十二鬼月・累の物語 〜Another〜   作:葵巴鈴蘭

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7話 下弦集結

 べべん!

 

 琵琶の音色が鳴り響く。

 

 無限城。ここには上下左右、重力の概念さえ曖昧な空間。琵琶を携えた女の鬼によって管理される鬼舞辻無惨の居城。

 

 

 

 

 

「なんだ? ここは……」

 

 下弦の陸・釜鵺が呟く。いつの間にかこの空間にいた。

 

「あの女の血鬼術か……あの女を中心に空間が歪んでいるようだな……」

 

 琵琶を奏る女の鬼がいた。

 

 辺りを見回すと、他にも下弦の鬼がいる。

 

(十二鬼月の下弦のみ集められている……こんなことは初めてだぞ……下弦の伍はまだ来……)

 

 再び血鬼術が発動し、この城の別の場所へと移動させられた。

 

(移動した……また血鬼術か)

 

 そこには和服の女の鬼がいた。見たことがない。

 

(なんだ……この女は……誰だ?)

 

「首を垂れて蹲え。平伏せよ」

 

 放たれる圧。生物としての格の違いを感じさせる殺気は、あの方のものだ。

 

(無惨様だ……無惨様の声……わからなかった。姿も気配も以前と違う……凄まじい精度の擬態!)

 

「も、申し訳ございません……お姿も気配も異なっていらしたので」

 

 下弦の肆・零余子が慌てて言葉を取り繕う。

 

「誰が喋ってよいと言った。貴様共のくだらぬ意志で物を言うな」

 

 

 

 

 

 べべん!

 

 と、琵琶の音と共に、無惨の近くに下弦の伍・累が現れた。

 

 今、ここには十二鬼月の下弦のみが集められているということになる。上弦はいない。

 

「現今の鬼狩りの柱は、僕が全力を出さねばならぬほどの実力を備えていました。申し訳ありません」

 

 累は柱についての報告をした。

 

「よい。下弦上位の累が……もはや十二鬼月は上弦のみでよいと思っている。累を上弦にすれば良いだけの話だ」

 

 下弦の伍・累。累は十二鬼月の序列では下から2番目ではあるものの、下弦としては規格外の才能と実力を有していた。累が下弦の伍で居続ける理由は特にない。ただ、階級にこだわっていないだけなのである。入れ替わりの血戦を申し込まないから下弦の伍のままなだけなのだ。

 

「お待ちください。この者らに一度だけ挽回の機会を与えるのはどうでしょうか。腐っても十二鬼月……」

 

(失敗したらこいつらを僕が吸収すればいい。こいつらの実力なんて知らないが……束になれば柱とも戦えるだろ)

 

 無惨はしばらく累のことをじっとみつめると、口を開いた。

 

「いいだろう……鬼狩りの柱を殺せ。それと」

 

 無惨は、累にも覚えがある鬼狩りの特徴を口にした。

 

「耳に花札のような飾りを着けた鬼狩りを殺せ」

 

(耳に花札の飾り……あいつか!)

 

 記憶に新しい。家族の絆を引き裂きさいた元凶だ。

 

(こいつらを使って必ず殺す。あの柱もだ)

 

 

 

 

 べべん!

 

 琵琶の女の血鬼術で下弦全員はどこかへ転移させられた。

 

(記憶の剣士のことを報告し忘れた……まぁいいか)

 

「分かってると思うけど、お前ら単体じゃ柱の相手にはならないからね?」

 

 累が凄むと、下弦の陸・釜鵺と下弦の肆・零余子がびくついた。

 

「それどころか、耳飾りの鬼狩りに勝てるかすら……」

 

「お、俺は十二鬼月だぞ! 柱でもない鬼狩りなんかには負けない!」

 

「末席のくせに……調子に乗るな」

 

 下弦の弐・轆轤が呟いた。

 

 十二鬼月とはいえ、所詮こいつらは下弦だ。百歩譲って、下弦の壱の血鬼術なら柱にも通用するかもしれないが……

 

「下弦の壱と弐、お前らで協力して柱を殺せ。下弦の参と肆と陸は耳飾りの鬼狩りを殺せ」

 

 累が手早く配役を指示するが、こいつらは言うことを聞かない。

 

「下弦の伍如きが指図するな。俺はひとりで十分だ」

 

 下弦の参・病葉が背を向ける。

 

「殺したい柱がいる。お前らの力は必要ない」

 

 そう言い残すと、下弦の参は素早い身のこなしで去っていった。

 

「あんなのは放っておけばいいよね。俺は弐と組んで柱を殺すよ。そして柱を喰って……もっと強くなれば、上弦の鬼に入れ替わりの血戦を申し込めるぞ」

 

 うっとりした表情で大袈裟な身振り手振りをすると、下弦の壱・魘夢は、案があると下弦の弐に耳打ちし、2人は姿を消した。

 

「お前らはどうするの?」

 

 残る2人に目を向ける。

 

「わ、わたしは……」

 

「お前は鬼狩りの柱と遭遇した場合逃げようと思っているよね? 知ってるから。今回はそんなこと許されないからね?」

 

 下弦の肆は陸と目を合わせる。

 

「に、逃げようなんて思ってない! ……私と陸は耳飾りの鬼狩りを殺すわ。あんたはどうするの」

 

(僕は……)

 

「肆と陸だけだと殺されそうだから、協力してあげるよ」

 

(そして、時を見計らって……)

 

 累は笑みを浮かべた。

 

(それに、そろそろ僕も、上弦の鬼になるべきかもしれないしね。僕を守ってくれる家族なんだから、上弦の鬼になって、それらを家族にすればいい)

 

 僕の計画は、失敗を知らない。

 




パワハラ会議回避⁉︎

できるだけ、下弦の鬼たちにも見せ場を作る予定です!

累のお話だけど、毎回累視点だと流石に面白さが欠けちゃうから、出てこない回も増えてくるかとは思いますが、許してね!

本作で、累はどれくらいの強さになって欲しいですか?

  • 継国縁壱
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