俺の発現した個性が【オール・フォー・ワン】だったって、マジ?!! 作:AC6はいいぞ!!
「単刀直入に言うと、彼を私の"弟子"にしたいんだ」
「そのために、彼を鍛えている俺に会いに来たんですね」
「ああ、緑谷少年が絶対に陰奪少年にも言うべきだと言ってきかなくてね」
「そりゃあ、変な鍛え方されたらたまったもんじゃないですから」
今、道場内の部屋で緑谷を含めてオールマイトと会話している。今後のことを考えると・・・少し、カマをかけてみるか
「オールマイト、俺はあなたの現状についてある程度知っています」
「・・・現状とは?」
「なんでも、年齢のせいで活動できない時間帯があるとか」
「・・・なぜそのことを」
「カマを掛けたつもりだったのですが、本当だったのですね」
「・・・」
レイヴンの時にやられたのに・・・学習してないなこの人。
そんなわけで、今は変装もかねてガイコツ姿でいる、あと、俺に対して底知れない印象も残せて一石二鳥。これで侮られないだろうし、後は、上手い具合に話を進めて【ワン・フォー・オール】の話に持っていけばいい。
「まあ、ここまで聞いてしまったし本音で語り合おう。弟子と言いったが、俺は反対だ。出久には悪いが出久は【無個性】。あなたの弟子ということは次世代のトップとして見られるはず、とてもじゃないがトップとしてやっていけるとは思えない」
「ああ、それだが昨日【個性】が発現したから問題ない」
「なに?!!」
おいおい、そんなアッサリと言うのか?!!
まさか、何か考えが
『レイヴン、たぶん思い付きで話しています』
『ま・・・マジかよ』
そんなことを思っていると、少し黙り込んでたようで会話を続けた。
「ほんとか?」
「ほ、ほんとだよ・・・ちゃんと【個性】が発現したんだ」
「どんな【個性】だ?」
「超パワー。オールマイトはそれを見て僕を弟子に「今まで【無個性】だったのにオールマイトに見初められていきなり発現か」・・・」
「オールマイト、先日の1件は知っている。それまで緑谷との接点がなかったことも・・・まさかとは思うが」
「出久に【個性】を移植した、何て言わないよな?」
「・・・」
「そこは否定して欲しかった」
まあ、これは想定内。
『レイヴン、何故そのようなことを』
『今後のことを考えると、秘密を共有して置ける間柄になった方がいい、強制的だがな』
口封じなどオールマイトはしないだろうし、問題ない。
「いや・・・その」
「非人道的な人体実験をしているとは思っていない、ですが説明してくれ。出久はあなたの弟子云々の前に俺の弟子のようなものだ。責任がある」
「・・・わかった、話そう」
そう言うと、オールマイトは【ワン・フォー・オール】について語り出した。一部違う点としては、オール・フォー・ワンについても話していたことだ。生存していることは掴んでいるらしく、いずれは戦うことになるであろうことも。
「わかりました。出久がいいなら構いません。引子さんにこのことは」
「言ってない。このことに関して知っているのはこの場にいる面々を含めてごく一部、とてもじゃないが言えない」
「そうですか・・・出久、あまり言うつもりはないが、引子さんの思いもちゃんと考えろよ」
「わ、わかってるよ」
わかってなさそうだな。
話は終わり、早速出久の【個性】を確認したのだが
「なんで0と100しかないんだ、しかも100出そうとして骨を折りかけてるし」
「すまない、陰奪少年」
事前にオーラで身体を保護して置いてよかった。じゃなかったら完全に折れてたし、下手したら折れるだけでは済まなかった。
「思ったんだが、何で部分的なんだ!!全体的に少しずつ上げていくように知ればいいだけだろ」
「その手があったか」
「・・・」
オールマイト。弟子にするならこのぐらいはアドバイスしてください。
原作のフルカウルについて知ったときはいい発想だな、と思ったが、ヒーローとして経験豊富なオールマイトがそこに至るまでの助言をできなかったこともだいぶ問題だなと思ったことを思い出し、オールマイトの育成能力の低さを改めて実感した。
そうやってアドバイスをしてやると、出久は全身に緑色の電気のようなオーラをほとばしらせ、動き始めた。
