俺の発現した個性が【オール・フォー・ワン】だったって、マジ?!! 作:AC6はいいぞ!!
「レイの教育はどんな感じだ?」
「順調に・・・いえ、"想像以上に進んでいる"という表現が正しいですね」
「無理をしてないか?」
「いいえ、本人が想像以上に優秀で今までまともな教育を受けてこなかったせいで1からの教育となっていますが、凄い勢いで吸収しています」
孤児院での会合の後、レイは別人に変身した俺に引き取られ、現在は本拠地の施設で教育を受けている。アメリカで暮らしていることになっているが、エアの偽装工作のおかげでそのあたりは問題ない。学習も【電脳】を介して通常以上の効率を出している。それを考慮しても想定を超えるとなると少し不安ではあるが。
「学校に行かなくても問題ないのには少し驚いた」
「アメリカでは犯罪が多いため、自宅教育も珍しくありません」
人との交流がないのが問題だが、そこは後々考えよう。
「それと、本人は雄英への入学を希望しています。入学できる年齢になったときにレイヴンの後継としてふさわしい実力を身につけることができたのなら、今後のことも考え入学を許可してもいいと思います。もちろん、本人はレイヴンの意向に従うと言ってました」
「その程度なら希望通りに・・・あれ?レイって確か」
「10歳、陰奪 全部と同い年です」
俺と同い年か・・・同時入学になるが、この程度の接点なら問題ないか。でも、俺に薫、レイ、あと1年留年して俺らと同じ学年で入学すると言っている被身子、原作でいなかったメンバーが少し集まりすぎだな。
原作がもうあてにならないとはいえ、自分から進んで外すのもどうかと思うから今度会長を動かして生徒の数を増やさせるか。それと身バレ防止も重要だな。俺との関連性は・・・どうしてもできる。まず、そのあたりを整理しよう。
俺が絶対秘匿しないといけない秘密は2つ。
・【オール・フォー・ワン】を保有していること
・レイヴンであること
ぶっちゃけ、それ以外の出来事に関してはバレても問題ない。それこそ転生者であることやブランチやレイヴンと関係があることも・・・簡単にばらす気はないが、何かあったときの保険として場合によっては使うつもりだ。
さすがに今バレることはデメリットしかないが、レイヴンが自由の象徴としての地位を確立した後であれば、レイヴンの影響力を持ってあらゆる状況を好転させることも可能なワイルドカードとなる。まあ、そんな事態になること自体が問題だが。
そう考えると、レイとの関係ができることはまあいい。レイがレイヴンとの関連性が疑われるのも・・・ぶっちゃけ、問題ないか。というか、疑われたとしても【個性】が似ているからだろうな。
【ワン・フォー・オール】はナイトフォールの性能を発揮できるよう【機械化】をベースに能力を追加する予定だ。そのため、【機械化】に似たような【個性】になるが、関連性が疑われるとしても"似たような【個性】"だからという理由。似たような【個性】は世の中に結構ある以上、血縁とか疑われるかもしれないが、背後の関係を知られなければどうとでもなる。
それにレイがいてくれれば雄英で発生する事件に対処しやすくなる。薫たちの護衛も場合によっては任せられる。そう考えるとレイの入学はアリだな。
「雄英入学に関しては前向きに考えておこう。あと、レイの【個性】もさっさと決めてしまおう。どんな【個性】を組み合わせるのがいいと思う?」
「機械化の他にエネルギーの生成と武器生成を両立できる【個性】にしましょう」
なにその欲張りセット。そんな【個性】そうそうないだろ・・・でも
「ワンチャン、【創造】と何かを組み合わせればいけるか?」
「あれですか・・・手に入れるの大変でしたね」
【創造】
自身の肉体からあらゆる無生物を造り出すことができる【個性】。作成するものは分子構造まで知る必要があり、カロリーを消費する。
【創造】は"
【個性複製】は対象の【個性】の容量に応じて複製までに時間がかかり、特別な【個性】以外は複製可能。【創造】も複製可能だったのだが、複製までにかかる時間が100時間。約4日もかかる時点で通常手段での複製は不可。
日常で使わない可能性に賭けるにしても、4日間の間に1回も使わないとか無理ゲーだ。
