多分6000文字くらいの奴をいくつか投下するだけになると思います。
あまり期待されないよう。
しかも10日近くもかけて2万文字書いてしまいました。
それでも、獅子原×咲を書きたかったんです!
・・はい、すいません。今後は連載の方に戻ります。
それでは、どうぞ。
今でもあの時の事は鮮明に覚えている・・私にとってはかなり恥ずかしい記憶なんだけど、それが巡り巡って私を幸福の頂点へと導いてくれたのだから・・月並みな台詞だけど”人生は何があるか分からない”とはよく言ったものだと、私も思う。
かつての私は未熟で、まだ精神を上手くコントロールできずにいた。そんな私を隣で支えてくれたのは・・今、隣にいる・・私の”婚約者”の宮永咲であった。
咲は結婚式用の婚礼衣装に身を包んで、一緒に式が始まるのをこうして私の隣で待っている。
「・・爽さん?」
「ああ、ごめん咲・・ちょっと昔の事を思い出しててさ。」
昔という単語に首をかしげる咲。
(ふふふ、咲はどんな顔でも可愛いなぁ。その神前式用の着物もとってもよく似合ってるよ。ああでも、これから参進の儀をする過程で、この山小屋から少し歩かなきゃいけないのか。咲が転ばないように私がエスコートしないとね。)
「ほら・・私と咲が初めて会った時の事。」
「初めて・・・ああ、3年前のインターハイの時の事ですか?」
「そうそう、懐かしいよねー・・あの時はまさか君と夫婦になるだなんて思いもしなかったけど・・でも今は、君以外にいないって、心から思うよ。」
「ふふ、そんな事はありませんよ。爽さんだったら他にも・・」
笑いながら謙遜する咲。相変わらず彼女の自己評価は低い・・でも私は知ってる。咲は私なんかよりもずっと強いって事を・・だから一生を懸けて咲を守ろうって、そう決めたんだ。
「・・あの時も爽さんが、って爽さん!ちゃんと聞いてますか!」
おっといけない、自分の事ばかりで咲の話を聞いてなかった!これは急いで機嫌をとらないとなー、ふふ!
「もちろん聞いてるよ!最初に会ったのは・・そう!インターハイで第3回戦の大将としてお互いが顔を合わせた時!そしてすぐ後の河川敷での再会!あの時にビビッと来たねー!まさに運命ってものを感じたよ!」
「んもう!また調子いい事言っちゃってー!・・でもそうですね、あの時は私も、何か運命的なものを貴女に感じました。」
「うん・・そういえばあの時も、こんな風に月明りの無い・・ほぼ新月の日だったよね。」
山小屋の窓から僅かに差し込む月明りを頼りに・・私達は互いに見つめ合って、かつての記憶に思いを馳せるのだった。
___「ははは、負けちゃったな。」
インターハイ第3回戦、ベスト4を決める戦いがついさっき終わった。結果はまぁ酷いものだった。あれだけカムイと雲を使いまくって、何の成果もあげられずに無様に最下位。そして今私は、そのショックを引きずったまま夜の河川敷の原っぱに寝そべっている。汚れなんか気にしない、むしろもっと汚れたかった。どうせ私は最下位の雑魚だ!泥だらけがお似合いだろ!
(・・まぁ、別にいいんだけどね。ユキが目立ってくれればそれで。)
そう、今回のインターハイの出場理由は、悪魔でユキの未来の為の布石。ユキはとても可愛い見た目をしているのだから、その容姿を生かさない手はない。そう思ってユキを全国に見せつける為にインターハイに参加した。まぁ優勝は出来なかったけど、でも目立ちはした。後はこのままお偉い方の目に留まって、そのままアイドルデビューまで一直線。うん、だから今回私が負けたのも何も問題は無い。うん、気にしない気にしない・・・・・クソが!
(・・まぁでも、これで後はもう大丈夫でしょ。ユキは強い子だ、放っておいても進路を選べる。揺杏と誓子と成香、この3人も普通に仲の良い先輩後輩をやっていけてるから、問題なし!3人が勝手に協力し合って、勝手に何処か良い就職先を見つけるでしょ。・・これで後は”異物”の私が消えれば全部収まる・・じゃあ私の進路って何だろう?・・警察とか?)
そこまで考えて頭を振り払う、私の進路だなんて・・考えたくもない事をわざわざ自由時間に考えるなんて馬鹿げてる。もっと楽しい事を考えよう。
(楽しい事・・そうだ、この間女の子を助けた時!あの時は本当に良かったなー。車に轢かれそうになっている女の子を颯爽と抱きかかえて華麗に救ってみせた私!そしてあの子の感謝の表情!ああ最高!本当に良かった!助けた甲斐があったよ!・・大抵は私のカムイの力にビビッて逃げてくからね。)
また嫌な方向に思考が歪む。やっぱり駄目だ、3回戦を最下位で負けたのが結構キテる。いつもなら、こういう時はユキに慰めてもらってたけど、それももう出来なくなるんだし・・誰かユキの代わりになってくれないかなー。
(・・いや駄目だ駄目だ。そもそも今回のインターハイ参加も、私がカムイ達一筋で生きるって事を証明する為にやった事だし!それに、これから私は・・一生孤独な闘いに身を投じる事になるんだし・・)
そう、私は北海道の神様であるカムイ達に選ばれた選民。いわば彼らの化身であり巫女でもあるのだ。私は彼らの代弁者として人々を守る神務があるんだ!・・だから私に自由は無い。
(・・もしかしたら、このインターハイで誰かフリーの能力者を捕まえてユキみたいな関係に持っていけたらなーって思ってたけど・・それも出来そうにないね。みんな予約で一杯だ。)
私と同じ素質があって、なおかつユキみたいに私の愚痴を聞いてくれる都合の良い人物。俗にいうキャバ嬢?みたいな・・私とカムイ達専用のキャバ嬢を一人、道連れで見つけておきたかったけど・・まぁ、いないよね。そんな子。
「・・あーもうやめだやめ!こんな事、考える事自体がマジで馬鹿らしい!」
「・・何が馬鹿らしいんですか?」
ウォ!?っと言いながら思わず飛び跳ねる。いつの間にか、私の後ろには3回戦を2位抜けして決勝へ進んだ清澄の大将こと宮永咲ちゃんがいた。
「ビックリしたー!えっと確か・・咲ちゃんで良かったかな?」
「はい、宮永咲です。さっきぶりですね、獅子原さん。」
「そうだね。・・えっと、君はここで何を?」
「・・すいません、ちょっと隣いいですか。」
確認を取りつつも半ば強引に私の隣に座った。飛び起きたままだった私も、つられて座り直した。
「・・実は私、お姉ちゃんがいるんです。」
「へー、姉ねー・・それってやっぱ、巷で噂になってる、宮永照・・の事?」
「はい、そもそも私とお姉ちゃんの関係は___」
そこから咲ちゃんの独白が始まった。そしてその独白を聞いている最中に彼女との出会いを振り返る。正直言って、最初に会場で会った時に咲ちゃんに抱いた印象は、弱そう、だったね。自分1人じゃ生きられない弱者、その代表例みたいな子だと思った。
