落とす。
撃ち落とされた、だと?
「なんだ今の凄えやつ!」
空中で姿勢を整えてグリッドの足場に着地。
数度跳躍と飛行を繰り返せば船に追いつく
発射されたグレネードを叩き落とすなんて離れ業、自分はフィクションにしか存在しないと思っていた。
最高だな!
できればスカウトしたい。
『はあーっ、はっ、はははは!おいテメェら早く脱出しろ!』
『お前も脱出しろ!』
『殺されちまう!死ぬ気か!?』
『さっきのバズーカにやられてハッチが開かねえ。死ぬほど時間を稼いでやっから逃げな』
『クソったれの独立傭兵め、俺達が何をしたってんだ!』
『少しばかり女子供を拐って楽しんだだけじゃねえか!』
『ハハッ、次にマワすガキは地獄の餓鬼になっちまいそうだぜ』
『血も涙もない傭兵っパリが!』
前言撤回、こりゃ駄目だわ。
スカウトしたら駄目なやつらだ。
DF-ET-09 TAI-YANG-SHOUの炸裂弾を投射し、船と四脚MTを沈める。
それにしても治安が悪いなぁ!?
ドーザーならコーラルでアッパラパーになってそれで満足するやつが多いが、コイツらはそれだけで満足できなかった外道の集まりなのだろう。
デカい集団に所属しないあぶれ者なんて何処かしらイカれてるのはわかりきっていたが、こうも荒廃しているとは。
こういったカス治安のゲス外道に尊厳を凌辱され尽くして死ぬよりは、規律の厳格な解放戦線に入って餓死や戦死を選ぶやつが多いのはこういった事情が影響している。
オーネスト・ブルートゥがRaDを撹乱する為、グリッド086近辺の治安を悪化させていたとは本人から聞いていた。
しかし、こうして実際に見てみると目に余る治安の悪さだ。
幸い、このミッションは大豊から弾薬費補填と撃破報酬が出る。
可能な限り海賊を排除していこう。
ーーーーー
『ま、待て降参だ!』
「降参したいなら8秒以内に機体から脱出しろ」
即座に脱出した奴を見逃す。
脱出せず逃げ出した奴を射殺する。
『帰りを待つ子供が居るんだ。見逃してくれ!』
「ならその子供との思い出を10個話せ。3分以内だ」
話せなかった奴を射殺する。
『独立傭兵にはわからねえさ!俺達の苦しみなんか!』
「わかる。底辺って辛いよな」
喚いた奴を蹴り殺す。
『いいのか?俺のバックには大豊がついてるんだぞ。このコンテナこそその証だ!』
「お前が下手人だな」
勝手に自白した愚か者を蹴り殺す。
『近寄るな!近寄ったらこのガキを殺すぞ!』
「人質をとられたら面子のためにも殺さない訳にはいかないんだ」
人質ごとクズを爆殺し、暫し黙祷する。
最初の海賊に接敵して以降、実に17つの小集団を潰した。
グリッド086の足元を隅から隅まで巡って潰し尽くしたが、見事にクズしかいなかった。
17の海賊集団の内、12は拠点内の生命反応が少なかったのでグレネードを放り込んだ。
残りの接敵した5つの海賊も見事にクズだったが、ここで問題が発生してしまった。
海賊に囚われていた虜囚を約50名救出した。
悪意のある言い方をすると、行く宛の無い足手まといを50名も殺しそこねてしまった。
「どうしたものかな」
頭部カメラを通して、身を寄せ合って震えている集団を見つめる。
とりあえず海賊の拠点にあった武装車両に載せて一箇所に集まって貰ったが、この後の処遇に困る。
解放戦線に引き渡す?
無理だ。
あそこは食料の余裕が無いから無能の集団を養うことが出来ない。
同じ理由でBAWSも難しい。
大豊支部に任せる?