「こうしてみると【オーラ】に似ているな。今の強化率は?」
「私を100とすれば、20ぐらいかな、無理すれば25はいけそうだね」
「あれほど強化しているのにまだ20。【ワン・フォー・オール】、想像以上に凄い【個性】だ」
【ワン・フォー・オール】に関しては予想通りだが、それはそれで問題だった。
『予想通り、ほかの【個性】の発現はありませんね』
『ああ。身体に馴染んでいないせいか、それとも別の条件があるのか。最初から出力が上がっているならワンチャンあると思ったが』
原作では【ワン・フォー・オール】は特異点を超えたことで歴代継承者たちの【個性】が発現した。緑谷の時には既に特異点は超えていると予測されるため、すぐに使えるようになると思ったが甘かったようだ。
『ただ単に馴染んでいないのが理由ならいいが、そうでないなら問題だな』
『歴代継承者たちに確認するのはどうでしょうか。もしかしたら原因を知っているかもしれません』
エアの言う通り、確認してみるのが良さそうだな。
そんなことを思っていると、オールマイトが緑谷の予想以上の仕上がりに喜んでいた。
「想定では10以下と思っていたんだが、これは予想以上だよ緑谷少年!!」
「そうなると、後は実践を含めた訓練あるだが」
「申し訳ないですがオールマイト、もうここには来ないでくれ」
「?!!。理由を聞いてもいいかな?」
「単純に、あなたは目立ちすぎる。それに出久が弟子であることは隠した方がいいかと。周りにも迷惑が掛かるから」
「そ、そうか・・・想像以上にしっかりと考えているんだね君は」
いや、オールマイトがは考えなさすぎなだけだ。
「ガイコツ姿で変装すれば普通は問題ないんだが・・・俺の妹の【個性】が【オーラ】である程度の人物判定が可能なんだ。主にオーラの大小などで」
「・・・もしかして」
「ものすごいオーラが見えると思う。たぶん、妹に見られると普通にバレる可能性がある。ガイコツ姿も同じだろう」
「・・・」
オーラは精神・生命エネルギーの総称で具現化するには【オーラ】の【個性】が必要だが、オーラ自体はすべての生物が持っている。
そのため、姿が変わっただけでは変化しない。なぜなら内に秘めた力はそう簡単に総量を変えることができないからだ。
「もし、オールマイトのほうで訓練していただけるのであれば、休日の道場での訓練以外を見て頂けるとありがたい」
平日は基本的に来れないからな。
「そうさせてもらうよ。今日からよろしく、陰奪少年」
「よろしくお願いいたします。オールマイト」
こうして、緑谷はオールマイトの弟子となり、雄英高校入学を俺たちと共に目指すのであった。
・・・・・・
「久しぶりだね。4年ぶりかな」
「まあな。そっちも元気そうで何よりだ」
現実から隔離された空間で、俺は【ワン・フォー・オール】の歴代継承者たちと向かい合う。
「9代目、君の弟子なんだってね」
「ああ。そっちの考えている通り、【ワン・フォー・オール】を継承させるために鍛えた。おかげで問題なく継承できたし、力も扱えただろ」
「俊典は最初から使えたが」
「あんな脳筋と一緒にするな」
普通なら四肢がもげ爆散するところを20%とはいえ使えるところまで持って行ったんだ・・・そう考えると、オールマイトのチート性能も大概だな。
「単刀直入に聞くが、歴代継承者たちの【個性】は使えるか?できれば早めに覚醒させたいんだが」
「・・・どうして君がそれを知っているのか謎だけど、結論から言うと可能だね。もっとも、まだ【ワン・フォー・オール】が馴染んでない。もう少し【個性】が身体に馴染む必要がある」
「なるほど。じゃあ、問題ないな」
「あと、彼らが協力しないと駄目だけど」
そういうと与一は継承者たちを見る。
二代目と三代目は協力する気はなさそうで、それ以外は協力する気があるようだった。
「三代目の【発勁】は汎用性が高いし、早めに訓練して練度を高めておきたいんだが」
「まだ彼のことを見極め切れてないみたいだね。僕としてもできれば協力してほしいところだけど、こればかりは彼ら次第さ」
与一がそう言うが、2人は視線を逸らしたまま。どうやら現時点では協力する気がないらしい。
