俺の発現した個性が【オール・フォー・ワン】だったって、マジ?!!   作:AC6はいいぞ!!

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ep50:雄英襲撃事件の終わりと新たな騒乱の始まり

 

【Side:エンデヴァー】

 

「陰奪の奴、こうなることが分かっていたな」

「いや、あいつは私たちのことを『万が一の備え』って言ってたぜ。なら、これは想定外だっただろうよ」

 

 

警官部隊によって運ばれていく脳がむき出しの化け物をにらみつつ、エンデヴァーはミルコと話していた。

 

 

そもそものきっかけは昨日の電話。急に陰奪から雄英高校周辺のパトロールを依頼された。それも正体を隠した状態、極秘でのパトロールを。

 

 

ほかの奴なら即座に断ったが陰奪には借りがあったし、何よりあいつがこんなことを言うということは、何かとんでもないことが起こるのではないかと俺の勘が言っていた。

 

 

翌日、早朝からサイドキックたちを招集し、雄英をパトロールしていたら化け物どもが市民に襲い掛かった。幸いだったのは、俺がサイドキックをほぼ全員動員していたことやギルドのメンバーを総出でやってきていたことだ。いくら雄英に近いとはいえ、現地のヒーローたちでは限度がある。

 

 

おかげでけが人こそ出たが、死傷者は出なかった。もっとも、化け物たちが広範囲に出現したせいで被害規模が大きいが。

 

 

「ミルコ、陰奪と連絡はまだ取れないのか?」

「取れねえな。ラブラバーが言うには通信妨害が発生しているらしい」

 

 

通信妨害、かなり用意周到な反抗だと見ていい。なのに、俺らを呼び出した当人はここに来ていない・・・まさか、雄英で何かあったのか?

 

 

そうと判断した俺はサイドキックたちに指示を出し、雄英に向かう準備をする。サイドキックたちが後処理している最中ではあるが、早急に確認しなければならない。ミルコも向かうと言うことなので、急いで指示を出す。

 

 

「ミルコ、大変よ!!」

 

 

指示を出しているとラブラバーが大慌てでやってきた。死傷者が出たのかと思ったが、そうではないらしい。ただ、彼女の表情からとんでもない事態が起きたことが伝わってくる。

 

 

そう言って、彼女は手元の画面を操作してニュースを見せる。ネットが回復したか、と思ったのはつかの間。俺はニュースの内容を見て、かつてないほどの怒りを感じる。

 

 

「なんだこれは?!!どうなってる!!」

 

 

あり得ない。あいつに限ってそんなはずはない。ミルコも俺の横で怒鳴り散らしている。信じられないのは俺も一緒だった。

 

 

事の真相を確かめるためには本人に聞くしかない。俺は大急ぎでミルコと共に雄英に向かった。

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

【Side:オールマイト】

 

周囲に敵影は無し。ヴィラン達の襲撃は終わったか。

 

 

まさか雄英でここまで堂々と襲撃を受けるとは・・・今回ばかりは素直にレイヴンに感謝しないといけないな。もしも、到着が遅れていたら・・・そう考えると、今回は運よく襲撃を防げただけだと理解させられる。

 

 

生徒たちも良く戦ってくれたと思う。特に陰奪少年は・・・少年はどこにいるんだ?そういえば、私が来たときにはいなかったような・・・陰奪少女たちもいない?

 

 

「オールマイト。今確認したのですが、彼は襲撃前に校舎のほうに向かったようです・・・どうやら、ヴィランの襲撃を対処しに行ったとのことです」

「Oh、Shit!!なんてことだ。いくら陰奪少年が強いとはいえ学生。ヴィラン達と戦わせてしまうなんて」

 

 

校舎側はレイヴンが何とかするからと言われ、USJに来てみたがまさか陰奪少年が校舎に向かうとは。ここに現れた黒い怪物は私が相手しなければならないほど手ごわかった。向こうに現れてないといいのだが。

 

 

「それと一部の生徒がUSJの外に転移させられたらしく、そこでヴィランの襲撃にあったそうです」

「なんてこった・・・無事なのか?」

「はい。こちらに向かって・・・今戻ってきたようです」

 

 

幸いなことに、この場は相澤君が取り仕切ってくれている。私がいなくなっても問題ないだろう。

 

 

校舎のほうも気がかりだ。レイヴンを信用していないわけではないが、急いで向かうべきだろう。

 

