俺の発現した個性が【オール・フォー・ワン】だったって、マジ?!! 作:AC6はいいぞ!!
「証拠の隠滅は大丈夫か?」
「施設のほうは大丈夫です。レイヴンがヴィランと行ったドッグファイトに関しては・・・残念ながら、"夜空を高速移動する謎の光点"というスレがネットに上がっています」
「あの野郎」
施設のほうはともかく、想定外だった飛行ヴィランのことは秘匿できなかったか。エアも対処してくれてはいるんだが、対処に困っているみたいだな。
「これは下手に消そうとするよりも、情報の規模が小規模になるようにコントロールし、沈静化した後に情報を削除するのが一番ですね」
「はあ・・・まあ、しょうがないか」
幸いなことに、ネットの一部で話題になっている程度。下手なことして広がるよりも、収束した後に痕跡を消した方がいいか。
「それとオールマイトがオール・フォー・ワンを倒したとの情報が公安から流れてきました」
エアからそう言われ、俺たちに緊張が走る。
オールマイトによるオール・フォー・ワンの討伐。逃げられこそしたが、これでオール・フォー・ワンは大幅に弱体化し、裏社会の闇に潜伏することになった。これでだいぶ動きやすくなったのは助かる・・・あとは
「サーチを使ってオールマイトの情報を取得し続けているんだが、バイタルが良くない。かなりの重傷じゃないか。あと、瀕死のオール・フォー・ワンを抹殺できるならしたいところだが」
「それなんですがレイヴン。オール・フォー・ワンは死亡しているようです」
「なに?!!」
どういうことだ。逃げられたんじゃないのか?まさか、バタフライエフェクトで原作との乖離が起きたのか?
「死亡は確認できたのか」
「はい。死体を公安が回収しています」
本当にこれで終わりか?終わりなのか?
「終わったんならいいじゃないか」
「いや・・・裏社会の帝王が、こんなアッサリ終わるのか?それに相手は複数個性持ち、もしかしたら」
「仮死状態」
しまった。原作の描写から戦った末に逃げられたと思ったが、実際は仮死状態で死亡を誤認させ、その後生き返ったのか。急いで死体を消さないと!!
「エア、オール・フォー・ワンの死体はどこだ!!」
俺はエアから死体の安置場所の情報を貰い、すぐさま転移した。
・・・・・・
一歩、遅かった。
俺が来たときには、オール・フォー・ワンの死体がなかった。仮死状態にしたうえで、自力で復活し、逃げたのだろう。殻木を始末したから、原作以上に治療は困難だと思うが、生き延びるのは間違いない。なまじ原作知識があっただけに、読み違えたのだ。
「完全にやらかしたな・・・参ったな」
『レイヴン。落ち着いてください。まだ終わったわけではありません。幸いなことに、オール・フォー・ワンの手足となる人物は、概ね排除しています。今後、どうなるかはわかりませんが、まだ巻き返しは可能です』
確かに、まだ巻き返しは可能だが・・・参ったな。追跡しようとしたが、転移系の【個性】を使ったのか追えなかった。完全に仕切り直し、原作よりも有利になったとはいえ、千載一遇のチャンスを逃したのはあまりにも痛すぎた。
「これなら現地に飛んで【サーチ】で見とけばよかった」
『結果論です。現状ではオール・フォー・ワンに勝てませんし、下手に近寄るとバレる危険性があります。バレた場合のリスクを考えると許容できません』
『そうだよ、それに無事に殻木を始めとしたシンパを始末できたじゃないか。成果は十分だ。それにまだミッションが終わったわけじゃない』
そうだな・・・まだミッションが終わったわけじゃない。反省は後でもできる。今は動こう。
『公安に動きが?』
『ああ、オールマイトが重傷だって大騒ぎだ』
『そうか。すぐにオールマイトの治療のほうに介入するぞ』
『かなり重傷を負っていると聞いたが』
『治せる。事前にある個性を入手しておいた。問題ない』
そう言うと俺は【変身】を使用して姿を変え、変装用の仮面とローブをつけて、俺はオールマイトが搬送された病院へ転移した。
・・・・・・
【Side:オールマイト】
「急げ!!彼を死なせるわけにはいかないんだ!!」
意識が朦朧とする中、医者たちが私に麻酔をかけ、すぐさま手術を開始しようとしている。
不覚だった。やつの口車に乗せられて致命傷を負わされた。だが、奴を倒した、これで
