底辺ダンジョン配信者がトラップ踏んだらTS天使になりました!? 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
マーちゃんはまずダンジョンについて自身が突き止めた事実を話す。
「ダンジョンは神からの試練だと言っているが、ダンジョンは天使と同じく生きている」
「生きている? どういうこと?」
「成長しているということと寿命があるということ···どちらかといえば植物に近い」
ダンジョンは空気中に漏れ出た魔力が蓄積する事で異界が発生する。
その小さな異界がダンジョンであり、ダンジョンは自ら産み出す魔力を周囲に散布しながら成長を続ける。
長門がダンジョンを創れるのは、自身の魔力量が人間に比べて文字通り桁違いに保有できる為であり、その大量の魔力を媒体にして異界を生成していると話す。
「つまり学者達の間では通説になりつつある異世界に繋がっているのではなく、ダンジョンも魔力が物質化した物と?」
「そう。だから私みたいに魔力量が多く、かつ仕組みを理解できればその本人の資質に合ったダンジョンを創ることができる。長門みたいに自由にというのは無理だがな」
ではどれくらいの魔力量があればダンジョンを生み出せるのかマーちゃんに聞くと
「普通の人間ではまず無理。一部の例外か、私らみたいに天使病、もしくは悪魔病に感染し、レベル以上の魔力の成長の見込みがあって初めてダンジョンを創れる。そうだねぇ今のイブキの四倍レベルが無いと足りないかも」
今の私のレベルは百二十五であり、その四倍なので五百レベル必要と言われた。
逆に単独で人工ダンジョンを創れたマーちゃんのレベルは五百を超えているとなる。
「人間はどうしても能力値が筋力に寄りがちだし、レベルの上限もまちまちだ」
「レベルの上限?」
「寿命だよ。どんなに頑張っても寿命がある以上、才能がある者でも千に到達できれば良い方なんじゃないか? 千レベルあっても魔力の成長にバフがある天使や悪魔に比べれば、魔力総量は少なくなるけどね」
「じゃぁ人間が人工ダンジョンを創るのは実質不可能ということ?」
「そうでもない。例えばイブキによる成長速度上昇の加護により人間の到達点より早くなった人は限界点を突破できる可能性がある。間接的に天使の力があるとはいえね」
「あとは混血の人々···彼らは能力の成長が人とは違うため、場合によっては目標点を早期に到達することが可能かもしれない」
そう言われたが、マーちゃんはだいぶおかしい感じな事に気がつく。
このダンジョン【ヘブン】では経験値効率は悪いため、生前に五百レベル以上になっていたらしいし、生前天使になってから活動を始め、事故に遭うまで十数年しか無い。
成長ボーナス込みかつ、私のクランのレベルトップの椎名が十年で四百前半なので、マーちゃんは私と同じ(天使病による補正)くらいの成長補正だけで五百レベルに到達したという事は上級ダンジョンに長期間潜り続けていたことに繋がる。
「改めてぶっ飛んでるね。マーちゃんは」
「ん?」
まぁとにかく、大和と長門はレベル二十程(【おいなり公園】ダンジョンで子ワタをシバいていたためレベルが幾分か上がっていた)でレベル五百以上の魔力を持っていることになる。
「まぁあくまで貯蔵タンクがでかいのであって、出力自体はか細い···ダムに水道水の蛇口から水を流しているようなものだね」
ということでマーちゃんが教えるのは『放つ』という六基の中でも当たり前にできるということで私は教えることをしなかったことにマーちゃんは重点を置いた。
曰く
「放つは魔法が使えれば自然とできてしまうことだし、放出量もレベルが上がることで自然と体が出力に耐えることができる。ただ大和と長門は巨大な魔力のダムを産まれた時から持っているのだから、体が放出の仕方を覚えてないんだよね。だから魔力のダムを一度決壊させて魔力の通り道を無理やり作る」
とのこと。
で、どうするかと聞いたら、マーちゃんが薬を二錠飲ませた。
片方は状態異常の免疫を一時的に低下させる毒と、もう一つは魔力切れを誘発する毒だ。
二人は最初は平気だったが、足元が凍ったり、口から火を吹いたりと魔法が体を動かす···いや、呼吸をする度に発動した。
約一時間もすると魔力切れの頭痛と嫌悪感を感じ始め、更に一時間すると二人は意識を手放した。
「魔力を切らせばまた魔力を体が欲するし、魔力を生成するために体が睡眠を欲する。その睡眠に私が介入することで、魔力回路を一度破壊する。すると魔力回路も筋肉と同じく元に戻り、そして修復した際に魔力回路はより太くより出力に耐えられるようになるだろう」
と自説展開で、私は話についていくので精一杯であった。
マーちゃんの修行により、大和と長門は着実に成長を続けていた。
魔力回路が壊れた為一時的に魔法が使えなくなっていたが、一週間もすると回路が修復され、今日マーちゃんより完治と言われた。
まだ完璧に魔力を使いこなせるとは言い難いが、パワーアップには成功した。
そしたらマーちゃんは次にマジックアイテムの作り方を二人に伝授するのであった。