俺の発現した個性が【オール・フォー・ワン】だったって、マジ?!!   作:AC6はいいぞ!!

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ep38:無個性の青年と無個性ヒーローへの道

 

 

「さて、わかっていると思うが、チャンスがあと1回あると思うな。これで決めるという思いで決めろ、無道」

「わかっている。俺はこの時のために1年間努力し続けたんだ」

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

1年前

 

 

「警察で試験運用されたが・・・かなり好評だな。追加配備も決まって業績はメチャクチャ良くなった」

「これによって、NEXTの株もうなぎ上り、業績も右肩上がりです」

「筆頭株主もエアが維持してくれてるし、会社の運営にも支障はない」

 

 

元々、筆頭株主は俺だったのだが、パワードスーツを売り出した後、資金を集めるために株式上場してからエアになっている。さすがに世界的に有名になったNEXTの株を3割以上保有するには、表の俺の資産は少なすぎた。

 

 

「それはそうと、実はNEXTのほうに面白い人物が来ていました」

「面白い人物?誰だ?」

 

 

そう言うと、エアは情報を送ってきた

 

 

無道 正義(むどう まさゆき)

大学1年生で奨学金を借り、アルバイトをしながら生活している。そして彼は

 

 

「【無個性】。珍しくはあるが・・・何が面白いんだ?」

「彼、アポなしでNEXTに訪れ、"パワードスーツによる【無個性】ヒーローの可能性"を売り込みに来たんです。しかも、【無個性】の自分を使って」

 

 

それはまた・・・面白くはあるが、説得力がなければ意味ないだろ。

 

 

「それで、その彼の体つきは?さすがにパワードスーツありきの【無個性】がヒーローとか論外だろ」

「だいぶ鍛えていました」

 

 

それはまた・・・興味がわいてきたな

 

 

「彼、資料などは置いていきました。捨ててもらっても構わないので、興味が湧いたら見てくれと」

 

 

なるほど・・・資料もよくできてるな。パワードスーツの強化案や装備者に必要なスキル・格闘技。AIによる補助についても言及されている。ところどころ素人の考えとも取れる部分があるが、全体的に非常によくできている。

 

 

「連絡先はこれか・・・そうだな。話を聞いてみるのもアリだな。場合によっては、本当に【無個性】ヒーローを生み出すことができるかもしれない」

 

 

現在、ギルドでは社会に埋もれたヒーローの卵を始め、様々な人材を探し出している。範囲は既存のヒーロー、ヴィラン、ヴィジランテなど様々だが、その中に【無個性】は含まれていない。

 

 

異形系も候補に含めているのに【無個性】を除外したのはなぜか。数が少ないのもあるが、【無個性】は異形系よりも迫害されるし力がないからだ。

 

 

だが、力がないという部分は実は嘘でもある。なぜなら、ほぼ【無個性】で戦闘を行うヒーローが存在し、サポートアイテムによる強化も可能だからだ。だから、"社会からの迫害がヒーローになれない理由"だと言っていい。そして

 

 

「その迫害がパワードスーツによって覆るかもしれない。【無個性】でもヒーローになれる可能性を生み出した」

「パワードスーツは【個性】に依存しないサポートアイテムとして生み出されました。世論も【個性】に依存しないものとして受け入れつつあります」

「それなら【個性】を持たないヒーローも受け入れられる可能性がある」

 

 

やってみる価値はありそうだが、問題は彼だな。彼が本当にヒーローになるべき存在なのか・・・試してみるか。

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

【Side:無道 正義】

 

「おい正義。マジでお前、NEXTに直談判しに行ったのか?」

「ああ、門前払いも覚悟してたんだが、役職持ちの人が出てきてな。1時間ほどだったが話を聞いてくれたんだ」

「スゴイな・・・それで感触は?」

「悪くはない・・・と、思うがどうだろうな。正直、連絡が来れば御の字だ」

 

 

親友が喰いつくように聞いてくる。個人的にはアポなしで訪問して話を聞いてもらうという無謀な行いだったが、予想外なことに話を聞いてもらえた。聞いた人も興味を示してくれてはいたが、俺が【無個性】だと言うことが問題だという感じだった。

 

 

「無謀だろうが、やることに意味があるんだろ。雄英入試だってやったし」

「だが落ちた。ほかのヒーロー科のある高校も軒並み落ちた。身体は鍛えているし、動けたとは思っているんだが」

 

