俺の発現した個性が【オール・フォー・ワン】だったって、マジ?!! 作:AC6はいいぞ!!
『レイヴン、本当にやるんですか?』
エアが【電脳】を通じて心配そうに尋ねてきた。
『別に、危険なことをするわけじゃないんだけど?』
『そうですが、下手に介入することになると、取り返しのつかない可能性があります。危険です』
『・・・かもしれないな』
俺が今やろうとしているのは原作介入。具体的に言うと・・・
緑谷 出久との接触。および強化だ。
"僕のヒーローアカデミア"の主人公であり、【ワン・フォー・オール】の継承者。エアが警戒しているのは原作が大きく変わることもあるが、俺が【オール・フォー・ワン】を所持していることで敵対する可能性があるのではないかと危惧しているのだ。
『原作では緑谷は継承当初、ロクに個性も扱えない状態だった。それなら今のうちに鍛えた方がいいだろ』
『そうですが、原作を大きく変えるということは』
『下手をすれば【ワン・フォー・オール】を継承されなくなる可能性があるが、そこはブランチで裏から操作すればいい。俺も動けば難しくはないだろ』
『・・・少し、短絡的ではありませんか?』
『そうかもな・・・でも、よりよい未来を掴むなら、この方がいい・・・それに、エアも協力してくれるんだろ?』
『・・・その言い方は卑怯だと思います』
さて、エアの同意を得られたところで早速接触するか。
接点のない緑谷とどうやって接触するかというと、緑谷の居そうな場所にそれっぽく声を掛ければいいだけ・・・簡単な話だ。
・・・・・・
【Side:緑谷 出久】
「やっぱりカッコいいな、エアジェットは」
「そうか?後ろ姿しか見えなかったが、デザインを変えればもっとカッコよくなると思うけど?」
いつもの日課で、ヒーローの活動をノートにメモしていると、同い年と思われる男の子が話しかけてきた。
「君は?」
「俺は陰奪 全部。よろしく」
「僕は緑谷 出久。この辺に住んでいるの?」
「住んでいるのはここから電車で1時間の場所。今日はエアジェットを見に来たんだ」
この辺で住んでいるじゃないのか。それにしてもエアジェットを見にわざわざ来るなんて。
「陰奪君もエアジェットが好きなの?」
「いや全然、エアジェットを見に来たのは観察するためだ。色々なヒーローを調べていて、どんな【個性】をどのように扱うのかを調べている」
ヒーロー観察が趣味なのか。僕と一緒だ。
「陰奪君もヒーローが好きなの?」
「いや全然、ヒーローを観察するのは俺がヒーローになったときの【個性】の使い方の幅を広げるためだ。将来のための勉強みたいなものだな」
「そ・・・そうなの?」
ヒーローを見に来たのに、ヒーローが好きじゃないのか・・・
「そう言う緑谷はヒーロー志望じゃないのか?熱心にノート取ってたし?」
「いや・・・僕は・・・【無個性】なんだ」
僕は【無個性】でヒーローになれない・・・そうヒーローに
「・・・で、だからどうした?」
「・・・え?」
「確かに【無個性】は社会的に迫害対象だ。認めるよ。【無個性】だからヒーローになることを阻止しようとする人間もいるだろう・・・だけど」
「少なくとも、【無個性】がヒーローになれないなんて、そんなルールは存在しない」
「いや・・・でも」
「まあ、さっきも言ったように【無個性】は迫害対象だ。邪魔もされるだろう。でも不可能かどうかで言われると不可能じゃない。【個性】持ちよりは圧倒的に不利だけど」
そう言われたとき、僕の中の何かがざわめいた。
病院でお医者さんから【無個性】だって言われた後、お母さんから【無個性】であることを謝られた。周りも無理だと言った、でも
それでも、僕は・・・
「それで、緑谷は諦めるの?他人に言われたから?」
「・・・諦めたくない。でも「諦めたくないなら、方法を模索して必死に努力するしかない」・・・」
「実らないかもしれないが、やらないよりはマシだ」
そういうと、陰奪君はスマホを取り出して
「スマホ持ってるか?情報を送りたいんだけど」
そう言われて、慌ててスマホを出して連絡先を交換した。そしてある住所の情報が送られてきた。
「ここは?」
「個性習熟道。幼少期から【個性】を練習するための道場だったんだけど、今は廃業中で俺を含めた数人で身体づくりや【個性】の練習をしてる」
「でも・・・僕は」
「ヒーローを諦めてないなら一度来い。もし何かを変えたいのなら・・・今日は土曜日だから、明日の9時に」
「・・・」
「チャンスは訪れた時につかみ取ったものにしか与えられない。どうするかは自分で決めろ」
そう言って、陰奪君はその場を後にした。
・・・・・・
「やあ、昨日ぶりだね」
「来たよ・・・こんな場所があったなんて知らなかったよ」
「ああ・・・1世代以上前の遺物だからな」
「使っておいて遺物扱いとは失礼な奴だな」
陰奪君のあまりの言いように道場のおじさんに軽口を言うが、全然気にしてないようでさっさと上に戻っていった。陰奪君のほかの女の子が2人、準備運動をしている。
「さて、今回呼んだわけだが、目的を言う前にいくつか質問する」
「な、なに?」
「ヒーローになるためには【個性】は必須か?」
「必要だよ。少なくとも【無個性】ではやれない」
「ヒーローはヴィランとの戦闘を避けて活動できるか?」
「・・・できない。避けたとしてもどうしても戦う必要がでてくるはず。市民を守るために」
「ヒーローは必ず【強個性】と呼ばれる強い【個性】でないとなれないか?」
「そんなことはない。【個性】の強さは関係ない。【個性】の使い方でいくらでも戦える」
