底辺ダンジョン配信者がトラップ踏んだらTS天使になりました!?   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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決戦岐阜城 前編

 四月···長門と大和が小学生になった。

 

 大和は碧色のランドセルを、長門は赤いランドセルを背負い···数週間もすると重いと言って翼に引っ掛ける様になったが、とにかく小学生へと進学した。

 

 私の方は相変わらずクランの基盤強化と教育だ。

 

 二年間頑張ったお陰で五百人の二軍メンバーとその中から更に突出した才能を持つ者で一軍チームをニチーム編成することができた。

 

 チームリーダーは山姫の龍チームと月精の虎チーム。

 

 サブリーダーとして龍チームに椎名洋介と内藤が、虎チームのサブリーダーがロドリゲスとドナルドの外国人コンビで、そこにレベル百二十以上かつ、能力的に上級に挑んでも問題ないとするそれぞれ七名のメンバーが選出された。

 

 なので一軍二十名、二軍約五百名、三軍は今年は二百名という感じだ。

 

 二軍は緩めのスカーレットが総監督をし、補佐の南波が締めるというスタイルが定着していた。

 

 というよりスカーレットが毎年五人から十人子供を産むので二軍メンバーは監督が子供を産むならば私達もと燃え上っていた。

 

 まぁ今までとの違いは混血の女性が探索者以外でも生活できるので、クラン内恋愛以外にも幅が広がったところだろうか。

 

 特に保育士は人気職で、非認可の保育園が多数作られ、そこで学びながら保育士を目指すという流れができていたり、飲食チェーン店が続々と明聖社が本気で開発するとわかると出店し始め、そのアルバイトとして雇われる女性が多かった。

 

 その為毎年恒例になっていた女性陣が妊娠による戦力外のラッシュが緩やかになり、お陰でクラン運営に一息つけるようになっていた。

 

 三軍の方はまだ他県から卒業した混血の学生を学ばせられる学校が建築されてないので、今までと同じであるが、全国に対象を広げたので二百人以上の加入希望者が毎年応募してきていた。

 

 それをなるべく受け入れているため、三軍もこんな人数に膨れ上がり、とてもじゃないが龍宮竜華と西園狼樹の補佐だけでは足りないので二軍から四十名ほど引っ張ってきて新人教育に宛てていたのだった。

 

 話が逸れたが、小学生になった大和と長門は元々小学生達と絡んでいたこともあり、直ぐに人気者となった。

 

 容姿でいじめられないか私は心配していたのだが、二人共イケメン、美少女かつスポーツも勉強もできて皆に優しいとくれば小学校一年生は男は面白さと足の速さ、ドッジボールの強さで、女の子は可愛さと物知りがカーストを決めるため、二人共にそれを満たしていた為凄まじい人気者となっていた。

 

 学校の先生からも

 

「私の言うことを聞かない子も大和君と長門ちゃんの言うことは聞くんですよね。勉強とかでわからなかったりしたら、遊びながら教えている様子もありました。足の遅い子に走り方を教えたりもしていましたね。クラスの中心とも言えます」

 

 と絶賛していた。

 

 

 

 

 

 

 

「一軍二チーム合同で、【関ヶ原】ダンジョン完全攻略に向けて動く!」

 

 上級ダンジョンに挑む前の腕試しとして【関ヶ原】ダンジョンの最深部攻略に挑むこととした。

 

 関ヶ原ダンジョンは五層になっており、既に第三層までは到達していたが、そこから先の第四層と第五層にはまだ到達していなかった。

 

 それは単に戦力が整っていなかった事と、上層でも十分な収益が見込めていたからに他ならない。

 

 ということで月精がリーダー、サブリーダーに山姫と椎名(洋介)の編成で挑んでいった。

 

 平均レベルは百八十であり、椎名に至っては三百に達している。

 

 レベルだけならば椎名は星五探索者と遜色無く、クランの最高戦力である。

 

 それに追随するメンバーも山姫、月精、ロドリゲス、内藤、ドナルド、池田は二百レベルを超えており、最低レベルでも百五十と他のクランではエース級がゴロゴロしていた。

 

 幹部メンバーはイブキの能力によるものと知っていたが、その他のメンバーは何故こうも急成長するのかわかっておらず、魔法理論六基による経験値吸収効率の上昇によるものと誤解していた。

 

 お陰でイブキの能力が隠せて他のクランに露見していなかったし、クランの収益も他の大規模クランに比べて低かった(中級で雑魚狩りに専念していたから)ので混血中心というくらいで、クラン内のレベルが異常に高いのは広まっていなかった。

 

 さてさて、一軍メンバーは敵を殲滅させながらどんどん奥へ奥へと潜っていく。

 

 一軍メンバー···というより二軍メンバーにも『サンレイ』を習得させているため、他のクランよりも殲滅能力が高く、更に月精のゴーレム生成及び操作やドナルドの超高火力の炎の魔法、東横が残した氷魔法等、初期組は魔導書が書けるようになっており、それを一軍メンバーは回し読みをして更に魔法に磨きがかかっていた。

 

 お陰でゴーレム数百体で陣形を作り、【関ヶ原】ダンジョンの足軽や鎧武者の陣を強行突破していった。

 