でも実際は違った、彼女はすごく強かった。麻雀の腕も、その能力も、精神力も・・私では到底及ばないと心の底から感服した。私がカムイという神様を大量に従わせていて、咲ちゃんもそれが見えているはずなのに、それでも怯まずに強く打って出たんだ。逆の立場だったらこうはいかない、きっと私にカムイを倒せる力があったとしても、自分が傷つくのを恐れて逃げてると思う。
だから私は、試合が終わる頃には咲ちゃんを応援していた。きっとこの子なら、私よりも遥かな高みへ上り詰める事が出来る!私よりも多くの人の心を導く事が出来る!その麻雀の腕前で、見ている人を魅了する事が出来る!正直ユキの代わりになって北海道で一緒に巫女として生きて欲しいって・・ちょっと思っちゃった子でもある。
・・だからこそ、彼女の独白を全て聞き終わった時には心底驚いた。内容を要約すると、現在の咲ちゃんは実の姉と喧嘩して別居中、さらに中学生の頃に光ちゃんという兄妹同然の従妹と生き別れる。そしてその件が更に姉妹の溝を深め合っているって。・・いやー、これはひどいね。私ならカムイの力に頼っちゃって、自力で解決しようなんて考えないよ。でも咲ちゃんは違った。
「正直今でもすごく不安です。このままお姉ちゃんに会っても仲直りできないんじゃないかって。現に今日トイレですれ違った時だって、何も話せませんでした。」
(あちゃー、これはもう本格的に無理なんじゃないかな?私だったら諦めるけど・・)
「でも諦めるつもりはないんでしょ?」
「え?」
「そう顔に書いてあるよ。」
・・これは真っ赤な嘘だ。彼女の顔はどう見ても不安そのもので、どこか逃げ出したいって・・誰かに助けてほしいって顔をしてる。
(でもごめんね、そういうのは私みたいな能力で何でも解決してきた人間には本当に無理なんだよ。人同士の関係は能力に頼ったら最後、向こうから遠ざかっていくんだよ・・)
(だって・・私のお母さんもお父さんも・・幼馴染の誓子と揺杏ですら、私から一線引いて・・私の事を理解しようとすらしてくれないからね。)
たぶん邪悪な笑みを浮かべているであろう私は、月並みなキザな台詞を吐いて逃げに走る。大丈夫、彼女は強い。私が手を貸さなくても大丈夫。もし何かあっても、私には関係・・関係・・・・。
「・・うん、きっと大丈夫・・咲ちゃんは強い!私が保証する!だから頑張って・・ね!」
「!・・うっ、グスッ・・はい・・頑張ります!」
「うん!咲ちゃんは偉い!すごく偉いよ!」
「え、えへへ。そんなに褒めないで下さい・・和ちゃんや部長にだってあんまり褒められないんですから・・その、慣れてないんです。///」
「え、そうなの?それは可哀そうに・・咲ちゃんはこんなに頑張ってるのに・・ねー!」
そんな露骨なご機嫌取りの台詞に、本気の涙を見せつつも笑顔で返す咲ちゃん。
(私の上辺だけの言葉を聞いて、そこまで元気になってくれるのか。・・対して私は何だ?こんな適当な言葉で自分を着飾って、対人関係から逃げてばかりで・・ホント、自分が嫌になる。)
色々な考えがごっちゃになってはいたが、それでもそんな咲ちゃんの純粋な心を見た私が・・何故だかすごく、この子の事が欲しくなってしまった、という独占欲を覚えたところだけは強く記憶に残っている。
___そのまま少し談笑して、咲ちゃんを多少大げさに励ましてあげた後、私達はそれぞれのホテルへと帰って行った。そんな帰り道にふと思う。
(・・うーん、なんでだろう。何故かすごく彼女に惹かれてしまった・・よし!北海道に帰っても、彼女にだけは粉をかけ続けようかな。上手くいけば、本当に都合の良い女になってくれるかもしれないし。・・はは、ホント私ってさいてー。)
そんな願いを神が聞き取ったのか、思いの外早くに彼女と再会した。それはこの日から数日経って決勝戦が終わった日の夜の事・・個人戦に出ない私達は、明後日に北海道に帰る事になっていて・・ならインターハイ最後の思い出作りとして東京の夜の景色を堪能しようと、夜の町に繰り出したのだ。
(ふーん、このお店って内装だけじゃなくて夜景もかなり綺麗じゃん。流石10階建てのビルの最上階をキープしているだけの事はあるね。)
東京あるあるの謎のぼったくりレストランで最上階からガラス越しの夜景を楽しみながら、チームメイトのみんなと楽しく話していた時・・それは目に入った。
(・・ん?あれってもしかして・・咲ちゃん?)
此処からでは常人なら決して見えないだろうけど、私には沢山のカムイを従えている恩恵がある。例えカムイがこの場にいなくても、契約しているというだけでカムイの祝福は効果を発揮する。
(私の視力はカムイの恩恵で常人の5倍くらい先の物までハッキリ見える。加えて夜でも目が効くのもデカいけど・・いやでもやっぱあの独特の角みたいな髪型はここからでも目立つよ。宮永ホーンだっけ?宮永照にもあったあれ。ネットで散々弄られてたけど・・今回はそれが功を奏したな。)
ちょうどご飯を食べ終わってお会計時だったのも幸いした。私は急いで財布から1万円を抜いて机に置き、そのままダッシュで店のエレベーターに乗り込んだ。
「ちょ、おい爽!?」
「ごめん!代わりにその1万円は好きに使ってくれ!」
そう言ってここでみんなと別れて単独行動をとった。
(いやー、腹八分目で止めといて良かったー。まさかここから咲ちゃんを追いかける事になるとは・・・・・それにしても不用心だよ咲ちゃん。都会で夜に1人歩きするのは。)
そう、普段の私なら偶然知人が窓の外から見えた程度ではここまでの行動は起こさない。でも今日は動いた、その理由も単純で・・
(咲ちゃんの後ろを変なのがストーカーしてた。だから咲ちゃんの為に・・いや、私はカムイ達に選ばれた選民なんだ!正義なんだ!だから何も悪い事をしていない善人が、悪人に人生を無茶苦茶にされるのを黙って見ている事なんて出来ない!だから決して疚しい気持ちは・・いや、これは友情だから!疚しくなんかないから!)
そう覚悟を改めた瞬間、エレベーターの扉は開く。反射的に地面を蹴って目的地まで駆けだした。
(大丈夫!私の速さは常人の3倍程度まで高める事が出来る!これなら5分・・いや、4分で咲ちゃんの元まで駆け付ける事が出来る!)
目的地までの計算を済ませれば、後はただひたむきに走るだけ。
(待っててね・・咲ちゃん!)
タッタッタッタ!!
その頃、
「いや!?離して下さい!?」
「へへへ、おい嬢ちゃん!あんまり騒がない方がいいぜ。なんせこの道は俺みたいな悪い奴しか通らないからなぁ!」
失敗した!?今日はどうしても1人になりたかったから、みんなに黙ってホテルから出てきちゃって・・それがこんな事になるなんて。もう駄目だ、私ここで人生終わっちゃうんだ・・
私が必死に抵抗しても、男は屁でもないといった感じで私を路地裏へと引っ張り・・そのまま狭い道の原因になっているビルの壁に私を思いっきりぶつけた!
