俺の発現した個性が【オール・フォー・ワン】だったって、マジ?!!   作:AC6はいいぞ!!

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ep32:社会に埋もれた原石たちと新たな未来への道

 

灰廻 航一(はいまわり こういち)

"ヴィジランテ-僕のヒーローアカデミアILLEGALS-"の主人公で【個性】は【滑走】。三点以上の接地を発動条件に地面を滑ることができる【個性】と本人は思っていたが、実際は"手足から斥力を放出する【個性】"であり、彼のことを一言で言うと"不遇の英雄の卵"。

 

 

緑谷 出久はオールマイトと出会い、ヒーローになることができたが、彼にはその出会いがなかった。つまり、人に恵まれなかったのだ。

 

 

原作では最終的に、人に恵まれ、アメリカでヒーローとなるが、この世界線ではその可能性はない。なぜなら

 

 

すでにストーリーの大本となる前提が破綻しているからだ

 

 

まずオール・フォー・ワンの暗躍がない。原作では日本で暗躍していたが、こちらの世界線では俺らの暗躍で今は東南アジアで悪戦苦闘している。また、トリガーの流通もあるにはあるが、既にレイヴンによる破壊活動が始まっていることもあり、日本に流れてきている量は激減している。

 

 

つまり、彼がヒーローになる可能性がほぼない。間違いなく埋もれてしまう。なので

 

 

『ほかの有力候補ともども引き込むぞ』

『相変わらず考え無しですね』

 

 

一応考えてるぞ。アドリブが多いことは否めないが

 

 

『陰奪 全部として会う必要がありましたか。他の人でもいいと思いますが?』

『接点を作っておきたいのが一番の理由。今回はブランチに引き込むわけじゃないんだ。表での影響を作るという意味でも原石のうちに彼に会っておきたい』

 

 

今回、灰廻をスカウトするつもりだが、スカウトする組織はブランチではない。今回のためにNEXTの系列組織として立ち上げた新たな組織"ギルド"へスカウトするつもりだ。

 

 

反逆者たちの集い(リベリオンズ・ギルド)。通称ギルド。

"反逆者"と随分と物騒な名前であるが、組織の目的はメンバーたちがそれぞれが"理想とするヒーローを目指す"という至ってまともなものだ。

 

 

それだけならほかにも似たような組織があるが、この組織は異端的なヒーローを始め、ヴィジランテやヴィランなど社会に見出されなかった存在も勧誘の対象となる。組織名に"反逆者"とついているのは社会の在り方、それが正しいのか問いかけるかのように反逆するからだ。

 

 

もちろん、誰でも勧誘ってわけにはいかない。ただ、原作を知っている俺からすれば、ヴィランの中でもヒーローになれるほどの逸材は少なくないのはわかっているし、すでに候補もいる。

 

 

とはいえ、ヴィジランテやヴィランをヒーローにするのはかなりリスクがある。特にヴィランをヒーローにした存在は表向きいない。普通の企業や組織なら絶対にやらないだろう。だが、もしも社会貢献の一環としてそれを実現できたとすれば・・・ヴィランをヒーローにした先駆者として、その影響は計り知れないものになる。

 

 

NEXTの系列にしたのはサポートアイテムなどの補助を受けやすくするためでもあるが、ギルドのメンバーが活躍すればするほど、NEXTのサポートアイテムに注目が集まりが売れるようになるという狙いもある。

 

 

『もっとも、もうすでにそれが必要ないほどに売れてるが』

『そうですね。あれには驚きました』

『まさか半年もたたずに成果を出すとは』

『既に成果が確約されていましたが、創生が引っ張ってきた人材も思っていた以上に優秀で、金を惜しまなければいいものを作ってくれました』

『どんだけ元の会社で不遇な扱いをされてたんだ』

 

 

変人ぞろいだったが、相当優秀だったぞ。おかげで株価も高騰。右肩上がりだ。

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

「お疲れ。苦労マン」

「ザ・クロウラーです」

 

 

ザ・クロウラーか。ナックルダスターとは会っているようだな。遭遇してない可能性も考えていたが・・・場合によっては彼も引き込みたいな。

 

