【完結】じゃんじゃかジャンカードーザー傭兵   作:白河童小鼠(人間)

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DLC祈願に次のランクマッチアップデートがある11/21まで2日に1回投稿します
途中から文字数が少々暴走しますがご容赦ください
そして世に平穏のあらんことを


新天地の略奪者達
借金王とミーム


「ノーザァァァク!幾つか用件があって来たぞノーザァァァァァク!ちゃんと待っててくれて嬉しいぞノーザーク!」

『やれやれ、随分と喧しい入室だな親友』

「こうでもしないと奇襲してくるだろう借金王」

『借金王呼ばわりは辞めてもらおうか』

「わかった」

 

 とある廃グリッドの陰で、自分はACと対面していた。

 相手は赤い色彩に今でも最新鋭と言っても過言でもない機体構成をした『ビタープロミス』。

 それに搭乗するのは、腐れ縁として交流の続いているノーザークだ。

 

『わざわざ私を呼び出すとはどうした?まさか融資する気になった訳でもないだろう』

「単刀直入に言う。BAWSとの交渉でその弁舌を振るってほしい。報酬は交渉前後に分割で10000 COAM。その際にACでの戦闘はないはずだ。あまり通信に載せたくない話なのでこうして直接話させてもらう形になった」

 

『……詳しく聞こうか』

「少し長くなるぞ。

 このベリウス地方からアーレア海を挟んだ向こうに中央氷原という地域がある。そこは、災禍のあとはルビコニアンからも捨て置かれていた無人の土地だ。

 ただ、その後なにかあったのか、ルビコン各地にウォッチポイントが建設される以前に封鎖機構が手を加えていたらしい」

 

『そこに集積コーラルがあるとでも?私はそういったギャンブルは嫌いなのだが……』

 

「違う、そうじゃない。俺が目をつけたのは、ウォッチポイント建設以前に拠点にしていた場所があるんじゃないかってところだ。それでジャンカーをやってた昔から文献を探していたんだが……思わぬところで証拠が見つかった」

 

『それは?』

 

「廃グリッドで拾った技研AC。アレは企業にコーラルのことをリークしたブランチの一員を抹殺する為に封鎖機構から送られてきていた刺客だった。しかし、数十年前にルビコンの玄関口として機能していたとの文献があるバートラム旧宇宙港が、4年前の日付で多少整備されたまま無人であることが技研ACの稼動記録の写真にあった。俺はそこで色々漁って金にしたいんだ」

 

『どこまで本気で、どこまで本当だ?そこを教えてもらわなければ信用は得られないぞ』

 

「おいおい、俺を疑うのか?」

『これでも信用には一家言あるのでね。私を疑うのかい?』

 

「……さすがに弁舌だと敵わないな。だから依頼をしにきたわけだが」

『さっさと話したまえ。私は今聞いた情報を企業に売っても良いんだ。それは君も嫌だろう?』

 

「警告してくれるところは好きだぞ親友。……さて、本気度としてはマジも大マジの100%。片っ端から無人兵器を蹴散らして調査を進めるつもりだ。偽っていたのは申し訳ない。けどまあ、これが対外的に通す口実だからバレるか試したかったんだごめんな?

ちなみに騙してたのは情報の出どころ。実は惑星封鎖機構にハッキングを仕掛けて通信可能な無人基地があることだけは確認済みなんだ。ほら、ハッキングって公に言えた事じゃないだろ?それに封鎖機構にもハッキングを仕掛けられる傭兵なんざ危険視されるに決まってる。その点ノーザークは俺のオペレーター時代の手腕を知ってるから共犯になってくれるんじゃないかと思ったんだ」

 

『待て、いや待ってくれたまえ。ことばの洪水を一気に浴びせるんじゃあない。そもそも共にBAWSから騙し盗ろうという話では無いんだな?』

 

「うん。BAWSにはただ単にスポンサーとして船を提供して欲しいだけ。船代は向こうで無人特務機体バルテウスでも撃墜してBAWSに売れば多分黒字になると思うよ?」

 