 

やはり・・・【無個性】ではどうしようもない。

 

 

そんな暗い思いが頭をよぎる。そして、そのたびに思ってしまう。俺の努力は無駄なんじゃ・・・電話だ。知らない番号だ・・・まさか。

 

 

そう思って電話を取ると、相手はまさかのNEXTの代表の創生 名花。

 

 

話を要約すると、資料を見させてもらった。二度手間で申し訳ないが、改めて話を聞きたいと言ってきた。

 

 

まさか、本当に連絡が来るとは。親友も驚いて喜んでくれているが、俺はそれよりも気になったのは

 

 

「ここがあなたの人生の分岐点です。本社に来るときは、相応の覚悟を持って来てください」

 

 

そう言われたことだ。これは俺が思う以上に大事になっているかもしれないな。

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「初めまして、創生 名花です」

「無道 正義です。よろしくお願いします」

 

 

俺は今、NEXTの本社に来ている。プレゼン用の資料も改めて作り直し、万全の準備をしてきたはずなのに、緊張からか不安がぬぐえない。

 

 

いや、それだけじゃない。何故かこの場にいるのは俺と創生さんだけ。まさかまともに話を聞く気がない?いや、それなら代表がわざわざ来る必要がない・・・個人的に興味があるだけなのか?

 

 

そう思いが頭をよぎるが、今はそんなことを考えている暇はないと強引に意識を戻し、プレゼンを始めた。

 

 

結論から言うと、プレゼンは大成功。合間合間に質問をされるが、上手い事受け答えができていたと思う。相手も興味を示しており、感触はとてもいい。これなら

 

 

「そうですか、ありがとうございます。では、ここからが本番です」

 

 

ここからが本番?

 

 

「無道さん。あなたは我が社のパワードスーツを活用して【無個性】でヒーローになりたい。あなたがヒーローになればNEXTやギルドの地位が向上する。お互いに利益があると」

「はい、私はそう考えています」

「私もプレゼンの話を聞いているとそう思います・・・ですが、1つだけ懸念があります」

「なんでしょうか?」

「【無個性】は言い方は悪いですが迫害の対象です。それこそ見方によっては異形型以上に迫害されています。そんな中で無道さんはヒーローを目指す・・・様々な苦難が訪れるでしょう、あなたはそれを乗り越えられるか。要するに、覚悟はあるのか?ということです」

「もちろん、あります」

 

 

俺はヒーローになるためにひた向きに努力してきた。覚悟はある

 

 

「なら、それを示してください」

 

 

そう言うと、創生さんは1枚の紙を出してきた・・・契約書?

 

 

「これから1年半、あらゆる面であなたをサポートするという契約書です。金銭面も含めて支援します」

「それは・・・ありがとうございます」

 

 

これで俺は

 

 

「お礼を言うのは早いですよ。なぜなら、この契約書には大学を中退すること。2年経っても仮免に合格できなければ全額負担してもらうという契約になっているのですから」

 

 

全額・・・負担

 

 

「ちなみに、こちらの試算では1億ほどになる見込みです」

「1億・・・なんでそんなに」

「パワードスーツの購入代や改造代なども含まれていますからね。それらを含めて自己負担してもらうことになります」

「なるほど・・・覚悟を決めてきてくださいとはこういうことか」

「自信がおありでしたら問題ないのではないですか?」

 

 

俺は本気で迷った。1年半のサポート、それをNEXTがしてくれるならヒーローへの道も開ける。だが失敗すれば俺の人生は詰む。ただでさえ金がないのに、1憶も払えるわけがない。

 

 

「確認ですが、仮免のチャンスは2回、その認識で合ってますか?」

「はい、チャンスは来年の6月と9月だけです」

「2回・・・創生さんから見て、どれぐらいの成功率ですか?」

「わかりません。迷われるぐらいなら諦めたらどうでしょうか?」

「・・・」

 

 

俺は今、試されている。頭ではわかっている、だが人生のかかった選択だ。生半可なことはできない。

 

 

そして俺は迷わず

 

 

「意外ですね・・・まさか少し考えた後迷わずにサインするとは」

「よくよく考えてみれば、迷うことはないと気づきました。ここまで来て諦めるという選択肢は私には無かった」

 

 

カッコつけて言ったが・・・正直不安で仕方がない。サインした後だというのに本当にできるのか、そう思ってしまう。今までの経験がそう思わせてしまう。

 

 

「不安そうですね」

「そんな・・・いえ、正直不安です。騙されてないか、そう思って仕方がありません」

「そうでしょうね・・・ですが、安心してください。無道さんが覚悟をしてくださったように、私たちも覚悟を決めました。最高の支援で最高の【無個性】ヒーローに仕上げて見せましょう」

 

 

・・・なんか、寒気がするんだが気のせいか?

