底辺ダンジョン配信者がトラップ踏んだらTS天使になりました!?   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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モーリシャスからの使者

 モーリシャス共和国大統領はかつて天使病に感染し、今年で五十近くになるはずだが、眼の前に居る大統領は美しく、そして二十代にしか見えない若々しい容姿であった。

 

 東京のホテルに呼ばれた私ことイブキは通訳の方との三人で部屋に入り、通訳をディーラーにトランプをすることに何故かなった。

 

『初めましてMs.イブキ、私はグラスノー···皆からウリエルとも呼ばれているよ』

 

「初めましてグラスノー閣下、後藤伊吹···イブキ·ゴトウです」

 

『緊張しているのかい? なに、私などあなたの息子達の神々よりもちっぽけな存在ですよ』

 

「知っていましたか」

 

『ええ、私の固有能力は占いでね。世界の多くを占っているんだ。例えば十一年前に神が産まれた時やつい最近も別の神が産まれた事も感知していた。本当はもう少し早く会いたかったけどこちらの情勢が落ち着かなくてね』

 

「日本でもニュースになっていたので知っています」

 

 それは六年前、モーリシャス諸島の隣であるマダガスカル島にて超級とも呼べる巨大ダンジョンがスタンピードを起こした。

 

 各国の探索者達が対応に当たったが、事態の鎮静化に五年の歳月を有してしまった事が恐らく遅れた原因だろう。

 

 モーリシャス共和国からも大統領自身が陣頭指揮をしたと新聞に記載があった事を脳の片隅に記憶していた。

 

『まぁそんな話は別に良い。今神々はどこに?』

 

「息子と娘は私の師匠の住まう特殊なダンジョンにて修行中、もう一人の息子は自宅でクランメンバーに子守をしてもらってます」

 

『ふむ、私の占いでは神々が子供を産んだと出ていたが?』

 

「···もう一人の息子は私の孫になります」

 

『世間体を気にしてか。神々が近親相姦をするのは当たり前のことだ。気にしても仕方がないだろう』

 

「昔の神話と同じことをするのですね···やっぱり」

 

『さて、私の占いでは多くの神と英雄が極東にて産まれると出ている。天使病···いや神故に天使病の女性になるという枠組みから外れたか。恐らくその子達から産まれる子供は男女共に天使の姿で生まれるのではないか?』

 

「その通りです。正直に話しますが、私は神の扱いに不安をもっています。通訳の人も顔を真っ青にしていますが大丈夫ですか?」

 

「お気になさらず。ただ上に報告する義務がございまして···」

 

「どのみちバレるのですから仕方がないでしょう。しかも我が国は神の御子息とされる皇室がありますから新たな神の出現は色々と問題になるでしょうから···それはまた後日でお願いします」

 

「わかりました。続けます」

 

『話は良いかな?』

 

「ええ、失礼しました」

 

『人の時代が終わり、再び神話の時代がやってくるだろう。科学と神秘が融合した時代が···その時日本が中心的立場にどうしてもなる。海を挟んで二つの大国に挟まれているが大丈夫かね?』

 

「わかりません。私は国際情勢に疎く、中国とアメリカがどのような反応をするか検討がつきません」

 

『イギリスとの繋がりが深い我が国からの視点で良ければだが、神というのは宗教的に劇物であり、一神教の教えを守る国ほど過剰反応が出る。まぁだからこそダンジョンを世界にもたらした神も宗教が寛容な日本に新たな神を降ろす決断をしたのかもしれないが』

 

「神をどこまで自由にさせるべきでしょうか」

 

『神を縛ることは許されない。常に自由にさせるべきだ。その為には国の許しを得る必要がある。私からも神の自由をと日本政府に【お願い】をしよう』

 

「ありがとうございます」

 

『さて、もう少しこの先の話をしようか』

 

「この先の話···ですか?」

 

『神は争いを産む···私の占いでは大きな争いが近づいていると出ている』

 

「え? でも私の師は人類のさらなる団結と飛躍が神の意志だと言っていましたが?」

 

『最終的にはそうだろう。しかし大国にも思惑がある。主導権を握るために神を害する可能性や仲を引き裂く工作をしてくるだろう。特にアメリカは多くの天使を保護している···見方を変えれば自国で神を降ろす確率を上げていたのではとは思わないかな』

 

「···ただ結果は日本に神が降りた」

 

『アメリカは超大国だ。衰えてなお世界の頂点に立ち続けている。そしてかの国は他国を圧倒する軍事力を保有している』

 

「まさか同盟国に攻め込むとかは無いでしょう」

 

『ああ、無いだろう。ただ日本を締め付ける手立ては幾らでもある。私みたいな占いや予知が得意な天使であれば既に神の降臨を察知した者が他国にいてもおかしくは無い。警戒をして損はないぞ』

 

「どないせいっちゅーねん···はぁ、クランの事で頭がいっぱいなのに···」

 

 私は頭を抱える

 

『神は人類とそういえば言ったんだよね』

 

「ええ、そうですが?」

 

『どちらの人類なのかね?』

 

「どちらのとは?」

 

『新人類が産み出されたのではないかな? 神の手で』

 

「アダムとイブ···あ、え?」

 

『新人類により新たな未来が切り開かれるのではないかな? その時私達のように天使や悪魔、モンスターとの混血はともかく旧人類は飛躍の対象なのだろうかねぇ』

 

「旧人類が新たな世界で淘汰される可能性があると?」

 

『まぁ大きく動くのはこれからの五十年だ。神が新たな人類を創造するのは止められない。新人類と旧人類が交わる事で穏健に全ての人類が新人類になるか···それとも大きな戦となるか···まぁそれは未来の人類に任せよう。イブキは神を増やすことに注力した方が良い。それが世界の意志だ。神を支えるのが天使の役目。クランよりも国や世界に視野を広げるべきだと私は思うがね』

 

 そう言ってグラスノー閣下が出したのはダイヤのストレートフラッシュ、対して私の出したのはフルハウスであった。

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