底辺ダンジョン配信者がトラップ踏んだらTS天使になりました!? 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「皆さんこんにちは! 天使のイブキです! 今日はツクール社さんからスタジオをお借りして配信していきます!」
数日前の配信で重大発表と言って、箱のメンバーが揃ったことを報告し、チームにもなんと九人もの大型新人が加入したことも告げた。
配信後には新人の予想がネットで議論され、相変わらずアンチは人数増加によりオワコン化が進むだとか個人だから応援したのにとかいうネガキャンをしていたが、今回はアンチ活動よりも関心ある人達の予想が圧倒的で、掲示板の板が直ぐに五十スレッドが埋まるほどの熱を帯びていた。
新メンバー達も改めてイブキの影響力の強さを目の当たりに、凄いと思うのだった。
メンバー加入配信が始まり、メンバーの姿が映る。
【え?】
【混血が何人か居ないか】
【大きい女と髪の毛の長い奴以外混血じゃね?】
視聴者の多くは混乱してしまう。
ただガンガン同接が上がっており、既に八万人の同接者がいる。
「はい、じゃぁ自己紹介タイムといきましょう。左の方からお願いします!」
そうイブキに言われて小風から自己紹介を始める。
「ゴブリンとの混血のリンです! (小風凛の下の名前から)ゴブリンの特性を引き継いでいるため背が低く、肌の色や目の色、頭に小さな角があったりと外見的な特徴が多いです。ただ手先が器用なのと物覚えが良いのでサポーターとして活躍できると思います。得意武器は弓で、小さな身体でも威力が出るようにコンパウンドボウを使用します!」
「どうか皆さんよろしくお願いします!」
一同が拍手をし、ドンドン自己紹介を勧めていく。
内藤の配信名はナナ、池田はマコト、月精はヒカルと下の名前で、スカーレットはスカーレットのまま(一応仮の苗字は千葉らしいが、地域名をそのまま持ってきただけらしいのであまり好きではないとのこと。千葉の地域が嫌いというわけではないらしいが)、山姫は美樹よりも山姫からヤマちゃんと呼ばれたいらしい。
男共もスタッフとして紹介をする。
全員が混血ということに視聴者達は更に困惑する。
「視聴者の方々は何故混血の方を新メンバーに選んだかという話を聞きたいので軽くお話を、言ってしまえば混血の地位の向上です。私が混血の方の困窮を聞いてとかそういうのではなく、私の息子の大和と娘の長門も分類的には混血に近いため、母親として二人の将来が心配ってのがあります。つまり打算と利益の為です」
「新メンバーは混血の地位を向上させて今の風当たりの強い現状をなんとかしたい、私は息子達の為にという互いの目的が合致したことでメンバーに加わってもらいました。勿論探索者としての能力や技能も今後クランを運営するのに必要と判断し、スカウトした形です。既存のメンバーからの了承も得ています」
と私は話す。
混血に関しての話でコメント欄は既に炎上しており、爆速でコメントやスパチャが流れていく。
「はい、では自己紹介が終わったのでどんな配信をやりたいか話してもらいます!」
と言い、今度は右から順番に聞いていく。
山姫から順に
「私の配信は主に雑談系やゲーム実況になると思います。趣味としては温泉とかのレビューをしたいんですけど、混血なので入浴禁止の場所が多くてなかなか入れないのでもし温泉施設の関係者やホテルの関係者がいらっしゃり、入りに来ても良いという人がいましたらDMを飛ばしていただけると幸いです」
次にスカーレットで
『ゲーム配信をしたいと思っております。理由は人類と同じフィールドで戦うならゲームに限ると思っているからと持論を展開します。色々なゲームをジャンルを問わず遊びます』
と腕をカチャカチャさせながら話す。
月精は
「私は機械工学が大好きなのでロボットを作ったり、プラモデルを雑談しながら組み立てる配信をします。もし作って欲しいプラモデルがあればドンドンDMで送ってください。最悪自作で作るかもしれないけど」
と語る。
池田は
「歴史解説系をやりたいです! なので配信というより動画中心になると思います」
と言い、内藤は