「がはっ!」
あまりの衝撃に膝から崩れ落ちそうになるが、その前に男は私の首を掴んで無理やり立たせた。自然と息が苦しくなっていく・・
「へへ、今日の俺はついてるぜ。まさかこんなところを高校生が歩いてるなんて・・本当はお前も襲って欲しかったんだろ?」
男が何か1人で盛り上がってるけど、呼吸が苦しくて何を言ってるのか聞き取れない・・意識が朦朧とする中、男がポケットからナイフを取り出すのが見えた。
「へへ、これでもう逃げられないぜ。」
男がナイフで器用に制服を切り刻んでいく・・ああ、私・・犯されちゃうんだ。
首元まで真っ二つ裂かれて子供っぽいブラが露わになるのが、あばらが外気に触れる事で実感する。すると男はいよいよ私のブラに手をかけ・・
「そこまでだよ。」
唐突に路地裏に響く声・・声にビックリしたのか男の手が私の首を離す。解放された私はその場にドサッっと座り込んで呼吸を整えるのに必死になる。それでも声の主が気になって顔を上げると・・そこには、
「はぁ、はぁ・・し、獅子原さん!」
「な、なんだてめぇ!ぶっ殺されてぇか!」
「はは、犯罪者が偉そうに吠えるなよ。」
男がナイフを獅子原さんの方へ突きつける。なのに獅子原さんは表情一つ変えずに言った。
「今なら痛い目を見るだけで許してやるよ、分かったらナイフを捨てて咲ちゃんに謝れ。」
「んな!?てめぇ・・もう許さねぇ!おい!」
男が大声で怒鳴る・・と、路地の奥から手下らしき男が二人ばかり駆け付けてきた!
「なんすか兄貴?タバコなら持ってねぇっすよ?」
「んなこたどうでもいいんだよ!それよりこのガキをぶん殴ってふん縛って俺の前に膝まづかせろ!ぼろ雑巾になるまで穴を使い潰してやる!」
そう言われた男共は面倒臭そうにしながらもナイフを取り出した!殺る気だ!?・・獅子原さん!
「ふーん・・女の子1人にダサいねぇ。」
「お前ら!やっちまえ!」
男の掛け声と共に手下二人が獅子原さんに突進した!もう駄目だ!獅子原さんごめんなさい!私のせいで!
___ボスらしき男の掛け声と共に、雑魚二匹が走って来た。
(・・おっそ。)
アンタらがそうして突っ込んで来た瞬間には、もう私は右手に白いのを掴んでるんだよ。
(白いのが5位決定戦の後から割とすぐに戻ってきてくれて良かったよ。そしてこれを握りつぶす・・と)
白い雲は私の手の平で霧散し・・そのまま私の中へと溶けていった。
「よっと!」
溶けた感触を実感した私は、そのまま突っ込んで来た雑魚2匹の内の1匹を踏み台にして大きく跳躍!ついでにビルの壁にびっしり生えていた蔦状の植物を掴んで千切り、そのまま路地の反対側へ着地した。
「な、なんだ今の!?あいつホントに人間か!?」
「何やってんだお前ら!さっさとアイツを捕まえろ!」
ボスが命令すると、また雑魚二匹が突っ込んで来た。
「・・いい加減うざいよ。」
そう吐き捨てると同時に掴んでいた蔦に力を与える。途端に蔦は手の中で急成長し、5メートル程度のロープと同じくらいにまで太く長くなった。
「はぁ!」
そのまま掛け声と同時に腕を振るう!すると蔦はまるで意思を持っているかのように2匹の脚を絡み取り、そのまま地面に熱烈なキスをさせた。
「ぶべっ!」
「ぐへっ!」
こけた二匹に、私は容赦なく能力を使って近くの植物を無差別に急成長させた。するとどうだろう。彼らの身体がみるみる内にカビで覆われていくではないか!
「う、うわああああ!?なんだこれ、なんだこれ!?」
「あああああああああああ!?誰か助けてーーーーー!」
雑魚共は私の横をよたよた歩きで通り過ぎ、そのまま騒がしく明るい夜の町へと消えていった。そんな彼らの後ろ姿を黙って見送った私であったが・・
(うーん、思ったより沢山生えたな。まぁそれだけこの路地がジメジメしているって事だろうけど・・あの分じゃあ病気になって1週間は寝込むな。まぁでも、悪い事をしてたのは向こうだし・・)
なんて事を考えていると・・
「余裕ぶっこいてんじゃねぇぞガキ!」
そう叫んでボスが走って来る音が後ろから聞こえてきた。
(はぁ・・やれやれ)
ボスの声がどんどん近づいてくる・・が、
ガサッ! ビーン!
「うお!」
あらかじめ地面に張っておいた蔦に足を取られ・・ボスは派手に顔から地面に激突した事だろう。今度はさっきの2匹と違ってキスで済むレベルじゃすまないだろうし・・前歯がイッタのでは?
「が・・ぐ・・」
おお痛そう・・ボスのうめき声を聞いてそう思い、ゆっくりと振り返ると・・案の定、前歯あたりから血を流して地面の上で悶えているボスの姿があった。
(ご愁傷様、じゃあそろそろトドメのカビ攻撃を・・)
そう思って近づこうとした瞬間!?
「うわああああああああああ!!!」
誰かが絶叫しながらこっちに向かって走って来る声と音がした!
「え!?誰!?」
そう思った瞬間、倒れていたボスがガバッと起き上がり、そして・・
「てめぇよくも!」
そう言って私に殴りかかろうとしてきた!・・でも、
(!・・ふっ、そんな遅い攻撃)
カムイの恩恵を受けている私からすれば遅いの一言で済むレベルの動きであり、このままなら余裕で避けられる。そう思った・・が、
グサッ・・・
「・・え?」
誰かがボスを後ろから刺した・・たぶん、そんな感じの音がした。
「んな?・・て、てめぇ・・」
予想外の不意打ちを喰らってボスが崩れ落ちる・・気絶したボスをよく見れば・・腹にはナイフが突き刺さっており・・その隙間から僅かに血が漏れ始めている・・
「え・・・え・・?」
(・・誰がやったの?これを・・)
そう思ってボスの奥側の路地を見ようとして目が止まる。ボスのすぐ傍に誰かが立っている・・女の子の靴・・女の子の靴下・・女の子の脚・・
(女の子の脚、見覚えのある・・ちょっと前に一緒に隣合って座って・・不安を打ち明けてくれた・・心が強くて優しい子の脚・・!)
