底辺ダンジョン配信者がトラップ踏んだらTS天使になりました!?   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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サザン海ダンジョン 二 将来の密約

【サザン海】ダンジョンアタック二日目。

 

 探索者支部にて売られているダンジョン用釣具を三組用意して男共に渡した。

 

「というか初めての釣りで釣れるの?」

 

「動画は色々見てきたけど期待しないで」

 

「ボウズだけはなんとか回避したい」

 

 まぁ女性陣だけでも稼げるので男共には頑張ってもらいたい。

 

 というかこの稼ぎ方ができるのが(椎名)華澄がお腹が大きくなる来月までなのでその間にこのダンジョンで稼ぎたい。

 

「とりあえず今回は配信じゃなくて動画にするから、釣りの様子を撮影しようか。はいこれ」

 

「ん? ヘッドカメラ?」

 

「ツクール社から人数分の配信機材貰っているからそれ使って釣りの様子を撮って」

 

 と男共に頼んだ。

 

 私達女性陣? は今日も今日とてカニとエビ刈りに挑むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 海辺の岩場に来た男共は釣具に餌をセットする。

 

「なになに、ダンジョンでの釣りは大きな魚が釣れるので餌も大きくなります。匂いの付いた餌を用意しましょう」

 

「とりあえず餌は買ってきたけど···デカくね?」

 

「野球ボールくらいあるな」

 

「一応各自三十個餌用意したけど···どうだ?」

 

 釣り方であるが籠に餌を入れる。

 

 次に仕掛けのところにルアーを幾つかセットする。

 

 籠の匂いに釣られて魚が寄ってきて、餌と誤認したルアーに食い付き釣れるという仕組みだ。

 

 最初に竿を遠くに投げる練習を繰り返し、ある程度遠くに投げれる感覚が身についてから本番を開始する。

 

 ちなみにだが、釣り糸が極太でワイヤーみたいである。

 

 釣具自体も魔石で動く自動リール巻取り機が付いており、自動である程度は巻き取ってくれるが、あとは腕力が物を言う。

 

「ダンジョン産の魚って小さいのでも三メートルサイズだったよな萩原」

 

「え? そんなにデカいの?」

 

「洋介、マグロサイズがうようよしているのがダンジョンの魚だぞ」

 

 と喋っていると(椎名)洋介の釣り竿のウキが沈む。

 

「お! 食い付いた!!」

 

「よっしゃあ引け引け!」

 

「あ? 俺も食い付いた!」

 

 萩原のウキも沈み、ヒットする。

 

 リールを巻いていくといきなり動かなくなり、緩急をつけながらリールを人力で巻いていく。

 

「洋介、ボタン押せ! 電気ショックを流すやつ!」

 

「よっしゃぁ!」

 

 釣り竿に付いているボタンを押すと魔石の魔力を電気に変換し、ワイヤみたいな糸? に電流が流れる。

 

 勢いが弱まり一気に巻取り、魚影が近づいてくると五メートルはあろうか白銀の体が海面に浮き出てきた。

 

「松田さん! 網、網!」

 

「オッケー構えた!」

 

「おりゃぁ!」

 

 ざばーんと巨大なアジモドキが釣れた。

 

 巨大な網の中に入ったアジモドキはビクンビクンと痙攣している。

 

「メガ銀アジだな。平均相場が一匹二十万前後だな」

 

「重さの割には安いか?」

 

「···これ重さ三百キロ近くあるよな? どうやって運ぶ?」

 

「ちょっと俺リヤカー借りてくるわ」

 

 と松田が走っていった。

 

 その間に萩原も魚を釣り上げる。

 

 今度は真っ黒のタイモドキである。

 

「えっとジャンボクロダイで相場が一匹三十万でしたっけ?」

 

「こいつは百キロあるか無いかくらいだな。持てなくは無いが」

 

 そうこうしていると松田がリヤカーを引いて戻ってきた。

 

「外にリヤカー屋から借りてきた。萩原も釣れたか···こりゃ二人釣りで一人運搬が良いなぁ。俺運搬係やるわ」

 

「頼みました松田さん」

 

「おう、洋介と萩原はガンガン釣ってくれよ」

 

 と松田はリヤカーに魚を乗せて運んでいった。

 

 流石ドラゴンをも運搬可能と言われるアシスト機能付きのリヤカーだ。

 

 合計四百キロ以上乗っているがちゃんと運べている。

 

「でも釣れますかね?」

 

「さあ? 運次第だろ」

 

(椎名)洋介と萩原は顔を見合わせてそう呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃イブキ達はプレシオサウルスモドキのシーサーペントと呼ばれる種類のモンスターと戦闘していた。

 

 シーサーペント種はプレシオサウルス型とウミヘビ型、チョウチンアンコウ型の三つに分けられており、今回遭遇したのはプレシオサウルス型でどのシーサーペントも口から魔法のブレスを吐いてくる。