 

「すみません。少しいいですか?」

「どうしたの僕?」

 

 

僕って・・・最近は大人扱いが多かったから、こういう扱いは新鮮だな。

 

 

「少し、あなたと話したいことがありまして、今お時間よろしいですか」

「えっと・・・少しだけなら」

 

 

あまり乗り気ではなかったようだが、子供相手に無碍にするのは嫌だったのか、応じてくれた。とりあえず、近場のコーヒーショップに

 

 

「・・・」

 

 

まあ、いいか。コーヒーショップに入ったとき、灰廻は一瞬戸惑っていたが、強引に席に座らせた。

 

 

「金がないなら出します。私が話があると言ったので」

「いや、子供に出させることはしない。俺が払う」

 

 

金にあまり余裕がないだろうに、律儀だな。

 

 

「それで、話って何なのかな?」

「そうですね。本題に入る前に少し話をしましょう。ザ・クロウラー、ヒーロー免許を持たずに活動しているいわばヴィジランテ。ああ、そのことを責める気はありません。ただ、免許を持たずに活動するのはマズいのでは?」

「君、痛いところつくね・・・確かに、マズいよ」

「そうですか・・・なら、なぜ免許を取らないんですか?」

「・・・俺の実力では免許は取れないから」

 

 

だろうな。今の灰廻の実力では間違いなく取れない。【個性】は凄いのに、人に恵まれないだけでこんなにもちがってくるのか。そう思ってしまう。

 

 

「なら、免許を取れるように特訓してはどうですか?」

「無理だよ。どうやればいいのかもわからないし、今だってこんな【個性】でやっとの思いで活動してるんだ」

「こんな【個性】と言いますが、明らかに伸びしろがありますよ」

「ないね。伸びしろがないことは俺がよくわかってる」

 

 

「いいや、わかってない」

 

 

強い口調で少し殺気が漏れてしまったせいか灰廻が委縮している。前振りはここまでにして本題に入ろう

 

 

「私は・・・いや、俺はあなたをスカウトに来たんだ」

「スカウト?何の?」

「社会に埋もれたヒーローの卵の育成とヒーロー同士の相互補助を目的とした組織の、これが代表者の名刺」

 

 

事前に創生から貰った名刺を渡した。名刺は本物だが、相手が子供のせいか、だいぶ疑っているようだが

 

 

「まあ、疑うのはわかる。できたばかりだからな」

「随分とハッキリと言うね」

「信用に置けない気持ちはわかるからな。だが、チャンスでもあるんじゃないか?この話が本当だとしたら、一度諦めた夢を叶えるチャンスでもあるんだぞ?」

 

 

そう言われると、灰廻は考え込んだ。

彼はまだ夢を諦めていない。いや、諦めきれていないが正しいか。だから、非合法でもヒーローの真似事をしている。このまま押し通せば

 

 

「面白い話をしてるじゃないか」

「あ、師匠」

 

 

話をしているとナックルダスターが話しかけてきた。随分と都合のいいタイミングでの登場だが、当然だ。後をつけてコッソリと聞いてたからな。

 

 

「初めまして、ナックルダスター」

「ほう・・・俺を知っているのか」

「ああ、それとも"超速ヒーローオクロック"のほうが良かったか?」

「オクロック?」

「・・・知らんな。誰だそれは?」

 

 

シラを切るか。まあ、【個性】を奪われたうえに色々と問題があったからな。娘もたぶん、ヴィランになっているだろう。トリガーはないが、既に家を出て行った後だし、ある程度の原作に沿う流れになっていれば

 

 

『それなんですがレイヴン。オール・フォー・ワンの配下を撲滅した際に、蜂須賀九印として活動していた彼女は既に公安に保護されて、少し前に寄生蜂を取り除いて退院しています』

『・・・え、マジで?』

『はい、レイヴンは後処理を私に頼んだので気づいてなかったと思いますが、彼女を操っていた存在もレイヴンの複製体がすでに始末しています』

 

 

ああ・・・なんかそれっぽいのいたっけ?・・・まあ、それならそれでいいや。

 

 

「そんで、お前は弟子をたぶらかしているがその話、本当なのか?」

「別に、たぶらかしてない。というか、たぶらかしているのはあんたのほうだろ?無免許さん」

「ヒーローやるのに免許なんていらん」

「その考えには同意するが、あるならそれに越したことはない」

「ほう・・・お前、結構見込みありそうだな」

「辞めてください師匠。子供を巻き込んじゃダメでしょ」

 

 

なんか、俺も同類だと思われてないか?

