十二鬼月・累の物語 〜Another〜   作:葵巴鈴蘭

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初めまして(ㅅ˃̶͈ᴗ˂̶͈⑅) これが初めての投稿です。素人なので、文章がおかしいところや、誤字脱字、キャラの口調が違うなど、結構なミスがあるかもしれませんが、温かい目でご覧いただければ幸いです。
累が大好きなので頑張ります!
気軽にコメントしていただければ嬉しいです!




1章 那谷蜘蛛山編
1話 絆の綻び


「はぁ……はぁ……」

 

 鬼狩りが追ってくる。

 わたしは鬼だ。あの方に鬼にしていただいた。あの時は確かに人間を超える力に歓喜した。でも今は鬼狩りに追われている。

 

(あの刀……前に切られた時、しばらくは傷を再生できなかった。それを持ったやつが何人も)

 

「やっと追い詰めたぜ」

 

 ついに鬼狩りに周囲を囲まれてしまう。

 

「子供だな、しかし見た目が子供だろうと鬼には変わらん、見逃せば人を食う」

 

 鬼殺しの刃が月光を反射する。

 

「ねぇねぇ、助けて欲しい?」

 

 ふと顔を上げると家屋の屋根からこちらを見下ろす子供の鬼がいた。

 

(子供の鬼? いや運がいい。こいつを囮にすれば助かる)

 

「助ける代わりに僕の頼みを聞いてくれる?」

 

「なんでもする! 言う通りにするからたすけて!」

 

 わたしは鬼としては弱い分類だ。鬼狩りに勝てるほど強くはないが、この鬼を囮にすれば逃げる時間くらい稼げる。

 

「じゃあ僕の家族になってよ」

 

「なる! なるよ!」

 

「なんの話をしているんだ……さあ覚悟しろ!」

 

 鬼狩りは刀を振り上げるがその刃が振り下ろされることはなかった。

 

 子供鬼は腕を振ると、鬼狩りたちは原型をとどめないほどに切り刻まれ、辺りに肉片が飛び散った。

 

 呆然としていると子供鬼が口を開ける。

 

「ようこそ、今日から君も僕の家族だ」

 

 いつの間にかそこには別に7体の鬼がいた。不思議なことに全員白髪で、外見が似通っているものが多い。

 

 

 

 

 

「これは……?」

 

「飲んで。私達家族の能力は全部累のもの。弱い鬼だったから累の力を分けてもらった」

 

 部屋に入ると、少量の血が盛られた皿を差し出された。

 

「累はあの方のお気に入りだから、こういうことも特別に許されているのよ」

 

 累の姉だという鬼はそう言った。

 

(累……何者なの? いいや関係ない。力が貰えるなら)

 

 血を口にすると、全身が激しい痛みに襲われた。

 

「う⁉︎ ぐうぅぅ……⁉︎」

 

(何……⁉︎ この血……この痛み……まるで、あの方の)

 

「感じるかい?もう鬼狩りなんかを怖がることもないんだ。さて、仕上げをしよう」

 

 累はわたしの顔に手をかざすと、顔の皮膚を引きちぎった。

 

「うが……⁉︎ ……‼︎」

 

「おめでとう、これで本当の家族だ」

 

 頭を上げた女の鬼の顔は変貌していた。元の面影はまったくなく、累らに似通った特徴をしていた。

 

 

 

 

「あぁ……やっぱり思い出せない」

 

 子供の鬼……累は顔を上げる。人間の頃の記憶を思い出そうと、昔のことを考えていたがやはりだめだった。今は姉さんが家族になった時のことを思い出していた。

 

「累。鬼狩りがやってきてるわ」

 

「あぁ、姉さん。大丈夫だよ。母さんが対処してるから。生き残った人間は保存しといてね」

 

「え、えぇ……」

 

 母には操り系の血鬼術を与えてある。身体能力が低い母さんでも鬼狩りに勝てるようにだ。

 

 母の視界を共有し確認すると、どうやら手こずっているようだった。

 

(少し練度の高い鬼狩りが来てるみたいだね)

 

 木の上に糸を張ると、その上に立つ。

 

「糸を斬るだけじゃ駄目だ! また蜘蛛が操り糸を繋ぐ!」

 

 緑と黒の市松模様の羽織の鬼狩りは既に母の血鬼術を見破っているようだった。

 

(柱じゃないな。こんな雑魚に手こずってるのか)

 

「じゃあその蜘蛛を皆殺しにすればいいってことだな」

 

(なんだあの猪頭は。鬼ではないようだから人間か。馬鹿だな)

 

「村田さん! 村田さんと俺で操られてる人達は何とかする!伊之助は……」

 

 ごにゃごにゃ何かを言っている鬼狩りへ向けて圧を放つ。月光が累を不気味に照らす。

 

「僕たち家族の静かな暮らしを邪魔するな」

 

 猪頭が切り掛かってくるが、累はすぐに姿を消した。

 

「お前らなんかすぐに母さんが殺すから」

 

 累は糸を紡ぐと天を仰いだ。

 

「誰にも邪魔はさせない。僕達は家族五人で幸せに暮らすんだ。僕たちの絆は誰にも斬れない」

 

 僕たちは家族だ。その絆を脅かすものは、誰であれ容赦しない。

 

 

 

 

 

「ふふふふ……あなた達に倒せるかしら?私に近付けば近づくほど糸は太く強くなりお人形も強くなるのよ」

 

「母さん」

 

 母の元へ向かい声をかけると、笑みを浮かべた母の顔が一瞬で凍りついた。

 

