俺の発現した個性が【オール・フォー・ワン】だったって、マジ?!!   作:AC6はいいぞ!!

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ep20:空想科学による機体開発と【個性】の真価・問題点

 

 

『・・・なあ、エア』

『なんでしょうか。レイヴン?』

『機体開発があらぬ方向に進んでいるのは俺の気のせいか?』

『言っておきますが、あらぬ方向に進んでいるのはレイヴンもですよ』

『確かにな。まさか、【個性】のせいでオール・フォー・ワンのようになる可能性があるとは』

 

 

エアと【電脳】で会話しながら内心頭を抱えていた。なぜ頭を抱えているのかと言うと、組織にいる複製体と同期した際に得た情報のせいだ。

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

「レイヴン。フェイズシフト装甲を作りましょう」

 

 

定例の会議でいきなりメイカーから意味不明な提案をされた。意味自体はわかる。フェイズシフト装甲は"一定の電圧の電流を流すことで相転移する特殊な金属"の名称で確かに、有用な装甲であることは間違いない。この世に存在しないという致命的な欠点を除けば。

 

 

「なあ、原理がわかっていて、予算・設備があっても空想科学を実現するのは厳しいだろ。しかもかなり厳しい期限付き。予算的に趣味でできないのはわかるが、さすがにそれは叶えられない。」

 

 

メイカーのお願いを聞いてあげたいが、さすがにそれはできない。

 

 

「あの・・・それなんですがレイヴン。私もフェイズシフト装甲を作ることに賛成です」

「エア、それマジで言ってんのか?」

 

 

まさかのエアも賛同・・・だと?

 

 

「理由は先日、レイヴンが取得した【密度操作】の【個性】が原因です」

 

 

・【密度操作】

 触れている物質の密度を操作できる個性。操作可能範囲は自身の消費するエネルギーに比例する。

 

 

「いや・・・まあ、確かにこの【個性】と遺伝情報を組み込んだサポートアイテムを組み合わせればできると思う。だが」

 

 

使えるのは【密度操作】を持っている奴だけ。複製を渡せばできなくはないが、フェイズシフトを実現するには【個性】の練度が高くないといけなさそうだし、複数個性持ちだとバレる可能性が・・・いや、特殊な装甲として誤魔化せるな。だが複製とはいえ【個性】を増やすのは

 

 

「そうではなく、【密度操作】を保有していなくても、バッテリーさえあれば利用可能な装甲です」

「え、作れるの?」

 

 

いくらなんでも、【個性】なしで実現するのは厳しいんじゃ。

 

 

「それなんですが、【活性化】と【密度操作】の遺伝情報を金属に付与すれば、理論上は可能です」

 

 

・【活性化】

 物質の特定の機能を活発にする【個性】

 

 

俺の【強化】と違ってかなり限定的な【個性】だったと記憶してるが

 

 

「【活性化】は個性因子の反応を活発にすることができ、個性因子を含む遺伝子情報を持つ物質に対してエネルギーを加えることで、限定的ですが【個性】を発現させることができます」

 

 

マジか、【個性】にも反応するのか・・・え、それヤバい発見じゃないか?確か、原作では治崎がエリちゃんの肉体を分解し、"【個性】を破壊する銃弾"と"【個性】を復活させる血清"を作っていたが、あれは一種の裏技のようなもの。

 

 

それを再現・・・いや、遺伝子情報さえあればもっと簡単に作れる。理論上、誰でも様々な【個性】を利用することができるようになる。そう考えると、上位互換か・・・あ

 

 

「話が見えてきた・・・要するに」

 

 

「遺伝子情報を下さい」

 

 

狙いはそれか。遺伝子情報か・・・髪の毛か、血液だな。研究するなら血液の方がいいか。献血だと思えば

 

 

「血液を、5ℓほど」

「俺を殺す気か」

 

 

容赦なく殺しに来たぞこの技術者。いや、複製体で分担すれば問題ないか。

 

 

「なあエア。もしも、この物質に付与した個性因子を自在に利用できる技術が確立すれば」

「とんでもないことになりますね」

 

 

だろうな。下手をすれば超人社会が崩壊する危険すらあるぞ。

 

 

「まあ、レイヴンの【個性】にかなり依存しているため、技術が確立できたとしても再現は難しいでしょう」

「それもあるが、やっぱメイカーがいるからだろう。これほどの天才を組織に引き入れられたことは幸運以外の何物でもないな」

「レイヴンからそこまで素直に褒められると・・・照れますね」

 

