俺の発現した個性が【オール・フォー・ワン】だったって、マジ?!! 作:AC6はいいぞ!!
【Side:レディ・ナガン】
何のためにやっているんだろう。
最近、またその思いが強くなった。
休憩がてら入ったカフェで座りながらふと思う。
ヴィランや汚職したヒーローを抹殺し、この社会を維持する。そのことに何の意味があるのか。こんな社会を維持する必要が本当にあるのか・・・一層のこと
「この社会を一度崩壊させた方がいいんじゃないか。そう思ってるんじゃないですか」
聞きなれない声。
ふと顔を上げるとそこには知らない男が座っていた。
馬鹿な。いくら休憩中だからって警戒を解いたつもりはねェ。一体どういうことだ?!!
すぐさま距離を取るべきなのだろうが、ここは公共の場。もし戦闘が起きたら市民に被害がでる。そんな考えを見越してかどうかは知らないが、男はのんびりとコーヒーを飲んでいた。
「警戒するのはわかりますが、私はあなたと話をしに来たのです」
「私はいきなり現れた男と話すことなんてないが」
「私にはありますレディ・ナガン・・・いや」
「公安直属ヒーロー:レディ・ナガン」
その瞬間、私は警戒レベルを最大にした。
どうやってかは知らないが、この男は私が公安直属であることを知って接触してきた。目的は何だ?
「目的はあなたを仲間に引き入れることです」
思考を読まれた。そう言う個性か。
「思考を読む個性だと思っているみたいですが違いますよ。あなたの顔にそう書いてあっただけです」
嘘だな。これでも公安直属、そんなヘマはしねェよ。
本来なら取り押さえたいところだが・・・相手が何もしてこない以上、今は穏便に事を済ませることが大事。
「それで、私を仲間に引き入れたいとのことだが、あんたのような人間がいる組織は聞いたことねェな。なんて名前だい?」
「そうですね・・・何て名前がいいと思いますか?」
「・・・はぁ?」
「いや~、あなたを仲間に引き入れるために来たのは間違いなく、組織も立ち上げるつもりですがまだ名前すら決めていない状態でして・・・何かいい名前でもありますか?」
おいおい、こいつふざけてんのか。
「ふざけてないですよ。まだ組織すら立ち上げてません。仲間は数人いますが・・・」
「それでよく私を勧誘しに来たね。馬鹿じゃねェか」
こいつ、本当に裏社会の人間か。
裏社会の人間にしては雰囲気が全然違うし、かといってヒーローでもなさそうだ。
「そう言えば聞いてなかったが、あんたの作る組織の目的は?」
「そうですね・・・まあ、言っても問題ないでしょう。私が作る組織の目的は・・・」
「オール・フォー・ワンの抹殺、およびその影響下にある組織・人物の排除です。」
な・・・馬鹿かこいつ。
オール・フォー・ワンの名前を知っているということはその個性も知っているってことだよな。それなのにこいつは
「あれ、嘘だと思われてますか・・・心外ですね。まあ、もちろん他にも目的はあります」
「これでも自分のために、本気で考えているのですが」
狂っている。ただ平和に暮らしたいならヒッソリと生きればいいだけ・・・それなのにこいつは
「ああ、いっときますが、自由気ままに生きたいと願う性分ですが、平和に暮らしたいとも思っているんですよ。ただ、この超人社会には時限爆弾が多くあり過ぎますし、それに・・・」
「オール・フォー・ワンが日本を征服したらそうも言ってられないので仕方なくです。」
何を根拠に言ってるんだ。オール・フォー・ワンが日本を征服だと?!!
確かに、今でこそオールマイトによって、裏社会に追いやられていっているが、1度は日本を牛耳った存在。また征服されないという保証はない・・・だが
「今はオールマイトがいる、彼なら「きっとオール・フォー・ワンを倒すでしょうね」」
オールマイトがオール・フォー・ワンを倒すことを確信している?
こいつは一体何が言いたいんだ?