 

 

『同類ですよ。間違いなく』

 

 

そんなことないよ。エアさんの勘違いだよ

 

 

「話を戻すが、彼は【個性】の使い方が全然なってない。そんな状況では免許取得も無理。だからこそ、指導してくれる人が必要だ」

「それがお前と?」

「正確にはギルドの人たち。俺も入るつもりだが、まだメンバーが集まっていない。だから今勧誘中だ」

「ほう・・・それは興味深いな。だってお前、俺よりも強いだろ」

「師匠よりも?!!」

 

 

まあ、バレるよな。

 

 

言動はあれだが、洞察力はかなり優れていた。実際、俺とナックルダスターが戦えば、普通に圧勝。近接戦だけならワンチャン、ナックルダスターにも勝ちの目がある・・・いや、さすがにないな。【個性】があるときならともかく【無個性】の今はないな。

 

 

「まあ、論より証拠。と言うことで実際に見に来ればいい」

「まさか本社に?」

「じゃないと、決断もできないだろ?あ、これ旅費」

 

 

そう言って、5万円ほど渡した。

 

 

「え、こんなに」

「来ないなら来ないで構わない。話を聞いてくれたお礼と思って受け取れ。ナックルダスターも」

「俺もか?」

「興味があるだろ?なら貰っとけ」

 

 

そう言って、2人に無理やり渡した。

 

 

「一応、言っておくがこれはチャンスだ。今がまさに分岐点、これを逃したら、一生後悔するだろう」

「・・・後悔」

「選択は君次第。ってところかな。また会えることを願うよ」

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

数日後

 

 

「よう、来てやったぜ」

「超デカいビルじゃん。スカウトされたって本当だったんだ」

「久しぶりだな。隣にいるのがポップ☆ステップで・・・なんで灰廻を抱えてるんだ?」

「こいつがうじうじ迷ってたから、強引に連れてきた」

「ゼンちゃん、その不審者の人。本当に大丈夫なの?」

「心配する気持ちはわかるが、大丈夫だ」

 

 

今回、透たちも連れてきている。緑谷もだ。引率は父さん。今回、デモンストレーションも兼ねてとある人物と対戦することになっていて、後学のために連れてきた。

 

 

道中でやり取りもしつつ、目的の場所に向かった。向かっているのは本社内のトレーニングルーム施設。【個性】による対人戦闘を想定した部屋だ。

 

 

「おい、遅かったじゃねぇか。待ちくたびれたぜ」

「それは悪かった。もう少しだけ待ってくれ」

「まさか、ラビットヒーローのミルコ?!!彼女と戦うの!!?」

「よく知ってんな」

 

 

兎山(うさぎやま)ルミ

ラビットヒーローミルコだ。現在は新人プロヒーローで結構な実力派だ。なんで彼女がいるかと言うと俺が誘ったからだ。

 

 

『誘ったというより、挑発したが正しいですが』

『普通に誘っても来ないでしょ。それに彼女、凄く乗り気だったし』

 

 

最初は普通に誘おうとしたが、話聞く気がなかったし、面倒だったので挑発した。ただ、小学生の挑発に妙に噛みついて来たのは少し気になるが・・・

 

 

「何でもいいが、さっさとやろうぜ」

「全部君。彼女は新人だけと実力派だ。戦ったら大怪我するよ」

「そうだよ。危険だ」

 

 

緑谷と灰廻が危険だと言ってくるが

 

 

「俺がどれだけ強いかわからないと、ギルドに入るかどうかの決断なんてできないだろ。一応、俺がギルドのリーダーなんだ。実力は知っておくべきことだろ」

「ええっ?!!」

「ちなみに、表向きは別人にするつもりだから言いふらすなよ」

 