無理だ。
あそこは機体を生産する都合で機密が多いからこんな奴等養ってもらえない。
RaDとジャンカー・コヨーテスは論外だ。
ドーザーにそんな甲斐性は無い。
海賊の虜囚の二の舞だ。
ならロビンの伝手を使ってエルカノは頼れるかと言うと、あそこは金銭が足りていない。
新兵器の開発で財政が火の車らしい。
なら、D&Jだったら?
……割とアリかもしれない。
うちの馬鹿どもはドーザーにしては辛うじて善性が残っているやつらだ。
食糧に関しては管理要員の減少により稼働を縮小した生産プラントを再起動すれば余裕を持って養える。
昔のD&Jは200人規模の共同体だった。
世代交代の際に色々あって人数が大幅に減ってしまったが、今の稼ぎなら修繕も自衛も熟すことができるだろう。
これから独立傭兵の集団として活動するにあたり、ナスティ・ロビンとレイジ・レック以外のメンバーはACの操縦習熟訓練を行っているところ。
その戦闘に適性があるのはD&Jの4割ぐらいか。
適性のある馬鹿どもをほぼ戦闘員として動員する以上、残りの6割で機体の修理を行わないといけないのだが、正直人手が足りていない。
猫の手も借りたいとはまさにこの状況。
一応、細々と求人も出してはいるのだが、不思議なくらい応募が皆無。
こうなればいっそ、目の前の奴等の手でも借りる必要があるだろう。
よし、善は急げ。
戦闘モードから作業モードに切り替えることで機体の集音性を高め、外部スピーカーを起動する。
『端的に言おう。お前たちには幾つかの選択肢がある』
努めて感情を消した声色で話す。
選ぶのは不安げにACを見上げるあいつらだ。
虜囚となり憔悴している奴等に選択を問うのは酷だが、ここで選んで貰わねば誰も動けない。
『一つ、ここで死ぬ。自殺の予定があるのならちょうど良い爆弾がここにある。まとめて殺してやろう』
グレネードを翳し、僅かな間だけ照準をあわせる。
何人かが顔を歪ませた。
『二つ、ここから去って自力で生きていく。これが一番健全だが、まともな職につけるとは思えない。それでもここから去るのなら餞別として一人一台鹵獲品の車両をくれてやる』
海賊の拠点内にある車両をバズーカで示す。
……自力での再起を目指すやつは居なかった。
根性なし、と評することはできない。
惨い経験をしたせいで自主性がまだ戻っていないのだろう。
『三つ、俺達が設立する傭兵集団に所属し、裏方として働く。警告しておくが俺達D&Jはドーザーの集団だ。常識はこっちに合わせろ。仕事に必要な教育は施してやるが、なにかやらかしたら面子のためにもケジメはつけさせてもらう』
武器を下ろして人々を見据える。
『選べ。俺はお前たち個人の選択を尊重する』
さて、どうなることやら。
オリ主:自身がインビンシブル・ラミーに拾われた経緯から路頭に迷った人を拾う習性がある。回避こそ上手いが実は間合いの詰め方が大雑把。倫理観がドーザー生活の中で麻痺している。頭が馬鹿。
虜囚たち:様々な経緯で囚われていた被害者たち。身寄りの無い者が殆どであり、生きるためにドーザーの手を取らざるを得なかった。なお、食べ物は美味いし先輩は陽気な馬鹿だし、何より後悔するような暇がないので一週間でD&Jに馴染む模様。頭が馬鹿になる。
海賊:海から屑来たる。シンダー・カーラが来るより昔からRaDの縄張りを使って私掠を行っていたクズども。近頃は人と物を問わず略奪していたためRaDから見離され大豊に目をつけられた。船と地形を利用した神出鬼没の奇襲で企業すら手玉にとっていたが、その奇襲手腕をまとめたデータはベスティー・ナイトシェイドによって回収された。
D&Jの馬鹿ども:突然押し付けられた大量の後輩に威張り散らしては居候先の管理人にシバかれている。パイロットとしてはかなり成長してきており、簡単なミッションであれば危なげなく熟せる水準まで操縦が上達した。頭が馬鹿。