 

そう思っていると陰奪少女たちが戻ってきた。ただ、彼女たちの悲壮な表情をしており、何か起きたと瞬時に察してしまった。

 

 

「オールマイト。大変なことになりました。先程、通信が回復して情報を集めていたのですが」

 

 

そう言って、レイ少女がとあるニュースの概要を語る。その内容を聞いたとき、私は信じられず思わず聞き返したほどだ。陰奪少女たちも何かの間違いだと呟く。私もそう思ってならない。

 

 

ただ、どの番組でも同じニュースが流れていて内容はすべて同じと言う。一体何が起きているんだ。

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

まったく、こいつ意外と重いな。

 

 

俺はフードちゃんたちをオーラを使用して担ぎながらぼやく。抱えている数は2体。ほかの死体も探したが、案の定回収されており、特に回収したかった指揮官も回収済みだった。

 

 

『まさか黒霧以外にもワープ持ちがいるとはな』

『もしくはビーコンが取り付けてあったか』

 

 

確かに、原作で脳無を回収できなかったのは座標がわからなかったから。なら、座標がわかるようにビーコンを取り付ける。原作を知っていれば誰でも思い至る発想だな。

 

 

『幸いなことに2体は回収できた。こいつらを調べても何も出なかったが、今回の件を説明するための物証にはなる』

 

 

【個性】を使って色々と調べたが、原作で知り得た知識以上の情報は出てこなかった。俺らに回収されることを考慮して、何かしらの手を打ったとみるべきだろう。

 

 

『通信妨害はまだ続いているのか』

 

 

【個性】によるものなのか?原作でもジャミングができるヴィランはいたが、ここまで広範囲ではなかった。

 

 

色々と情報を精査していると校舎前に到着した。どうやら警察が到着しており、先生たちと話し合いを・・・いや、何か言い争っている。何があった?

 

 

「あ、バカ来るな!!」

 

 

マイク先生が大慌てでどっか行けとジェスチャーをする。ただ、大声を出したせいで警察官も気づき、すごい剣幕でこちらに詰め寄る。

 

 

「陰奪 全部君だね。その手に持っているのは」

「校舎を襲ったヴィランだ。倒してから持ってきたんだが」

 

 

「今すぐに渡してもらおう」

 

 

ずいぶんと上から目線だな。それに横暴。あと、何故か右手が拳銃にかかっている。ほかの警察官も同様で、俺が知らない何かが起きていると認識するには十分だった。

 

 

「渡すのはいいが、まずは色々と説明を」

「その必要はない。陰奪 全部」

 

 

「詐欺・強盗・殺人、諸々の容疑で逮捕する」

 

 

「・・・は?」

 

 

おい待て、こいつらなんて言った?

 

 

「逮捕状も出ている。大人しく来てもらおう」

 

 

一瞬冗談かと思ったが、目は笑ってなかった。いや、どこか焦点が合っていないようにも見える。まるで何かに操られているのではないかと感じられる。

 

 

俺は即座にエアに連絡を取る。色々とわからないことが多過ぎる。エアからも何も聞いてない。

 

 

『レイヴン、大変です!!今各テレビで陰奪 全部の犯罪について一斉に報道されています』

『犯罪って、なんのだ?』

『詐欺・強盗・殺人、色々です。すべて冤罪ですが、すでに罪が確定したかのように報道されています』

 

 

白昼堂々と冤罪が平然と行われているということは、公安の仕業だろう。だが、会長が主体ではない。下っ端の暴走だと俺は確信する。会長の性格からしてこのような手段と取るとは思えないからだ。

 

 

問題なのがまったくと言っていいほど情報がなかったことだ。エアは今の情報社会において、ほぼすべての情報精査している。政府機関や大手企業のオフラインの端末も俺と共同で情報を吸い上げれるようにした。もちろん、公安も対象だ。だからこそ、俺の逮捕に関する情報があるのなら、絶対にエアが気づく。なのにエアは知らなかった。

 

 

『どこまで計算づくなのか・・・何もかも相手に上をいかれるな』

『レイヴン、まさか通信障害も』

 

 

『ああ。俺らに行動を感づかれないようにするためだ』

 

 

わざわざ全国規模で通信障害を発生させたのもネット上からの監視を一時的に行わせないようにするため。

 

 