ワンチャンにかけて途中中断からの再開可能に賭けたが、それも無理だった。【変質】で可能になるように必死こいて願ってみたが、【個性複製】が複製開始時点の【個性】を複製し、途中で少しでも変動があった場合はどうやっても複製できなかった。
では、どうやって、複製したのか。結論から言うと、4日間の間、【個性】を使わないこと、使う場合は調子が悪いからと断るように暗示をかけた。それだけ?と思うかもしれないが
「【創造】は結構日常で使える【個性】だし、周りの要望で使う場面も多かったからな・・・そのせいで、タイミングを計るために監視する必要があって」
「さすがにレイヴンがやるのは色々とマズいので、ナガンがやることになったんでしたね」
ナガンでも色々とマズいが、男の俺がやるのはもっとマズい。必要な【個性】を手に入れるためとはいえ、八百万とナガンには悪いことをしたと思っている。
「エネルギーは【オーラ】とかで、生成は【創造】とかで何とかしよう。あとはその他諸々を組み合わせて・・・これ、大丈夫かな?」
「レイヴンが複製の【ワン・フォー・オール】を変質させ、良さそうな内容を少しずつオリジナルに反映させれば問題ありません」
「使い方も含め、レイの成長に合わせて行おう」
今はこれでいいだろう。接点に関しても、すでに俺と創生で接点ができているし今更だ。ちなみに、表側への進出は創生以外だとイヴとエアが考えている。エアは事前に用意していた身分を使用して大物資産家として、イヴは秘密裏に行う。何故かと言うと
「イヴの【遺伝子操作】。あれで遺伝子治療ができるとはな」
「理論上は可能ですが、緻密な操作を求められるため通常では不可能です」
通常ではな。だが、【電脳】を通じてエアからのサポートがあれば可能。俺らも遺伝子操作による治療を受けたが、遺伝子疾患のリスクが大幅に減り、複数個性への適応性が飛躍的に上がった。
「【遺伝子操作】であれほどのことができたことを知って、本人が一番驚いていたからな」
「イヴも細かい操作まではできませんでしたから」
「そのおかげで【遺伝子操作】はそこまで狙われなかったが」
これからはそうはいかなくなる。表社会に出ればありとあらゆる権力者に狙われるのは目に見えている。特にがんなどの治療に有効だからな。そうじゃなかったとしても、治療を求める人々が押し寄せ、本人の状況など関係なしに治療を求めるだろう。いずれはメイカー同様、活動させる予定だが秘密裏に、そして強力な権力に対抗できるほどの力をつけてからになる・・・そういえば
「足がかりの構築は順調か?薬の販売元も兼ねてるんだろ?」
「世界各国の裏組織の中で、比較的良心的な組織に交渉しています」
「数は少ないとはいえ、個性抑制剤は完成した。これを元に交渉をかければいけるのでは?」
「そうとも限りません。いくつかの組織は難色を示してます。特に"
「絶滅危惧種である極道がそんなこと気にして・・・いや、極道だからこそ、か」
人としての道理に外れたことを嫌う。薬に人の血液が使われていることから、非人道的なことをしている可能性があると考えていると報告があった。
「薬の概要は話したんだろ?治崎は何て言っている?」
「かなり前向きのようです。計画に関しても互いに利益が出るようになっていて、薬の安定供給が実現するなら組の存続が可能になると」
それだけで存続させるのは厳しいが、少なくとも状況を打開する一手になる。組長も明確に反対していないあたり、それが分かっているのだろう。
「そうだな・・・なら、俺が話をつけよう」
「レイヴンがですか?」
「ああ・・・そう言えば、壊理はすでに保護されているか?」
「いえ、壊理はまだ赤子です。少なくとも事件が起こるのはもう少し先かと」
そう言えば、原作では6才だっけ。つまりまだ0才、赤子だな。事前に阻止したいところだが、状況的に・・・いや、可能かもしれない。後で相談しよう。それよりも
「事件が起きてないならアプローチを考えよう」
「それがいいと思います」
交渉は大変そうだが、やるしかない。
・・・・・・
【Side:治崎 廻】
「オヤジ、やっぱ部屋の周りに組員を」
「いらねぇ、元々はこっちから言い出したことだ。場所はこちらが指定している。そのうえ向こうは1人でこちらには護衛がいる」
「だが、奴は」
「俺のせいだが向こうに色々と条件を付けたし、向こうの護衛をこっちが断ってる。それなのにこっちが勝手なことをしては筋が通らねぇ」
