十二鬼月・累の物語 〜Another〜   作:葵巴鈴蘭

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37話 緊急柱合会議

「それで」

 

 風柱・不死川実弥が口を開いた。 

 

「どう責任を取るつもりなんだかねェお前たち……とくに煉獄よォ」

 

 

 

 

 

 無限列車と呼ばれた列車の鬼を討伐するために柱として派遣された煉獄杏寿郎は普段より険しい顔を、してこの場にいた。

 

 今日の会議は、半分はそれについてである。

 

 あの日、上弦を含めた十二鬼月を複数討伐、そして下弦の伍を退けることはできたものの、甚大な被害が発生していたことが発覚した。

 

 下弦の弐により引き起こされた、列車の脱線。その影響で、当時列車に乗車していた乗客の大半が死傷したのだ。柱がいたにも関わらず、この失態。

 

 これは列車に派遣されながら、独断で列車の外に出た杏寿郎の責任である。

 

 任務ではなかったとはいえ、そこに居合わせた無一郎にも責任の矛先が向かっていた。

 

「いや、時透は悪くない。彼は列車に一度も乗車していないし、俺がきた時には既に下弦の伍と交戦していた。責任は全て俺にある」

 

「そんなことは! 煉獄さんがいなければ僕は確実に死んでいました。それに、僕だって柱だ。任務じゃなかったなんて言い訳はしたくありません」

 

「今日はやけに饒舌だな、時透」

 

 今回ばかりは茶化すこともせず、音柱・宇髄天元は厳しい視線を無一郎に向けた。

 

「……記憶が戻ったので」

 

「ほぅ……」

 

 柱の面々が驚いたように無一郎のことを見る。

 

 脱線しかけた話を戻すように無一郎は続けた。

 

「僕ひとりの命じゃ責任を取れないことはわかっています。なので、これからの僕を見ていてください」

 

 煉獄もそれに同意した。

 

 つまりは、いままで以上に鬼を狩ると言っているのだ。

 

「わかった。……百年、百年もの間変わらなかった状況が……今変わったんだ。これは兆しだ。運命が大きく変わり始める。この波紋は広がってゆくだろう」

 

 周囲を巻き込んで大きく揺らし、やがてはあの男の元へ届く。

 

 ……鬼舞辻無惨の元へ。

 

「お前は必ず私たちが私たちの代で倒す! 我が一族唯一の汚点であるお前は……!」

 

 産屋敷耀哉の一言が、この話の終了を告げる。

 

 まだ言い残したことがあるように、実弥は舌打ちをした。

 

「それで」

 

 そう。今回の会議の内容はもう一つある。

 

 伊黒小芭内の死について。

 

「……ッ‼︎」

 

 耀哉がそれを告げると、ずっと俯いていた恋柱・甘露寺蜜璃がビクッと肩を震わせた。

 

 ここにいる誰もが薄々勘づいてはいたが、小芭内と蜜璃は恋愛的な意味で両想いだったのだ。

 

 だが、それをお互いに伝えることはなく、小芭内はこの世を去った。

 

 俯いている蜜璃の視線の先が湿っているのは気のせいではないだろう。

 

「頑張ったよ、小芭内は。彼のおかげで奇怪林の被害は食い止められた」

 

 蜜璃は悲しみの嗚咽を漏らす。

 

 下弦の十二鬼月との戦いによる柱の死は、鬼殺隊に大きな衝撃をもたらした。

 

 欠けた柱……新しく誰かを柱に就任させることも視野に入れている。

 

「最近は質の低い哀れな隊士が増えていると聞く……」

 

 岩柱・悲鳴嶼行冥が涙を流した。

 

 実際、柱になれるような実力を持った隊士はほとんどいない。人員不足は常にある課題のひとつだった。

 

「候補としては……階級こそ甲ではないものの、下弦の弐を倒したという天涯真弓。下弦の肆と互角の戦いをした竈門炭治郎。協調性は皆無だが実力は柱と同格、あるいは上回るとも噂される虚狼神 零(うつろがみ れい)……こんなところか?」

 

「あ゛? 虚狼神はともかく、竈門はありえねェだろ。下弦の伍のような規格外でも何でもねェ雑魚に手こずるようなやつは柱に必要ねェ。天涯のやつも上弦の参相手に何もできなかったって言うじゃねェか」

 

「竈門少年は継子にするつもりだ! 彼の仲間も将来有望そうだから全員継子にする!」

 

「あぁそうかよ。勝手に継子にしとけ。お館様! 柱の補充は必要ありません!」

 

 実弥は耀哉に訴えかけた。

 

 虚狼神零は最有力候補ではあるものの、人格面に問題があるというのは有名な話だった。

 

 そのことを考慮し、今回は保留にすると耀哉は告げる。

 

「お館様。俺からもよろしいでしょうか?」

 

 天元が発言する。耀哉が許可をすると、天元は柱たちにある提案をした。

 

「俺は近々吉原遊郭に行く。俺はそこに十二鬼月がいると考え、嫁を潜入させているのだが、最近連絡がつかなくなった……そこに竈門らを連れて行く。もし十二鬼月がいるなら柱としての資質を確認できる」

 

 ちょうど人手が欲しかったしな、と天元は付け加えた。

 

「そうだね。炭治郎たちにもいい勉強になるだろう。気をつけるんだよ。上弦がいるかもしれない——」

 

 耀哉が柱合会議の終了を告げた。

 

 

 

 たが、鬼側でも前例のない大きな試みがされようとしていることを、この時の鬼殺隊はまだ知らない。

 






零……クールヒロインの影
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