 

 

「それと、あなたを指導してくださる人が来ています。一連の流れを見ていたので早速訓練しましょう」

「今からですか?」

「そうです。これからの苦難を考えると、1日たりとも無駄にはできません」

 

 

それはそうだが、まさか今日からとは。

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

俺、もしかして騙されたんじゃ、だって

 

 

「初めまして、陰奪 全部です」

「無道 正義です・・・創生さん、まさかとは思いますが」

「彼が指導してくださる方です。まだ子供ですが実力は本物です」

 

 

もしかして、それは【個性】がって意味では

 

 

「?!!」

「へえ・・・いい反応だな」

「何の真似だ」

 

 

このガキ、氷を飛ばしてきやがった。何とか回避が間に合い、距離を取り構えた。

 

 

「馬鹿に折檻しただけだ。まさか創生がふざけて俺を紹介したと思っているのか?」

「そうじゃないのか?」

「そんなわけあるか。契約書が詐欺だったとして、これが明るみになればNEXTのイメージが地に落ちる。お前が落ちてもな、こっちもそれなりのリスクを負ってるんだ。お前だけじゃない」

 

 

そう言われ、俺は自分を恥じた。契約が詐欺だと疑った自分の情けなさに恥じたのだ。そして

 

 

「申し訳ありませんでした」

 

 

俺は頭を下げた。

 

 

「潔さは良し。少しは疑うかと思ったが、思ったよりも賢いな・・・これはいい意味で予想外だ。ただ、まだ俺の実力は疑っているって感じか。ああいい、疑うのは当然だ」

「と、いうことで模擬戦するぞ。そこにパワードスーツを用意しているからそれを着ろ。武装はそこにあるのは好きに使っていい。ルールは時間制限アリの何でもありだ。そちらの勝利条件は俺に倒すか降参させること。敗北条件は時間切れか倒されること」

 

 

そう言われ、俺は準備されていたパワードスーツのほうを見た。武装のほうも実装されたものがすべて用意されており、俺が理想とする組み合わせは

 

 

「へえ・・・いいアセンブルだな。右手にハンドガン、左手に特殊警棒、右肩にスタンミサイル、左肩に特殊シールドか。パワードスーツの機動性と1対1を考慮し、シールドで距離を詰めて電気ショックで一気に勝負を決める魂胆か」

 

 

アセンブル・・・たぶん、組み合わせのことを言ってるのだろう。遠距離戦という手もあるが、氷を操る【個性】なら氷壁を作られる可能性があり、下手に距離を取るとこちらが不利になる。それに自身を起点とした範囲攻撃があったとしても、パワードスーツがあればある程度は対抗できる。その隙に電気ショックを与えればこっちのものだ。

 

 

「10分ほど動作を確認した後、試合開始だ」

「できればもう少し時間を」

「その程度もできずに契約書にサインしたのか。だったら拍子抜けだな」

 

 

言ってくれる。だが文句を言っても仕方がないので、俺は時間が惜しいこともあって動作確認をした。

 

 

動かしてみた感じは身体操作の延長線上と考えるのが良さそうだと感じた。飛行に関しては、警棒に取り付けられているボタンを押すことで出来るようになっている。左手は接近武器推奨とあったが、飛行の操作を行いやすくするためか。

 

 

素人の俺でもある程度飛ぶことができた。もっとも、簡易的な姿勢制御で出来る前進、後進、ジャンプ、空中停止ぐらいだが、システムが優れているのか思っていた以上に簡単だった。これなら最低限戦える、そう確信した。

 

 

「時間だ。それじゃ、どっからでもかかってこい」

 

 

そう言うと試合が始まった。制限時間は10分。まずは牽制射撃を

 

 

「?!!」

 

 

俺は咄嗟に横に回避したと同時に、射線上に巨大な氷結が生み出された。

 