ゆっくりと目線を上にあげると・・そこには、さっきまで偉そうな態度をとっていた男を、ただただ見下しているだけの・・機械がいた。
「・・今度は、”ちゃんと”叩き潰したよ。・・お姉ちゃん。」
そう言って・・彼女は優しい笑顔をこっちに向けた・・
_____あれから1時間後、
「・・ふー、ここまでくれば大丈夫かな?」
あの後、殺傷沙汰になった事をヤバいと思った私が、最低限の隠ぺい工作を行った後、急いで咲ちゃんの手を引いてその場を後にし・・そこからどうしようか迷った結果、私達有珠山のみんなが泊まっているホテルの部屋へとダッシュで逃げかえる事になって・・今こうしてお互いにソファーに座って対面し合っている。無論、咲ちゃんのお仲間への連絡も彼女に指示しておいたから、これで彼女が遅くに帰ったとしても大丈夫だ。・・さて、じゃあいつもの反省会をしようか。
(取り合えず、あの男の傷口には苔を大量に生やして止血しておいた。間違いなく病気になるだろうけど死ぬよりはいいでしょ。ナイフは咄嗟の判断で持ってきちゃったけど・・後でホテルに泊まっている他の客の荷物にこっそり入れちゃえば問題なし。・・そして最後、こういった事件が起きた際に必ず発生する被害者へのメンタルケア。これをやって今日の仕事は終わりかな。)
そう、なんとか目下の危機は乗り越えた・・でも問題はこの後。こういった暴力沙汰が起きた際、必ず発生する被害者へのアフターケア、これをしないと色々と面倒になる・・主に私が。
(幸いな事に咲ちゃんは能力というものをちゃんと理解してくれている側に人間だ。だから私が能力を使った事を黙っていて欲しいってお願いすればそれでOK・・になるはずだったんだけどなー。)
言わずもがなではあったが、咲ちゃんは勇敢にもあの乱暴者へと立ち向かい、見事一矢報いたのである。ただそれは・・たぶん咲ちゃんの深い傷になった・・と思う。
(参ったなー、いつもならカムイの誰かに記憶を弄ってもらったり、メンタルを無理やり回復させたりできるんだけど・・今は東京だからなー。・・しかたない、私の話術でどうにかするしかないか。まぁ、咲ちゃんみたいな強い子の価値観を学べると思えば、悪くない仕事・・なのかな。)
無理やり気持ちを切り替えた私は改めて咲ちゃんの方を向く。咲ちゃんはさっきからずっとお茶を啜っていた。でもその立ち居振る舞いは自然体そのもので・・まるでさっきの事件など無かったかのようだ。しかし、それに反して着ている服はボロボロ、制服の上なんかはまさにさっきまで暴力を受けていましたって感じに酷くズタズタだ。なのに、
(・・特に手が震えたり、顔が白くなったりだとかの症状は出ていない・・やっぱりこの子どっか変だね。いくら能力者とはいえ、いきなり命の危機に直面して精神的に揺れないはずはない。それだけならまだしも、この子はあの男を刺し殺そうとした。それもナイフで直接・・)
ここでもし自分がそうだったらと想像する。・・・・やっぱり無理だ。さっきまで自分を犯そうとしていた相手が転んだからといって、それでチャンスだ!やり返そう!なんて思わない。普通なら逃げる・・なのにこの子は立ち向かった。その在り方はまさに戦士・・でもあの場で見た彼女の表情はまさに機械・・殺すのが当たり前、目的の為なら誰を犠牲にしてもいいっていう・・道徳観念が抜け落ちた存在だった。一体この子は・・?
そこまで考えて一旦気持ちを切り替える。
(いけないいけない、今はとにかく彼女のメンタルケアが最優先だ!)
そう思って私は会話の一歩を踏み出した。
「えっと・・色々大丈夫、かな?」
「え?ああ、はい!大丈夫です!・・さっきは助けて頂いて、本当にありがとうございました。私1人だったら、たぶんあのまま犯されて・・殺されていたでしょう。」
「はは!いいっていいって!こんなのいつもの事だし!・・でも、お礼を言ってくれたのは本当にうれしいよ。大抵の奴は、助けたら助けたで私の事も化け物扱いするからね。」
「・・え?」
言ってすぐに自分が失言した事に気づき、そして呆れた。
(はぁ(溜息)何やってんだ私は。今は彼女のメンタルケアが最優先だろ?なのになんで普段のボランティア活動の愚痴が出てくる?)
どうもカムイ達が見張っていないせいなのか、それともちょっと気に入っている子が人を殺そうとした実事が堪えているのか・・どうやら私も相当メンタルにきているらしい。
「ふぅ・・いや、何でもないよ。ああでも1つ聞いてもいいかな。さっきの事なんだけど・・」
「さっき?」
「そうさっき・・咲ちゃんさ、さっきあの男の事を本気で殺そうとしたでしょ?」
「・・!」
露骨に表情が固くなる咲ちゃん、それを見て不要に警戒させてしまったと感じた私は、ニコッと笑い返した。
「いや、別に責めてる訳じゃないよ。命の危険を感じて、身を守る為に加害者を被害者がヤリ返す・・そんな事例は世界に山ほどあるし。だからそんなに気にしないでって思っただけ。」
「そう・・ですよね。私、”間違って”ませんよね?」
「うん・・ただね。」
「?」
「咲ちゃんってもしかして・・日常的に人を殺したりしてる?」
「・・はい?」
今度は鳩が豆鉄砲を食ったような顔になった。本当にこの子はからかい甲斐がある反応をするなぁ。この子が同じ高校にいたら、どんなに楽しい学生生活を送れていたことか。
「いやね、咲ちゃんがあの男を刺した時の表情が・・なんか当たり前の物を見るような・・そう!まるで家でTVをただボーッと眺めている時のような、そんな”日常”を思わせる表情をしてたものだから。・・ちょっと気になっちゃって。」
これこそが私が一番気になったところだ。試合でも思ったけど咲ちゃんはとっても芯が強い。でもそれは能力が強いからじゃない、自分自身の・・在り方?役目?みたいな・・目標?のようなものがハッキリしているからで、その目標に向かって今自分は真っすぐ進んでいる・・その自覚があるから、こんなに強いんだと・・私はなんとなく思ったわけだけど。
(なんだろうなぁ・・試合中にも感じたけど、この子からどこか機械じみた強さを感じるんだよなぁ。あの時は、この子は麻雀で独自の勝ち筋へのパターンを構築しているからそう感じるんだ、って思ったけど・・それが何故か、さっきも同じように感じたわけで・・)
だから、この子も私と”同類”で能力を使って事件を解決したりしてきたのかなーって、ちょっと期待したり。
「・・前にも話したと思いますけど、私には姉がいます。」
「うん。」
「今回のインターハイ出場も、姉と仲直りするのが目的でした。」
「・・うん。」
「・・でも、それは叶わなかったんです。」
「そうだね、今年の団体戦優勝は例年通り白糸台。彼女達は見事3連覇を達成、清澄はおしくも2位。」
「はい・・だから多分・・”八つ当たり”しちゃったんだと思います。」
「・・はい?」
今度は私が豆鉄砲を喰らう番だった。
「私は今日までずっと、白糸台の大将を叩き潰せば・・お姉ちゃんが私に興味を持ってくれるって、そう思ってたんです。」
「うん?・・・・うん?」
半分意味が分からなかった。いや、確かに自分のところの大将がボコボコにやられて泣きながら帰ってくれば、そんな酷い事をした奴に憎しみを持つ事はあるだろう・・でも咲ちゃんは仲直りしたいんだよね?なら逆に手を抜いて自分の学校を負けさせるとかがベストなんじゃないの?