「でもきっと、オール・フォー・ワンを逃すでしょうね。捕らえたとしてもタルタロス送り、殺すことはしない。そしてオールマイトは今40代、もう全盛期は過ぎている」
「彼はあとどれぐらい持つんでしょうね。10年、それとも20年ですか?あなたはどう思いますか?レディ・ナガン?」
その質問に、私は答えられなかった。
確かに"平和の象徴"たるオールマイトのおかげで犯罪率は下がり続けている、もし彼が引退でもすれば
「また再び犯罪が活発になる。その程度ならまだマシですが」
「オール・フォー・ワンが再び現れた時、誰が止めるんですか?」
まるで誰にも止められないとでも言いたげに言い放った。
実際問題、誰が止められるだろうか。エンデヴァー?ベストジーニスト?・・・彼らに止められるか?
「彼らでは止められないですよ。私が保証します」
「何を根拠に行ってるんだい?」
「客観的事実を元に、ですかね?」
「それはそうと、少し不用心ではないですか?」
「なんだい、不審な人間と話すこと以上の不用心があるってかい?」
「はい、そんな大声で話したら、周りに聞かれますよ」
しまった。ここは公共の場・・・周りには何も知らない市民がいる。あまりに動転しすぎて気づかなかった。
「ああ、言っときますが彼らは聞いてませんよ。聞かれないように【個性】を使用したので」
ハッタリか?・・・こいつの【個性】は思考を読む個性じゃないのか?
「そろそろあなたのお仲間も来そうなので、私はこれでお暇させてもらいます。・・・言っておきますが」
「あなたはこのことを忘れるので、追いかけることはできませんよ」
「それは一体どういう・・・こと」
なんだ、薬を・・・盛られ・・・た
・・・・・・
「うん・・・私は何を?」
カフェで休憩していて・・・何かしていたか?何かしていたと思うんだが・・・
「ナガン・・・どうした?」
「いや、何でもない」
最近、疲れが溜まってきてるせいかねぇ。体調管理には気をつけないと
・・・・・
「さすがに最初から成功すると思ってなかったが、それでも緊張したな」
レディ・ナガンとの最初の会合が終わって、俺は拠点に戻り、【変身】を解除した。
・【変身】
他者の血を摂取し、その姿に変身できる【個性】。1度に複数の人物の血を飲めば、その分多くの人物に変身できる。変身時間と摂取量は比例する。俺の場合、変質させたことで血液を摂取する必要がなく、前世の姿になる・・・らしい?
何故らしいと言っているのかと言うと、そもそも前世の記憶がなく、変身後の姿は俺が大人になった姿を想像しても、明らかにかけ離れているのだ。まあ、不細工ではないし、変身時間は無制限みたいだから良しとしよう。
【変身】の個性は原作でも登場した"渡我 被身子"から複製した個性だ。複製した際に色々あったのだが・・・あまり話したくないので割愛。そんなことを考えていると、奥からトゥワイスとエアがやってきた。
「結果はどうだったボス?」
「まだ顔合わせの段階、勧誘はこれからだ」
さすがに最初から勧誘が成功すると思っていない。
「そう言えばお前決めたか?」
「何をだ?」
「名前だよ名前。組織の名前もそうだがお前のヴィラン名も」
そう言えばこの間、トゥワイスが言ってたっけか。ちなみに俺が彼のことをトゥワイスと呼ぶのは身バレ防止が理由でそのことを話すと俺もヴィラン名で呼んだ方がいいって話になったのだ。
「そうだな・・・そうだな・・・あ」
「何か思いついたのか」
「ああ、前世のとあるゲームのキャラと組織の名前だ」
「一体どんな名前だ?」
「レイヴン」
ゲームから取ってきた名前だが、自由に生きたいと思っている俺に合っていると思う。それに
「俺にとって、ヴィラン・・・いや、悪とは正義と対をなすものではない」
「正義は社会的規範を守る存在。社会に守られながら生きていく存在だ。もっとも、その中にも普通に悪は存在するが」
「確かに、社会ってのはそういうもんだな。悪ってのは社会的規範を守らない奴のことじゃないのか?」
「悪はルールを守ってもいい。守らなくてもいい。それこそ自分の意志で自由に決められる。何者にも縛られない反面、何者にも守られない。だからこそ自己責任。そうやって自由に生きていく。利己的な奴がそうだな。俺自身、社会に縛られずに自由に生きたいと思う人間だし」