 

驚く二人を尻目に、みんなを観戦ルームに案内し、俺はミルコと向かい合った。

 

 

「言っとくが、子供だからって手加減しねぇぞ。問題にならない程度にぶっ倒す!!」

「できれば手加減して欲しいんだけどな・・・ミルコだって、子供を蹴るようなことは」

 

 

瞬間、ミルコが一気に詰め寄り蹴りを繰り出してきた。マジで容赦ないな。俺は即座に後ろに回避した。

 

 

「マジで容赦しないんだな」

「当たり前だろ。子供云々の前にお前、相当強いだろ。私の本能がそう言っている。手加減は不要だってな」

「そうか・・・そうだな。すまない、謝罪する。ミルコの期待に応えるよう完膚なきまでに叩きのめさせてもらう」

「いいね、俄然やる気が出た!!」

 

 

陰奪 全部としての戦闘。爆豪と戦った時のような中途半端な戦いじゃない。文字通り互いの力と力をぶつけ合う戦い。バトルジャンキーってわけじゃないが心が躍る。

 

 

「アステロイド」

 

 

俺はオーラをキューブ状に分割して展開し、弾丸としてミルコにはなった。

 

 

「オラオラ、こんなもんか!!」

「いいや、赫灼熱拳 ジェットバーン!!」

「オイオイ、マジかよ!!」

 

 

弾丸を器用に避けて詰め寄ったきたミルコに対して俺は拳からも炎を放射した。さすがにこれは想定外だったのか、ミルコは後ろに大きく回避した。

 

 

「まさかNo.2の技を使えるとはな」

「他にも色々なヒーローの技が使える。なかなかに良い【個性】だろ」

「バケモンだな。【個性】もそうだが使いこなすお前も」

 

 

【強化】を使いこなすのには随分と苦労した。元々は強化率の向上のために鍛えていたが、訓練していくうちに、【強化】は単体だと数倍しか強化できず、しかもそれが上限値で同じ強化内容で重複させることができないことがわかった。

 

 

そのため、オーラの活用を前提に、オーラの性質を強化することを前提で戦略を考え、色んなヒーローの技を再現しようとした。ただ、技の再現はオーラの性質と1回だけの強化ではほとんどが再現不可、1回の強化に色々と詰め込もうにも強化率が分散されるため、できても爆豪との模擬戦の時のようなサル真似しかできなかった。

 

 

それなら、なぜ今の戦いでヒーローの技を再現できているのか。実は【強化】には面白い特性があった。それは同じ内容の強化を重複させることはできないが、"強化内容を変えることで重ね掛けが可能"というものだ。重ね掛けできる数は【個性】の精度に依存するが、理論上は無限に重ね掛けすることができる。

 

 

それを知ってからは【強化】の精度を向上させることに努め、現時点では強化内容にもよるが12個まで重ね掛け可能、そのおかげでオリジナルと遜色ないレベルで再現できるようになった。

 

 

ちなみに、前世の漫画の技も調子に乗ってポンポン再現したおかげでかなりの数の技が使える。

 

 

「近づくのに手こずりそうだな」

「その割には楽しそうだが?」

「近づけないなら強引に近づくまでだ!!」

 

 

そう言って、ウサギの跳躍力で一気に詰め寄る。直線的に詰め寄って来るとは迂闊すぎるぞ!!

 

 

「武器創生 ガトリング砲」

 

 

俺はオーラで模った設置型のガトリング砲を2門生成して迎え撃つ。アステロイドと違い設置型のため応用が利きにくいが、一定範囲内のマーキングされた敵を自動的に攻撃するため、迎撃にはうってつけだ。

 

 

「甘い」

「マジかよ?!!」

 

 

上空に向かって跳躍したと思ったら、天井を蹴って真上から詰め寄ってきやがった!!ガトリング砲が上空を向くが射角の問題で当たらない。

 

 

月堕蹴(ルナフォール)!!」

「装備創生 エンジン。レシプロバースト!!」

 

 

