黒颯のエレティコ ~忘れ去られた神の力で凌辱シナリオをぶっ壊す~   作:サイリウム(夕宙リウム)

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88:計画しましょ

 

(う~ん、思ってたより豪華。)

 

 

教会に観光に行ったはずが、なぜか最終的に喧嘩を買ってしまうようなことになり、メメロさんが宣教師として進化してしまった次の日。第二王子直々のお呼ばれと言うことで王宮に遊びに来たのだが……。ここ凄いねぇ。貴族街を通り抜けて王宮まで来たんだけど、進めば進むほど豪華になっていってびっくりしちゃった。

 

王宮の中も中で、一目で『格の違い』というか、『金持ってるなぁ』と思わせてくるよう内装。全面鏡レベルまで磨かれたタイルの間とか、真っ赤な絨毯が敷き詰められた廊下とか。そのほかにも色々あって凄かったねぇ。

 

私は前世の蓄積で“そういうもの”だという知識、そしてグレードは下がるが同様に豪華だった伯爵の屋敷に招かれた際の経験があったから“お上りさん”の反応を避けることが出来た。オリアナさんも“強者”として何度か呼び出された経験があったらしく、むしろ『前よりもちとレベル下がってねぇか?』という始末。けれど一緒に連れて来た姉妹ちゃんたちにとっては完全に未知の世界だったようで……。

 

 

「ぅ、うわぁ……。」

「……場違い感がすごい。」

 

 

と、このようにさっきから緊張しっぱなしである。

 

ほらほら~、折角持っている中で一番いい服と、綺麗に磨いた鎧着てるんだからさ。もっと胸張って行こうぜ? ほら見てよオリアナさんの顔。全く動じてないというか、もし五大臣のあいつとすれ違ったら速攻で切り殺してやろうかな? って考えている顔してるでしょ? そのぐらいリラックスしてていいのよ~!

 

 

「……そんなに顔に出てたか?」

 

「ううん、すっごく無表情。でも、だからこそわかるって感じかな?」

 

「なるほどな。……ま、安心しろ。昨日のお前さんみたいにはならねぇよ。」

 

 

い、いや昨日のは喧嘩を買った私もまぁ悪いけど、吹っ掛けて来たのは教会側だったからさ……。さ、最終的に丸く収めたし、許して欲しいでやんす。

 

とまぁそんな話をしながら、真っ赤な絨毯の上をみんなで歩きながら会話する。目的地は私たちをここまで呼び出した第二王子の一派が集まっている場所であり、現在王宮のメイドさんにそこまで先導してもらってる、って感じだね。

 

 

(にしても……、五大臣にバレないように控えめな扱いではあったけど、明らかに私のことを“平民”ではなく、“国賓”レベルに扱ってくれてるよね、この人たち。)

 

 

そもそも私たちが泊まっていた宿まで馬車を回してくれたし、王宮の中に入ってからも小規模ながらかなり丁寧な歓待を受けている。身分的には平民しかいない私たちに対して、王族である第二王子がそんなことをするのは、かなりの異例だろう。

 

 

(最初は私服で行こうと思ってたけど、“使徒服”に着替えといてよかったよ。)

 

 

正直に言って私は、王家に対する畏敬の念など全くもっていない。一個人の民としては『トップである国王が奸臣ばっか集めているせいで国政が終わり始めてる国なんか知らないね』だし、使徒としても『ミサガナの教え国教にしてるの? ださ』という感じである。別に話しかけてくれば答えるのだが、そもそもどうなろうが興味もない。

 

同じアユティナ神を信じる子たちや、私自身が生活しやすい様にしたいと常々思っていたため、あちらからの話を受けた。教会勢力と神が厄介だったため、共同戦線を組んだ。本当にそれだけのこと。わざわざこっちから礼を尽くす意味なんかないし、そもそも私が無条件で膝を折るのはアユティナ様ぐらいだ。

 

だからまぁ、あっちが適当に扱うのならこっちも適当に受け取ろうと思っていたのだが……、ガチガチに固めてくるのであれば、こちらもそれ相応に応えなければならない。

 

……っと、そろそろかな?