 

「俺の動きを見て、とっさに射線から外れたか。後ろに飛んで回避しなかったのも良かったな。飛んでいたら間違いなく捕まっていただろう」

 

 

俺は陰奪の周囲を走りながら牽制射撃を行った。陰奪は氷を張り巡らせ銃弾を防ぐ。予想通り氷壁を出してきたが、壁は思っていたよりも薄い。

 

 

俺は陰奪の視界がふさがったことを確認すると一気に陰奪に向かって飛行し、そのまま蹴りを繰り出す。氷の壁が厚かったら防がれてたかもしれないが、薄い壁では勢いに乗った俺の蹴りを止められず、そのまま壁を蹴破った。このままだと俺の蹴りが当たるが、壁のおかげで勢いはだいぶ削がれている。子供を蹴るのは忍びないがこのまま

 

 

「これで勝った。と思ったか?」

 

 

当たる直前に陰奪に足を掴まれた。馬鹿な?!!今はバックパックで飛んで加速もしているのに、重量の差があるはずなのに平然と掴まれているだと?!!

 

 

動揺していると、陰奪は手を離し俺は距離を取った・・・あいつ、氷結の【個性】じゃないのか?

 

 

「当てが外れたって顔だな。更に外してやろう。赫灼熱拳ジェットバーン!!」

「?!!」

 

 

そう言うと、拳からも炎を放射しつつ繰り出してきた!!

 

 

俺は咄嗟に距離を取るが、回避が遅れ直撃してしまった。だが、パワードスーツのおかげで致命傷を負わなかったのは幸いだった。だが

 

 

「今のは・・・エンデヴァーの」

「今のでエネルギーがだいぶ減ったんじゃないか?攻撃に対して簡易的なシールドを内部で展開することでダメージを軽減するんだがその分、エネルギーを消費する」

「バッテリーによる回復もあるが、1対1ではそんな暇はない。このままじゃ、パワードスーツが機能停止して負けだ」

 

 

パワードスーツは継戦能力に優れているが、それはあくまでも集団戦で味方が戦っている間にバッテリーによる補充が前提となっている。腰部にあるバッテリーの入れ替え自体、一人でもできるが十数秒はかかってしまう。

 

 

「これがパワードスーツの弱点でもある。そもそもの話、そいつは1対1を想定していないんだ。だから、それを解決するためには更に改良する必要がある。こいつのようにな」

「こいつのように?」

 

 

そう言うと、陰奪は試合のタイマーを止めた。そして奥からパワードスーツが運ばれてきた。俺が今来ているパワードスーツとは全く異なる種類のスーツ。武装もそうだが根本的に何かが違う。

 

 

「気づいていると思うが、これは今無道が着ているスーツとは全く異なるタイプのスーツだ。そちらのスーツが一般機なら、こちらのスーツはエース専用機。1対1を想定して作られたスーツだ」

「それは俺の」

「そう、無道の考えたのと同じ構想で作られたスーツだ。別に不思議なことでもないだろ?集団戦であろうと、絶対的な個を相手にするためには突出した存在が相手する必要が出てくる。まあ、ヒーロー云々は考えてなかったがな」

 

 

そう言うと、陰奪はスーツを着用し始めた。

 

 

「今度はこっちで相手しよう。もし無道がパワードスーツを着てヒーローをするなら、どれほどの動きができるようになればいいのか、身をもって実感してもらおう」

 

 

試合のタイマーが再スタートした。残り時間は6分。

 

 

武装は肩部がなし。右手にハンドガン。左手に特殊警棒。両手武器は俺と同じだが、肩部がないならまだ勝機はある。

 

 

俺はすぐさま肩部から展開されたアームを使って前方を盾を構えるように特殊シールドを展開し、それと合わせて対象物に命中すると電気ショックを与えるスタンミサイルを発射した。ミサイルの発射後にハンドガンで牽制。ミサイルの弾速自体、早くはないがハンドガンの牽制と共に後方に下がりつつ撃ち続ければ

 

 

「判断は悪くない。だがそれだけだ」

 

 

そういうと、陰奪はまっすぐに俺に突っ込んできた。しかも、ミサイルなどは上手くかわしつつ、しかもハンドガンで牽制もしてきた。なぜか俺の牽制は大して効かず、あちらの牽制は効いている。

 

 

「なぜだ!!性能差か?!!」

「腕の違いだ。撃つにしても跳弾をさせず、装甲が薄い場所を狙うべきだ」

 

 

距離が近くなったのを見た俺は、一か八か軌道変更するように見せかけ、地面に着地した後陰奪に向かって突撃した。接近戦を挑むにはまだ遠く、相手が想定してないことに賭ける!!

