十二鬼月・累の物語 〜Another〜   作:葵巴鈴蘭

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1章で採ってたアンケート、玉壺に相当する上弦の伍への投票が極端に少ないですね……まあ既に累は上弦の域に入っているので、玉壺を超えるのは時間の問題だけどね(?)
てゆか縁壱さんに投票してる人多いですね⁉︎


今回はコロコロと視点が切り替わるので読みづらいです……





15話 下弦の肆・零余子

 

「下弦の、肆!」

 

 炭治郎は刀を構えた。階級だけなら那谷蜘蛛山で戦った、下弦の伍より強いということになる。

 

(おれにやれるのか⁉︎ 下弦の伍にすら手も足も出なかったのに……それどころか、偽物の陸にも……)

 

「いや、やれるかじゃない! 俺が、俺たちがやるしかないんだ‼︎」

 

 炭治郎は、くるみを安全なところへと移動させる。いや、本当に安全なところなどないに等しいが、十二鬼月に近づくよりはましだろう。

 

「くるみちゃん、木の影に隠れているんだ。あと、これから離れるな。いざという時は、助けてくれる」

 

 炭治郎は禰豆子が入っている箱をくるみに託した。

 

「紋治郎、紋逸! 俺様に続け!」

 

 そうこうしているうちに、伊之助が前に飛び出す。

 

「獣の呼吸 参ノ牙 喰い裂き!」

 

「くっ……!」

 

 伊之助の二刀により繰り出される一撃に、下弦の肆は少し焦ったような表情を見せたものの、氷の盾のようなものを腕に展開して、攻撃を防ぐ。

 

「血鬼術 冷突!」

 

 氷の槍が伊之助を取り囲む。

 

「水の呼吸 参ノ型 流流舞い!」

 

 槍の合間を縫い、槍の軌道を逸らした。

 

「伊之助! 前に出すぎるな!」

 

「雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃」

 

 善逸が下弦の肆に肉薄する。その速度は鬼を上回り、頸へと刀は到達したものの、それ以上刃が進むことはなかった。

 

「速いわね……でも、わたしの頸を斬れるほどの力はない」

 

 胴に蹴りを受け、善逸は地面に叩きつけられる。

 

「善逸!」

 

「お前ら全員鬱陶しい! 死ね! 血鬼術 酷霜薄」

 

 数えきれないほどの氷の玉が宙に現れた。善逸は先程の一撃で気を失ってしまったようで、攻撃の対象にされていない。

 良かった。

 

「水の呼吸 玖ノ型 水流飛沫・乱!」

 

 無尽蔵に辺りを駆け回り、できるだけ血鬼術を避けながら鬼へと近づいていく。

 

 伊之助も鬼に接近しようとしているようだが、血鬼術に苦戦を強いられているようだった。

 

(戦えてる! 十二鬼月と! 行ける、このまま距離を詰めれば!)

 

「くそ! なんなのよ! お前ら! 死ね! 死ね死ね死ね‼︎」

 

(雪玉の速度が増した! このままだと捌き切れなくなる! ……もう一度やるんだ。あの時の、あの技を)

 

 炭治郎はより深く息を吸った。全集中の呼吸を常中できるようになってから、少しずつだが、日々体力が向上しているのが分かる。今ならやれる。

 

「ヒノカミ神楽!」

 

 呼吸を切り替え、ヒノカミ神楽を舞う。あの時ほど体に負荷は掛かっていない。

 

「灼骨炎陽‼︎」

 

 宙に円を描くように振るった日輪刀の焔が血鬼術を祓う。

 

(まだ……! 鬼の頸を! 斬る‼︎)

 

「ヒノカミ神楽! 円舞‼︎」

 

 間髪入れず繰り出される神楽に鬼は対応できず、下弦の肆の頸は空を舞った。

 

「あ……あ゛……」

 

「伊之助! 伊黒さんに助太刀するぞ!」

 

 下弦の肆に勝ったが、まだ終わっていない。陸がいる。

 

 

 

 

 

(こいつ……頸を斬っても死なない……全ての頸を一通り斬ったが、どれも再生した)

 

『無駄だ! 柱! 俺は完全無欠の鬼となった!』

 

「俺以上にねちねちしつこいな……」

 