 

事実、これを作ったメイカーは天才と言うほかない。

 

 

あと、技術が確立しても再現が難しいと言ってたが、そんなことはない。【個性】を活性化できる類似の【個性】と【個性】と個性届によって集められた情報を使えば、難易度はそこまで高くない。倫理的には問題があるが、裏でコッソリやれば日本でもできる。

 

 

「今後、定期的に血液採取させるから実験にはそれを使えばいい。1ヶ月毎だが問題ないだろ?」

「1週間ごとではダメですか?」

「う~ん、まあいいか」

 

 

今後、定期的に血液を要求されるだろうが、よりよい機体ができるなら悪くない。なお、創生が暴走して血液を奪い取られる可能性が出てきたことについては考慮しないものとする。

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

「まさか、空想科学を実現できるとは。あの調子だと、フェイズシフト装甲どころか他にも色々と作りそうだ」

「まあ、目の前に空想の世界の主人公みたいな人がいるから、ある意味必然では?」

「誰が空想世界の人物だ」

 

 

イヴが組織に加入してから、メンバーに対して検査を行い、今はその結果を確認しに来ている。病気もそうだが、エアを除く全員が複数個性持ちであるため、【個性】の複数所有による肉体への負荷を調べるのは必須だ。

 

 

「それで、結果はどうだったんだ?エアと相談しつつ【個性】を付与していたから問題ないと思うが」

「問題なかったわ。ただ、今後どうなるかわからないから、定期的に検査する必要はあるわね」

「色々とありがとう。イヴのおかげで【個性】による弊害で仲間を失う危険性が減った」

 

 

渡した【個性】が複製で容量が少なかったこともあり、思っていた以上に問題なかったらしいが、ただ運が良かっただけだろう。

 

 

今後は1か月ごとに簡易的な検査、半年ごとに本格的な検査をすればいいかな。感覚は短いが、何かある前に見つけるにはこれぐらい定期的にやった方がいい。

 

 

「それにしても、まさか空想科学にまで手を出すことになるとは」

「それを言ったら【個性】そのものが、超常以前は空想科学そのものですよ」

 

 

確かに、普通では考えられない現象を【個性】で起こせるからな。そう言った意味でも【個性】は空想科学と大差ないのかもしれないな。

 

 

「ですが、よく許可を出しましたね。失敗する可能性もあったのでは?」

「あったけど、エアが後押ししていたし、本当に技術が確立されるならありがたい。それにメイカーならきっとやり遂げるさ」

「随分信頼してるのですね。羨ましいです」

「もちろん、イヴも信頼している」

 

 

機体を動かすために、複製とはいえ【個性】を数十個いるとか論外だし、【個性】を付与せずに利用できるならそれに越したことはない。

 

 

「それと陰奪 全部として、効率的に【個性】を強化する方法はないか?」

「あら?エアさんに相談して、今も効率的に【個性】の強化訓練を行っているのでは?」

「俺じゃなくて、表社会の俺の周りの人間。薫と葉隠を強化したい。イヴならいい方法を知っていると思ってな。何かないか?」

 

 

雄英に入学する以上、強化はしておきたい。だが、通常のやり方では、【個性】の強化も限界がある。身体が未熟だしある意味仕方がないが、それでも今後のことを考えるとできる限り強化したい。

 

 

「レイヴンは例外ですからね。色んな【個性】を組み合わせて効率的に訓練してますし」

「表ではそれはできない。だから何かいい方法はないか?」

「方法も何も、レイヴンがその子たちの【個性】を強化すればいいのでは?」

「・・・え?」

「あれ、言ってませんでしたか?先日の検査で色々とわかったのですが、レイヴンの持っている【強化】は・・・」

 

 

「他人の【個性】も強化することが可能です」

 

 

「マジか・・・有機物が対象なだけでも汎用性が高いと思っていたのに、【個性】もか」

「はい、想像以上に凄い【個性】ですよ。【強化】は」

「だが、強化するには接触が必須。あと、強化しても強化自体は一時的なものだろ?」

 

 

実際問題、永続的な効果がないことは実験でわかっている。

 

 

「それなんですが、強化されたという結果は残るわけでして、半永続的に強化し続け、それに身体が適応すれば理論上、永続的な強化は可能です」

「でも永続的な強化は・・・創生が今開発している技術か」

「腕時計のようなものを開発して、身に付けさせれば可能でしょうね」

「でも操作はできない。あと、できれば本人たちに気づかれたくない」

 

