底辺ダンジョン配信者がトラップ踏んだらTS天使になりました!?   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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星持ち
凱旋と私立北稲荷ダンジョン学校


 一軍メンバーが大金を携えて北稲荷に凱旋した。

 

 凱旋した一軍メンバーをクランメンバー全員で労った。

 

「お疲れ様〜内藤大丈夫?」

 

「まだ気だるい感じがありますが、この後直ぐに病院に行きますよ」

 

「そうしてね。内藤を私は失いたくないからね」

 

「···イブキさん」

 

「他のメンバーは大きな怪我なくよく帰ってきてくれたね! 映像からも強敵なのは伝わってきたよ!」

 

「さて、星持ちを倒せるくらいに君達は成長した。クランメンバーの目標が君達の様になる。これから上級ダンジョンに挑むけれどそこでも稼ぐよりも安全と強くなることを重点的にして欲しい! ···と、クランリーダーなのに一軍を率いることができない体たらくを許してほしい」

 

 普通のクランのリーダーというのは一番強い人もしくは最前線まで指揮を取ることができる人がなる。

 

 しかし、ガイアクランは育成担当がクランリーダーだ。

 

 ただイブキがクランリーダーであることに異を唱えるメンバーは誰も居ない。

 

 むしろイブキがリーダーであることや、イブキの子供達がクランを継承することにも全員が納得している。

 

 混血である自分達を必要と求めてくれている。

 

 混血である自分達を差別しない。

 

 混血である自分達に食住を与えてくれた。

 

 混血である自分達に強くなる術を教えてくれた。

 

 混血でも次世代を残し、安心して子供を育てられる場所を作ってくれた。

 

 クランメンバーにとってイブキはただのリーダーではない。

 

 彼らにとってはイブキは崇拝の対象なのだ。

 

 例え戦闘能力がイブキを超えたとしても、イブキの教えと居場所を与えてくれたという恩は消えない。

 

 昔の鎌倉武士みたいな御恩と奉公の関係に近いが、イブキがバラまいた恩がイブキの価値とカリスマになっていた。

 

 更にイブキは夢を見せるのが上手い。

 

 無理をしながらもこうすれば混血にとって良い未来に繋がるというのを長門と大和の為とはいえ、それがクランメンバーにとっては希望に繋がり、やる気に繋がるのだ。

 

 そして今、一軍が大きな成果を持ち帰ってきた。

 

 頑張ればここまで強くなることができる。

 

 イブキ最初の弟子である椎名がクラン最強を突き進み、それを補佐するメンバーも皆まだ二十代。

 

 それで星持ちでも苦戦するモンスターを単体倒したのではなく、複数倒したのだ。

 

 池田のダンジョン配信を見ていたクランメンバーのテンションは喜びもあったが、自分達もこの域に早くなりたいという成長への意欲が込み上げてきていた。

 

「月精お疲れ様でした。どう? 二チームの指揮は」

 

「めっちゃ疲れた。山姫と椎名がアシストしてくれなかったらストレスで潰れてたかも」

 

「またまた···月精には私の代わりに一軍メンバーを引っ張ってもらいたいんだから頼むよ」

 

「!? ···わかりました」

 

 事実上の一軍のリーダーの任命である。

 

「イブキさん、信長が持っていた刀使いたいんだがいいっすか」

 

 椎名(洋介)が私に申し訳無さそうに聞いてくる。

 

「あー、前の太刀ボロボロになってたね」

 

「ご覧の通り刃こぼれしてというより先端は折れちゃいましたからね。少し短くなりますが信長の持っていた刀の方が頑丈ですし、魔法の媒体としても凄そうなので···」

 

「倒したの椎名だし、椎名が売りたくなければ売らないでいいよ。なんなら信長が身に着けていた装備一式椎名が使ってみる?」

 

「一式纏めて売ったら二十億くらいしますよ?」

 

「いいじゃん使えば。明聖社以外の会社で作られた装具ならまだしも、ダンジョン産のなら問題ないし、マントに明聖社のロゴを入れれば問題ないでしょ···他の皆も別に良いよね?」

 