 最短距離を突き進み、五時間程度で四層に到達し、そこで太閤と遭遇する。

 

 太閤は瓢箪の様な旗指と日の出の様な兜、それに大きな太刀を持っていた。

 

 見つけた瞬間に『サンレイ』による集中砲火をして、周りのお供は直ぐに溶けたが、太閤の鎧には一切傷が付かずに、こちらを睨みつけているかのように思えた。

 

 太閤はやたら装飾された巨大な白駒(馬のモンスター)の手綱を引くと、こちらに向けて突進を開始。

 

 更に馬上から魔法を連射してくる。

 

「集中防御!」

 

 月精が指示を出し、チーム虎のメンバーが万能防御魔法で何重もの壁を作り出す。

 

 一枚、二枚は貫く事はあっても、そこで魔法が止まる。

 

 太閤が魔法は効かないと太刀で万能防御魔法の壁を叩きつけた際に動きが一瞬止まる。

 

 その瞬間に高速で移動していた椎名が太刀を腹部に叩き込む。

 

 ガギ──ーンと金属同士がぶつかる音が響き、椎名がレベル差による筋力で太閤を白駒から吹き飛ばした。

 

 地面に崩れ落ちた太閤の鎧の隙間から空を旋回していたドナルドが高熱のビームを鎧の内部に叩き込む。

 

 鎧によって守られていた核に攻撃が届いた瞬間に太閤は動かなくなり、鎧とスイカサイズの紫水晶の様な魔石、そして鍵の束がその場に残った。

 

「太閤の鎧って一式いくらだっけ?」

 

「星持ちでも殺られる事があるから確か前に十億近くで取引されていたハズ」

 

「こんな巨大な魔石も合わせれば十二億くらいになるんじゃないか?」

 

 年俸査定にも大きく影響するマジックアイテムに沸き立ちながら、ついでに倒した白駒の装飾品も回収する。

 

 各自分散させてマジックアイテムを持ち、更に奥に進み、第五層に到達すると、ダンジョンの造りが城の中の様になっており、床が畳になっていた。

 

「歴史マニア(池田)、城の床って全面畳なの?」

 

「いや、全面の畳は予算の都合やそもそもい草の生産量、流通量が少なかった事もあり、城の一部とかだけで、殆どは木造の木の板の床だったはず。市民に畳が普及したのは江戸時代中期だし」

 

「なるほど···」

 

「ただ例外もあって安土城とかは焼失したけど大量の上質な畳が使われていて、大きさもこんな感じに一枚で体を隠せるくらいの大きさだね」

 

 と池田が畳をめくると確かに体をすっぽり隠すことができた。

 

「事前情報だと宝物庫があるらしいけど」

 

「門番たるボスの太閤は倒しているからね。この鍵束を使えば開けられるんだろ?」

 

 とロドリゲスが鍵束をジャラジャラさせる。

 

「···警戒! 強い魔力がこちらに近づいてきます!」

 

 探知に長けた兎のモンスターと混血の佐々良が警戒を忠告し、皆、物陰に隠れる。

 

 コツコツコツと甲冑が歩いてくる。

 

 片手には禍々しい黒い煙を出す刀、片手には金細工が施された火縄銃が握られており、和洋折衷の銀色に輝く甲冑に赤いマントを翻し、胸には真っ赤な織田木瓜が掘られていた。

 

「太閤が秀吉、将軍が家康ときたら、信長も居るよな···そりゃ」

 

 池田がボソリと呟く。

 

 事前情報では居なかった信長の甲冑を着た鎧武者···仮名で魔王とするが、魔王は奥の椅子に座ると、じっと動かなくなった。

 

 ハンドサインでここから離れるかどうかをリーダーとサブリーダーが決めていたら、魔王がバンバンと火縄銃を天井に発砲する。

 

 すると魔王の前に六体の特徴的な鎧武者が現れる。

 

「家紋から推測するに秀吉を除いた織田四天王や有力武将だ。筆頭家老柴田勝家」

 

 槍を持った鎧武者には権六無双と鎧に刻まれている。

 

「丹羽長秀」

 

 鎧の上から着物を羽織り、指揮棒を握っている。

 

「滝川一益」

 

 大きな火縄銃である長大筒を背負い、こちらに銃口を向けている。

 

「明智光秀」

 

 三日月の兜に紫色に妖しく光る太刀を握っている。

 

「堀秀政」

 

 四天王ではないが何でもこなす事から名人とあだ名された信長の最側近である堀の着用していたとされる鎧武者や

 

「森長可」

 

 信長の初期から中期にかけて支えた名将まで現れる始末。

 

「織田家オールスターじゃん」

 

「となるとこのダンジョンは【関ヶ原】ではなく」

 

「たぶん【岐阜城】の方が正しいんじゃないかな。関ヶ原なら石田三成とかの鎧武者が居ないと役者不足じゃん」

 

「歴史に詳しくないけどあいつ等強い?」

 

「信長は知らないけどその他の武将は太閤クラスあるんじゃない? 月精どうする?」

 

「···上級に挑むならこれくらいの苦難を超えないといけないでしょ! やるよ!」

 

 月精の言葉に、皆突撃準備を整えるのだった。

 

 

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