元々はオヤジはこの話に乗り気じゃなかった。それを俺が無理やり説得して会談まで持って行った。オヤジは会談を失くすために色々と条件を付けたのだが、向こうは全部飲みやがった。一見すると無謀に思えるが、最近裏社会でトリガーの流通が激減している。その原因がこれから来るレイヴンの仕業だという。
レイヴン
自由の象徴を名乗る病人だ。ヴィランのくせして英雄症候群にかかってしまった哀れな奴だ。とはいえ、実力は認めている。ここ最近、トリガーの流通量が半分以下・・・いや、9割以上も減っている。その理由がレイヴンが世界各国でトリガーの密売を潰しているからだという、しかも、組織ごと消し去っている。
実に効率的かつ効果的だ。密売する人間が減ればそれだけ流通が減るし、命がないと知れば密売をしようという奴も減る。この点に関しては、英雄症候群の病人どもも見習ってほしいものだ。
「そろそろだな。おい音本、客人は来たか?」
「いえ、まだ来てない」
「もう来てますよ」
「「「?!!」」」
聞きなれない声がしたと思ったら、目の前に男が座っている。
俺は咄嗟にオヤジの目の前に立ち警戒するが
「待て・・・流石に無断で入ってくるのはいささか無作法じゃないか?」
「それに関しては申し訳ないと思っています。ですが、あなた方は政府の狗に見張られてますので」
俺らが公安に監視されていることを言ってるのか。だが、それを避けるために秘密裏にこの場所を
「ちなみにここも見張られています。今回の会談については漏れてたようですね。幸いなことに時間と相手まではわかっていない。このまま出て行っても相手が来なかったと誤認するでしょう」
「・・・何でそんなことを知ってんだ?」
「公安に伝手がある、とだけ言っておきましょう」
政府の狗どもの中にスパイがいるのか。どうやら俺の想像以上にブランチという組織は力を持っているようだ。
「時間もあまりないようなので単刀直入に聞きます。私たちは今後、個性抑制剤を量産する計画があり、日本における販売の元締めをあなたがたに担っていただきたい。もちろん、それなりのリスクを負いますが、相応の利益が出ることは確約します」
「そういう問題じゃねぇ。あの薬には人の血液が使われてんだろ?なら」
「特定の【個性】持ちの血液を利用している可能性がある。ですか?」
「まあな」
「少なくとも私たちは非人道的な方法で血液を入手していません」
「それを証明することは」
「少なくとも現時点では裏で仕入れた血液を使っているので、それを証明する手立てはありません。なので、信用してください、としか言えません」
悪魔の証明。ブランチ側の言い分が本当だろうが、裏で血液を手に入れている以上、非人道的な方法で入手したことを証明するのは難しい。不特定多数の血液を集め、量産する計画があると言っているが、オヤジは特定の【個性】持ちの血液を利用していると思っている。だから、それが製造工程がハッキリしない限り受け入れないだろう。だが
「オヤジ。この話、受け入れた方がいい」
「おい治崎。お前、何を言ってるのかわかってんのか?」
「このままじゃ、組の存続すら危うい。起死回生の一手が必要だ。オヤジもそれがわかってんだろ」
ハッキリ言って、この話は組を復興させる唯一無二のチャンスだ。例え断ったとしても、レイヴンは別のところに話を持っていくだけ。ならうちで管理した方がいい
「どうしますか?のるか。のらないか。のらなかったら別のところに話を持っていくだけですが」
「・・・一つ聞かせろ。なぜうちに話を持ってきた。こういっちゃあれだが、俺らは極道。任侠で生きてきた人間だ。そして裏社会ではもう落ち目。他にも都合がいい組織はあっただろ」
「任侠を貫いているからです。こう言っては何ですが、今どき私たち以外でそのように"狂った考え"を持っている組織は稀です。志が似ているならある程度理解し合えると思いました」
「狂った・・・か。お前らはどう狂っているんだ?」
「単的に言えば、"自分の平穏な日常のために世界を救う"ですね。この世界では私が平穏に生きるには色々と問題があり過ぎた。だから、今現存している社会に頼らず、私たちが解決する。それこそ、社会がどう思おうとも」
「・・・確かに、狂っているな。だが俺たちは」
「狂ってないと?社会からは理解されずにヴィランとして排斥されているのに?普通からかけ離れているのに何故狂っていないと言えるのですか?」