足にエンジンを模ったオーラを生み出し、一気にトルクを上げて最高速度まで達したオーラを纏った蹴りを繰り出しミルコの蹴りを相殺した。いや、高所からの加速も相まって、こっちがダメージを受けている。

 

 

「ハハッ、いいな、お前!!」

粋護陣(すいごじん)!!」

 

 

ダメージを受けたせいで追撃を貰ったが、球体に形成したオーラを乱回転させ、何重にも重ねたバリアで防御した。先程よりも威力が低かったおかげで防御できた。それでもギリギリだ。ここままではいけないと思った俺は、パネル上のオーラを周囲に展開し

 

 

乱反射(ピンボール)!!」

「甘い!!」

「あっぶね!!」

 

 

周囲に展開した対象を加速させるパネル上のオーラを使い、周囲をピンボールのように飛び回り攻撃を繰り返すが、決定打にはならないどころか捕まりそうになった。だが、俺を捕まえるために足を止めたな

 

 

落雷(なるかみ)!!」

「?!!」

 

 

周囲に展開したオーラは対象を加速させる効果もあるが、電気が流れると一定範囲内の同じ性質を持つオーラに向かって流れる性質がある。上空に避難した俺は電気を生成し、オーラに向かって電気を流し、ミルコにも電気が流れた。さすがのミルコもオーラの檻から逃げることができなかった。これで決着が

 

 

「ハハッ・・・やるじゃねえか」

「マジか・・・非殺傷用に電力は落としたが、それでも普通、気絶するぞ」

「そんなもん。気合で何とでもなるぜ!!」

 

 

いや、普通はそうはならんから。

 

 

「さすがはミルコだ。いいね、もっとやり合おうか」

「お前、最高だな!!」

 

 

こんな楽しい戦いはほんと久しぶりだ。俺をまだまだ楽しませてくれよ。

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

【Side:緑谷 出久】

 

全部君が強いのはわかっていた。それこそ、そこらのヒーローでは太刀打ちできないほどに。でも、まだどこかでトップヒーローたちにはかなわないと思っていた。なのに

 

 

「凄いな。ミルコもそうだがあいつも。トップクラスのヒーロー同士の戦いだって言われても信じるほどだ」

「今どきの子って、あんなに戦えるの?」

「全部君だけです」

 

 

みんながみんな全部みたいに戦えたらそれこそ色んな意味で大変だ。それにしても・・・新人ながら実力派のヒーローであるミルコに対等に戦うどころか手玉に取っているように見える。

 

 

「ゼン君、楽しむためにあえて遠距離戦を避けているね」

「そうですね。お兄様が上空に飛んで遠距離戦を挑めばミルコは負けますね」

 

 

上空に逃げてもウサギの脚力で飛べば接近戦に持ち込まれそうだけど、飛んでいる途中で軌道を変えることはできないし、接近戦に持ち込ませるほど全部くんは甘くない。

 

 

「あれが・・・【個性】を高度に利用した戦い・・・凄い」

「あれほどのことができるヒーローも滅多にいない。それをあの年で出来ているとは・・・末恐ろしいな」

「女性相手にあそこまでボコボコに・・・お腹が痛くなってきた」

 

 

おじさんがあまりの光景に調子を悪くしちゃった。

 

 

「お義父さん、彼女も承知の上です。それに見てください。とても楽しそうじゃないですか」

「余計にお腹が痛くなってきたよ、ハハハ」

 

 

その気持ち、ものすごくわかります。

時間が経つにつれ、段々とミルコが不利になっていっている。ミルコを至近距離まで近寄らせないようあの手この手で罠を張り、確実にダメージを与えている。糸を巡らせて動きを阻害したり、氷結を繰り出したり、段々と追い詰めている。

 

 

「ミルコが勝負に出たな」

「ですが、お兄様もこうなることがわかっていたので氷結を蒸発させて水蒸気を出しました」

「一瞬だが姿を見失った。その隙に上空に」

「ダメです。影が見えてるせいでバレてます!!」

「いや、あれはダミーだ!!」

 

 

霧に紛れて上空に逃げようとしたところをミルコがとらえたが、捉えたのはオーラで作ったダミーで本体は地上でキューブ状のオーラを展開して、ミルコを迎撃。ミルコに当たると同時に爆発し、そのまま決着がついた。

