底辺ダンジョン配信者がトラップ踏んだらTS天使になりました!?   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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七月七日 イブキの誕生日

「オークナイトの鎧と剣か。魔法が効きづらくて大変だったろ」

 

 換金所のおじさんに言われた。

 

「得意の魔法が全く効きませんでしたよ」

 

「このオークナイトは雪魔法と雷魔法、鎧に接触している状態での魔法だと逆に魔法がよく通るんだよな。効かなかったってことはオークナイトの性質を知らなかったな」

 

「うっ! ···知りませんでした」

 

「ま〜オークナイトはマイナーなモンスターだからな。ナイトといったら動く甲冑とかお化け騎士とかが有名だし、あいつ等は普通に魔法が効くからな」

 

「あちゃー接触魔法は効いたのか···遠距離の魔法ばっかり使ってました」

 

「オークナイトの鎧を貫通できる遠距離魔法は上級上位の魔法使いが使う高火力な魔法なら貫通できるが、それをやると鎧が壊れるからな」

 

 全身の西洋甲冑が二百万、剣が二十万買取りだった。

 

 剣は当たりを引かないと基本頑丈だけが取り柄らしく、溶かして特殊素材として使うことがあるらしい。

 

 やたらと重かったのでそのまま使える人はゴリラとかの部類だろう。

 

 その他オークが魔石込みで一体七万で、十六体で百十二万、薬草が一房千円の百十房で十一万で合計三百四十三万円。

 

 三等分にしても約百十四万と下級ダンジョンらしからぬ収益。

 

「稼げたね」

 

 松田と萩原に聞くと、中級の自分達でもここまでの稼ぎはなかなか無いと言われた。

 

 中級でもやっぱり収益に差が結構あるのだろう。

 

 中級になったは良いが、実力的に下級ダンジョンばかりに潜る人もいるし···

 

 そう考えていると萩原に

 

「後藤さん鎧壊さないようにサンレイの威力調整してたでしょ」

 

「いや、普通に放ったんだけどねぇ」

 

「でも出力上げれば貫通いけたんじゃないですか? 魔力のコントロールで威力が上がっているから」

 

「まぁいつもの感じでやったのは確かだね。あれでもオークは一撃で倒せる威力だったからオークナイトもいけると思ったんだけどね」

 

「まぁあそこまで遠距離魔法に耐性があるモンスターは稀ですよ」

 

「事前に調べた時にオークだけじゃなくてもっとボスの情報も入れておくんだったね。反省反省」

 

「いや、俺達もあんな普通にボスと出会うとは思ってなかったんで···護衛の俺達が調べるべきでした」

 

「とりあえず当面はこのオークのダンジョンでレベリングだね。二人は私の固有能力でどれくらいの才能が付与されるかわからないからそれを試しながらになるけど」

 

「いや、このままやっていても上級に上がるの四十歳とかになってたかもしれないから本当に助かります」

 

「二十レベル以降成長が鈍化してなかなかレベルアップしなくて困ったんですよね」

 

「なるほど」

 

 山田と椎名はそんな壁に当たらないでトントン拍子に上級に上がれたが、成長速度が鈍化するというのは普通にある。

 

 まぁマーちゃん曰くレベルアップすると次のレベルへの必要経験値が増えるゲームと同じ様な事が肉体でも起こっていると言われた。

 

 才能がある人はその必要経験値が少ないし、無い人は必要経験値が多い···それだけだ。

 

 ただ二人は周りがエリートだらけなので感覚が狂っているが、一般的な探索者からしたら鈍化したといっても普通くらいの成長速度である。

 

「まぁ頑張ろうや。ただ東横も含めてローテーションでお願いね。大和と長門の事もあるし」

 

「もしかして週五潜るつもりで?」

 

「そうだよ。私もガンガンレベルアップしないといけないからね!」

 

「「おぅ···」」

 

「二人共何その反応」

 

 とりあえず買い物をして家に帰るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 七月七日···世間では七夕であるが、何を隠そう私の誕生日である。

 

 配信で誕生日配信をしている中、SNSのサービスに匿名のメッセージを送れる『あめちゃん』というサービスがある。

 

 注目度が跳ね上がったお陰か私のボックスがパンクするくらいメッセージが集まっており、あめちゃん消化をする時間を今日は設けた。

 

『俺が大和君と長門ちゃんのパパだ』

 

「はい、パパとママは同一人物なので違います。次」

 