「・・・」
「これはチャンスです。これを逃すと、今後訪れる未来の選択肢は2つ。このまま廃れて組織ごと無くなるか、ヴィラン組織としてヒーローに潰されるか」
「お前の手を取ったとしても、個性抑制剤は」
「政府に排除される。と言いたいようですが、政府はこの薬が裏で出回った後に排除することはできない。不可能です」
随分と自信があるようだが、俺も疑問に思っている。確かに、個性抑制剤はいい薬だ。原価は高いが一般人が手に入れられる価格まで下げることができるというし、継続的に摂取すれば異形型の【個性】を実質消すことができる。だが、この薬を社会が受け入れるわけがない。全力で排除するはずだ・・・まさか
「異形型の【個性】持ちをこちらの味方につける気か」
「そうです。元々迫害のせいでヴィランになる人も多いが、普通に生活している人も多い。それらすべてが味方になるわけじゃないですが、大半は味方になります。社会の何割かを味方につけることができるでしょう。そうなれば、もう下手に排除することができなくなる」
「民衆の一部を味方につけろと」
「本来なら、もっと早くにあなた方がすべきだった。それができなかったことがヤクザの限界ともいえます」
「・・・」
「幸いなことに、個性抑制剤があればそれが可能です。薬に対する管理を徹底し、異形型の【個性】持ちを味方につける。薬の販売には薬剤学を学んでいる人材が欲しいですね。普通に働いている人は無理でも、あぶれた人間。言ってしまえば、無能と言える類の人間ならこちら側になびくんじゃないですか?」
簡単に言うが、そんなことができるのなら苦労しない!!だが、レイヴンはそれをやろうとしている。ヴィランと言われている俺らに市民の味方を増やせと言っている!!
「それで、どうしますか?」
「・・・いいだろう、細かい条件はこれから決めるとして、その話にのってやる。ただし、仁義に外れたことをしていると判断すれば、即座に契約を破棄しても構わないと確約してくれ」
「それは・・・そちらの一存で好きに破棄できると言っているようなものですが」
「もちろん、条件は定める。だが、お前さんの口からききたいんだ。非人道的な方法で作ってるわけじゃないなら・・・言えるだろ。音本もそう思わないか?」
「ええ、私もそう思います。もちろん、そのような非人道的なしてませんよね?」
オヤジはそう言うと、ずっと控えさせていた音本に質問を投げかけさせた。
【
問い掛けに答えた者に強制的に本心を語らせる【個性】
この質問の有無で判断する気だ。最悪、そのまま破談になることもあり得る。
「ええ、もちろん。非人道的な方法で作っているわけではありません。これまでも、これからもです」
だがレイヴンは非人道的な方法で作ってないと言った。嘘をついていると思ったが、どうやら本当らしい。これは少し・・・予想外だ。
「そうか、ならいい」
「ええ、ですが一言忠告を。非人道的な方法で作っていないことを確認するために【真実吐き】で本心を語らせる手法は見事。と言いたいところですが、相手によってはこのまま殺されてもおかしくありませんでしたよ。ああ、怒ってはいません。ただ、相手がそちらの彼のことを何も知らないと高を括っていたようなので、今後のことも考え、少し忠告させていただきました」
こいつ、音本のことを知ってやがった。知っていてわざと受けたのか。身の潔白を証明するために!!
「そろそろここを出た方がいいですね。これ以上いると、密談したと公安に察知される。今ならまだ相手が来なかったことに出来る。ここで会談は終わりにしましょう。よろしいですか?」
「ああ、それで構わない」
あいつはそう言うと、席を立ち・・・一瞬で姿を消した。
「今のは・・・奴の【個性】か?」
「いや、あいつの【個性】は機械の身体になれる複合型の【個性】らしい」
「なら仲間の【個性】か。近くにいなかったことを考えると、遠距離からの転移。随分と優秀な仲間がいるようだな」
まさか転移系の個性持ちもいるとは・・・これは一度、ブランチについて調べる必要がありそうだ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
音本の鉄砲玉 八斎衆の加入時期は不明ですが、今回はストーリーの都合上、レイヴンの本音を引き出させたかったため、この時点で治崎の下にいることにしました。