 

「シールド!」

 

 万能防御魔法でブレスを防ぎつつ、東横がシーサーペントが逃げないように海の一部を凍らせて身動きができないようにする。

 

 続いて(椎名)華澄が笛を吹いて佐倉に身体強化のバフをかける。

 

「佐倉!」

 

「いきますよー!」

 

 佐倉はジャンプをし、三メートルの高さはあろうシーサーペントの頭をモーニングスターでぶっ叩いた。

 

「ギシャァァァァ」

 

 モーニングスターで叩かれたシーサーペントは頭部を出血しながら、ブレスを佐倉に当てようとする。

 

「させないよ!」

 

 私がシールドを佐倉の前に展開してそれを防ぎ、私も接近する。

 

「華澄! バフを私に!」

 

 ブォォンと音色が響き、私に力を与えてくれる。

 

「感電と衝撃のダブルパンチに身体強化のバフでどうだ!」

 

 シーサーペントの腹部に『ショック』の右フック、からの『インパクト』の左ストレートが決まる。

 

 感電プラス内蔵を揺らされたシーサーペントは口から血の泡を吐き、舌を伸ばして倒れるのであった。

 

「ナイスコンビネーション!」

 

「じゃぁ皆でこいつをリヤカーに乗せようか」

 

 戦闘に参加していなかった佐藤がリュックからロープを取り出し、首に巻き付け、皆で思いっきり引っ張る。

 

 すると氷から抜け出し、動くようになったので翼の補助を受けながらリヤカーに乗っける。

 

 リヤカーには胴体しか乗らなかったが、運べそうなので運んでいく。

 

 飛び出した尻尾と首から上は翼を巻き付けて浮かせた。

 

「シーサーペントは解体して売るのが一般的ですけど、そのままの生け捕りの方が価値は高いんですよね。確か相場が一体六百万相当だったハズです」

 

 と佐藤が教えてくれる。

 

「これなら配信しとけばよかった···でも録画はできたから動画にはなるかな」

 

「男性陣がいればもっと楽に倒せたかもしれないねー」

 

「あっちボウズだったらどうしようか」

 

「まぁそれはそれで美味しいから良いけど」

 

「いやイブキ、車のローンを考えると成果無しだと困るでしょ」

 

「そりゃそうだけどね」

 

 男共に連絡を入れ、そろそろ帰ることを伝え、浜風に当たり塩っぽくなった装具を洗浄し、佐藤がシーサーペントを換金してから駐車場で男共を待つ。

 

「おまたせ」

 

「お疲れー」

 

 互いの事を労ってから換金したレシートを見せ合う。

 

「シーサーペント倒したんだ! すげぇ!」

 

「カニ六匹にシーサーペントで約九百万か、上振れたな」

 

「そっちは魚が十八匹も釣れたんだ」

 

「約四百万か、女性陣の勝ちだね」

 

「そりゃ無いぜ後藤さん」

 

「俺達結構頑張ったんだぜ」

 

「でも合計約千三百万、釣具代の三百万引いても千万の黒字だね」

 

「一人約百十万か。だいぶ稼いだな」

 

「とりあえず稼ぎ方はわかったからここで当分稼ごうか」

 

「「「賛成」」」

 

 ということで椎名華澄が離脱するまでは皆でダンジョンに潜る時は【サザン海】ダンジョンを中心に潜り、イブキがレベリング目的で週二で近場の下級ダンジョンに潜るサイクルができるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「萩原、佐倉と進捗はどう?」

 

 正月の三ヶ日、一週間の休みを設け、佐倉と佐藤は実家に帰省しておらず、椎名一家も親戚との付き合いで【ケーナーティオ】ダンジョンの実家に連日行っていた。

 

 なのでマンションには私、東横、松田、萩原しかおらず、警護の三人も交代で実家に帰ったりしていた。

 

 この日は萩原が当番らしく私の部屋で大和と長門の面倒を見てくれていた。

 

 カレーを作り、萩原にも出す。

 

「三ヶ日なのにカレーっすか?」

 

「おせち飽きたから普通の食いたくてね」

 

「あー、確かに飽きますね。冷めても美味しい作りですけどやっぱり現代料理が食いたくなりますよね」

 

 そう言って食べていた時に先ほどの話に繋がる。

 

「どうって···」

 

「ホテルにたまに行ったり、自室に呼んだり、佐倉の部屋に行ったりしているのは知ってるんだよ」

 

「下世話っすね···」

 

「そりゃ心の一部は男だし、リーダーとしても恋愛で気まずくなるのは避けたいし」

 

「···正直に話すともう肉体関係はあります。週二から三くらいのペースでまぐわってます」

 

「結構な頻度でやってんねぇ···避妊はしてるの?」

 