「じゃあ、最後に質問・・・」
「ヒーローは必ず戦闘向けの【個性】でないといけないか?」
「違う。戦闘向けの個性以外にも様々なヒーローがいる・・・何が言いたいの?」
「ヒーローの【個性】は様々、中にはサポート系で全然戦闘向けじゃない個性だってある。ようするに・・・」
「戦闘ではほぼ【無個性】と同じなのに、ヒーローしている人たちがたくさんいるってことさ」
考えたこともなかった。言われたらその通りだった。
「・・・でも、それは」
「ほかの分野で活躍してるからヒーローとして活動できている。でも実質【無個性】でも戦えている人たちがいるのは確か」
「ほかの分野って言っても様々だ。救助だったり、調査・探索だったり、もしかしたら事務仕事だったり」
「・・・」
「無個性でもハッキングはできる。まさかツールも個性で作り出したり操作しないといけないルールはないだろ?」
「・・・」
「考えもしなかっただろ、ヒーローは【個性】を活用して活躍している。でも・・・」
「必ず【個性】を使って活躍しているわけじゃない」
・・・その通りだ。【個性】を使って活躍はしているが、必ず【個性】を使って活躍しているとは限らない。それは色んなヒーローに言えることだった。
「【個性】以外の部分でも自分の実力で活躍している人たちもたくさんいる」
「そう考えると、【個性】を持ってないとヒーローになれない理由はないだろ。まあ・・・」
「【無個性】でヒーローになるためには死ぬ気で努力する必要があるが」
「死ぬ気で・・・」
「当然だろ。スタートラインにすら立ってないし、自分を見てみろ。身体づくりができてない。戦うための術もない。サポートするための技術もない。これでどうやってヒーローになると?」
「そ・・・それは」
確かに、今の僕には何もない。何をすればいいのか。どう戦えばいいのか。ヒーローになったときのヴィジョンが見えなかった。
「それで言ってなかったけど、俺の目的は緑谷のスカウト」
「スカウト・・・僕を?」
「ああ、俺はヒーローの観察をしているけど、ぶっちゃけ面倒でね。代わりに誰かにやってもらいたいと思っている。観察結果を解説しながら教えてくれればいい」
「それを僕が?」
「他にも色々あるが、メインはこれかな?」
「・・・」
「何か質問は?」
「本当に【無個性】でもヒーローに?」
「さあ?それは緑谷次第」
「・・・」
僕は迷った。
観察の代わりは僕の趣味と被っているから問題ない。むしろ喜んでやろう。でもヒーローになれるか・・・自信がなかった。
「このビビりのヘタレめ」
「ビ・・・ビビりのヘタれ?!!」
「事実だろ・・・仕方がない。一度手本を見せよう」
そう言って彼は、道場の真ん中まで行くと、
「金的、目つぶしアリ。そこにある棒やトンファーなどの道具もアリ。ただし飛び道具はナシ」
「い・・・いいの?危ないんじゃ?」
「素人の拳や棒キレに当たりやしない。同い年が【個性】を使えなくてもやれることを見せてやるからかかってこい。ああ、攻撃は寸止めするから安心しろ」
そこまで言われても迷った・・・でも
それ以上に知りたかった。陰奪君がどこまでやれるのか。【無個性】でもやれるという可能性を
「よ、よろしくお願いします」
そう言って、陰奪君に挑みかかり・・・結局一度もまともに攻撃は当たらなかった・・・
・・・・・・
「だから言っただろ、まともに当たりはしないって」
「うん・・・まさか女の子にも負けるなんて」
「当たり前だ。彼女たちも格闘技を身に付けようと必死に努力してるんだ。素人に負けるわけないだろ」
陰奪君に挑んだ結果は惨敗。
最初は動きを見切られてカウンターからの寸止め。少し動きを観察して、カウンターを読んでフェイントしてみたけど対応された。
その後、女の子二人とも対戦した。僕としては女の子相手に攻撃するのは嫌だったんだけど、そんなことヴィラン相手にも言うつもりか、などと言われたうえ、向こうがやる気だったので、少し躊躇しつつ挑みかかった。
まずは陰奪さん。陰奪君の妹でこっちも惨敗。
全部君と違って蹴り技主体の動きで、最初は挑みつつ観察していたのだが、蹴りが速く、カウンターを仕掛けようとしても全然上手くいかなかった。
次に葉隠さん。
透明人間で長袖長ズボン姿だったため、動きは見えていて、前の2人ほど動きの切れがなかったが、前の2戦で体力を消耗していたため、まともに動けず普通に敗れた。
「【個性】も大事だがこういう技術、身体づくりも大事。まともに攻撃を当てられなかったし、最後にバテてたのがいい証拠だ」
「そうですよ。こういうのはとても大事です」
「いつも2人にボコボコにされてたけど私、強くなってた!!」
ハハハ、陰奪君のいうことは正しい。
なんで今までこういう努力をしてこなかったんだと後悔してしまう。
「今からでも遅くないんじゃないか?本気でヒーローを目指したいなら・・・それでどうする?」
そんなの、言うまでもない。
「はい、お願いします!!」
こうして僕は、【無個性】でもヒーローを目指すための努力を始めた・・・
「あ・・・その前に、お母さんに相談してもいいかな。こういうの勝手に決めたらダメだと思うから・・・」
「そうだな。今度緑谷の家を訪ねるからその時に相談するか」
ちょっと締まらなかったが、こうしてヒーローを目指すための1歩を踏み出した。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
やっぱ、原作を変えたいなら主人公を強化するのが手っ取り早いですね。