「でも結果は失敗でした。他の学校の大将さん達がすごく脅威になって・・肝心の白糸台の大将ちゃんもすごく強くって・・私1人では2位が限界でした。」
・・いや、団体戦2位だってすごい事だからね?確かに白糸台は倒せなかったけど、結果的にはすごく目立ったんだろうし・・お姉ちゃんだって君の努力は理解してくれたんじゃないのかな?
「そうして1位に成れなかった事を報告しようと控え室に帰ってくれば、原村さんが大泣きしていて・・他のみんなもお通夜の状態で・・」
「まぁ・・それはそうだろうね。私の方も3回戦を勝ち越せなかった事を報告しに帰った後は、お通夜状態だったし。」
「・・実は、原村さんは今回のインターハイ団体戦で優勝できなかったら・・東京に引っ越す事をお父さんと約束していたようで・・」
「え?それってつまり・・」
「はい、もう私達清澄麻雀部は終わりなんです。元々5人しか部員がいなかったものですから、1人でも欠ければ部は存続できません。全員がバラバラに散ってしまいます。その事実に原村さん・・それから部長も耐えられなかったようですね。試合前に人を助ける為に腕を折って・・それでも痛みに耐えて戦った部長に後を任された私が、部長に・・・・・みんなにトドメを刺したんです。」
そう言った咲ちゃんの顔は、まさにあの時あの男を刺し殺そうとした時と同じ顔をしていた。
(そうか・・咲ちゃんはあの暴漢に会う前に、既に仲間の人生を滅茶苦茶に殺し終えた後だったんだね。だから物理的に人を殺せるし、そんな自分を受け入れられるんだね。・・あはは、本当に君は強いよ。)
「そっか、それは辛かったよね。」
「はい・・それで控え室に居づらくなって外に出て歩いていたら・・偶然お姉ちゃんたち白糸台の皆さんと鉢合わせてしまって・・」
・・なんだろう、ここまででかなり重たい話を聞いたつもりだったんだけど、私の本能がこの先の話を聞くのは良くないって警鐘を鳴らしてる・・いや、流石に聞かなきゃ駄目だよね。
「ダメ元でもいいから、何か言おうって思って・・・・」
______
「お姉ちゃん・・あの・・」
「ごめん、話しかけてこないで・・」
「!!!・・うう、ぐすっ!」
「ごめん・・」
「・・・・・すぅぅ(深呼吸)!優勝おめでとうございます!宮永照さん!」
「・・え?」
「これからも頑張って下さいね!”私と貴女は他人ですが”ずっと応援しています!」
「!!さ、咲!私は!」
「・・さよなら!!!」
「!、あ・・・あ・・」
______
「そうして何もかもが嫌になって、今までの全部から逃げ出したくて・・そしたらいつの間にか夜になっていたらしくて、なのにあんなところをボーッと歩いていて・・」
「で、暴漢に襲われていたと・・」
なるほどなー、でもまさかそんな理由だったなんて。
「はい、でも今思い返してみれば・・私はあのまま暴漢さんに犯されて殺されていた方が良かったのかもしれません。そうなれば・・私を傷つけた全ての人間の心に・・なにかしらの傷を残せますから。」
「・・その傷つけたっていうのは、君の仲間の事を言ってるの?」
「当然です、というより私は見たんです!負けて控え室に入っていった時の、部長を含めた全員の憎しみの籠った目を!・・確かに私は皆さんの期待に応えられませんでした。せっかくみんなが私を大将に選んでくれたのに、その役目を果たせませんでした。でも私だって能力をフルに使って頑張ったんです!それなのにみんなして私の方をチラチラと見ては涙を流して・・泣きたいのは私だって同じなのに!なんで私ばっかり責められなきゃいけないんですか!こんなのは間違ってます!」
そう言って激昂しながら机をドンッと叩く咲ちゃん。・・やっぱり君は強いよ、咲ちゃん。だって、
「・・泣きはしないんだね。」
「え?」
「いや、怒るのは分かるけど泣かないんだなーって・・」
そう、普通の人間なら多分泣きながら怒ると思う。こんだけの不幸が自分に一気に降り注いだら・・多分私だったら怒りなんか沸かない。ただただ自分の無力感に泣きわめくと思う。
でも咲ちゃんは怒るだけ、その表情に悲しみは欠片も見えない
・・それはつまるところ、十中八九咲ちゃんは”自分は全く悪くない”って考えているんだろう。でなきゃここまで純粋な怒りなんて湧いたりしない。
「当たり前でしょう?何度も言いますが私だって頑張ったんです!なのにみんな労いの言葉一つかけずに泣くばかり!私は皆さんが負け越した時だって何も言わなかったのに!私が1回負けたら泣きまくって・・理不尽です!みんなずるいです!ついでに言うと、お姉ちゃんに拒絶された時は涙が出ましたが、それはもう昔みたいな関係に戻れないからであって・・だったら新しい関係を1から構築し直せばいいだけじゃないですか。私ばっかりお姉ちゃんに気を使ってバカみたいじゃないですか!ああもうイライラします!」
「それが”他人として応援している”って事?」
「はい、お姉ちゃんが今の関係を嫌っているなら・・白紙に戻せば良いんですよ!そうすれば後はお姉ちゃんが適切な距離まで近づいてくるでしょう!違いますか!?」
「ふふ、それで他人のまま距離が縮まらなかったらどうするの?」
「ならそれでいいじゃないですか?まぁ結局、お姉ちゃんが何を考えて私をいない者扱いしたのか、最後まで分からなかったのだけが心残りですが・・でもこれでお姉ちゃんの理想通り、お互いに他人として生きていくって状況を構築できたので・・きっと今頃お姉ちゃんも、大手を振って喜んでいるんじゃないですか?」
そう言うと気分が多少晴れたのか、ふふふと良い笑顔で笑いながらお茶を啜る咲ちゃんに・・私はこの短時間ですごく心を持っていかれていた。
内心イキイキしているのを彼女に悟られないように、頑張って真剣な表情を維持しているが、それも限界が近い。
でもしょうがないでしょう?、だって・・・私を本当の意味で肯定してくれる人が、ようやく見つかった。
(は、はは!ははは!あはははは!やっと!やっとだ!ようやく見つけた!私を!私の在り方を肯定してくれる存在!)
でもまだだ。まだ確認しないといけない事がある。
「・・で、話を戻すけど、それであの男に八つ当たりをしたと?」
「・・少なくとも、あの人を刺した時はそんな気分でした。でも、最初に襲われた時は本当に怖くて怯えてたんです。そしたら獅子原さんが能力を使って戦っていって・・同じ能力者の私だって頑張らなくちゃって、変に意気込んじゃいました。」
「え?私?・・あちゃー、ごめんね咲ちゃん。私のせいで危うく咲ちゃんを人殺しにするところだったよ。」
ここで申し訳なさそうな演技を入れる。まだだ、まだ飛び上がって喜ぶ時間じゃない。本当なら今すぐ咲ちゃんに抱き着いてその若くて柔らかな身体を貪りたいところだけど・・まだ我慢だ。
(耐えろ獅子原!ようやく、ようやく私の全てを肯定してくれるかもしれない存在に会えたんだ!だからここは精一杯かっこつけて好感度を爆稼ぎするんだ!)