「そりゃ勿論。佐倉まで離脱したら回復役が後藤さん一人になりますし」

 

「別に子供できても良いけど貯金しておけよ。子育てに結構な額取られるからね。椎名一家みたいに休みの日に二人で稼いでるわけでも無いでしょ?」

 

「え? 椎名一家もダンジョン追加で潜ってるんすか?」

 

「ダンジョンのランクはだいぶ落としているけどね。上級上位の肉体なら中級中位クラスのモンスターの攻撃はほぼ効かないし、ダンジョン都市から少し離れたダンジョンに潜ってたから知らなくても仕方がないけど」

 

「うーん俺も潜ろうかな?」

 

「まぁ佐倉的には萩原が一緒に居てくれるのが嬉しいから一緒にジムに行ったり、ジョギングする時間のほうが喜ぶよ。稼ぎも大切だけど好感度を稼ぐ時期だとも思うけどな」

 

「···椎名達の結婚式見て俺も規模は小さくても式を挙げたいと思ったんすよね。佐倉も椎名のウエディングドレスを見て細目で分かりづらいけど目を輝かせてましたから···」

 

「なら頑張らないとな。でもまずはレベリングからだ。椎名···華澄の方が離脱したらまた経験値を重点に置いたダンジョンアタックになる。洋介も子供の育児で毎回はダンジョンに潜れなくなるだろうからチームの底上げの時期として私を含めて全員で最低上級を目指そう」

 

「上級になったら速攻クランを立ち上げるんですか?」

 

「いや、スカウトをしたいと考えてる。後々天使病である息子達がクランに馴染めるような土壌を作りたいから、モンスターとの混血の子かつまだ学生もしくは卒業したての若い子達をスカウトしようと思っているんだ」

 

「混血の子ですか」

 

「どうしても差別対象になってしまっているけど、能力は確かだからね。勿論普通の子も性格が良さそうな子はスカウトするけど」

 

「でも後藤さんの天使の固有能力でしたっけ? 才能の付与ならどんな子でも育つんじゃ?」

 

「それはそうだけど、性格に難アリだと円滑にクランが回らないから、部隊長を担える人材かつ、反逆しない人物が望ましい。私のクランを引き継ぐのは大和か長門のどちらかだからね。それは譲れない」

 

「まぁそれは良いんじゃなっすか? 東横さんは確実に任期で離脱しますし、俺と松田ももし佐倉や佐藤と結婚したとしても爺さんの支持基盤がある以上、支部の運営の方に戻らねーといけないから」

 

「そう、そこが問題何だよね。佐倉と佐藤も熱心なリスナーではあるんだけど、萩原達が支部に戻った時にクランに残ってくれる保障は無いし、椎名一家も最長が十五年ってだけで、もっと早くクランから離脱しちゃう可能性もある。そう考えるとクランができても今のメンバーが誰も残らない可能性があるんだよね」

 

「一応爺さん曰く、数年は爺さんが、その後任は東横さんの親父さんが支部長を引き継ぐ算段だから約十年ちょっとは方針がぶれる心配はねーらしいんすよね。それは救いですかね?」

 

「実はそれで権力握ってくれているから混血系の特別学級に息子達が通うからその環境を見るって体裁で、中学校や岐阜県探索者協会高等学校に入れるらしいんだよね。混血だと外交的に重職に就けると問題になるらしいから、私の元で育てて欲しいって言われたんだよね」

 

「ん? じゃぁ混血の子はそのままクラン所属かつクランの幹部候補に、普通の子はクランで育ててある程度育ったら支部のギルドナイトにって感じの流れか?」

 

「そうなる」

 

「あー、なるほど後藤さんの能力を最大限利用しつつ、後藤さんにもメリットある感じにしたんすね」

 

「そゆこと! だから全員が上級に上がったタイミングくらいからスカウト活動を勤しみ、それまでに教官免許を取っておきたいんだよね」

 

「あー、あの発言がそれに繋がるんですね」

 

「そゆこと。で、今ならば萩原と佐倉の間で子供ができたら私がまだ現役で教育できる年齢だから子供を作るんなら早めにしろよって話になるんだよね」

 

「あ~、子供が大きくなる頃には東横さんが支部長かギルドナイトの隊長格になって権力持ってますし、俺や松田も上の方にいるかもしれませんから、子供の才能が保障されるなら、子供もギルドナイトのコースに乗れるわけですか」

 

「そういうこった」

 

「色々と後藤さん考えてるんですね。もっと場当たり的かと思いましたが」

 

「親になったからね。子供の幸福を最優先に考えちゃうんだよ」

 

 萩原と話し合った一ヶ月後、松田ともこの話を共有したのか佐倉、萩原ペア、松田、佐藤ペアが付き合い始める事となるのだった。

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