『それ、普通に君が一人でやれば済む話では?』

 

「いやあ、俺、説得って苦手なんだよね。ACを格納した上で物資を持ち帰る事のできるデカい船なんて信用の無い普通の独立傭兵が借りるのは無理無理。その上スポンサーになれなんて俺だと絶対に通せない。その点ノーザークならBAWSと面識があるだろ?」

 

『そのだね、信頼してくれているところ悪いのだがね。BAWSには既に信用の拡大をした後でね?ほら、見たまえ。このライフルこそ信用の証……』

 

「値段交渉?いいよ。乗り気なのは俺としても嬉しいしね。そのRANSETSU-RFについてはショップの1.5倍の値段までなら俺が代わりに払う。これで交渉の足がかりにはなるだろ?その代わりノーザークには物資輸送船の手伝いをしてほしいんだ。さすがに向こうの調査中に補給物資が焼かれると詰んでしまうからさ。頼むよ親友」

 

『待ってくれ待つんだ。君は些か私に信を置きすぎじゃないか?それに受けるとも……』

 

「もっと欲しいのか?ならこの前買ったBAD COOKもつけようか。ご友人が発案しただけあってダメージ効率がものすごく優秀なんだ。アレは良いぞ親友。片手に持てば目眩しとMT掃討に、両手に持てばACの装甲だって簡単に溶かせる!親友も野生のC兵器対策に一本担いでおいた方が良いよ。あっそうだご友人と言えばこの前俺がRaDを襲撃したせいでRaDってばちょっとした資金難らしいんだよね。それでご友人が出稼ぎしたいって言ってきたからご友人の事も調査隊にねじ込んでおいてほしいな。土建用ACを持ってて力持ちだからBAWSがお金払ってくれるなら船まで物資輸送やってくれるんだってさ!ちなみにアリーナランキングでも上位だから実力は期待していいよ俺も死にかけたし!ご友人もよろしくな親友!上手くいったらRaDにも信用を拡大できるから張り切って頑張ってほしい。本当は相棒も誘いたかったんだけど仕事が忙しいって断られてしまったんだ。うーん、真面目で素晴らしいさすがは相棒。あっ、そうそう相棒と言えばドーザーの間での噂話を教えてくれたんだけどさコーラルを着色して空に舞わせると……」

 

『わかった止まってくれ!私にとっても悪い話ではないからこっそりとこっちに銃口を向けないでくれ!』

 

「何を言ってるんだ親友。親友を撃つわけないだろ?ほら、あっちから借金取りの反応24、けっこう群れてる。ほら、逃げな親友」

 

『そういう事はすぐに言え……!ここは場所が開けすぎている。逃げるぞ』

 

「ちなみにここで説得を約束してくれるなら、あいつ等はなんとかしておくぞ」

 

『……良いだろう、頼んだぞ親友。私は逃げる』

「また連絡する。この件での通信はオールマインドの回線は避けてオペレーターをしてた時の秘匿回線を使ってくれ」

『了解した』

 

 アサルトブーストを使ってこの地から離脱していくビタープロミス。

 ビタープロミスはこのルビコンに赤く映える良い機体だ。

 惜しむらくはその用途がもっぱら逃走と迎撃にしか使われていないところ。

 

 一見チグハグに見える武装は、長期間補給無しで逃避行を続ける護身に向いたチョイスだ。

 

 消耗の多いミサイルの使用を避けながらMTの殲滅に長け、四脚MTなどの大物には盾で攻撃を受けつつ拡散バズーカでスタッガーへ。

 

 その隙に反転して鮮やかな逃走を見せてくれるだろう。

 

 逃走用と踏んでいたからこうしたのだ。

 

 ノーザークの逃走からしばらくして、群れたボロボロのMT達が姿をあらわす。

 

