底辺ダンジョン配信者がトラップ踏んだらTS天使になりました!?   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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挨拶巡り

 数日後、アポが取れたスポンサー企業にスーツを着た私達が向かう。

 

 まず初めに行くのは椎名の実家の会社···ケーナーティオダンジョン運営会社である。

 

 アポと言っても椎名が皆を連れて一度挨拶に行きたいと言ったら直ぐに予定を開けてくれたらしい。

 

 会う場所は焼き肉椎名の大部屋で、その日は一日臨時休業をしてくれた。

 

 椎名は動物で例えると犬みたいな元気な女性であるが、焼き肉椎名のオーナーであり、ダンジョン管理者の親父さんは熊って感じの人だ。

 

 料理を作り続け、時にダンジョンで大剣を振り回してきたので丸太の様に太い腕は迫力がある。

 

「面と向かって話すのは初めてだな後藤さん。ケーナーティオのダンジョン管理者で関連事業のオーナーをしている椎名源作だ」

 

「改めまして。後藤伊吹です」

 

「まずは礼を言わせてくれ。娘と義理の息子になる(山田)洋介をここまで育ててくれて感謝している」

 

「いえ、最初だけです。彼らの才能があったから上に行けたんです」

 

「それでもだ。あんたが最初に背中を押したのは間違いねぇからな。俺からは(椎名)華澄の実家としてチーム···後々はクランの支援をさせてもらう。ただ十年···いや、十五年後だな。華澄と洋介の二人にダンジョンの管理を引き継がせなきゃならねぇ。俺が本家だから分家や従業員を引っ張る必要がある。その為には血縁ってのがやっぱり重要になってくるんだ」

 

「そこは理解してくれ」

 

「わかってます。二人もそれは理解しているんだよね」

 

「はい、大丈夫です」

 

「わかってます」

 

「十五年あればこちらとしてもある程度の基盤はできると思います。私も四十歳になってますし、チームで終わらせるつもりは無いので···後々、クランが軌道に乗ったら、新人育成のダンジョンとしてケーナーティオダンジョンを優先的に使わせてもらいますが良いですか?」

 

「勿論だ。あともし華澄のお腹にいる孫にも才能があれば孫も鍛えてくれないか」

 

「はい、もちろんそうします」

 

「次に支援内容だが、こちらから出せる物といえばリトル鹿牛の肉くらいだが、希望はあるか?」

 

「モンスター調理師の免許を他の人にも取らせたいと思っているのですが、その調理の実習を焼き肉椎名でやらせてはもらえませんか」

 

「お安い御用だ。俺がビシバシ鍛えてやる」

 

「お願いします。恐らくこちらに居る松田と萩原、山田も含めてお願いするかと思います」

 

「松田です」

 

「萩原です」

 

「「よろしくお願いします」」

 

「お義父さんお願いします」

 

「ああ、任せろ」

 

 支援内容が決まり、今度はこちらから椎名源作さんに質問する。

 

 ダンジョンの経営についてだ。

 

 地域密着型のダンジョンとしてはケーナーティオダンジョンの経営は上手いと言えるが、それで完結してしまっているのでここからどう成長させるのかを知りたかった。

 

「焼き肉のチェーン展開を俺の代でしたいと思っている。あとは他の焼き肉屋にここの肉を使ってもらえる契約を一つでも多く結ぶ。需要が増えれば買取金額も上がり、探索者の呼び込みに繋がるからな」

 

 椎名源作さんはしっかりしないと考えていたらしい。

 

 ただそれ以上の拡張は無理だろうと断言された。

 

「あくまで初級ダンジョンがメインだと出せる利益や方針も決まってくる。多角化したいのは山々だがな···」

 

 と心境を語ってくれた。

 

 その打開策として上級探索者である山田は焼き肉屋を気にすること無く、ダンジョンの経営に集中してもらいたいとのこと。

 

 山田に求められているのは探索者支部や他のダンジョンとの伝手で、経営者としての視点が必要になってくる。

 

 その後山田と椎名の結婚の話になる。

 

 どうやら山田は椎名の家に婿養子になるらしい。

 

 だから結婚後は山田洋介ではなく椎名洋介になるのだとか。

 

 椎名が二人になるから今後二人は下の名前で呼ばないとなぁと私は考える。

 

 式は十二月中旬頃、ホテルで親族と友人とチームの私達を招待するらしいので五十人くらいになるらしい。

 

 早くしないと椎名のお腹が大きくなってウエディングドレスが着れなくなってしまうってのもある。

 

「洋介君は小さい頃から見てきたが、ウチのと結ばれて本当に良かったよ」

 

 熊みたいな源作さんは良かった良かったと娘の旦那が山田の事を持ち上げる。

 

 山田は照れくさそうにするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 椎名のお父さんの所は練習だ。

 

 本番はこれから始まる企業群である。

 

 アポが取れた順で、翌日にはディープフーズ社の担当と面会に向かう。

 

 ディープフーズは岐阜県最多のスーパーを持ち、ダンジョンで採れる食材を加工して食卓に届けるだけでなく、地域の農家と契約し、地産地消を心掛けている会社だ。

 

 スポンサー契約をしているチームの全てが岐阜県をメインに活動している。

 

 面会の場所もディープフーズ本社で、私達全員で指定された部屋に通されると、そこにはディープフーズの社長が居た。

 

「チームガイアのメンバーの皆さん。よく来てくださいました。今日はよろしくお願いします」

 

「よ、よろしくお願いします」

 

 まずは全員が自己紹介をし、スポンサーに付いてくれたお礼を言う。

 

 社長さんは岐阜県の人口が愛知県に流れてしまう事を危惧していた。

 

「愛知には中部地方の経済の中心であり、世界的な大企業も幾つかある。我々地方企業が必死に地域を盛り上げようとしても限界がある。ただ後藤君はインフルエンサーとして多大な影響力を持っていると聞いている。岐阜県に住む人が増えれば、我が社の業績は上がる。短期間よりも長期間、長い目で見ることが大切だ」

 

 社長の理念は理解できた。

 

 私も岐阜で根付くのは嫌ではないので、社長のスタンスに好意を持てる。

 

 ディープフーズ側から商品の半額券や岐阜県産の米や商品を今度送ると言われ、ディープフーズ側が私達に求めたCM出演も了承し、最後は社長と握手をして解散となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 毎日スポンサーの会社と面会をしていくが、社長自らみたいなのはディープフーズだけで、それ以外は担当者が私達を歓迎してくれた。

 

 メテオブランド社は新作のリュックを提供され、ツクール社からはパソコンや配信機材一式を渡された。

 

 ツクール社は私が最近配信していないことを聞かれ、火事にあったことを話すと、心配してくれて、いち早く配信ができるようにと色々と配慮された。

 

 お陰で配信スタジオを借りたりするのがぐっと楽になったし、報告動画をその場で撮影してアップロードする流れになった。

 

 火災原因は放火で、犯人は逮捕済みな事と、安全のために引っ越す事を報告した。

 

 アップロードして数時間後にスマホでエゴサすると、ネット掲示板やネットニュース等にまた私が事件に遭遇したと盛り上がっていた。

 

 犯人像や犯行動機が推理され、ファンとアンチと野次馬が入り混じりカオスが広がっていた。

 

 私はそっとスマホを閉じるのであった。

 

 

 

 

 

 引っ越し前日、明聖社の担当との面会が決まり、岐阜県の探索者支部の中にある小会議場を借りて、担当者と会う。

 

 今までの企業とは違い、多くのクランを支援している大手企業なので色々と聞きたいこともある。

 

 私達は気を引き締めて面会に挑むのであった。

 

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