敵は俺らの情報網に気づいている。気づいたうえで、自身の存在が知られていないという利点を最大限に生かし、俺らの上を行く策を講じた。

 

 

ギルドの事実上のリーダーが誤認逮捕、それも公安によって仕組まれた逮捕となると大惨事になる。秘匿もできない。俺がギルドのリーダーと言うことは、オールマイト、エンデヴァー、ミルコと一部はトップも知っている。そして、公安との確執についてもだ。俺をピンポイントで狙ったということは間違いなく、敵も知っている。

 

 

恐らく、会長との密約についてもバレているだろう。そうなると、事が大きくなった後にこの情報を流せば・・・どうなるか考えたくもない事態に発展する。

 

 

『レイヴン、まずは目の前の事態の収拾が優先です。ここは一時的に逮捕されるのも手ではないですか?』

『いや、敵がどのような存在か不明である以上、不用意なリスクは避けたい』

 

 

警察に捕まっても脱出する手段は確かにあるが、敵の罠がある可能性も低くない。事を大きくすることは確定だが、それでも捕まるというのは許容できない。

 

 

『逃走は確定。なら、今は逃走するためにやるべきことをやろう・・・まずは』

 

 

加速した思考を通常の速度に戻し、目の前の警官たちを見る。後ろの警官は俺を警戒して銃を構え、前の警官たちは手錠を出し、俺を組み伏せようと近づく。

 

 

相手の思惑はわからないが、トップどころかそこらのヒーローもいない時点で、俺を捕まえるのは不可能。俺は近づいてくる警官たちに対し、反撃を受ける前に氷結を一気に繰り出し、警官たちは氷の彫像となった。

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

「陰奪、お前なんてことを」

「そんなこと言ってる場合じゃない。だいたい、俺の逮捕がおかしいってことは先生もわかっているはずだ。氷漬けにしたのは時間稼ぎ、逃走する前にやることがある」

 

 

ヒーローとして、普通なら即座に俺を拘束すべきだ。だが、マイク先生はそれをしようともしない。思い悩んだ様子から察するに、何かがおかしいと感づいている。それは横にいる校長もそうだった。

 

 

だいたい、逮捕するにしても今である必要はない。そもそもの話、逮捕するなら朝一に行うのがセオリー。間違っても衆人観衆のいる昼、それもヴィランに襲撃された後の現場で行うべきじゃない。仮に行う必要があったとしても、ヒーローを連れていないのはおかしいし、教師たちに穏便に身柄の確保を依頼しないのもおかしい。

 

 

「根津校長。単刀直入に聞く。俺がギルドのリーダーだってことをオールマイトから聞いているな」

「知ってるよ。もしかしたらと思ったけど、この事件は」

「公安の仕業だろう。よほど俺が邪魔だと見える」

 

 

このやりとりに、横でマイク先生が唖然とする。

 

 

校長もそれには同意のようで、ヴィランの襲撃があったのにそれを無視して俺の逮捕を優先したことで公安が裏にいると感づいたらしい。もっとも、会長の仕業だとは思っておらず、洗脳系の【個性】を持ったヴィランによるものだと思っているようだ。

 

 

「やるべきことは多いが、まずはこれだな。校舎を襲撃したヴィラン、その死体2体分。他にもあったが持っていかれた、恐らくビーコンの類が埋め込まれているはずだから回収されないように注意してくれ」

「君はこれからどうするんだい?」

「USJに行って、その後逃走する。今捕まった場合、ヴィランの手に落ちる可能性が高い。俺一人だけなら逃亡できる。だから、後顧の憂いを無くす」

 

 

俺がそう言うと、校長は連絡先を渡してきた。校長の秘密の連絡先であり、今後のやり取りで役に立つだろうとのこと。

 

 

俺は校長に礼を言うと、即座に飛び出しUSJに向かう。そして、その間に更に情報を集めるためにエアに連絡を取る。ただ、最悪なことは続くもので

 

 

『レイヴン、更に悪い情報です。全国各地の個性抑制剤を秘密裏に処方しているクリニックが一斉摘発されました』

『・・・』

 

 

日本社会の崩壊。ここまでくると、冗談抜きで日本社会崩壊までカウントダウンが残り僅かといって過言ではない。各地のクリニックが摘発されたと言うことは、全国各地の異形系の【個性】持ちの不満が一気に爆発する。

 