 

 

「こちらになります。」

 

「えぇ、ありがとうございます。」

 

 

深く礼をし、扉を開けてくれようとしたメイドさんに“使徒”として礼を言う。さっきまではただのティアラちゃんだったが、あちらが相応の歓待を用意するのであれば“使徒”としてお相手するのが筋だろう。ほんの少しの神秘と、慈悲の笑みを浮かべながら彼女に礼を言う。

 

ほんの少しだけ表情を崩したメイドさんだったが、すぐに顔を引き締め直し中にいる誰かと言葉を交わす。すぐに入室の許可が出た後は、わざわざ彼女がドアノブに手を掛け、開けてくれる。

 

扉の先には……。第二王子と、派閥の主であるマンティス。そして何人かの貴族らしい人間たち。全員の視線が一瞬にして私に向けられ、つい反射で『嘗められないように最大出力で後光ブッパしとくか?』とほんのり思ってしまう。まぁ即座に後ろのオリアナさんから見えないように膝で蹴られたので、しないが。

 

 

「使徒様! ようこそおいでくださいました! 大したもてなしもできず、申し訳ございません!」

 

 

そんな私たちのやり取りを余所に、すぐに立ち上がり私の前で跪く第二王子のフェルナンド。先の戦に参加せず、私のことを知らない貴族たちが少し驚いているようだが……、彼は一切気にした様子を見せていない。まるでそれが正しいことであるかという様に、王族が平民に頭を下げている。

 

 

「そう畏まらずとも良いのですよ信徒フェルナンド。他の方もいらっしゃるのです、ご紹介願えますか?」

 

「もちろんですとも、どうぞこちらへ。」

 

 

即座に立ち上がり、私をこの中で一番の上座。おそらく先ほどまで彼自身が座っていたのであろう場所まで案内しようとする第二王子。さっきのやり取りでここにいる者たちに“力関係”を理解させたのは良いが、流石にそこまでやると反感を買ってしまうだろう。丁寧に辞退し、近くにあった一番下手の椅子に腰かけておく。

 

私の後ろにオリアナさんが立ち、壁におそらく他の護衛として来ているのだろう人と同様に姉妹たちが立つ。席の場所としては、これでいいかな?

 

私の選択に若干の不満というか、上座に自身が再度座り直すことに居心地の悪さを感じている様であった第二王子だったが、すぐに表情を元に戻し腰かける。そして始まるのは、軽い自己紹介の場。初対面の者だけでなく、派閥の長として王子のすぐ横に座っているマンティスや、戦場で顔を合わせた貴族からの言葉も聞きながら、顔と名前と役職を頭に叩き込んでいく。

 

 

(纏う神秘は眼前の王子が持つ“覇気”よりも少し多い程度に収め、同時に初手で彼が跪いた。初対面の奴からも、口先だけだろうが“上”の人間として扱われている。……これじゃ王国教会と同じに思われるな。政治に関与しないことを明言しておかなきゃ。)

 

 

王国教会は神と教会が持つ特権を持って、色々と悪さをしてきた。文化や技術発展の抑制はもちろん、戴冠の儀式を教会が司る事から継承への口出し、などなど。国王が女神のおもちゃと化していたことから見ても、教会と国の関係性は前者に軍配が上がっていた。

 

ここにいるマンティス派の者たちは、五大臣を排除するという目的もあるだろうが、教会への不信感を持っていたからこそ、先の『教会と敵対する』という選択をしたのだろう。再度同じことを繰り返す様な真似は、嫌われるに違いない。

 

そもそもこちらは政治に介入する気はさらさらないのだ。勘違いされないようにしないとね。

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「ではまず、今後の動きについて。確認も兼ねて共有しておくべきですね。マンティス、お願いできますか?」

 

「承りました、殿下。」

 

 

以前私の後光を受けて自害しようとしていたお髭のおじいちゃんがそう言いながら、全員に資料の様なものを手渡していく。軽く流し見た感じ……、五大臣の処理から第二王子の即位までの予定表、みたいね。最初にイベントが列挙されてあって、その後ろに各イベントの詳細について述べられてる。

 

 

「まず真っ先にだが、私を除いた五大臣。ギーヴ、ヒディア、ミューター、リダ。この四名とその配下にいる者たちを全員確保する必要がある。どれか一つの派閥に注力してしまうと、残りの者たちを逃がしてしまう可能性があるため、一網打尽にせねばなるまい。」

 

「……そこで、第二王子殿に動いて頂くというわけですか。」

 

「えぇ、そうです。……すでに父は正気を取り戻していますが、罪の意識からかまともに動くことも難しい状態です。これを公表しすべての貴族を集め、一時私が父の名代を務めることを宣言する予定です。すでに招集の書状は、リロコ伯爵に頼み輸送が完了しています。」

 

 