 

 

俺の目論見は成功し、ダメージは貰ったものの接近することに成功。勢いのまま警棒を振り下ろす。

 

 

「甘い!!」

 

 

だが振り下ろしは防がれ、追撃を入れようとするがチャージを仕掛けてきたため追撃できず、距離が開いてしまう。

 

 

「クソ!!」

「全体的に悪くない。動けているし、判断もいい。ヒーローを目指しているのは伊達ではないとわかるよ・・・ただ、まだ足りない」

「ここからは無道の目指した可能性の1つ。ヒーローになるにはこれぐらいの動きができるようになる必要がある、と言うのを示す。全力で防いでみろよ」

 

 

そう言うと、突撃した来た。舐めるな!!

 

 

俺は先程の指摘から連射速度をある程度捨て、集弾精度を上げた。相手もそれを分かっているのか、先ほどとは異なり回避行動も多くなったが

 

 

「デタラメだ!!常時飛行機能を使っているせいで機動性が違い過ぎる」

 

 

どういう仕組みかは知らないが、各所のスラスターを巧みに利用して高速移動している。スラスターの出力を調整していることから俺の使っているボタン式以外の方法で操作しているのは間違いないがどうやって・・・いや、今はそんなことを考えている暇はない、すぐに距離を

 

 

「甘い!!」

「?!!・・・クソ!!」

 

 

距離を取ろうとしたら、今度は絶妙なタイミングでハンドガンで牽制してきた。そのせいでこちらから反撃できず、そのまま距離を詰められた。

 

 

すかさず俺はチャージを行う。これで一瞬さえ怯んでくれれば・・・え?

 

 

「まさか・・・今のを避けるのか」

 

 

俺のチャージに合わせて、スライディングするように避けて背後を取り、ブーストを使って強引に姿勢制御を行い、特殊警棒で背後から切り付けられ、俺はそのまま倒れ込んだ。

 

 

「パワードスーツは武装もさることながら、機動性も売りにしている。特に各所にスラスターを増設した機体なら通常は無茶な姿勢制御も可能になる。そのぶん、操作難易度が跳ね上がり常人では使えない代物になる。だが、ヒーローを目指すというならそれぐらいできなければならない」

「操作は一体どうやって」

「俺の場合は脳波による操作。だが、この方法は【個性】込みでやっと操作できるほどのもので、常人には無理だ。だから、無道の場合は特定の動きと連動してブーストを使用するよう調整された姿勢制御プログラムを使うことになる」

「それは・・・難易度がとても高そうだな」

「まあな、それに加えて仮免ではパワードスーツを使わずに合格してもらう」

「なに?!!パワードスーツは使わないのか!!」

「使わない。というか使えない。おそらく、公安はパワードスーツがあれば合格できるという状況を恐れ、パワードスーツの使用を禁止するはずだ。本免に関しては総合能力を見る、という名目でなんとか使えるようにさせるつもりだが、仮免は自力で合格してもらう」

「・・・」

「それぐらいしないと、【無個性】でヒーローなんて無理だからな」

 

 

いや・・・まあ、そうだが・・・そうだな。

 

 

心のどこかで、パワードスーツさえあれば、そう考えていたのかもしれないな。

 

 

「ただ、あくまでもパワードスーツがダメなだけで、サポートアイテムがダメと言うわけじゃない。極端にアイテムだよりは論外だが、そうじゃなければ十分許容範囲だ。武術をたしなんでいるのなら、リーチを補うために棒術なんてのもアリだな」

「前途多難だな」

「わかっていたことだろ?」

「成功率は?」

「100%にするに決まってるだろ。逃げ出したらお先真っ暗。逃げ出すことは出来ない、なら前に向かって突き進むしかない。安心しろ、諦めなければ意地でも合格させる」

 

 

ハハッ、そうだな。もう俺には逃げ道はない、前に突き進むしかないんだ。

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

「そういえば、あん・・・あなたは一体」

「敬語は使わなくていい。これからは仲間なんだし、ある程度の敬意を示してくれればため口で構わない」

「そうか・・・なら、あんたは一体誰なんだ?この会社の重役の息子か?」

 