誰にも縛られずに自由に生きる存在。そう言った意味でも、レイヴンと言う名前は合っていると思う。
「要するに好き勝手生きているやつがそうだってことだな」
「まあ、俺は無責任な奴らは嫌いだがな」
「まるで俺のこと言われているみたいでグサッときたぜ」
「なら反省して今後はちゃんと考えることだな」
「そうさせてもらうぜ」
「そして組織名は」
「ブランチ」
レイヴンとなれば、やっぱこれだろうな。レイヴンのための組織、俺のための組織なのは間違いないし。
「俺たちのような存在が集まる止まり木」
「そう考えると、悪くない組織名だと思うけど、どう?」
「いいんじゃないか、俺は賛成だぜ」
「私も賛成です」
「なら、今日からこの組織の名前は"ブランチ"。俺は"レイヴン"を名乗ろう」
ゲームから取ってきた名前、設定をそのまま使ったが、シンプルでわかりやすくていい。
「組織の行動方針はどうしましょうか」
「組織の行動方針は、2人にはもう話したと思うけど"オール・フォー・ワンと影響下にある組織・個人の排除"、"超人社会の抱えている社会問題の解決"、個人的な内容になるが、陰奪全部に降りかかるであろう脅威の排除もだな」
「組織を私物化してんじゃねーか!!」
ぶっちゃけた話、この組織は俺が幸せになるために作った組織だ。むろん、メンバーも幸せにする気だが、俺自身が幸せにならないと話にならない。
オール・フォー・ワンを排除するのも、超人社会の問題を解決するのもそう。そして力、権力を持とうとするのも、俺や俺の周りの人間に降りかかるであろう脅威に対処するためでもある・・・あ、そうそう
「たった3人ぽっちの組織の掲げる目標じゃねェな!!」
「戦力増強はともかく、裏社会の地位や権力の確立はもっと後にする気だったんだけど、エアの加入で状況が変わった。エアがサポートしてくれるならこっちも同時に進めようと思う」
オール・フォー・ワンを倒すのはいいが、超人社会は社会的問題、時限爆弾がたくさんある。倒した後に爆発して秩序が乱れて世紀末じゃ本末転倒だ。
だからこそ、地位や権力が必要になる。それを手に入れるために、補助してくれるAIを欲していたのだが、予想以上に有能なエアのおかげでかなり前段階で計画を進められそうだ。
「まあ、今はオール・フォー・ワンがまだ君臨してるし、組織を立ち上げたばかりだから、徹底的に隠密しつつ、組織の拡張」
「それが最善策なのは間違いないですね」
「具体的にはなにすんだ?」
「資金調達、フロント会社を設立したり、今ある拠点を拡張したりだな。エアがフロント会社の設立・運営。資金が溜ったら、裏社会の組織も掌握したいが、それはオール・フォー・ワン失脚後だな。トゥワイスが拠点の拡張。俺がその両方を補佐」
「でもお前いいのか?学校があるだろ?」
そう、俺は小学生。学校があるのだ・・・
「そこは【2倍】を活用しつつだな。表側の生活を大事にしたいから、基本的に拠点にいるのは複製体のほうだ」
本当は複製体と入れ替えて学校もサボりたいが、何かあって複製体がやられたら大惨事だ。
複製体は骨折程度のダメージで解除される。ほかの【個性】も発動しているおかげで、ほぼ解除される可能性はないが、日本であってもヴィランに遭遇するは低いがないわけじゃないし、表立って【オール・フォー・ワン】は使えない。想定外を想定すべきだ。
「おいおい、良い子は寝る時間だぞ!!」
「・・・そう言うなら、俺の分までトゥワイスが頑張ってくれ」
「そりゃあ、ブラックすぎんだろ!!」
ブラック?ハハハ、ヴィラン組織でブラック、上等。
トゥワイスにはしっかりと働いてもらおう。
「金を集めて組織を拡張するのはわかった。その後は?」
「その後か・・・どうしようか?」
「おいおい、考えてなかったのかよ。」
「ある程度案は考えているよ。社会問題を解決したいならぶっちゃけた話、"異形型・無個性への迫害"など大体が【個性】がかかわる問題、【オール・フォー・ワン】で解決が一番手っ取り早いんだけど」
