十二鬼月・累の物語 〜Another〜   作:葵巴鈴蘭

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めっちゃ短いけど許して……




12話 下弦の陸

 

「こいつが本物の十二鬼月‼︎」

 

 先程町で遭遇した。偽十二鬼月よりも重い匂いを纏っている。

 

 善逸はまだ他の鬼と戦っていて、助太刀は期待できそうにない。

 

「オラァッ!」

 

 巨大な右の拳で、炭治郎を殴ろうと鬼が接近してきた。後方に飛び退き、攻撃を回避する。

 

 鬼の拳は地面に突き刺さり、十尺ほどのクレーターができる。

 

(なんて力だ! 直撃を受けたらただじゃ済まないぞこれは!)

 

「水の呼吸 参ノ型 流流舞い!」

 

 流れるような足捌きで鬼の背後に移動した。

 

(頸を、斬れる!)

 

 鬼が動くより、速く刀を振る。鬼はこちらを振り返ろうとしているが、炭治郎のほうが速い。

 

 しかし……

 

「その程度で頸を斬れると思ったのか?」

 

 巨大な右腕が、なお速く後ろに振りかぶられると、その手の甲が炭治郎を振り払った。

 

「か……あ⁉︎」

 

 あまりの威力に炭治郎は何度も地面に激突し、バウンドすると、木にぶつかってようやく動きが止まった。

 

(意識が飛びそうだ……拳の直撃でなくてもこの威力……何度も受けるわけにはいかない)

 

 その前に決着をつけなければいけない。

 

 再びこちらへと伸びる拳をジャンプすることで避けると、その勢いで木の枝に飛び乗り、そこから急降下した。

 

「水の呼吸 捌ノ型 滝壷!」

 

 今度はこちらが鬼を地面に叩きつける。発達した右腕は切れなかったものの、左腕と左脚を切断することに成功する。

 

「くそ……っ!」

 

 地面に踏ん張れなくなった鬼が、大きくよろめく。

 

(今だ!)

 

「水の呼吸 弐の型! 水車!」

 

 垂直方向に全身を一回転して、鬼の右腕に刃を振り下ろす。しかし、硬く太い右腕はそう簡単には切れず、刃は途中で止まった。

 刃がそれ以上進まない。

 

「ガァァ!」

 

 鬼が腕を大きく振り回して炭治郎を木に叩きつけようとした。

 

「おおぉぉぉぉ‼︎」

 

 だが炭治郎は上手く脚で木を蹴ると、気合いと共に腕を叩き斬った。

 

 鬼が大きく悲鳴を上げた。

 

「ウギャァァァッ!」

 

「水の呼吸 壱の型 水面切り‼︎」

 

 両腕と片脚を切り落とされ、ほぼ無力化された鬼の頸を切り飛ばした。

 

「こんな雑魚に……俺が……」

 

(勝った! 十二鬼月に、一人で勝てた!)

 

 下弦の陸は徐々に体が崩れ、灰になっていく。だが鬼は笑みを浮かべた。

 

「なーんてね。俺が下弦の陸だなんて誰がいったの?」

 

「は?」

 

「これもさっき町で会ったのと同じだよ。俺の視界と意識の一部を共有しただけの、だだの雑魚! こんなのに手こずってるようじゃあ、俺には勝てない」

 

 不気味な笑い声を上げながら鬼は消滅した。

 

(今のも偽物だったのか⁉︎ 偽物でもこの強さ……いくら柱とはいえ、伊黒さんも危ないんじゃないか⁉︎)

 

「善逸!」

 

 ちょうど、くるみを守りながら鬼を倒し終わった善逸に声をかけると、3人は急ぎ足で森の奥へと向かった。

 







なんなんだ下弦の陸・釜鵺よ。

偽下弦の陸は釜鵺が頑張って用意した強力な鬼です。釜鵺の能力についてはまぁ次回で。
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