幸いなことに先の帝国との戦いで敵戦力の大半を殲滅することが出来たため、貴族や兵を動かしてもすぐさま帝国が攻めてくるとは考えられない。旧体制の処理、そして新体制の結束を強く意識させるためにも、この全貴族を集めることの出来るこの貴重な機会を生かさなければ。そう続ける第二王子。

 

そんな貴族たちの会話を聞き流しながら、私は思考を回していく。

 

まぁ原作で見た限り、五大臣たちは逃げ足だけはいっちょ前な奴が多い。この王都という場所に集め一斉に叩いてしまうという策は悪いものではないだろう。そしてそれを指導していたのが王の名代となった第二王子で、それを補佐する元宰相であるマンティス。一目でこいつが次の王なんだな、ってことが解るわね。

 

にしても伯爵いねぇなと思ったら、そんなことしてたのね。偉い偉い、偉いから一生私の前に顔現すな。

 

 

「しかしマンティス殿。彼らを一斉に集めるとなれば敵戦力もそれ相応のものに成るでしょう。我らもこの日に備え兵を王都に集中させてはいますが……。外部に露見せぬよう最低限の者しかおりません。これですべてを相手取るのは、少々難しいものがあるかと……。」

 

「貴公の懸念はその通りだ。けれどこちらには、使徒殿がいらっしゃる。……お力添えいただけますか?」

 

「……えぇ、構いません。けれど幾つか条件を付けさせていただけますか?」

 

 

急に話を振られたせいでびっくりしてしまったが、そう返す。というかお前ら私らのことまだ使うつもりだったのね。いや別に暴力しかできないからいいんだけどさ。……さて、もう欲しいものは決まってるんだけど、なんて言いましょうかね?

 

少し考えるために口を閉じ、同時に喉にほんの少しを乗せながら、再度口を開く。

 

 

「まずですが……。私共は以前、五大臣の一人であるミューターに多大な被害を受けております。神の教えである『裏切者は拳をもって愛せよ』の通り。我らは彼とその派閥に“落とし前”を付けねばなりません。戦力の提供に異はありません故全力で事に臨ませていただきますが……。国の法で処罰される前にこちらで神の元に送ってしまう“手違い”や、どこかに“逃がしてしまう”可能性がございます。ご容赦いただけますか?」

 

 

五大臣の一人であるミューターと、その部下であるポテンマスと言う奴は、オリアナさんの宿敵。法に則るのならば王国にその処理を任せるのが道理だが……。オリアナさんは自身の手で決着をつけることを望んでいる。彼女がどんな選択をするのかまだ不明なため、監禁の後拷問三昧をさせて永遠の苦しみを味わわせるコースのことも考え、“失踪”や“消息不明”という処理も必要だろう。

 

こちらへの報酬の一つとして、以上の要求を行う。

 

あ、ちなみに『裏切者は拳をもって愛せよ』はアユティナ様が言っていたことをティアラちゃんが良い感じに言い換えたものになりま~す!(神によるチェック済)もう何も考えられなくなるまで拳で打ちのめしてその愚かさを永遠に愛してあげようってことね! まぁつまり裏切者はぶっ殺せ! って話です! いいでしょー!

 

 

【相変わらず野蛮だねぇ……。まぁ私の使徒らしくていっか。早い話、みんな楽しく元気にお互いを思い合って生活しましょ。違う教えを信じていても尊重して接しましょ。でも売られた喧嘩は言い値で買い取ってあげましょ、って感じ。】

 

(わっかりやすーい!)

 

 

会議の途中にそんな会話をアユティナ様としながら、マンティスの反応を待つ。え? それはそれとして最近ティアラちゃん野蛮性と暴力性が上がって来たからお仕置き? ぴゃぁ!

 

 

「……その程度であれば、構いませぬ。ミューターの一派の処置に関しては一任致しましょう。しかし対外的には“法の下で処罰を行った”という形に公開してもよろしいでしょうか?」

 

「えぇ、もちろんそれで構いません。感謝を。」

 

 

笑みを浮かべながら、軽く頭を下げる。

 

あぁそうだ。ちょうどいいタイミングだし、さっきの“政治に対するスタンス”もちゃんと言葉にしておこうか。

 

 

「……補足させていただきますと、我らは“政治”に興味はありませぬ。この予定を見る限り、いずれ戴冠式のお手伝いをさせて頂くことになるでしょうが……、我らが求めるのは依然として“信仰の自由”のみです。正当な報酬として、幾許かの金銭でも頂ければそれで構いません。もちろん、此度の参戦への報奨もです。」

 

 