「いえいえそんな!私の方こそごめんなさい!獅子原さんの力なら、あの程度の人達なんて余裕でしたでしょうし・・お仕事のお邪魔をしてしまい本当にごめんなさい!」
「いやいや、別にいいって。あと仕事じゃなくてボランティアだから、私は私が気に入った人しか助けないから。」
「気に入った?・・あ、その・・私って獅子原さんに気に入られてるって事で良いんですか?」
(ああ!うぐぅ!か、可愛いーー!その自分を特別視してくれるんですかっていう上目使い最高ーー!でもやっぱりそうだ!私の勘は間違ってなかった!)
そう、私がさっきあのような確信をした理由・・それは咲ちゃんが今1人であるという事と、その過程に何があったのか、その過程で咲ちゃんの心がどのように変化したか・・それら全てを考慮した結果全てが繋がったんだ。
そう、今目の前にいる少女、宮永咲は・・・・・もう”死にかけ”なのだ。
(おかしいと思ったんだよね。昔から姉と従妹と自分の3人だけでしか仲良く出来なかった子が、いきなり1人ぼっちにされて。当然2人に依存していたであろう咲ちゃんがその繋がりを簡単に手放せる訳もなく、それこそ今日のインターハイ決勝までは姉との繋がりを修復しようと頑張った。その過程で清澄の麻雀部と仲間になってどんどん繋がりが増えていって、結果咲ちゃんのメンタルはかなり安定した。)
そう、ここまではちょっとシスコン気味の妹で済む話。・・でも彼女が恐ろしいのはここからだ。
(じゃあどうして白糸台の大将を潰せば姉が戻ってくると思ったのか?・・答えは簡単。そもそも咲ちゃんとお姉ちゃんを繋ぐものは麻雀で、その麻雀の大会でお姉ちゃんが一番信頼しているであろう存在が・・同じチームの大将の子である大星淡だった。大将はその名の通りチームで一番強い人物が付く役割。でもそれは先鋒にも言える事、だから大将と先鋒はある意味でイコール・・つまり姉である宮永照と同等の存在とも言える。そんなお姉ちゃんの分身とも言える存在をインターハイという大舞台で叩き潰せば・・お姉ちゃんは大星淡に失望して自分の方を見てくれる!・・たぶん咲ちゃんはそう思ったに違いない。)
自分で考えておいてなんだが、最初にこの推理を思いついた時はかなり無理があると思った。でも彼女は知らず知らずの内に沢山のヒントを残していた。それがさっきの彼女の発言の数々だ。
『はい・・だから多分・・”八つ当たり”しちゃったんだと思います。』
『・・肝心の白糸台の大将ちゃんもすごく強くって・・』
『なんで私ばっかり責められなきゃいけないんですか!こんなのは間違ってます!』
『・・実は、原村さんは今回のインターハイ団体戦で優勝できなかったら・・東京に引っ越す事をお父さんと約束していたようで・・』
『気に入った?・・あ、その・・私って獅子原さんに気に入られてるって事で良いんですか?』
(さっきも思ったけど・・咲ちゃんは自分以外の人間を無意識に見下している節がある。でもこれは能力者なら誰もが通る道で、実際私もカムイに選ばれたという選民思想にドップリ使っている。でも咲ちゃんのそれは範囲が広すぎる。普通なら同じ能力者同士で仲良くなるのが自然だけど、咲ちゃんの場合は自分より弱い存在全員を無価値だと断じている・・気がする。現に白糸台の大将こと大星淡を名前で呼ばずに大将ちゃんと呼んでいるし。能力の無い一般人に至っては、殺しても問題無い・・とまではいかなくても殴っても良い存在くらいには思ってそうだね。そして生来の人見知りも相まって・・ちょっと自分が傷ついたというだけで”和ちゃん”から”原村さん”呼びに、一気に仲間から他人へと距離をとってしまった。)
常識と照らし合わせれば彼女は間違いなく異常者の部類だろう。でも、同じ異常者の私には分かるよ・・その気持ち。もう咲ちゃんは傷つきたくないんでしょ?これ以上他人から期待されて勝手に失望されるのが怖いんでしょう?・・私だってそうなんだよ。だから私も今回、ユキを将来的に自立させる為の布石を打ったんだ。私が高校を卒業した後に、私の事を頼ってこないように分かり易い道を敷いてあげた。他の3人も大丈夫、だから後は私が1人で消えればいいだけ。そうすれば、私はカムイ達と一緒に正義を成す事だけに専念できる。自分に都合の良い世界に引きこもっていられる。
でも咲ちゃんはそれを一気に進めてしまった。その結果、勝てると思っていた相手に負けて、仲間から失望されて、お姉ちゃんからも最後の綱を切られて・・もう後が無くなった。そして生まれつきの引っ込み思案と能力者としての弱者を見下す本能だけが残ったロボットに成りかけていた・・・それはつまり、人として死にかけていた事に他ならない。
(だから、今咲ちゃんは人生の中で最も自由な状態で、同時にこの世界に1人でいる事に物凄い恐怖を覚えている。このまま咲ちゃんを清澄に返せば、表向きは仲良しな関係を取り繕えても・・いずれ咲ちゃんは完全な人間不信になって・・近いうちに命を絶つ!みたいな可能性だって十分あり得る。・・でもそれってもったいないよね?だって、格上にだって怯えずに戦う勇気を持っていて、かつ能力者に理解のあるフリーの女性なんだよ?・・うん、もったいない。)
だったら・・・どうせ死ぬのなら・・・誰も要らないって言うのなら・・
・・私に頂戴。
「あの・・獅子原さん?」
「・・・ああ、うん。私が君の事を気に入っているかって話だよね?」
「・・はい///」
ああ、可愛い。・・必死なんだね?さっきまで誰にも頼れずに世界で独りぼっちだったもんね?いいよ。おいで。君は今日までお姉ちゃんに依存して・・明日から私に依存すればいいんだよ!
「・・それって、私と特別な関係になりたいって事で、いいのかな?」
「!・・普通だったら、そんな自意識過剰な事を言ってくる人なんてお断りですけど・・獅子原さんは別です。獅子原さんは”力”があって、それに見合った自己を持っているって私は感じます。だから・・出来る事なら・・今日からは、お姉ちゃんと一緒に麻雀の道を行くのを諦めて・・獅子原さんと一緒に正義の道を行きたいです。・・共に歩く事を、許してくれますか?」
「・・本当にいいの?私って結構ドライだよ?ムカついたら平気で人だって殺すガキみたいな価値観してるけど・・いいの?」
「(にぱぁ!)はい!私のお姉ちゃんも強ければ何をやっても良いって人だったので!そういう思想には慣れてます!それに私自身、身内さえ守れればそれで良いって側の人間なので・・私と関係無い人がどうなったって・・・あんまり気にしません!」
彼女の悪役ぶった返答に背筋がぞくぞくする!ああ、たまらない!その必死に自分を悪くアピールして気に入られようと媚びへつらう様が・・最高に愛おしいよ!