「残念ですが、オール・フォー・ワンを取り逃がしました。」
「なに?!!」
ふと横を見ると、医者たちは床に倒れ、仮面をつけた人物がいた。仮面にローブを身にまとい、変声機を使っているが・・・まさか
「いえ、オール・フォー・ワンの手先ではないです。あなたを治療しに来ました」
「私をかい?HAHAHA。うぐ・・・冗談はよしたまえ、この傷ではロクに治療を「黙って治療されてください」」
彼はそう言うと、私の腕を掴み、用意していた注射器を刺した。すると体がメチャクチャにかき回される感覚に襲われ、私はもだえ苦しんだ。1分、いや1時間だろうか、長いと感じるほど長い時間が過ぎたと感じた。そして、痛みが引き、慌てて体の調べると・・・傷が、戦闘で負った傷が完治していることに気づいた。
「一体何が?」
「うん?・・・ああ、治療しました。治癒力を活性化して治しました」
「いやいや、嘘はいけないよ。私の知り合いに治癒力を活性化できるヒーローがいるが、彼女にだってそんな真似はできない」
「でもこの薬はそれが可能です」
「なにが目的かな?」
「平和の象徴の維持。それとあなたへのお説教」
「お説教とはHAHAHA・・・油断して致命傷を負ったことかな?」
「それもありますが、あなたはいつまで平和の象徴をやるつもりですか?」
「いつまで・・・とは?」
私は平和の象徴だ。それこそ
「まさか永遠不滅にヒーローをやれるとでも?」
「いや・・・さすがにそこまでは」
「だったらさっさと引退できるよう後継を作ってください。平和の象徴の後継を」
言われて気づいた。私だって人間だ、いつまでもヒーローをやれるわけじゃない・・・それなのに
「今は平和の象徴のおかげで日本の治安は維持されていますが、いなくなると治安は一気に悪化します。急にいなくなったりでもしたらそれこそ大惨事です」
「そしてあなたも人間だ、いずれは限界が来る。その時に平和の象徴を受け継ぐ人間が現れるとも限らない、だからこそ後継者が必要だ」
「私の後継者を」
「私が怪我を治したおかげで、しばらくは問題なく活動できると思いますが、また無理をした場合は保証できません」
そのことに関しては物凄く感謝している。あれだけの傷を治療できる薬は聞いたこともない・・・もしかしたら副作用があるかもしれない
「あ、副作用はないのでご安心を」
考えを読まれたか。
これほどの薬を提供してくれる彼が何者か知りたかったが、正直に聞いても応えてくれそうになかったので・・・
「薬を提供してくれたことに関しては感謝している。それと」
「なんですか?」
「名前を聞いてもいいかね?」
まずは名前を聞いてみることにした。答えてくれるといいが
「名乗るのはいいですが、約束してください」
「何をだね?」
「今日、私に会ったこと、私から治療されたこと。傷の完治も【個性】による治癒力の超強化とでもしておいてください。それと今眠っている人物への口止めをお願いします。言っておきますが、仮に周りに言った場合・・・」
「あなたが話した人間を片っ端から抹殺しないといけないので悪しからず」
冗談だと笑い飛ばしたかった、だが・・・あの目は本気だ。私が周りの人間に話したら、その人間を1人残らず見つけ出し殺すだろ。そう言わせるほどの目だった。
「冗談、ってわけではなさそうだね」
「それだけのリスクを負ってあなたに接触して治療したんです。最低でもこれだけは約束してください」
「それは・・・少なくとも一部の人間には話さないといけないことになるが」
「サイドキックのナイトアイ、雄英の根津校長、リカバリーガールになら話しても構いません。むしろ、リカバリーガールに協力を取り付けられるなら、今回の件は上手い事誤魔化せるでしょう。それ以外は・・・わかってますね?」
「・・・」
「ヴィラン相手に約束できないですか・・・まあ、いいでしょう。ですが、これだけは約束してください。あなたの後継者を探し、育てることを」
「もとよりそのつもりだ」
あれだけ言われたんだ。次世代の平和の象徴となるものを探し出して育てるさ。
「そして最後に、後継者は【無個性】の人物にしてください」
「それは・・・どういうことだ?」
「あなたの【個性】のことは聞いています。【ワン・フォー・オール】、【個性】を譲渡する【個性】」
な、何故そのことを?!!