 

重役の息子って・・・まあ、そう考えるのが普通か。

 

 

「違うぞ。俺は重役の息子じゃない」

「そうなのか?」

「ああ、俺は事実上のギルドのリーダーだ」

「・・・はぁ?!!おい待て、ギルドと言えば、最近色々と話題沸騰中のNEXT傘下のヒーロー集団じゃないか!!」

 

 

最近勢いが凄いミルコ。半年前にヴィジランテからヒーローになったスカイクローラー。そしてヴィランからヒーローに転身したジェントル・クリミナ。その他にも変わった人材を集め、育成していると話題になっている。ただ、メンバーがメンバーなだけに、悪評もある。どれも根拠がなかったり誇張されているものばかりだが。

 

 

「あくまでも更生できそうな奴だけなんだけどな」

「あと、メンバーによる過去の不祥事も色々と話題になってた」

「ああ、スカイクローラーが女性を廃墟に連れ込もうとした件とかか。あれは傑作だった」

 

 

聞いた話では、大学時代に廃墟の屋上に違法建築されたプレハブに住んでいたのだが、それを伝えずに女性を連れ込もうとした結果、廃墟に連れ込もうとしたヤバいやつとして認識されていたことがマスコミにバレ、創生に「この件はスカイクローラーが悪いです。いくらなんでも事情も知らずに廃墟に連れ込もうとされたら女性側がそう思っても仕方がありません。反省してください」と一刀両断されてたな。

 

 

「そんな集団のトップが子供とは」

「言っておくが、変わり種を集めたことは否定しないがコネじゃない、実力だ。ミルコに関しては、今も毎週模擬戦しているし」

「マジか・・・彼女、ここ1年でメチャクチャ強くなり、ヴィランの検挙も凄まじいことになっているって話だが、それが原因か」

 

 

そりゃあ、毎週模擬戦してるからな。そのせいであのうさちゃん、原作以上に強くなっているし、最近じゃ新しい技も覚えて手が付けられなくなっている。ヴィランの検挙に関しては、エアがギルドを通して情報を共有しているからだな。ヴィランのいる場所に連れていけば勝手に検挙してくれるから楽でいい。

 

 

「だが、納得している。先程の模擬戦で俺は手も足も出なかった。それも相当手加減してることが嫌でもわかった」

「そりゃあ、ボコボコにされて喜ぶのはミルコぐらいだろ。他メンバーなんて、俺との模擬戦を全力で拒否するしな・・・まあ、強制参加させてるが」

「パワハラだな・・・というか、わかっているつもりだったが、ミルコ以外全員が逃げ出すほどなのか」

「まあ、1対全員なら拒否で済んでいるんだが、1対1なんて我先にと逃げ出すぞ」

「いや・・・マジか、前言撤回。全然お前の強さを理解してなかった」

「気持ちはわかるが拒否はさせない。やればやるほど確実に強くなるのは間違いないんだし、文句は言わせん」

 

 

パワハラだろうが、実力がなければ最悪ヴィランに殺される。そういう世界なんだ、甘えたことは許す気はない。特にラブラバーなんて戦闘力が低いから回避能力を上げさせている。ヤバそうな攻撃をサポートアイテムありで避けさせたら意外と生存能力が上がった。

 

 

「ちなみに、無道も拒否権はない。頑張ってくれ」

「・・・」

 

 

まあ、拒否しようが強制参加だ。逃げられると思うなよ

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

『そして今、無道の仮免試験か』

『公安からの妨害が気になるところですが』

『おそらく試験中には仕掛けてこないはずだ。ギリギリまで存在を隠したから手を回す時間もなかっただろうしな』

 

 

だが、無道は【無個性】だ。他と違って圧倒的な不利な状況。パワードスーツもない。

 

 

だが、これを乗り越えろ。これを乗り越えなければ話にならない。逆風の中で夢を叶えたいのなら、この程度の逆境は乗り越えて見せろ!!

 




最後までお読みいただき、ありがとうございました。


今回登場したオリキャラ、「無道 正義」は"【無個性】でヒーローを目指すなら"というコンセプトで生み出したキャラであり、別の作品で主役にしようと知っていたキャラをそのまま持ってきました。


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