『あの野郎マジで逃げやがった』

『おいチビガキ、これで100 coamくれるって嘘じゃねえよな?』

『親友、早く金くれよ。昨日スッちまったんだ』

『アイス冷えてんだろ?』

『なあオペ、ジェネレーターの調子悪いから見てくんね?』

『腹減った。なんかくれ』

『うるさいぞ死ね!』

『なんだとぉ……』

 

 まったく統率のとれていないドーザーの集団。

 懐かしさすら覚える喧しい奴らに俺は声をかける。

 

「やあ、久しぶりだなお前たち。会話を打ち切るために利用して悪かったな」

 

『ようドチビガキ、金くれや』

『お前、食いもん持ってねえ?』

『お頭ぁ。ノーザークに金貸しちまったから代わりに払ってくれよぅ』

『競馬でスッちまったんだ。ほら、チビガキの責任だろうが』

『ジェネレーターがブスブス言ってる。使うんじゃなかった、こんな用廃機……』

『黙れ余燼ども!お前たちにコイツが救えるか!』

『あっ爆ぜた』

『誤差だろ誤差』

『なあアイス……』

 

 この好き勝手喚き散らすゴミ山は、俺がオペレーターやゴミ山の大将をしていた時代の仲間たちだ。

 ちょっと意思疎通に難があるがみんな大切な親友たち。

 みんな違ってみんな吐き気を催すカスどもだ。

 無論、自分もその一人でしかない。

 

 懐かしさにちょっと涙が出てきた。

 一名死んだ気がするがたぶん生きていることだろう。

 

「相変わらず元気そうで安心したよ。このアイスはサービスだから、建物の陰からとって食べてほしい。それと今回、集まってくれた報酬の100 COAMは既に振り込んである」

 

『お頭、質問良いっすか?』

 

 おっと質問がきた。

 わざわざ許可を願うとはドーザーにしては殊勝。

 別に流れで聞いてくれても構わないのだが、こういう伺いをたててくることは珍しい。

 解散するときにわざわざ再就職先の世話をしてやったこともあるし、多少は社会常識が身についたらしい。

 

「聞こうか」

 

 尊大かつ我が心の寛大さを示すように端的に応える。

 俺はノーザークさえも騙した稀代の天才詐欺師。

 それ相応の風格というものを見せてやろうではないか。

 

『ネットミームになってるキレキレ大豊マンってお頭っすよね?』

 

「そうだ。俺こそはキレキレ大豊マン。……キレキレ大豊マンってなに?」

 

 心当たりがある話だが、ネットミームとは何事。

 まさかと思い検索をかけてみると、相棒であるインビンシブル・ラミーに贈ったはずのダンス動画が、ネットワーク上に拡散されている。

 なんで!?

 

「だ、誰がこんなことを」

 

 ネットミームの源泉へと辿っていき、最初に投稿されたチャンネルまでは突き止めた。

 しかし投稿者には巧妙に特定を避ける処置がされていて、自分の腕前では特定することができない。

 

 正確には、特定していった先が罠だと勘づいたものの、有効な対策を思いつけなかった。

 

 この手腕、もしやRaDのシンダー・カーラか?

 いやしかし、なんだってこのような真似を……

 

「意趣返しか」

『チビガキなんか恨みでも買ったのか?』

「最近のRaDの財政難って俺が暴れたせいなんだ」

 

 思い出したのは前にコヨーテスから受注した依頼。

 アレで大暴れした意趣返しなのだろう。

 しかし、この星系有数の電子戦能力を持つシンダー・カーラがこの程度のイタズラをするとは考えがたい。

 別の理由があるはずだ。

 集中して思考の海に潜ろうとするが、粗野な野次が聞こえてくる。

 

『やーいゴブリン野郎金よこせー』

『お頭やっぱり頭おかしいっすね』

『アイスおいしい』

『親友よ、コーラルと共にあれ!』

『言葉難しいぞもっと頭ドーザーになれー!』

『でもコーラルアレルギーだよアイツ』

『かわいそ……』

『そもそも霞食ってるようなやつが大きくなれるわけないんだよな』

『あのチビが霞食べてるって本当なのか?』

『嘘だよ』

『騙しやがったな殺す!』

『上等だ死ね!』

『アイスの、停戦の呪文を頼む』

『アイス!アイス!アイス!アイスぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!

あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!アイスアイスアイスぅううぁわぁああああ!!!

あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん

んはぁっ!』

 

「うるせえぞゴミども!少し静かにしてくれ!」

 

『うるさいわ!』

『お、おう、良かったな』

『コイツドーザーじゃなくね?』

『アイスキメてるからドーザーだろ』

『ドーザー原理主義か?』

『げ?難しいこと言ってんじゃねえよ死ね』

『なんだとぉ……』

『アイス!アイス!アイス!アイスぅぅうううわぁ』

『リピートに入ってんじゃねえぞ馬鹿!』

『止まれ止まれ』

『おうアイス馬鹿、オレのアイスやるよ』

『ありがとう』

 

 駄目だ、集中ができない。

 そもそもネットミームになったところでなんだと言うのだ。

 ただの嫌がらせとしか解釈ができない。

 ここは一つ、動画を贈った相手である相棒を頼ろうか。

 

「もしもし相棒」

『おう、なんだ』

 

「贈った動画がネットミームになってるんだけど何があったんだ」

『アレか!他の奴らがよぉ、あの動画を見たいって言ってたんだが、RaDのサーバーがお前の襲撃で落ちてたから皆で見れるところにあげたんだ』

 

「なんだ相棒がやったのか。だったら投稿者にシンダー・カーラさんっぽいプロテクトがかかっていたのはなんでか知ってたりするか?」

『そういうのはチャティのやつじゃねえか?』

 

「ありがとう相棒。できればプライバシーにも気を付けて欲しかったな」

『次殴り込みに来たら解体するからな?』

「ははっ、ではまた」

 

 通信を切る。

 相棒も仕事中で忙しいはずなのに即応してくれるとは思わなかった。

 

 さすがは相棒。

 俺の電話ぐらい予知していたということか。

 

「ということだそうだ」

 

 説明が面倒なのでぶん投げた。

 端末とACを繋げてスピーカーモードにしていたので余燼どもにも聞こえているはず。

 まあ察してくれるんじゃないか?

 

『何言ってるんだコイツ』

『知らねーよ』

『なに話してたっけ』

『強化人間ふんどし説?』

『捏造してんじゃねえ!』

『説明くれよ』

 

「つまりキレキレ大豊マンとは俺のことよ」

 

『キッモ』

『縁切り』

『死ねよ』

『アホか』

『騙りよ』

『バーカ』

『アイス』

 

「解散ッ!見世物じゃねーぞ散れ!ちくしょー!」

 

 こ、こいつら……!

 腐っても旧友なので手を出す訳にはいかない。

 消してデメリットのある連中ではないが、古馴染みを私情で殺すのもいかがなものか。

 

 久々に受けたあまりにも心無い罵倒に、俺は帰ってから泣いた。

 




ノーザーク:口八丁手八丁。信頼を勝ち取っては裏切り続け、ついた仇名は『借金王』。オリ主とはルビコンに逃げ込んで以来の腐れ縁。単騎で借金取りから逃亡生活を続ける都合上、ほぼ補給無しで放浪の旅をしている。

オリ主:傭兵として稼いでいるのに未だ貸す額がみみっちい。実は一見博打みたいな投資を繰り返している。ある金を限界まで活かす資金繰りにノーザークもにっこり。頭が馬鹿。

古巣のクズども:二日前に唐突に召集をかけられて余裕で参加できる社会のクズども。これでもドーザーの中ではマシなやつらで今回はオリ主を適当に貶したい奴らが集まった。3人寄れば文殊の知恵とは言うが、コイツらが集まってもコーラルでキマっているだけである。頭が馬鹿。

クンカクンカジェネレーター:https://kunkakunka.ariafloat.com/
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