私が殺した、ゆめにっきの女の子   作:最後のかしわもち

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小説9話 そこから先の事は、私は知らない

 ……たぶん、普通に考えれば、折り合いを付けるのが正解だったんだと思う。

 私は、自分の醜さに。

 窓付きは、世界の醜さに。

 

 だけど、私達はまだ幼かった。

 どうしようもない程無邪気で、無知で、無垢で、まだ、15歳だった。

 私も、窓付きも、きっとお利巧な正解なんてものは求めていなかった。

 

 だから、ああなるしかなかったんだと思う。

 少なくとも窓付きは、それを選んだんだと思う。

 ……だから、窓付きはあそこまでどうしようもなく美しくて、全てが終わってからやっと、私はそんな窓付きの事を好きになれたんだ。

 

 

 

---

 

 

 長かった冬もようやく終わりが近づいてきた。

 高校受験のシーズンは既に終わっていて、だから後はもう、私達は中学の卒業式を迎えるだけだった。

 高校は、とりあえず遠くを選んだ。

 この街にいては、まだ、万に一つでも窓付きと出会ってしまう可能性があった。

 その可能性を潰す為、私は一刻も早く、何処か遠くへと逃げ出してしまいたかった。

 

「ふー、ただいまー」

 

 何時ものように、学校から帰ってくる。

 私は、なるべく毎日を明るく過ごした。

 何時もと変わらないようにした。

 嘘の私であれるようにした。

 窓付きがもうとっくにそこにいなくても、1秒でも長く、窓付きの事を裏切り続けた。

 ……それだけが、あのおぞましい、本当の私というものを忘れる術だった。

 

「……ん、どしたのお母さん?」

 

 家に着いたら、母が慌ててこちらに駆け寄ってきた。

 これ、確かあんたの友達だった子でしょ?

 今、ニュースになっててびっくりしたのよ。

 

「…………?」

 

 私はふらふらと、何も考えずに母に付いて行った。

 そして、何も考えず、ニュースを見た。

 

 隣町の名前が書いてあった。

 少女の自殺と、書いてあった。

 

 違法な風俗店が摘発。

 児童買春をさせられていた少女は、親戚がいなかったので、保護手続きの間しばらく自宅で待機。

 ……その間に、飛び降りた。

 現代社会の闇。

 どうして誰も彼女を助けてあげられなかったのか。

 そんな、ニュースだった。

 

「……ぁ……」

 

 私は結局、窓付きの名前を知らない。

 そのニュースでも、まだ、実名は出ていなかった。

 ただ、顔が映った。

 それは、私のよく知る、本当は心の底から憧れてしまったあの子で……。

 

「うわああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 

 ……大切なものは、失って初めて気が付く。

 そんなありきたりな言葉で、私は一生の憧れを失った。

 

 

---

 

 

 私は、高校生になった。

 高校生の時に何をしていのか。それは結局よく分からない。

 私は、大学生になった。

 大学生の時に何をしていたのか。それは結局よく分からない。

 

 私は、大人になった。

 私は、結婚をした。

 私は、出産をした。

 私が今、何をしているのか。

 ……それは、結局よく分からない。

 私におばけの絵を見せてくれるあの子は、もういない。

 だから、あれから先はもうずっと、私は全てを誤魔化しながら生きている。

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