「ふふ・・実は私も、近い内に有珠山のみんなとは縁を切ろうって考えていてね・・ただそうなった際に、1人で残りの余生を過ごすのは余りに寂しいからさ。誰か1人、こんな自分勝手で我儘で暴力的な私を無条件で受け入れてくれる・・懐が広くて、なおかつ私よりも強い能力者を探していたんだよ。」
「あ・・獅子原さんよりも強い能力者・・ですか・・」
あはは!さっきまでの明るい表情はどこへやら。分かり易く落ち込んでしまった咲ちゃん。その落ち込む様をじっくりと目に焼き付けてから私は、おもむろに立ち上がって咲ちゃんの傍まで移動して・・
ぎゅっと彼女を抱きしめた。
「ふえ!し、獅子原さん?」
「咲ちゃん・・いや咲。正直に言う、私は最初に君と対局した時からずっと・・君の事を私より格上だと思っていた!」
「ふえええ!?そ、そんな事ありませんよ!獅子原さんの方がずっと・・」
「いや!君はあの試合で沢山のカムイ達を見てきたはずだ!なのに君はカムイ達に恐怖しつつも果敢に立ち向かった!決して攻撃的な能力を持っている訳でもないのに!」
「そ、それはそうですけど・・」
「・・無理なんだよ、私には・・」
「・・え?」
「私には無理だった・・昔、私は北海道の海で事故にあったんだ。で、その事故の際に初めてカムイと出会った。でも、そのあまりに強大な存在に恐怖した私は・・彼らの前から逃げようとしてしまったんだ。」
(そう、私は元来臆病者なんだ。今まではカムイ達が守ってくれたから、こうしてデカい態度をとっているだけで、本当の私は酷く怖がりなのだ。だから・・そんな私が君という強者の手を引いて導く・・それだけで・・私は前を向いて歩いていけるんだ。つまり!君は私にとって最高の守るべき”ペット”なんだ!私を本当の意味で癒してくれる存在なんだ!)
「・・獅子原さん。」
「それでもいくつかのカムイ達は、私の生まれ持った体質に興味を示して力を貸してくれるようになったけど・・それでも、まだその時の事を良く思っていない何体かのカムイ達は、私の事を認めてくれないままなんだ。」
「そう・・だったんですね。」
「うん・・でも君は違った!ハッキリとカムイを視認して、それでも恐れずに立ち向かってきた!・・この時点で、私は君よりも格下なんだよ。だから・・こんないたらない自分で良いのなら・・私のものになって欲しい・・その圧倒的な強さに立ち向かう勇気で、私を支えて欲しい。」
「・・こちらこそ、ふつつかものですが・・よろしくお願いします。でも私って、獅子原さんが思っているほど・・」
(ああ、ちょっと・・それは余計だよ咲ちゃん。)
咲ちゃんの振る舞いにちょっと思うところがあった私は、すぐに咲ちゃんから離れて、今度は彼女の両肩を掴んでハッキリと真正面から思いをぶつけた!
「・・あのさぁ咲ちゃん・・くどいよ。」
勢いに乗って言ってしまった。言われた咲ちゃんはえ?と一瞬固まって・・即座に泣き出しそうになる。
(おっと、キツすぎたかな?でもくどいのは事実だし。)
「くどいよ咲ちゃん!何でそんなに自分を卑下するのさ!私言ったよね!咲ちゃんは私より強いって!」
「・・っ!?・・ああ、す、すいません!そんな、獅子原さんを馬鹿にするつもりじゃ・・」
「ああもう、だから謝んないでよ!私は咲ちゃんの事を本気で好きなんだから!私にようやく出来た対等の存在がそんな自信なさげじゃ、私だって自信を無くすよ!」
「お、想い人・・で、でも、私はまだ獅子原さんを尊敬というか・・崇拝というか・・私と同等とは思えなくて・・」
(・・ああ、そうか。咲ちゃんはまだ私とお姉ちゃんを重ねているんだね?だから尊敬の域を出ないのか・・じゃあもうアレするしかないね。)
「・・・分かった。なら咲ちゃん・・」
「・・はい。」
「・・・シよう!」
「・・ふえ?」
そう言って私は咲ちゃんをソファーへと押し倒した。必然的に私が咲ちゃんに覆いかぶさる形になる。
「あ!・・獅子原さん///」
「咲ちゃんがお姉ちゃんと私をどうしても重ねてしまうっていうのなら・・姉妹同士じゃ出来ない事をするしかないね。」
そう言って咲ちゃんの胸を鷲掴みにする。ブラの下に手を通す事で直接見ずに触れる・・もちろん優しく、じっくりと。
(さっきからチラチラ見えてて気になって仕方なかったんだ!でもこれで咲ちゃんを私色に染め上げる事が出来る・・私もようやく、カムイ達と同様に自分だけの巫女を手に入れる事が出来る!)
しばらく胸を触って咲ちゃんをその気にさせる。後は最後までシちゃえば、もう彼女は逃げられない。もし逃げようものならカムイを使ったり、今回の殺傷沙汰の事で揺すって逃げられなくすれば良いと、半ば彼女の事を道具のように思っていたのだが・・
「獅子原さん・・もしかして私に甘えたいんですか?」
「んな!?」
ここで全てが狂った。
「ふふ、やっぱり。」
「・・何で分かったのかな?」
悪魔で彼女を導くのは私だからと、主導権を渡したくない私は・・咄嗟に斜に構えて自分を偽った。
「ふふ、またそうやってカッコつけて・・いいんですよ、獅子原さん。そんなに泣きそうな顔をするくらいなら・・私の身体に溺れて下さい。」
咲ちゃんの指摘にハッとしたのも束の間、私の身体は反射的に瞬きを行い、その過程で涙が目に溜まって、そのまま彼女の顔へ落ちるという結果を生み出した。
「私にはお姉ちゃんと光ちゃんがいました。でも二人とも離れ離れになってしまって・・その繋がりを戻そうと必死になって、結果全てを失いました。」
(そうだ・・でもそれとは反対に、私はまだ誰も失っていない。だから私が咲ちゃんの傷を・・)
「でもそれは、貴方の心に開いている大穴に比べたら・・ごくごく小さな傷なんです。」
その指摘に疑問を覚える・・私の心とは何の事だろうか。
「・・私の心?」
「はい。話を聞く限り、獅子原さんは幼い頃からずっと1人で神様達と向き合ってきたのでしょう?神様達の期待に応える為に1人で奴隷のように戦ってきたのでしょう?その過程で沢山の葛藤があったのでしょう?でもそんな話を誰にも出来なくて、心はどんどん淀んでいって・・結果、心に穴を開けて垂れ流す事しか出来なくなったのでしょう?・・もう大丈夫です。貴女は1人でよく頑張りました。これからは私が傍にいます。私も貴方と一緒の立場で、神様達の奴隷として貴女に寄り添います・・だから、今は私に甘えて下さい。」
「あ・・ああ・・・ああ。」
駄目だった。彼女の指摘は全て的を射ていて、彼女の言葉を意識するたびに、最初にカムイと出会った時から溜まっていた泥が・・今までずっと我慢してきたものが、すぐそこまで出かかっていた。もう全てをぶちまけて楽になりたかった。ちょっとずつ甘えていこうなんて無理だ!今すぐ彼女に抱き着いて思いっきり泣きたい!
