底辺ダンジョン配信者がトラップ踏んだらTS天使になりました!?   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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纏わせる

「案の定燃えたね」

 

「でも単純といえば単純よね? この水の実験···多くの人が気づくものじゃないの?」

 

「気づいている人は気がついているけど、当たり前過ぎて失念していることと、学者の多くはレベルが一の人も多いから···そういう人が上に立ってると否定されるし、安易に動物を使うとより迷走してしまうらしいんだよね」

 

「それはやっぱり辻聖子の言葉?」

 

「うん、マーちゃんの言葉。マーちゃんはこれを学会に出してはいるんだよね十五年前に。何の反応も無かったって言ってたから無視されたんだろうけど」

 

「うわ、その時に気がついていれば、魔法の理論化が早くできたかもしれないのに···勿体ないわね」

 

「まぁそうだね。ただ今回はしっかり伝わるべき人には伝わったらしい」

 

 私は東横にパソコンのモニターを見せるとメールが届いていた。

 

「差出人は···佐久間教授!? ダンジョン学の権威じゃん」

 

「全面的に正しいことが証明できたと書いてあるね。より詳しく理論を知りたいと来ているね」

 

「修行方法だけでも先に送れば?」

 

「うーん、そうしようか。一応データ化はしてあるから映像データと一緒に送ろうか。東横もやり方を先に覚えておいた方が良いかもね」

 

「わかったわ」

 

 とりあえずやり方だけを纏めた動画を撮影し、できるようになるまでの映像も残しておくのだった。

 

 

 

 

 

 

 ピンポンとチャイムが鳴り、私がドアを開けると椎名と山田が立っていた。

 

「酷いですよ〜イブキさん、俺達に教えないでアシスタント雇うなんて」

 

「そうですよ! 私達にも教えてください! 魔法理論!」

 

「あはは、昨日の今日に凸かい。まぁ入って入って」

 

「「お邪魔しまーす!」」

 

 山田と椎名を部屋に上げて、東横を紹介する。

 

「岐阜県探索者支部から私の護衛に来てもらってる東横雪子さん」

 

「東横です。よろしく」

 

「で、こっちが私の弟子の山田洋介と椎名華澄」

 

「山田です」

 

「椎名です」

 

 三人が挨拶をしてから、東横が話し始める。

 

「山田さんと椎名さんの事は支部でも噂になってますよ。岐阜県最速で上級に上がった探索者として」

 

「東横、どうせ長い付き合いになるから敬語っぽいのは禁止ね」

 

「ええ〜、猫被らせてくださいよ」

 

 山田と椎名はクスクスと笑った後に

 

「探索者支部で噂になってるんですか?」

 

「結構ね。約半年で上級なんてほぼ居ないですからね。しかも探索者高等学校にも在籍していないですから、本当に初心者でその成長速度は異常ですよ」

 

「本当に運が良かっただけですよ。イブキさんがうちのダンジョンに来てくれなかったらこれほどトントン拍子に進むことはできませんでしから」

 

「今は追い抜いてしまいましたが、師匠であることには変わりませんし」

 

「ずいぶんと懐かれてるじゃんイブキ」

 

「まーね」

 

 とりあえず自己紹介が終わったので、本題に入る。

 

「とりあえず自己紹介も終わった事だし、山田と椎名は魔力を巡らせるはできた?」

 

「はい、私も洋介も直ぐにできました」

 

「魔法が使えてレベルが高いほど直ぐにできるのかもしれませんよ」

 

 山田の意見は確かにと思う。

 

 レベルが高ければ自然と魔力の扱いも許容量も多くなる。

 

 故に意識さえすれば、できるようになるだろう。

 

「じゃぁ巡らせるができているか確認しようか」

 

 私は三人に巡らせるをしてもらい、それをサーチで魔力の流れを感知する。

 

「山田は甘い、大動脈に流れているだけ。もっと細い血管にも流して。椎名と東横は流石だね。ちゃんとできているね」

 

 山田にアドバイスをして、少ししたら山田もできるようになった。

 

 そのまま次の纏わせるを動画を撮影しながら教える。

 

「巡らせるの次は纏わせるを行います。今日アシスタントしてくれるのは私の弟子の」

 

「山田です!」

 

「椎名です!」

 

「はい、私よりも帰ってきたらガッツリ強くなっていた山田と椎名の二人とアシスタント一名の私含めた合計四名で今日の動画を回したいと思います」

 

 イメージは毛細血管まで魔力を巡らせることができたので、そのまま毛穴から魔力をまずは出す事を意識する。

 

 三人とも問題なくできたのでそのまま魔力の放出を徐々に止めていく。

 

 仕上げに体に膜を被せる感覚で魔力を完全に防ぐ。

 

「魔力を纏わせる事ができましたら針を用意します。ちゃんとできていましたら刺した箇所から血が出ません。魔力によって直ぐに止血されるのです」

 

 私はライターで熱し、水で冷やした針で指先を刺し、血を出す。

 

 私の場合だと血が全く出てこないし、痛みも無い。

 

