十二鬼月・累の物語 〜Another〜   作:葵巴鈴蘭

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28話 天涯真弓の実力

「生生流転ッ‼︎」

 

 何度も何度も回転を繰り返し、威力が上昇した一撃が魘夢を頸を切り裂いた。

 

(手応えが弱い……? もしや、これも夢か?)

 

 しかし炭治郎はハッとする。

 

(違う! この鬼は彼よりも弱かった‼︎)

 

 炭治郎は那谷蜘蛛山で初めて邂逅した十二鬼月である累を思い浮かべる。

 

 日々の全集中の呼吸が炭治郎の身体能力を底上げした。下弦の伍などの鬼との戦いが炭治郎の成長速度に拍車をかけた。

 

 魘夢は血鬼術の厄介さは下弦随一だが、身体能力だけなら他の下弦の鬼に劣ることもある。既に炭治郎は下弦の壱を圧倒できるだけの身体能力を得ていたのだ。

 

「そうだ! 天涯さん!」

 

 鬼の頸が崩壊を始めたのを確認すると、倒れていたはずの真弓に声をかけようとした。だが、自力で起きたのか鬼が死んで血鬼術が消えたことにより起きたのかは分からないが、彼は既に起き上がっていた。

 

「竈門炭治郎……なるほど。俺はお前を見くびっていたようだ」

 

「!」

 

「だが俺はまだお前を認めたわけじゃない。あの鬼は血鬼術が強力な分、他が弱かった」

 

「壱のやつやられやがった!」

 

 もう1人鬼がいるのを忘れていた。下弦の弐だ。

 

「くそ、そうなったら俺1人で……!」

 

「水の呼吸 肆ノ型 打ち潮!」

 

「「無駄だ」」

 

 真弓と轆轤の声が重なる。

 

「そいつの血鬼術は摩擦を操作するものだ。お前の攻撃ではかすり傷すら与えられない」

 

「そんな!」

 

「だから今から俺が……」

 

 真弓が背の弓に手をかける。

 

「……一段階上の戦いを見せてやる」

 

「何を……」

 

「弓? 馬鹿か!」

 

 轆轤は真弓を嘲笑った。

 

 鬼を殺す方法は二つ。日光で焼き殺すか、日輪刀で頸を斬るか。

 

「天涯さん! 弓では鬼を殺せません!」

 

 真弓は弓に矢をつがえる。

 

「空の呼吸 肆の型……」

 

(空の呼吸……⁉︎)

 

 真弓の呼吸音が変化したのが分かった。

 

「……空空雀雀」

 

 

 

 

 

(何が起きた?)

 

 轆轤は混乱していた。

 

 あの長身の男が弓を構えた瞬間、天地が逆になっていた。

 

(⁉︎ き、きられた⁉︎ 頸が⁉︎)

 

 数秒差で轆轤は理解する。頸が斬られたのだと。

 

「普段、弓は雑魚には使わんのだがな……刀で切れないなら射ればいいだけの話だ」

 

(まさか……)

 

 あの弓で頸を射たとでも言うのだろうか。しかしそれはありえない。鬼は頸を日輪刀で斬らぬ限り死なないのだ。ましてや弓など、論外である。

 

「何故お前が地に這いつくばってるのか教えてやろうか? 俺の矢は日輪刀と同じ素材でできてる。加えて、呼吸で強化した人外の膂力で弓を射れば……あとはわかるだろ?」

 

(ありえん!)

 

 何が一段階上の戦いだ。ふざけやがって!

 

「こんなところで! 死ぬわけには! いかないのだ!」

 

 轆轤の腕が伸びる。伸びた腕が切断された頸を持ち上げると、元あった胴体の位置に押し付けた。

 

「治れえぇェェェ‼︎」

 

 すると、頸が伸び、胴体へと肉が繋がっていく——

 

 

 

 

 

(馬鹿な……頸を再生しようとしているだと?)

 

 頸を矢で射て、切断したのだが、目の前の鬼は落ちた頸を胴体へ押し当てていた。

 

「治れえぇェェェ‼︎」

 

 すると、頸が伸び、胴体へと肉が繋がっていく。

 

(本当に再生した⁉︎ いや)

 

 確かに鬼の頸は繋がってはいるが、様子が尋常ではない。体中に血管が浮かび上がってはいるし、顔色もおかしかった。

 

(腕が伸びた様子を見るに……体の部位を伸ばす血鬼術が使えるようだな。頸の再生は見かけ倒しのはったりだ)

 

「グォォォォ‼︎」

 

 轆轤は奇声を上げながら、手のひらで地面……車両の屋根を触った。

 

「血鬼術! 軋摩轢(あつまれき)ィ‼︎」

 

「まずい! 空の呼吸 陸の型——」

 

 真弓が叫んだ時にはもう遅かった。

 

 列車の車輪の摩擦力が異常に操作され、線路から脱線する——

 






轆轤? ろくろ首? じゃあ首が伸びるな。てことは他の部位も伸びるか()
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