 巨大過ぎて、胴体を輪切りにすることもできない。もう、打つ手なしだった。

 

「完全無欠? 確かに耐久力はあるようだが、俺にまともな攻撃を当てられてない。雑魚だな」

 

 音波攻撃は近づかない限り、ダメージはほぼ受けない。

 

 一瞬、下弦の陸は怒りを見せたものの、すぐに表情が変わる。

 

『お前のほうが雑魚だ。なぜなら……俺はまだ全力じゃない!』

 

 その手には……下弦の肆の頸。

 

「は?」

 

 

 

 

 

『無駄だ! 柱! 俺は完全無欠の鬼となった!』

 

(柱の攻撃は俺に致命傷を与えられない)

 

「完全無欠? 確かに耐久力はあるようだが、俺にまともな攻撃を当てられてない。雑魚だな」

 

 だが、こちらの攻撃も当たらないのは事実だった。

 

『ねぇ、右』

 

 頭の中に、下弦の伍の声が鳴り響く。血鬼術だろうか。

 

 右を向くと、何かが飛んできた。

 

(肆の頸⁉︎ やられたのか⁉︎)

 

『頸を斬られる直前に僕が切断したから。死んではないよ』

 

(なら早く治せば……)

 

『お前が吸収しろ。分かってるだろ? 肆は柱でもない鬼狩りにやられた。そいつらも今からお前を殺しにくる』

 

 このままでは柱に加えて3人の鬼狩りを相手にすることになる。仕方ない。

 

『お前のほうが雑魚だ。なぜなら……俺はまだ全力じゃない!』

 

 釜鵺は、零余子を吸収する。

 

「な、なに、を……」

 

 遺言を残すこともできず、下弦の肆は釜鵺の体に沈む。

 

「は?」

 

 

 

 

 

「お前ら全員鬱陶しい! 死ね! 血鬼術 酷霜薄」

 

 下弦の肆・零余子は鬼狩りと戦っていた。先程、自爆してかなり体力を消耗してしまったが、柱でもない剣士が相手なら問題ないはずだった。

 

「水の呼吸 玖ノ型 水流飛沫・乱!」

 

 しかし耳飾りの少年は零余子の血鬼術に対抗して、頸に迫りつつある。

 

「くそ! なんなのよ! お前ら! 死ね! 死ね死ね死ね‼︎」

 

 零余子は冷静さを失いつつあった。

 

 金髪の素早いガキと猪はそこまででもないが、耳飾りの少年は2人よりも強かった。

 

(無惨様が命令なさるだけのことはある……! このままじゃやられる……⁉︎)

 

 血鬼術の精度を上昇させる。より硬度のある雪玉が辺り一帯を駆け回るが……

 

「ヒノカミ神楽! 灼骨炎陽‼︎」

 

(な、何が起きたの……? 血鬼術が全て吹き飛ばされた……?)

 

 一瞬にして雪玉が霧散する。今までとか比較にならない一撃に、零余子は、この少年が今まで本気ではなかったのかと疑わざるを得なかった。

 

「ヒノカミ神楽! 円舞‼︎」

 

(速い、反応できなかった……わたし……死ぬの?)

 

 刀が頸に差し掛かるのと同時に、うなじに鋭い衝撃を感じた。

 

「あ……あ゛……」

 

 前からと、後ろからの不意打ちに零余子の頸は胴体に別れを告げる。すると、直接脳内に声が聞こえた。

 

『大丈夫? 死ぬところだったね』

 

(下弦の伍?)

 

『死ぬ前に後ろから頸を斬ってあげたんだよ。感謝してね。じゃあ』

 

(ありが……え?)

 

 いつの間にか巻きついていた不可視の糸が、頸を下弦の陸のほうへ導く。

 

 下弦の陸はこちらに気づくと零余子の頸を捕まえた。

 

『俺はまだ全力じゃない!』

 

「な、なに、を……」

 

 ずぶずぶと零余子は釜鵺に取り込まれていく。

 

 直接頸が鬼狩りの刀に切断されたわけではないものの、零余子は自身が死ぬということを理解した。

 

 体の感覚が消える。再生できない、力が弱まる。

 

(これが、死……?)

 

 零余子の脳裏に、いつかの記憶が蘇る——

 






零余子ちゃん早くも……

次回、明かされる零余子の過去——
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