そのことは一部の人間しか知らないはずなのに!!
「それを一体どこで」
「少しはハッタリをかましてください。そんな態度ではカマかけだったとしてもバレバレですよ」
「・・・」
「情報源を言うつもりはありません。続きですが、あなたの【個性】は容量が大きすぎる、今までの継承されてきた分が積み重なっているせいで【個性】持ちが継承すると・・・」
「身体が耐え切れず、寿命を削ります。歴代継承者のなかに寿命を削った人間がいたはずです。一度調べてみてください」
そんな馬鹿な・・・嘘だと言いたかった。
だが、心当たりはあった。【ワン・フォー・オール】は歴代継承者の力を受け継いだ【個性】、強すぎる【個性】が命を削らないと・・・言い切れなかった。
「それで、約束頂けますか?」
「ああ、それが事実なら・・・約束しよう」
もし、それが事実なら【個性】持ちに【ワン・フォー・オール】を渡せない。
「そうですか、では改めて」
「初めましてオールマイト、私はレイヴン。自由の象徴でありブランチを統率する者です」
自由の象徴、それはまるで
「自由の象徴。私への当てつけかね?」
「まあ、それもありますね・・・それでは挨拶も済んだことですし、行かせてもらうとしましょう」
「おいおい、つれないじゃないか」
ここで彼を逃がすわけには
「言っておきますが、追いかけてきたりしたら・・・大量の市民が犠牲になります。あと、私たちは別に悪いことをしてませんから」
「不法侵入、職務妨害、【個性】の無断使用など色々あるが?」
「そこは治療のためだと思って目を瞑ってください」
私を前にしてもこの余裕・・・まだ手のうちを隠しているのか。
私としても今すぐにでも行動したいが、傷が治っているとはいえ、ダメージの蓄積が残っているせいでまともに動けない。
「それと、最初に言ってましたが、オール・フォー・ワンは生きています」
「?!!、馬鹿な、やつは」
「死んだ。ですが正確には仮死状態でした。我々が気づいた時にはすでに逃げられていました」
なんてことだ。
「あなたとの戦闘で負った傷が原因で後遺症は残るでしょうが死ぬことはありません。いずれはまた動き出します。お気をつけて」
私がこの手で始末したのが仮死状態だっただと。歴代継承者たちの宿願を達成できなかったのか・・・その答えを聞こうと顔を上げると・・・彼は姿はどこにもなかった。
・・・・・・
オールマイトに注射を刺し、薬を使うふりをして【超再生】の【個性】を付与したときまで遡る。
俺はある場所に立っていた。薄暗く、世界から隔離されたような空間。俺はこの場所を知っている、ここは
「やあ、初めましてかな?」
「初めまして、"死柄木 与一"」
「僕を知っているのかい?」
「ええ、そちらもある程度私について知っているのでは?」
「まさか、兄さんと同じ【個性】を持つ存在が現れるなんて。しかもまだ子供とは」
子供?・・・?!!
俺が今いるのは【ワン・フォー・オール】の継承者たちが意志が集まる場所。【超再生】を付与した際、案の定というべきか、俺の中の【オール・フォー・ワン】に気づいて接触してきた。それ自体は良いのだが、マズいことに俺の姿が変身後の姿ではなく、陰奪 全部としての姿なのだ!!
