黒死牟の殺気が弱められた。
息をするのを忘れ、冷や汗を流していた堕姫は兄の登場により安堵したように息を吐いた。
だが妓夫太郎の背後には隠れるようにして下弦の参・病葉の姿があった。その姿に玉壺と童磨が眉を顰める。
「無惨様がお見えなんだよなあ」
妓夫太郎がそれを言うのと同時に、琵琶の音色が響き渡る。
幾度も襖が開かれると、鬼舞辻無惨が姿を表した。何かの実験と、その考察をしているようだ。
「猗窩座が死んだ……! またひとつ十二鬼月が欠けた!」
「それは申し訳ありませぬ。1番の友人である俺が御詫び致しましょう……目玉をほじくり出しましょうか? それとも……」
「必要無い。貴様の目玉など」
無惨は冷たく童磨を一蹴した。
童磨は上弦の鬼や無惨からは煙たがられているのだ。
「猗窩座は勝つと思っていた。初めから全力で戦っていれば勝っていた。そもそも油断しなければ負けることなど……いや、もうどうでもいい。くだらぬ。人間の部分を多く残していた者から負けていく」
「敗北するとは……猗窩座……私に勝つのでは……なかったか……さらなる高みへの道も……開けただろうに……軟弱千万」
「だがもうそれもいい。私はお前たちに期待しない」
その言葉に対して童磨が抗議の声を上げる。
「まだそのように悲しいことをおっしゃいなさる。俺が貴方様の期待に応えなかった時があったでしょうか」
「産屋敷一族を未だに葬っていない。青い彼岸花はどうした? なぜ何百年も見つけられぬ。私は貴様らの存在理由がわからなくなってきた」
怒りで無惨は実験器具を叩き壊した。
「お許しくださいませ! どうかどうか!」
「返す……言葉も……ない。産屋敷……巧妙に……姿を……隠している」
「俺は探知探索が不得意だからなあ……いかがしたものか」
「わたくしは違います! 無惨様! あなた様の望みに一歩近づくための情報を必死に探しております‼︎」
半天狗、黒死牟、童磨、玉壺の順で声を上げた。
だが次の瞬間、玉壺の頭は無惨の手の上にあった。
「百十三年振りに上弦を殺されて私は不快の絶頂だ。情報を探しているなどと見苦しい言い訳はするな。これからはもっと死に物狂いでやったほうがいい。私は十二鬼月だからという理由でお前たちを甘やかしすぎたようだ」
再び琵琶の音が鳴り響くと、玉壺の頭は地面に落とされた。
「玉壺。情報を掴み確定させたら半天狗と共にそこに向え」
「無惨様……少しよろしいか」
姿を消そうとした無惨を黒死牟が呼び止める。
「なんだ黒死牟」
黒死牟は6つある目のうちの3つを妓夫太郎へと向けた。2人はアイコンタクトを取る。
「鬼……それも上弦が人間に負ける……鍛錬が……足りていないからだ……ならば」
それに続けるようにして妓夫太郎も口を揃えた。
「私……黒死牟と……」
「俺、妓夫太郎はなあ……」
黒死牟に続き妓夫太郎も口を開いた。
「「………………を提案する」」
「ん、だよなあ——」
驚く一同を前に、妓夫太郎の笑い声が無限城にこだました——
え! 何を提案したの!? と気になるところで無限列車編は終了です〜
ちょっといや結構申し訳ないのですが新章開始まで1ヶ月〜最悪2ヶ月程時間がかかるかもしれないです……でも時々閑話は投稿する予定です……!
高評価してくれたら早めに連載再開できるかもしれない……( ᐛ )
いや冗談です笑