「それはおススメしません。困難である以前に秩序が崩壊しかねません。場合によってはオール・フォー・ワンの再来として世界が敵になります。」
「だろうな。適当に言ったが、やっぱエアもダメだと思うか」
「いえ、方向性自体は悪くないです。"【個性】を封印する【個性】"と偽って非活性にした複製と入れ替える、などですね。混乱は避けられないですが、【オール・フォー・ワン】を前面に押し出すよりはだいぶマシかと」
なるほど、その手があるか・・・そんな個性は知らないが、ないとも限らないか。
実際に【個性】に干渉できる【個性】があるわけだし。
「まあ、おふざけはここまでにして、ちゃんと考えている案を話そうか」
「お、どんなんだ?」
「オールマイトのような象徴を作り上げる」
「お、"平和の象徴"になるのか?」
「いや、"自由の象徴"。レイヴンは"自由意志"とされていた。なら俺もそれを目指す。そうすれば裏からヴィランを制御するのに役立つ」
「そうか?逆に秩序を乱す存在だと思うが」
「それはやり方による。ヒーローは社会のルールに縛られてるからできないことも多いだろ、だが俺たちは違う」
社会のルールを守らないからこそできることもある。
実際に公安がそれで超人社会の安定をさせていた・・・最も組織が腐ってしまったし、根本的な解決方法を見いだせなかったが・・・
「象徴となれば、俺の行動のやることが社会を変える大きな力ともなる。政治家と一緒さ。俺が力を持てば影響力も大きくなり、社会の問題を解決するための力ともなる」
「ですが、ヴィランとしてです」
「ああ、ヴィランでも影響力を持つやつはいた。そいつが社会を変えることもな」
原作のステインがいい例だ。どういう形であれ、社会を変えるほどの力を発揮した。
「でもさ、社会のルールを守っている奴らが、ルールを守らない奴のいうことを聞くか?」
「聞くだろうな。意外とそういうことはルールを守っている奴らは気にしない。あと、"ルールを守るべきだ"というのは、ルールによって守られている奴らの言い分でもあり、守られていない存在、迫害を受けている"異形"や"無個性"、そして"ヒーローから見捨てられたものたち"には関係ない。彼らは権利を享受できないのだから責任を守る義務もない。異形型なんかは結構ヴィランが多い」
実際に、異形型はわかりやすく守られないことが多かったし、そのせいで後々超常解放戦線に多くの異形型が組みすることになった。そういう奴ほど、レイヴンという象徴に集まって来るだろう。それはそれでヴィラン連合に組する可能性が低くなる。
「・・・レイヴン、あなたは権利を享受する側の人間です」
「確かに俺は社会のルールによって守られているが、それは【オール・フォー・ワン】のことがバレてないからだ。あと、俺は国家権力、警察やヒーローを信じていない」
前世の知識や経験はあるため、警察やヒーローが本当の意味での正義の味方ではないと知っている。それに、原作の日本崩壊とその要因がどんなものか知っている以上、信用しろというほうが無理がある。
「・・・」
「ヒーローだけではどうしても限界がある。ヴィラン側の権威だろうが力は力。あるにこしたことはない。もしかしたらそれが役に立つかもしれないしな」
「・・・それが無責任や身勝手で手に入れた結果だとしてもですか?」
「力があるのに何もしない方が無責任で身勝手だとは思わないか?」
「詭弁ですね」
実際、詭弁かもしれないな・・・だがなエア、勘違いしている。
「悪とはもっとも自由な存在だ。そしてそのことに対する責任は俺が負う」
「いいじゃん、ヴィランらしくていいぜ!!」
「・・・そう言えば、ここはヴィラン組織でしたね」
今頃気づいたか、エアよ。だがもう遅い。
「やり口としては、ヒーローと基本的に同じ、人助け」
「ただし、ヒーローや国家が手出しできない敵を超法規的な手段で排除することなども含まれる」
手段については後でエアとも相談しつつ考えよう。
こうして、俺の組織が誕生した。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
エアの時もそうでしたが、メチャクチャAC6要素を投入しています。なお、まだまだ追加予定・・・