『イブキちゃんの翼です。酷使しないでください。翼にも人権があるんですよ!』

 

「人権は無いです。次」

 

『オギャァア! バブゥゥゥ!』

 

「赤ちゃんプレイを公共の場でやるな。次」

 

 碌なのがねぇ。

 

 匿名なので何を書いても許されると思ってゴミメッセージが大量に溢れている。

 

 まぁ時々

 

『新人探索者です。魔法がなかなか覚えられません。どうしたら良いでしょうか』

 

「そういう人は肉体強化を自然としていることがあるので一度探索者支部か本部で能力測定をして、適性職業を確認してみてください。もしかしたら格闘家があったら魔法適性が低いので前衛職種を極めることをオススメします」

 

 とアドバイスを送る。

 

「一時間で百個しか消化できなかった···では残りの時間は頂いたファンアート紹介に当てたいと思います!」

 

 私のファンアートは結構いただく。

 

 天使の容姿なので描きやすいというのもあるかもしれない。

 

 萩原から誕生日プレゼントとしてファンアートをもらっていて、めっちゃアニメ絵になっていたが、デフォルメされていて可愛かった。

 

 中には大和と長門を抱いている私のファンアートもあり、ほっこりしたし、オークを撲殺しているファンアートもあった。

 

「皆私の誕生日を祝ってくれてありがとう! これからも皆の為になるような有益な情報を発信し続けるね!」

 

 私の誕生日配信はチャンネル登録者数九十万人を突破したと同時に終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『以上が魔導書についての報告になります』

 

「引き続き経過を報告してくれ」

 

『はっ!』

 

 会議室にて岐阜県の探索者支部の上役が集まり、魔導書についての話し合いをしていた。

 

「こちらでも六基を習得したギルドナイトに魔導書のコピーを読んでもらったが、確かに『サンレイ』という魔法を習得することに成功した」

 

「問題は『サンレイ』が強力な魔法であることと、六基の習得難易度が極めて難しいことでしょう。失敗し、救急搬送された者が多く、他の県では真似して餓死した馬鹿も出たからな」

 

「遺族が騒ぎましたが東京の本部でも後藤君の有用性を理解しているのか、マスコミを使って逆に抑え込みましたからね」

 

「裁判になっても必ず勝てるように根回しは済んでいる。現に後藤君のチャンネルでは再三の注意喚起を行っていたからな。それで死ぬなら自己責任だ」

 

「目敏い者は後藤君の教育をパクって教える塾を開こうとする者も居るな」

 

「他の支部でもちゃんと認可されれば良いが、モグリで開校して搬送されたら責任は塾側にあるからな」

 

「それよりも魔導書です。後藤君がもたらした魔導書は五冊、そして後藤君は魔導書の開示を『サンレイ』の防御魔法ができるまで行わないで欲しいと言っていたからな」

 

「本当にできるのか? 万能防御魔法···できれば魔法技術の革新だが」

 

「東横の報告によるとレベルアップする毎に新しい魔法を覚え、それにより防御魔法の構築は進んでいるとのことです」

 

「確か結界を作る魔法と結界で作った空間に障壁を発生させるのと、それを浮かせる魔法を組み合わせる事ができたらしいな」

 

 イメージは寒天ゼリーである。

 

 四角い型が結界で、そこに障壁を流し込む。

 

 あとは固める作業と、その作られた寒天同士を結合させる接着剤となる魔法が欲しい。

 

 大きい型に流し込めばいいじゃんと思うが、固まる時間がかかるのと、障壁が本来体を守る為の魔法なので、体積以上にすると魔法を遮断する効果が薄まるのだ。

 

 あとできれば寒天ゼリーに牛乳やフルーツを加えると美味しくなるように、強度を増す魔法を複数個詰め込めれば最高であるとイブキは東横に話し、それがこの会議に参加しているメンバーにも伝わる。

 

「なにより万能防御魔法ができれば不慮の事故で死亡する探索者の数も激減するだろう。そうなれば協会としても貴重な人材を長く使うことに繋がる」

 

「人口が増え続けている他国に比べ、日本は少子高齢化問題が深刻だからな。特に低所得者や下級探索者が家庭を持ちたくても持てない現状がある」

 

「なおさら生存性を上げるしかないだろう」

 

「サンレイは教えなくても防御魔法なら悪用もしづらい。なるべく早く完成させてもらいたいものだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

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