 

常時おもりを付けることで身体を慣らし、強化するのと同じ要領、時間はかかるがリスクは少ないし、このことが露見する可能性も低い。ただ、【個性】を自動的に強化できる腕時計となると・・・どう考えてもトラブルの元だ。情報が漏れた瞬間、あらゆるところから狙われる。てか、俺の【強化】が他人の【個性】を強化できることは秘匿だな。それと【強化】が生物を対象に出来ることも秘匿しよう。幸いなことに、強化率が低く、基礎訓練中だったおかげでまだ他人に試していない。そのまま秘匿だ。

 

 

「そこは強化率を計算して、安全マージンを取ればいいかと、それと他人からわからないような調整機能を追加し、コッソリ調整すればいいかと」

「う~ん・・・まあ、それがいいかな」

 

 

多少のリスクはあるが、今後のことも考えるとやっておくべきだ。

 

 

「なら、後でメイカーにも相談だな。ある程度技術が確立したら作ってもらおう。メンバーへの配布もアリだな。イヴも協力してくれないか」

「もちろん、協力するわ」

 

 

イヴも協力してくれるなら問題ないな。メンバーに配布すれば組織の強化にもつながるし、一石二鳥だ。

 

 

「それにしても、レイヴンはなんでもアリですね」

「まあ、【オール・フォー・ワン】が何でもありだからな。ただ、全能と言うわけじゃないからな。あれはあれで欠点はある」

「ああ確かに、レイヴンは欲深いですからね」

 

 

確かに、俺は欲深い。だがそれがどうした?

 

 

「【個性】はその人物の身体機能の1つで、【個性】がその人物の人格形成に大きな影響を与えることも少なくありません。特に、異形型は人格にも大きな影響を与えることが研究でわかっています」

 

 

中には動物としての本能が強くなるパターンもあるらしいな。原作だと"ハウンドドッグ"。【犬】の【個性】を保有しているせいで、犬としての本能が強く出て、感情が昂ると一時的に本能に飲まれてしまう。

 

 

「ちなみに、レイヴンの場合は欲望に忠実になります。生来、生まれ持った性質もあるのでしょうが、少なからず【個性】の影響も受けているみたいです」

 

 

オール・フォー・ワンも欲深かったな。生来の性質だけでなく、【個性】も影響していたのか?

 

 

「まあ、多少なりとも受けているだろ。だが、目立った問題はない。異形型でもないんだ。気にするほどでもないだろ」

「ちなみに今後、【個性】が強化されていくと、欲望も更に強くなると思われます。【オール・フォー・ワン】は現時点でさえ強力な個性なのに、これ以上強化すると」

「欲望に負ける可能性があるか」

 

 

イヴがうなずいた。

マジか・・・俺、オール・フォー・ワンのこと嫌いなんだがな。それこそ、鼻で笑って馬鹿にするほど嫌いだ・・・だが、今後同じようにならないかと言われると、わからない。同じ【個性】を持っていることもそうだが、似ている部分も少なくない。

 

 

俺自身、オール・フォー・ワンのようになるつもりはないが、なれる要因・要素は持っている。後釜に座ろうと思えば、思ったよりも簡単にできるだろう。それに嫌っているとはいえ、同じようになる可能性は【オール・フォー・ワン】のせいで消えない。

 

 

今後、欲望が強くなり、その欲に負けるようなことがあるとすれば・・・また、欲に負けなくても、何かをきっかけになることも・・・ありえる。

 

 

「オール・フォー・ワンのようにはなる気はないんだが、絶対にならない。という確信は持てないな」

「未来は誰にもわからないですから」

「ちなみに、対策などはあるか?薬によるコントロールとか」

 

 

欲望を抑える薬があるかはわからないが、場合によっては用意すべきか?

 

 

「精神安定剤で一時的に安定させることができるでしょうが、常時薬に頼るのはあまりよくありません。また、現時点では問題ないため、定期的に【個性】を訓練し、制御できるようにするのが理想でしょう」

 

 

【個性】による問題は【個性】を制御することで対処するか。場合によっては、解決策となる【個性】を探すのもアリだな。憂鬱になる話だが、早めに知ることができただけでも良しとしよう。

 

 

俺はそんなことを思いながら、これから頭を抱えることになるであろう本体に同期して情報を連携した。

 




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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