「趣味らしい趣味が剣技だったので、せっかくなので新しくダンスとかに挑戦したいと思ってます!」
最後に小風が
「モンスター調理師免許を持っているので料理動画や配信をしたいと思ってます! 作って欲しい料理や美味しく食べたい食材があればメッセージを送ってください」
と言う。
配信するメンバーが言い終わると次の話題の混血での苦労話に私が話題を振る。
月精が最初に語だし
「混血の就職の難しさよ···混血ということで色眼鏡で見られるので企業からしたらよほど飛び抜けて優秀という以外はリスクを取って採用してくれないんですよね。勿論採ってくれる所もありますが」
「わかる。探索者としての才能が乏しい混血の子が居たんだけど、その子接客系や営業職は全て門前払いされたって言ってたし、私もアルバイトをしたかったんだけど、混血って言ったらコンビニバイト落とされたし」
「いや、ヤマちゃんは背が高すぎてコンビニの天井に頭がついたとかじゃないの?」
「いや~それはないでしょ」
と月精と山姫コンビが冗談を交えながら話し始め、色々なエピソードが出てくる。
多いのは混血NGの施設だろう。
温泉やプール等の肌を露出する場所だったり一部レストランも入れないらしい。
「これを差別だ〜って声を挙げる人もいるけど、周囲が見て不快に思われるんなら私は店側の意見が正しいと思うんだよね」
『でもプールは行ってみたいですね。特にウォータースライダーで滑ってみたいですと願望を述べます』
「そうなるとダンジョン内にある海とかで混血は遊ぶのがベターになるのかな。ただモンスターが居るから安全とは言えないけど」
あとは混血の配信者が全然居ない事も話す。
「混血って日々の生活だけでいっぱいいっぱいなんですよ。僕達はチームに加入できたから良い所に住めてますが、大抵の混血は探索者協会から指定のある場所で住まなければいけませんし、余裕も自由もあまりない。配信をすることによって今の生活すらも無くなってしまうリスクを考えると、とても配信をすることはできないと僕は考えています」
『同意。観るのは生きがいになるので良いが、自身がやろうとはチームに加入するまで考えてなかったとスカーレットは自身の本音を暴露します』
と混血の生活の困窮を遠回しに言う。
次の話題として探索者高等学校の話しに変える。
出身県別のパネルを持ってもらい、話していく。
「学食はどうだった? 私の秋田県だと地元のダンジョンの食材を使ったダンジョン料理が定番メニューにあったけど」
山姫が岐阜県組に聞くと内藤が答える。
「岐阜県にもあります。うちだとホロホロ鳥がモンスター化した見た目のコロコロ鳥の焼き鳥丼と鳥ちゃん(岐阜県の郷土料理)が定番メニューにありました」
『千葉はなめろうとさんが焼きが定番でしたと発言します。千葉は北部が工業系のダンジョンが多く、南部は海系のダンジョンが多いと報告します』
「東京の私は特にそう言うのは無かったかな。ただ東京は人口が多いから探索者高等学校も複数校あったからなんとも言えないけど」
スカーレットと月精もそう言う。
東京以外はモンスターを使った郷土料理が出るらしい。
授業内容も少し違うらしく、高校ごとに得意な武器とかがあるらしい。
「教師の質って言ったら元も子もないですが、担当教官の得意武器と適性が合致した子は伸びる傾向がある気がしますね」
「ヤマちゃんはどう?」
「秋田の高等学校は棒術に長けていた様に思えます。斬るよりも気絶させたほうが素材が傷つきにくいですし」
内出血したら結局変わらないと思うが···
スカーレットと月精は人口が多い地域なので教官の人数も多く、そんな事は無かったと言う。
やっぱり人口の多い都道府県の方が教官の質も良い傾向があるのだろう。
そんなこんなで時間となり、配信も締めに入る。
「それではこの配信後に各チャンネルとSNSが公開となります! チームガイアの公式ホームページにリンクが貼られますし、この配信のアーカイブにも各自チャンネルのリンクが貼られますのでそこから飛んでみてください! 本日はご視聴ありがとうございました!!」
と挨拶をして配信は終わったのだった。
ちなみに箱の名前はエッセンス(本質)と彼女達の本質を見て欲しいと言う願いからという理由であった。