「上手くできていれば全く痛みがありませんし、血も出ません。針が怖かったらニキビを潰したりしてみても良いかもしれません」

 

 そう言って私は三人に試してもらう。

 

 まだ上手く感覚が掴めてないのか三人とも普通に血が出てきてしまう。

 

 私は直ぐに三人に治癒魔法のヒールをかけ、アドバイスをしながら教える。

 

「失敗を何度も繰り返すようでしたらお風呂のぬるま湯に全身を浸けてみてください。圧迫される感覚があるのでより魔力が纏いやすくなると思います。ただ風呂で針を刺すわけにはいかないので、感覚を掴んだらお風呂からあがって試してみてください」

 

 今のところ一番感覚が摑めていない山田を風呂に放り投げ、残りの二人は集中してやっていく。

 

 十五分ほど風呂で試していた山田が針を刺して試すと血が全く垂れてこない。

 

「おお! できた! 全く痛くねぇ!」

 

 残った女性二人も風呂に浸かりながら試していき、成功する。

 

「三人がかかった時間は平均すると一時間ただこれは成功したから良いという物ではありません。寝ている間も自然とできるようになって初めて習得となります」

 

「これができるようになると体温の調整ができます。夏には体を魔力の流れで冷やし、冬には暖かくしてくれます。また風や雨を意識すれば遮断することもできますので、天候が荒れている不人気なダンジョンに軽装でも長時間活動することができます。虫系モンスターや植物系モンスターに触れて、被れたり刺されたりしても炎症や毒が回らなくなるのも良い点でしょう。勿論傷の深さにもよりますが、毒の耐性が無くても一定値までは耐えることが巡らせると纏わせるで、できます」

 

「動画を見ている皆さんは治癒能力を持っている人が近くに居ない場合は確実にできると確信してから行ってください。逆にこれができれば巡らせると纏わせるの基礎はできています。後は無意識下でもできるように常に纏わせるのみです」

 

 動画はそこで終わる。

 

「でもイブキさん、これを無意識でもできるようにってなかなか厳しくないか? 気を抜いたら離散しそうだ」

 

「最初のうちはそうだね。私も無意識でイケるまでは一ヶ月かかったし」

 

「一ヶ月でできたんだ」

 

「やる事が無かったからね。というか他のを先に覚えているから習得が早いんだよ。順調にいっている皆でも一、二ヶ月は覚悟したほうが良いよ」

 

「マジかぁ」

 

「それまでは動画は更新しないの?」

 

 東横が聞いてきたが、私は首を横に振る。

 

「動画の更新は止まるけど、その間に魔導書解読の方の動画を作る。なにせ五冊もあるからね」

 

「でも六基ができないと辻聖子が書いた魔導書から魔法を覚えられないんでしょ?」

 

「まぁそうだね。でもできた時にスムーズに覚えられた方がよいでしょ?」

 

「それは確かに」

 

 魔導書に山田と椎名が食いつく。

 

「どんな魔法があるの?」 

 

「賢者と名乗る人の魔法だからさぞ強い魔法なんだろうな!」

 

「確かに強い魔法だよ。『サンレイ』太陽光線を収縮して放つ魔法だ。まぁ太陽光線って言うけど洞窟内でも普通に使えるから光線を放つ魔法と考えた方が良いかもね」

 

「残り四つは?」

 

「全部を教えたらつまらないと思うから一つね、鏡を産み出す魔法だね···水鏡に近いかな」

 

「水鏡···となると『サンレイ』が屈折させたり反射させたり出来そうですね」

 

「うん、できる。というか残り四つの魔法は日常的に便利な魔法だけど、『サンレイ』を強化したり、変化させたりする魔法なんだよね。ただあまりにそれをすると強力だから防御方法の魔法を作らないといけないんだよね」

 

「でも魔導書以外の魔法ってレベルアップの時にランダムで覚えるんじゃ?」

 

「確かにそうではあるけど法則性があって、本人が望んでいる魔法になりやすい事と明確なイメージを持っているものに近づきやすいんだよ。医者や聖職者が治癒魔法を覚えやすいようにね」

 

「なるほど」

 

「『バリア』の魔法を最初イメージしていたんだけど、『サンレイ』はバリアを貫通するからね。高威力、拡散性あり、貫通力、射程も申し分ない···凄い魔法だよ」

 

「それを言語化した辻聖子さんはマジモンの天才ってことか」

 

「そうなるね」

 

 その後三人と話をして、上級が下級ダンジョンを荒らすのは良くないので、二人とは実家の【ケーナーティオ】以外は一緒に入らないこと、週一で会う約束をし、その日は解散となった。

 

「また来ます」

 

「ありがとうございまし」

 

「またねー」

 

 二人と別れ、部屋に戻るとゴソゴソと私は準備を始めた。

 

「え? なにしてるんです?」

 

「なにってダンジョンに潜るんだけど」

 

「今からですか!? もう夕方だよ!」

 

「近場ならまだ間に合うからね。車出して! 行くよ!」

 

「本当は出産まで安静にして欲しいんだけどなぁ」

 

 その後おっちゃんのダンジョンでゴブリンやオークを魔法で倒すのであった。

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