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

「いや~、まさか私が負けるとはな」

「まさかメテオラも使う羽目になるとは・・・しかも最後、一瞬だけだが立ち上がったし」

 

 

あれにはマジでビビったぞ。

 

 

「それにしてもマジで強いな・・・私よりも強いやつとそれなりの頻度で戦っているだろ、お前」

「ミルコよりも強いやつって・・・そんなの、そうそういるわけないでしょ」

「そうか・・・まあ、そうだな。ただ・・・なんというか、あまりにも実践慣れし過ぎている気がしてな」

「まあ、日頃から薫たちと訓練しているから、そのおかげで慣れているんだ」

 

 

あっぶね。勘だけで真実に気づきかけた。ミルコの言う通り、日ごとから訓練しているとはいえ普通、ここまで実践慣れはしない。例え天才であったとしても限度がある。

 

 

幸いなことになんとか誤魔化せたが、ミルコ自身はあまり納得はしてない感じだ・・・これは万が一のためのカバーストーリーを考えとかないと・・・まあ、それは後で考えるとして

 

 

「さて、デモンストレーションはここまでだが、どうだったかな?」

「感想が出ないほどに驚いてる」

「僕も」

 

 

主人公組とホップは驚いているが、ほかの面々はあまり驚いてない様子だ。ある程度予想していたのかな・・・あれ?

 

 

「なあ、父さんはどこだ?一緒にいただろ?」

「おじさんならトイレに行ってるよ。お腹が痛くなったって」

 

 

・・・父さんには刺激が強すぎたか。今度から引率は母さんに頼むとしよう。

 

 

「俺の【個性】である【強化】は本来、このようなことができる【個性】じゃない。どれもこれも応用によって可能にした。要するに、使い方ってことだ」

「もしかして・・・俺も」

「ああ、使い方次第では化ける。それは保証する」

 

 

実際、原作では化けていた。間違いなく化けるよ。

 

 

「それとミルコもギルドに入って欲しいんだが」

「そうだな・・・最初は気乗りしなかったが、いいぜ」

「マジか・・・理由は?」

「お前とまた戦いたい!!」

「だと思った」

 

 

バトルジャンキーとの再戦か。楽しかったからいいけど

 

 

「今度、うちに遊びに来いよ!!」

「うちって、事務所ないでしょ」

 

 

ミルコは珍しいことに、事務所とサイドキックを持たない一匹狼のようなヒーローだ。ウサギなのに。

 

 

「事務所じゃなくて家のほうだ。今度来いよ」

 

 

家か・・・家ってミルコの家ってことだよね。

 

 

「・・・」

 

 

凄く・・・嫌な予感がする。

 

 

「いや~、ミルコには悪いけど」

「遠慮するなよ」

「でも、ミルコだっていくら子供でも知らない人を家に入れるのは」

「今知り合っただろ、なら知り合いだ」

「・・・」

 

 

だ、誰か助けてくれ。

 

 

「わかりました。今度一緒に伺わせていただきます」

 

 

天使だ。ここに天使がいる。

 

 

「・・・まあいいぜ。歓迎するよ」

 

 

あまり歓迎って感じではなさそうだが・・・そうそう

 

 

「ミルコ、うちに入るなら1つ、頼みたいことがある」

「なんだ?」

「薫に稽古をつけてくれないか。格闘スタイルが足技主体なんだ。動き方もミルコに似ている。教えてあげて欲しいんだ」

 

 

実は彼女を誘ったのは薫の訓練のためでもある。俺でもある程度教えられるが限度がある。なら、動きが似ているプロから教えてもらった方がいい。

 

 

「いいけど、手加減しねぇぞ」

「いや、手加減してくれ。相手は子供だぞ・・・もし、受けてくれるなら定期的に相手になろう」

「いいぜ、のった」

 

 

少し不安だが、約束を破るタイプではないから大丈夫だろう。

 

 

その後、灰廻もギルドに加入することが決まった。ナックルダスターも誘ったが、断られた。なんでも、自分には合わないという。それと、俺が怪しいとも。

 