「勝てるよね? ちょっと時間がかかり過ぎじゃない?」

 

 父に言いつけると脅すと、母は必死に懇願した。

 

「だ、大丈夫よ! 母さんはやれるわ! 必ずあなたを守るから! だから父さんは……父さんはやめて! 父さんは!」

 

 父さんの知能は奪ってある。ただ僕のことを思い活動するだけの人形だ。僕の命令があれば、母とはいえ平気で傷つける。

 

 母が父の抜け殻を操り出すのを見て、累はその場を後に……

 

「⁉︎」

 

 累は足を止める。たった今、この山にとてもつもない気を持った何者かが2人侵入した。

 

(なんだ? この気配……まさか柱⁉︎ いやこれほどの圧を放つ人間など見たことがない。いままでの柱とは違う……)

 

 ちょうどその時、母が悲鳴を上げた。

 

「やられた……やられた……あの人形が一番速くて強いのに……!」

 

(チッ……父さんの人形までやられたのか。役立たずめ)

 

「もういいよ母さん。使えないな。お前はもう家族じゃない」

 

 母に手を向ける。いまのままでは柱を2人相手にするのは少々荷が重い。母さんが使えなくなったから、こいつを切り捨てればいい。

 

「待って! 累! まっ……」

 

 母の全身に糸が貫通する。

 

「あ……ががが……」

 

 血鬼術と血を回収する。母は元の弱く小柄な鬼の姿へと戻った。

 

「じゃあね」

 

 脳内で、他の残った家族3人に集合の命令をかけた。

 まだ、力を回収すると決めたわけじゃないが、各個撃破され、血鬼術を失うリスクは避けたい。

 

 その場を去ると、すぐに鬼狩りが母へと刀を振り下ろすのが見えた。

 

 

 

 

 

 母鬼は前例のない程に焦っていた。

 

(累に見捨てられた! 血鬼術が使えない……! 力が、抜けていく……)

 

 鬼狩りが飛び上がるのが見える。

 

(殺される! 首を斬られる! 考えて! 考えるのよ)

 

 必死に頭を回転させるが、血鬼術さえ使えない今、できることは皆無だった。

 

(あ……でも……死ねば解放される……楽になれる)

 

 累に暴力を振るわれ、父に暴力を振られ、そして、また累に暴力振るわれる日々。累に捨てられた以上、これ以上苦しむことはない。

 

 母鬼は自らの頸を鬼狩りへと差し出した。

 

 鬼狩りは、一瞬驚いたような表情になると、刀を握る手を少し持ち替える。

 

「水の呼吸 伍ノ型 干天の慈雨」

 

 頸を……切られたと思う。だけど、少しも痛くない、苦しくもない、ただ……温かい。

 

(これは……優しい雨に打たれてるような感覚)

 

 こんなにも穏やかな死が来るなんて……これで……解放される。

 

 天地が逆になる中、鬼狩りがこちらへ悲しそうな目を向けるのが見えた。

 

(あの目……優しい目……)

 

 人間だった頃……優しい眼差しを向けられていた気がする。あれは……誰だったっけ?

 

(思い出せない……いつも私を大切にしてくれていた人……あの人は今どうしているのかしら……)

 

 もはや自身の名さえ思い出せない。でも、いつもいつも、わたしの名前を呼び、頭を撫でてくれて……よくやったね、偉いね、頑張ったねって言ってくれて……わたしのことを抱きしめてくれて……

 

(お母……さん……お母さん……っ!)

 

 そうだ。お母さんだ。貧乏で貧乏で。すぐ戻ると言って、2度と帰ってこなかったお父さんの代わりに一生懸命働いて、わたしを1人で育ててくれて……どうしてわたしは、鬼になったんだろう。

 

(思い出せない。でも……今度生まれ変わることができたら……)

 

 鬼となって、数えきれないほどの人間を殺し、喰らってきた。そんなわたしはきっと、地獄へ行くことになる。生まれ変わることはできないだろう。

 

(でも……でも……もう一度……願わくば)

 

 お母さんの元へ、行けますように。あなたの子供になれますように。

 

 最後の力を振り絞り、声を出す。

 

「十二鬼月がいるわ……」

 

 鬼狩りが表情を変える。

 

「待って!」

 

 十二鬼月。あの方……鬼舞辻無惨に力を認められ、特別に多くの血を貰い、瞳に数字を刻まれた最強の12体。

 その中の下弦の伍・累。

 

(それだけじゃない……累が本気を出せば……上弦で、さえ……だから)

 

「気を……つけて……」

 

 

 

 

 お母さん。わたしは鬼になってから、結局何一ついいことをできなかった。でも、あの鬼狩り……市松模様の羽織の子。わたしの過ちを正し、わたしを殺してくれたあの子には、死んでほしくない。

 

(逃げて、くれるよね……)

 

 お母さん。わたし、鬼になってから初めて、最後に初めて、人間らしいことができたよ。

 

 

 






……母蜘蛛……いい人だったのかも……

もう少し話が進むと面白くなってくると思うので…………1話切りしないで(´•̥ ω •̥` )
なんなら1章読み飛ばして2章の奇怪林編から読んでいただいても大丈夫ですw

本作で、累はどれくらいの強さになって欲しいですか?

  • 継国縁壱
  • 鬼舞辻無惨
  • 上弦の壱
  • 上弦の弐
  • 上弦の参
  • 上弦の肆
  • 上弦の伍
  • 上弦の陸
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