 私の言葉に不満を言うメンバーは居ない。

 

「なら決まりだね」

 

 早速椎名は信長の装具一式を明聖社にサイズ調整を依頼している。

 

 ちゃっかり火縄銃も装備に加えていた。

 

 問題は巻物の魔導書である。

 

「鑑定してからになるけど五本もあるよね···」

 

「どうしましょう」

 

「有用なら売らなくて魔導書書ける人が覚えてクラン内で回すって手もあるけど」

 

 私の発言に山姫が

 

「クラン内しか閲覧できない魔導書がドンドン溜まっていきますね」

 

「まぁ下手な攻撃魔法は公開できないし、社会に不利益な魔導書は広められないしね〜」

 

「ただ『サンレイ』はうちのクランの基本攻撃魔法になりつつあるっすけどね」

 

 とロドリゲスが言う。

 

 とりあえず巻物型の魔導書は鑑定して売る物はオークションに出すと決め百億近くの大判小判は売却。

 

 武器類は欲しい人が貰い、特に滝川一益の長大筒は希望者が殺到し、じゃんけんの結果、南波が所有権を獲得した。

 

 他織田家幹部が持っていた武器は結局売られること無く、クランメンバーで持つことになり、一軍メンバーの和風度具合が跳ね上がった。

 

 

 

 

 

 

 一軍メンバーが上級ダンジョンに挑む準備を始め、またゆったりとした時間が過ぎていった。

 

 私ことイブキは勿論クラン運営や町作り、スポンサー交渉でドタバタしており、飲食チェーン店の【魔食】と正式にスポンサー契約を結び、【魔食】の大型店を北稲荷に誘致したり、混血の家庭に小中学生の混血者を養子縁組や一時的に住んでもらい、児童支援をして北稲荷への移住をしやすい様にクランメンバーにお願いしたりもした。

 

 そんなこんなで長門と大和が三年生になった時···北稲荷に探索者協会が経営母体とする小中高一貫の学校が新設された。

 

【私立北稲荷ダンジョン学校】

 

 小中高一貫かつ、全国から混血者を集めたので五千人もの学生が集まり、中学生以上はガイアクランが出資した寮で共同生活をおくってもらい、小学生は先程説明した様な養子縁組や一時的共同生活、もしくはガイアクランが創った児童養護施設に入ってもらう。

 

 土岐先生に他県の反応を聞いたところ扱いに困っていたし、犯罪に走りやすい混血者を引き取ってくれてありがたいみたいな話をされ、差別が根強いなぁと感じた。

 

 で、教員の採用にも繊細の注意を払い、差別意識がない若い教師を高値で採用した。

 

 教員の枠不足で講師に甘んじている先生が多かったらしく、東京や大阪等からも先生が集まり、とりあえず学校として機能するようになった。

 

 で、ダンジョン学校ということで探索者高等学校よりもダンジョンを複数箇所抱えていた。

 

 その数五箇所···はい、長門が頑張りました。

 

 どれも下級ダンジョンで長門のこだわりで食料になりやすいモンスターが多いダンジョンになった。

 

 換金率の高いダンジョンにしたら学生以外が使えないことに不満が出るし、探索者協会の管理する高校は現金ではなくポイントに交換する仕組みなので、だったら食事の足しにしたほうが良いだろうというと東横が長門にアドバイスをしてそう決まった。

 

 なので、私もメアリーヒルズからガイアマンション一号棟に移住をした。

 

 マンションを移動する際に近隣の住民から北稲荷に移住したいと話をされ、四星不動産が北稲荷の不動産を管理しているということを伝え、実際に知っている人が私の移住に合わせて引っ越しをした。

 

 ガイアマンションの十九階の一部屋が私達の新居になった。

 

 長門と大和は友達と別れることをぐずったが、二人が今後クランの上に立つ可能性がある以上、早くから学閥を形成する必要があり、それがクラン運営に響いてくる。

 

 まぁ二人は持ち前のカリスマで転校してからも大人気だったのは言うまでもない。

 

 ちなみに私立北稲荷ダンジョン学校は混血だけの学校ではないので少数ながら普通の子も居るのだった。

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