肉体の姿なら変身した俺。精神の姿なら前世の姿が反映されるよう【偽装】の【個性】も使ったはずなのに・・・マズい。
「君の目的は【ワン・フォー・オール】なのかな?」
「なわけないでしょ。それなら一時的に【超再生】を与えてオールマイトを回復させたりしない。俺の目的はあなたの兄、オール・フォー・ワンとそれに与する存在の排除だ」
「君は、兄さんの後釜に座る気なのかな?」
「誰があんなアホの後釜に座るものか」
ただでさえ、オール・フォー・ワンみたいにならないか不安で色々と手を打っているのに後釜に座るなど論外極まる。
「随分と辛辣だね」
「辛辣にもなる。まあ、アホだったおかげでオールマイトは勝てた。もっとも、俺もオールマイトも詰めが甘かったせいで逃げられたが」
「おいおい、何言ってんだ。あいつは俺たちの宿願を果たしたんだ!!」
「ああ、その発言は見過ごせないな」
スキンヘッドの男性にマントを付けた女性。5代目の"
「逃げられたのにか?言っとくが、オール・フォー・ワンは死んでいない。死んだように見えたのは仮死状態で、気づいたときには蘇生して逃げていた。傷が深く、致命傷だが生き残る。与一、あんたはわかっているはずだ」
「そうだね。兄さんなら生き延びるだろうね」
「だが、オールマイトではそれでもよくやったと」
「オールマイトはオール・フォー・ワンの口車に乗せられて感情的になったところに致命傷を負わされた。俺が治療しなければ、今後にも影響していた。よく言って赤点、普通に考えれば0点だ」
原作でも、今回の傷が原因で大幅に弱体化していた。それも後継者がいない状態で。それを考えると擁護はできん。
「そう・・・だが」
「あまり時間がなさそうなので要点だけ。俺はオール・フォー・ワンとそれに与する存在の排除を目的の1つにしている。オールマイトを治療したのもその一環。言っておくが、もしも俺の正体についてオールマイトを含めた継承者にバラそうものなら、いかなる理由があっても排除する」
「随分と物騒なことを言うね」
「それだけ知られたくなかったということだ。言っておくが、この件で脅そうものなら・・・容赦はしない。【ワン・フォー・オール】が平和のための力だろうが消し去る」
最悪、オールマイトと緑谷を排除することになる。最近、結果論ではあるがこの手の軽率な行為が目立つな。しかも、必要な行為だっただけに避けられないのが質が悪い。
「兄さんと同じように見えて、全然違うね。君は」
「それで、返事は?言っておくが、コッソリ伝えてもすぐにバレるからな」
「いいよ。君が兄さんのようにならないと約束してくれるなら、ここでのことはここにいる継承者たちだけの秘密にしておくよ」
「約束か?なるつもりはないが、確約はできない。だが、そうならないように全力を尽くす。これでいいか?」
「それでいい」
不安だが、約束しないよりはマシだ。
そう思うと同時に、俺の意識が遠のく、時間か。
「君は目的のためすべてを奪う、兄さんのような人に見えるが、実際はその真逆。他人を思いやれる優しい人だ。君のその力が」
「"世界一優しい力"になることを願うよ」
・・・・・・
「平和の象徴の維持には成功したんだね」
「ああ、目ざとい存在にはリカバリーガールとは別の、強力な治癒の【個性】によるものだと疑われるだろうが問題ない」
予想外の身バレがあったが、当初の目的通り、オールマイトの治療には成功した。これで原作のように超人社会の崩壊する確率は低くなる。
「ついに本格的に動き出すんだな」
「資金も手段も手に入れた。本格的にブランチ始動だ」
「まずは何をするんだ?」
「最初は裏社会での地位の確立。それに伴い凶悪なヴィラン組織の排除」
拠点に戻り、現在はメンバーと情報共有をしている。オール・フォー・ワンがいなくなり、本格的に組織を始動するための条件が揃った。あとは前に向かって突き進むのみだ。
「基本的には諜報活動で得た情報元に裏工作、それとASを活用して武力介入」
「俺らの機体もロールアウトされたし、いよいよか」
「ASで介入すると言っても、それは最終手段。裏工作でなんとかなるならそれで済ませるし、それでダメそうならASで対応する。と、いっても結構な頻度でASによる武力介入はするだろうが」
「脳筋だね」
「ヴィラン組織が裏工作で簡単につぶれるとも思えないしな。潰れる前に大暴れするだろうし、これぐらいの力技がちょうどいいのさ」
そのための力もある、あとはどこまでやれるかだ。こうして、ブランチは本格的に始動した。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
後継者に情報を漏らせば、容赦なく排除すると言っているのに、与一が"他人を思いやれる優しい人"と言っているのは、排除云々の話がブラフで、そのようなことをしないとわかっているからですね。ちなみに、オールマイトへの脅しもブラフです。
仮に正体を後継者に漏らしたとしても、頭を抱えながらも排除はせず、情報が漏れないよう記憶を封印することに全力を尽くします。ただ、自分の正体が後継者以外の第三者に漏れることは流石に許容できないため、可能な限りは穏便に済ませますが、それでも対処できない場合は排除する可能性が高いです。
3章からは2章同様、裏での暗躍がメインになります。おそらく、原作開始までは表での活動の描写は控えめになるかも。
3章開始までしばらくの間お休みをいただきます。次の投稿までお待ちください。