 

そして、この情報をエアは掴んでいない。校長は洗脳系の【個性】を疑っていたが、ここまで大胆な計画を事前に察知できなかったあたり、かなり長い期間をかけて用意された時限式の洗脳とみて間違いないだろう。

 

 

『ブランチとしても対応しないといけないが・・・下手に介入することができない。とりあえず、個性抑制剤を増産してくれ。場合によっては、バラまくことで対応する』

『了解しました』

 

 

その後、各所とのやり取りを終え、USJにたどり着く。降り立つときに見えたみんなの表情は暗く。俺を見て俺を心配するあたり、既に俺の逮捕については知っているようだ。

 

 

「陰奪、お前大丈夫なのか」

「大丈夫・・・と言いたいが、わからないな」

 

 

みんなも俺のことを心配しており、誰もがニュースのことを疑っていた。短い期間だったにもかかわらず、俺のことを信用してくれたことが嬉しかったが、今は感傷浸っている場合ではないと思考を切り替え、やってきたオールマイトと向き合う。

 

 

「オールマイト、単刀直入に言う。ここにいる4人をあなたが保護してくれ」

 

 

俺はそう言うと薫、透、被身子、レイの4人の保護を依頼する。オールマイトも今回の件が異常事態だと察し、即座に承諾する。

 

 

オールマイトは日本における絶対的な象徴。いくら公安と言えど、よほどの理由がない限り手出しはできない。

 

 

緑谷も俺らと親交が深いが、最悪オールマイトの弟子であることを明かせば対処できるし、オールマイトが確実に保護するから問題ないと判断した。

 

 

「君の両親はどうするだ?」

「俺の両親は今、NEXTの本社にいる。万が一の場合に備え、今日からNEXTで仕事をしてもらっているから問題ない」

 

 

万が一の備えであったが、これが功を奏した。警官が俺の自宅にも来ており、恐らく両親の確保を狙ったのだろう。NEXTにも来ていたが、創生が上手い事あしらってくれたおかげでそっちは問題ない。

 

 

「ミルコとエンデヴァーにも先程連絡を取った。俺のことはまだ公にされていないからギルドのメンバーは今監視されるだけにすんでいるが、この先どうなるかはわからない。俺との関係があるエンデヴァー事務所もそうだ。しばらくはNEXTに身を寄せることになった。オールマイトは彼女たちをそっちに移動させてくれ」

「陰奪少年。君はこれから社会がどうなると思ってるんだ?」

「・・・最低でも社会の大混乱」

 

 

「最悪、社会秩序の崩壊までいくかもな」

 

 

オールマイトが信じられないようにこちらを見る。だが、クリニックの一斉摘発の件を聞き、事の深刻さに気付く。そして、サーはありえないと言い、俺を問い詰める。

 

 

「陰奪。私は昨日、予知で未来を見た。予知で見た未来にUSJでの出来事や校舎での事件、そして君の逮捕、全てなかった。私の予知ではこんな」

「サー、俺はあなたの予知を簡単に外すことができる存在だ。そんな存在がほかにもいないと、何故言い切れる?」

 

 

その言葉を聞き、サーは後ずさる。サーの予知を大きく外したと言うことは、敵はおそらく転生者。原作のUSJ事件に乗っかる形でことを起こしたのだろう。

 

 

「君はこれからどうするんだ?」

「逃げる。犯罪者として手配されるが今捕まるのはマズい。公安が敵の手に落ちている可能性がある以上、捕まるわけにはいかない」

 

 

俺がそう言うと、薫が近づいてくる。その悲壮な表情から、次に言い出す言葉がわかった。だからこそ、薫が言い出す前に、俺はハッキリとくぎを刺す。

 

 

「薫、逃げるのは俺だけだ。4人はオールマイトと共にNEXTに避難してくれ」

「ですが」

 

 

「薫、俺との約束は覚えているな。俺の言うことを聞け。でなければ縁を切る」

 

 

俺がそう言うと薫は何も言えなくなる。

 

 

言いたくはなかったが、俺を追ってくるのが一番困る。俺はともかく、彼女たちを犯罪者にするのは絶対に許容できないからだ。

 

 

俺は言いたいことを言い終え、みんなに背を向け無言で飛び去る。このままこの場にいると、俺の覚悟が揺らぎそうになることを嫌い、逃げるように飛び去った。

 





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