そんな私の考えを読み取ったのか・・咲ちゃんは私の首へと手を回すと・・そのまま私の身体を抱き寄せた。反射的に私も彼女の身体を抱きしめる。
(・・あったかい、まるで花に囲まれているかのよう・・)
そう思って顔だけ離して彼女の顔を見れば・・彼女の周りには、いつの間にか白い花々が咲き誇っていた。
(ああ、これが彼女の能力。)
自分の思いを形にするタイプの能力。この思いは・・彼女の優しさから来るものか。
彼女の周りの花たちに見惚れていると・・不意に彼女が手で私の顔を真正面に向き直してきた。
(・・いやだ、やめて・・そんな優しい目で見ないで・・やだ・・怖い・・この子に依存しちゃう!この子無しじゃ生きられなくなっちゃう!)
最初はただの保険程度で、もし彼女が死んでもペットみたいに代わりを探せば良い程度の認識でいた私だったが・・気づけば依存一歩手前まで追い詰められていた。
(やめて・・優しくしないで!私はずっと独りだった!それはこれからも変わらなくて、咲ちゃんは悪魔で都合の良いキャバ嬢程度に収めるはずだったのに・・やだ!やめて!私の大切な存在にならないで!やだ!失いたくない!)
しかし身体は私の本能に合わせて動き、彼女の身体をがっしりと掴んで・・決して離さないという頑なな意思を示してしまった。
それでも理性だけでどうにか逃げようと、みっともなくもがく私に・・彼女はトドメを刺した。
「獅子原さん・・愛してます。こんな私を拾ってくれて本当にありがとうございます。ですので獅子原さんも、どうぞ私に溺れて下さい。・・私は・・貴方を絶対に裏切りません。」
わざわざ私の耳元に寄って小声で囁く小悪魔な彼女に・・今度こそ私は殺された。
(あ・・あはは。や、やった。手に入ったんだ。私の邪悪な側面を知って、私の子供っぽいところを知って・・私が能力者だと知って、それら全てを抱擁してくれる人が・・ついに見つかったんだ!これからはもう苦しまなくていいんだ!辛くなったら彼女の声を聞けばいいんだ!鬱になったっていいんだ!子供みたいに泣きわめいたり癇癪を起こしたっていいんだ!だって、彼女は絶対に私の事を裏切らないって・・そう言ってくれたもん!)
この時、私の中で斜に構えて他者を怖がっていた獅子原爽は完全に死んで・・新たに、咲を世界の全ての中心に置く私が生まれた。新たに生まれた私は、外面こそ今までと同じだが・・中身はまさに幼稚園児そのものだった。
(もう知らない!カムイ達の神務だってどうでもいい!嫌な事は全部咲に押し付けちゃえばいい!そして咲が困ったら私が咲の代わりに命を張ればいい!咲はカムイ達と違って私を甘やかしてくれるもん!咲は私のお母さんだもん!咲を、お母さんを困らせる奴は全員殺す!私が殺す!そして二人でずっと幸せに生きるんだ!)
こうして子供に還った私は、今日ここで・・お母さんの手によって・・生まれて初めて、女の喜びを知る事になったのである。
___あれから3年
「ふふ、懐かしいですね。って爽さん?」
思いで話に集中して今まで気づかなかったが、ふと右腕に違和感を感じて見て見れば、そこには私の腕に抱き着いてすっかり幼児退行してしまった爽さんの姿が。
「ううー、咲ー、頭撫でてー。」
「ふふ、全く。ほらほら!しゃきっとして下さい!もうすぐ”巫女役の和ちゃんとユキちゃん”が参進の儀を始める為にお迎えに来るんですから!」
「ううー、他の女の話しないでー・・」
「んもう!後でいくらでも可愛がってあげますから!だから今はかっこよくして下さい!・・ちゃんとかっこよくできたら、後ですごいご褒美をあげますから。」
すごいご褒美と言った途端、即座に腕から離れ着崩れた着物をしっかりと締め直した後、私の方を向いて良い笑顔を向けた爽さん。
(ふふ、やっぱり爽さんは子供ですね。そんな風にいつまでも子供の心を持ち続けているからこそ・・カムイ達も貴女を選んだんだって、みんなハッキリ伝えれば良いのに。ホント、どっちも不器用なんですから!)
「これでいいよね咲?そしてさっき言った約束、守ってよね?」
「もちろん!私はこれから貴女の妻にしてお母さんになるんですよ!妻兼お母さんとして、約束は守ります!」
「ふふ、ありがとう。・・それにしても、咲はよく和ちゃんと和解できたよね。」
「いえいえ、そもそもあの日は勝手に私が飛び出していっただけなので・・お互いに言葉で傷つけあった訳ではないので普通に仲直りできましたよ。まぁ、和ちゃんの方は結局あの後東京で独りぼっちになってしまいましたが・・」
「だから咲ちゃんも東京の高校に転校したんでしょ?寂しくないようにって・・夫である私を差し置いて。」
「でもそれのおかげで和ちゃんが私を神の如く崇め始めたんですから、結果オーライでしょう?というより爽さんだってユキちゃんとの関係をズルズルと引きずってたじゃないですか。」
「いやぁ、それが思ったよりもユキが私の言葉を神託みたいに捉えてたらしくてさ。仕方ないからあの後もちょいちょい助言みたいな感じをする一方的な関係を続けていたら・・なんか本格的に私を神聖視しちゃって・・結果なんでも言う事聞いてくれるようになった・・みたいな?」
「・・まぁ、お互いにカリスマがあったという事なんでしょう。で、そのカリスマの釣り合いがとれたのが、私と貴女だったと。」
「それは本当にそうだね。でも結果オーライじゃない?この神前式って結構人手がいるからさ。私達二人とカムイ達だけじゃ・・絵面が結婚式っていうより人身御供だし。」
「そう・・ですね。確かにそれは嫌ですね。・・じゃあまぁ、3年待った甲斐はあった、という事でよろしいですかね。」
「うん!じゃあそろそろ外で待ってようか!こういう堅苦しいものはなるべく早く終わらせたいからね。」
「そうですね・・でも本当にありがたいですよね。こういう山奥での行事って、大抵は虫がわんざか湧いて集中するどころじゃないのが普通ですが・・」
「私達にはカムイ達がいるからね。こういう時はありがたいよね。」
世間話を挟みつつ、私達は扉の前へと歩を進め始める。その足取りは柔らかく、息もぴったり合っていた。
(・・お姉ちゃん、私は今幸せだよ。)
式場で待つ姉へと思いを馳せながら・・咲は思う。
(だって・・こんなに素敵な相手と特別な関係を築けたんだから。)
はたして彼女の思う特別な関係とは・・夫婦の関係か?それとも共依存か?もちろん、傍から見れば妻をお母さんと言って甘えるアダルトチルドレンな夫と、それを容認する奥さんだ。立派な共依存だろう。
しかし、そんなのは所詮何の力も無い凡夫の意見だ。能力者でもない・・本当の孤独を味わった事の無い幸せな連中が偉そうに私達を評価するな!
そんな傲慢な思想を掲げながら、彼女達は孤独な神道を歩み続ける。
数多の神々と、多くの能力者を道連れにしながら・・彼女達の人生は続くのだった。
完!