「雄英入学まで10か月。3か月程で慣れさせて、後は発現した【個性】の練習に費やす」
「おいおい、随分とハードだな」
「悠長なことはしてられない・・・オール・フォー・ワンの動きがきな臭い。行方がわからないのもあるが、動きが奴らしくない。おそらく、協力者がいる。かなりの手練れだ。足取りが掴めない」
シーカーも頑張ってくれているのだが、まったく足取り見つからないことを考えるに、俺らの雄英入学まで見つかる可能性は低いだろう。力を蓄えている可能性が高い以上、今のうちに緑谷を鍛える必要がある。
「1カ月後には嫌でも協力してもらう。もちろん、二代目と三代目にもだ」
「できれば彼らの意志を尊重してほしいんだが」
「考えをまとめるために十分すぎる期間は設けた。これ以上は譲歩する気はない」
いざとなれば、あらゆる手を使って従わせる。オール・フォー・ワンは意志の強さの問題で【ワン・フォー・オール】を奪い、従わせることができなかったが、俺に関しては話は別だ。【ワン・フォー・オール】を奪うことはできなくてもある程度強引に従わせることはできるはずだ。
「強引だね」
「悪いとは思っているが、譲る気はない。こっちもそれだけ危機感を抱いているんだ」
俺らの見えないところで誰かが意図して原作を変えている痕跡がある以上、悠長なことは言ってられない。原作崩壊だろうがなんだろうが、やれることはすべてやる。
最終的に二代目と三代目が折れ、協力してくれることになった。不服そうではあったが、状況が状況なだけに仕方なくといった感じだ。
ただ、これで緑谷の大幅強化の段取りができた。あとは・・・
・・・・・・
「そう言うわけだ。協力してくれ」
「オールマイトから連絡があったと思えば、まさか【ワン・フォー・オール】のことまで知られているとはね」
「ハハハ、すまない」
翌日、オールマイトの紹介でサー・ナイトアイに会っている。原作ではオールマイトが緑谷を指導していたが、この世界線ではサーがオールマイトのサイドキックのため、オールマイトが協力を依頼した。
緑谷がサーのお眼鏡にかなうか少し心配だったが、思っていた以上に評価が高かった。原作では通形 ミリオことルミリオンを押していたのだが、この世界線ではサーは独立してないためルミリオンと会っていない・・・と、思っていたが、実際には会っていた。
数か月前に根津校長の紹介で【ワン・フォー・オール】の継承者候補として紹介されており、密かに鍛え上げていた。なので、そちらを押すと思っていたが、緑谷の仕上がりを見て考えを改めたらしい。
そして、俺に関しては
「単刀直入に言うが、私は君を信用していない」
と、メチャクチャ不信に思っていた。【ワン・フォー・オール】のことを含め、オールマイトの秘密を知っている俺を警戒している。
「奇遇だな。俺もあんたを信用していない」
なので俺も堂々と言ってやった。まあ、信用してないって言うのは嘘ではない。と言うのも、【予知】を過信して未来を変えようとしなかった男をどうやって信用しろというのか。未来を変える方法を探していたのはわかるが、諦めたら意味がない。
さすがにオールマイトもその発言を見逃せなかったのか、俺に対して謝るように言ってきたが、事実だとして拒絶した。サーも怒るかと思ったが、意外なことに怒るどころかとても冷静だった。
「未来を変えようとしなかったか・・・確かにその通りだ。事実、私はオールマイトの負傷の未来を事前に知っていたのに未来を変えようと何もしなかった」
「それはレイヴンが何とかしたから問題ないだろ」
「確かに問題ない。私がその未来を見ていたのなら」
なんだ?どういうことだ?
『レイヴン。サーがオールマイトの未来を見た時期が一致しません。原作でサーがオールマイトの未来を見たのは』
『オールマイトがオール・フォー・ワンに負傷させられた後、時系列が一致しない』
バタフライエフェクトが起きたせいで事前に予知していたのか。そうなると、サーはオールマイトが完治することを知っていたわけだが・・・まさか
「オールマイトの負傷する未来は見たが、レイヴンに完治される未来を私は見ていない」
「?!!」
予知が外れた?
