……たぶん、普通に考えれば、折り合いを付けるのが正解だったんだと思う。
私は、自分の醜さに。
窓付きは、世界の醜さに。
だけど、私達はまだ幼かった。
どうしようもない程無邪気で、無知で、無垢で、まだ、15歳だった。
私も、窓付きも、きっとお利巧な正解なんてものは求めていなかった。
だから、ああなるしかなかったんだと思う。
少なくとも窓付きは、それを選んだんだと思う。
……だから、窓付きはあそこまでどうしようもなく美しくて、全てが終わってからやっと、私はそんな窓付きの事を好きになれたんだ。
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長かった冬もようやく終わりが近づいてきた。
高校受験のシーズンは既に終わっていて、だから後はもう、私達は中学の卒業式を迎えるだけだった。
高校は、とりあえず遠くを選んだ。
この街にいては、まだ、万に一つでも窓付きと出会ってしまう可能性があった。
その可能性を潰す為、私は一刻も早く、何処か遠くへと逃げ出してしまいたかった。
「ふー、ただいまー」
何時ものように、学校から帰ってくる。
私は、なるべく毎日を明るく過ごした。
何時もと変わらないようにした。
嘘の私であれるようにした。
窓付きがもうとっくにそこにいなくても、1秒でも長く、窓付きの事を裏切り続けた。
……それだけが、あのおぞましい、本当の私というものを忘れる術だった。
「……ん、どしたのお母さん?」
家に着いたら、母が慌ててこちらに駆け寄ってきた。
これ、確かあんたの友達だった子でしょ?
今、ニュースになっててびっくりしたのよ。
「…………?」
私はふらふらと、何も考えずに母に付いて行った。
そして、何も考えず、ニュースを見た。
隣町の名前が書いてあった。
少女の自殺と、書いてあった。
違法な風俗店が摘発。
児童買春をさせられていた少女は、親戚がいなかったので、保護手続きの間しばらく自宅で待機。
……その間に、飛び降りた。
現代社会の闇。
どうして誰も彼女を助けてあげられなかったのか。
そんな、ニュースだった。
「……ぁ……」
私は結局、窓付きの名前を知らない。
そのニュースでも、まだ、実名は出ていなかった。
ただ、顔が映った。
それは、私のよく知る、本当は心の底から憧れてしまったあの子で……。
「うわああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
……大切なものは、失って初めて気が付く。
そんなありきたりな言葉で、私は一生の憧れを失った。
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私は、高校生になった。
高校生の時に何をしていのか。それは結局よく分からない。
私は、大学生になった。
大学生の時に何をしていたのか。それは結局よく分からない。
私は、大人になった。
私は、結婚をした。
私は、出産をした。
私が今、何をしているのか。
……それは、結局よく分からない。
私におばけの絵を見せてくれるあの子は、もういない。
だから、あれから先はもうずっと、私は全てを誤魔化しながら生きている。