 

たぶん、勘の部分で俺がヴィランでないかと疑っているのだろうが、そんなこと気にするよりも、もっと気にすべきことがあるだろ。娘のこととか。

 

 

そのことを伝えると、すごい剣幕で俺に詰め寄るが、娘の珠緒が既に公安に保護され、すでに退院していること。そしてとある場所で暮らしていること。そのことを伝えると、凄い勢いで出て行った。

 

 

「あの人・・・凄い勢いで出て行ったけど、どうしたの?」

「過去を清算しに行った。それで思い出したがホップ、少しいいか?」

「え、私?」

 

 

俺はそう言うと、周りに聞こえない場所まで移動し、過去に灰廻に助けられたこと、自分から言い出さないと一生すれ違ったままになるということ。それらをふまえ、サッサと告白でもなんでもいいから話し合えと。

 

 

本人は自分の秘密を知っていたことに驚いていたが、思うところがあるのか「そうね」とだけ言って、みんなのところに戻った。

 

 

もうすでに原作とは違う展開になっているが、いい方向に進んでいると期待したい。

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

「さて、デモンストレーションは見てくれたと思うが・・・感想は?」

「君、凄く強いね。今すぐに逃げ出したいぐらいだよ」

「潔いのはいいが、逃げ出しても地の果てまで追いかけるからな。言っとくが、【個性】の無断使用とか抜かすなよ。その時は仮免取って、ミルコと共に合法的に地の果てまで追いかけるからな」

「ジェントル」

 

 

デモンストレーションの後、父さんたちといったん分かれて別室で待機しているジェントル・クリミナルとラブラバに会っている。この2人はヴィランだが、犯行後に人気のない場所に逃げたところをとっ捕まえて部屋に監禁し、先ほどの対戦を部屋で見せていたのだ。

 

 

「あんたの戦闘の様子を納めた監視カメラの映像を見させてもらったよ。中々に【個性】の使い方が上手いじゃないか。それこそ、何でヒーローになれなかったのかって、思うぐらいには。指導が悪かったんじゃない?」

「買ってくれるのは嬉しいが、私の実力不足だよ。あの時の私はどうしようもないロクでなしだった」

「じゃあ、今から実力をつけよう。もちろん、受け入れるよな」

「なんでそこまでしてくれるんだ?」

「極端なことを言えば、使える手駒が欲しい。それこそ、優秀で頼りになる手駒が。あと、社会に埋もれた人材ならなおのこといい、ギルドの目的とも合っているからな」

「私はヴィランだ」

「そこはあれだ。ヴィランの社会復帰の一助ってやつだ。安心しろ、話を付けることができる」

 

 

洗脳している会長を使えばどうにでもできる。ただ、段々と会長の立場が危うくなっているからやるなら早めがいい。

 

 

「彼女はどうなる?」

「無罪放免にはならないが、ジェントルと同じようにヒーローを目指すなら話をつける。ジェントルのサイドキックになってもらおう」

「・・・」

「ラブラバもなんか言ったらどうだ?ジェントルにずっと犯罪者として生きて欲しいのか?」

「ジェントル、彼が言うことが本当ならチャンスよ。私も協力する」

「ラブラバ」

「厳しい道だが、不可能じゃない。もっとも、キツイぞ。元ヴィランってことで周りの目は厳しいだろうし、訓練も甘くない。ただ、保証しよう。それらを乗り越えればヒーローになれると」

「・・・」

「どうする?やるか。やらないか」

「いいだろう。このジェントル、そこまで言われて逃げては男が廃る」

 

 

ジェントルは個人的には好きな人物だったし、引き入れることができて良かった。もっとも、本当の目的はラブラバーのほうだったが・・・エアが脅威に感じていたんだよな、彼女のハッキング技術を。下手をするとブランチの情報を抜き取られる可能性があるって。これである程度コントロールできるからその可能性はなくなった。

 

 

もちろん、ジェントルを引き入れたからには是が非でもヒーローになってもらう。訓練に時間はかかるだろうが、数年後にはヒーローにさせる。そのためにも、ジェントルをしごくとしよう。

 





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