「また、君の未来についても見させてもらった。だが、君の未来はすべて黒塗りされていて何も見えなかった」
「・・・」
おかしい。俺はサーに予知されないようにあらかじめ対策を講じた。だが、それは予知した情報を誤認させるというもので、情報そのものを見せないようにするものではない。
「見えないってことは、未来が分からないと」
「そうだ。検証が必要だが、恐らく君は私の【予知】を覆す力がある」
覆す力があるか・・・それはつまり
『俺はサーの予知を単独で変える力があるのか』
『原因はわかりませんが、そのようです』
まいったな。サーの予知を活用して原作改変したこの世界線の未来を確認しようとしたのに。
『悪いことだけではありません。サーの【予知】がレイヴンに効かないということは、何らかの要因で正体が露見するという可能性が無くなったということです。』
確かに。今まで俺を含め、ブランチのメンバーはサーに接触していない。というのも、下手に接触すると【予知】で俺の正体も含め、全てバレる可能性があったからだ。もっとも、ほかのメンバーに関しては相変わらず危険なことには変わりないが。
・・・・・・
その後、緑谷の訓練と並行してサーの【予知】の検証を行い、以下のことが分かった。
・俺の未来を予知することができない。
・俺に近しい人物を予知した際、俺もちゃんと映る。ただし、俺が関与した出来事はほぼ確実に内容が変わっていた。
ハッキリ言って、異常だ。
サーの予知を覆す条件として「未来を変えるためのエネルギーが集約すること」が原作で言及されていた。ただ、俺の場合は何気ない日々の日常も簡単に覆った。さすがのサーも自身の【予知】を疑ってしまうほどだったが、俺と無関係の出来事に関してはほぼ100%当たるため、【予知】がおかしくなったとは考えにくかった。
そのことから考察するに、俺自体が「未来を変えるための莫大なエネルギーを持つ存在」であり、そのことが日々の日常を簡単に覆している原因だと考えられる。俺の未来が見えないのもそのあたりが原因だろう。
サーだけでは検証材料が不足しているため、俺も【予知】を複製しようと思ったのだが、【予知】を複製できなかった。【新秩序】以来の複製不可だが、よくよく考えてみれば俺と関連性の深いブランチでは全くと言っていいほど役に立たないだろう。だから、非常に残念ではあるが諦めはついた。
俺としては非常に残念な結果だったが、サーは違っていた。オールマイトの悲惨な未来を目の当たりにし、変えられないと思っていた分、未来を変えられるとわかって喜んでいた。
また、サーとも検証を重ねていくうちに一定の信頼を得ることができた。これで後は緑谷を鍛え上げていくだけだ。
・・・・・・
雄英高校入試試験前日
「さて、明日ついに雄英入試だ。わかっていると思うが」
「4代目。【危機感知】以外は使用禁止だよね」
「正直、そこまでしなくていいと思うが」
「オールマイト。彼の言っていることは正しい。あまり派手に使うとオール・フォー・ワンに感づかれるし、複数個性持ちだと思われると後々厄介なことになる」
入試までの10か月間。緑谷を死ぬほど鍛え上げ、見事に継承者たちの【個性】を発現させることに成功した。もっとも、原作のような壮絶な経験は・・・まあ、してないからさすがに原作ほどじゃなかった。なお、緑谷は十分壮絶だったと抜かしていたと言っておこう。
俺としては【危機感知】も禁止したいところだが、さすがにそれをやるといざ危機が迫ったときに対応できない可能性があるのでやめておいた。継承者だとバレているならともかく、まだバレていないのなら秘匿安定だ。
「明日は雄英入試。まあ、俺はともかく緑谷は大丈夫だろ」
「いや、全部君がダメなら誰も合格できないでしょ」
「俺の場合はほら、内申があれだから」
「日頃の言動のせいだな」
サーが呆れたように話す。小学校でもそうだったが、中学校でもそこそこやらかしている。俺は悪くないよ、ちょっと馬鹿をシバいていただけ。
「まあ、雄英に入れるように圧倒的な実力を見せつけるさ」
それこそ、文句のつけようのないほど圧倒的にな。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は緑谷の超絶強化回です。10か月間の訓練により、原作終盤と同程度の実力を身に付けました。もっとも、精神面はまだ甘い部分が多く、そこが弱点になります。