言外に、このまえアユティナ様の教えを国教にするみたいなことを言ってくれたけど、それを報酬にしなくてもいいよ。と伝えておく。あの時は普通にやったー! と喜んでしまっていたのだが、考えてみればすぐにそれが実行できるとは思わないし、やってしまえばかなりの混乱が起きてしまうだろう。

 

昨日の教会でも思ったことだが、信仰はすぐに切り替えられるものではないのだ。時間を掛けてゆっくりとしていく方が、私たちにとっても、国にとっても良い方向に進む。急いてしまえば要らぬヘイトを民から買うことになるし、肩身も狭くなってしまうことだろう。

 

 

(前世の歴史でも学んだけど、こういう宗教の受け入れって結構段階的なんだよね。ローマでのキリスト教の扱いも何回か踏んでたはずだし。先人に倣うとしましょう。)

 

 

と言うことで『あ、別に報酬要らないっすよー!』と言いたいところではあるのだが、何も報酬を渡さなければ、それはそれで王家にとって信用問題につながる。さっきの予定表にも書いてあった通り、『五大臣やその配下から没収した金や領土は再分配を行い』という文言がある。信賞必罰、けれど私は土地なんかいらない。だったらもう手っ取り早くて解り易い金銭、という形でやってもらう方が良い。

 

 

(モヒカンズの馬とか買ってあげるつもりだったし、姉妹へのペガサスはタイタンの元群れがいるけど、鞍とかの備品は一から全部誂えてあげないとだしね~。)

 

「……それでよろしいですか、殿下。」

 

「えぇ、使徒様がそうお望みならば。決起の日は、どうかよろしくお願いいたします。」

 

「もちろんです。」

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「……報告は以上に成ります、陛下。」

 

「ありがとう。……すまないな。」

 

「いえ、陛下に何があろうとも我が忠誠は陛下に。どうかお気を強く持たれてください。」

 

 

場所は代わり、国王の私室。そこに訪れていたのは、先ほどまでティアラたちを第二王子の元に連れて行ったメイドだった。どうやら彼らが行っていた会談の内容を盗み聞きしていたようであり、正気に戻った国王への報告を行っていた様子。

 

彼女の言葉に軽く手を上げることで感謝を示しながら、退室を促す国王。深い礼と消えていくメイドの様子を横目に眺めながら、自然と視線は窓の外へと向いていた。

 

 

(……そこから飛び降りてしまえば、楽になれるのだろうか。)

 

 

この国の王であったはずの男、しかしながらここ十数年の間。彼の意識は正常とはかけ離れた状態になってしまっていた。

 

国境線での帝国との戦いに立て続けて勝利し、国を富ませ貴族との関係をより太いものとする。王国の黄金時代を一人で作り上げ、それを牽引していたはずの男の姿はどこにもない。ただ疲れ切り、死にそうになっている男の姿がそこにあった。

 

 

(……教会との関係の刷新。そのために彼らの最奥、使徒の元に向かってから、自身の意識が途切れてしまっている。……残っているのは、“何をしでかしてしまったか”という記憶だけ。)

 

 

 

現在の第二王子やマンティスが行った、教会との関係性の破壊。いわば政教分離を過去にこの国王は行おうとしてしまった。

 

帝国の脅威は一時的にではあるが排除でき、それ以外の王国が抱えていた問題も解決済み、貴族との関係も王国優位のまま進めることが出来ていた。だからこそ次代のために、自身の子供たちのために“教会”が過度に政治にかかわらぬよう、動いたのだ。

 

けれどそれが教会、そして神の怒りに触れてしまった。使徒を介してミサガナの力を一身に受けてしまった彼の心は、長い間催眠状態に陥ってしまっていたのだ。

 

言うなればミサガナの“おもちゃ”として過ごしていた期間。彼の意識は半覚醒状態であり、自身の体がどんな悪行を積み重ねようとも何も感じることはできなかった。けれどそれは記憶として残ってしまった。先の戦いでミサガナが自己の神格を破壊される寸前まで追い込まれたため、その状態を脱すること自体は出来たのだが……、もう遅い。彼は、自身の“全て”を強く理解してしまった。

 

自身が王として愛したこの国への仕打ち、それまで仕えてくれていたものへの仕打ち、そして愛していたはずの子供や妻を自分の手で殺めてしまうというその記憶は、彼に強い絶望を与えていた。

 

思考を回すことすら難しく、体を動かすことが出来ない程に心が沈んでしまっている。飛び降りれば楽になるかもしれないという思考が出来たとしても、体を動かすことが出来ない。

 

それが、先ほどまでの国王の現状だった。

 

 

(フェルナンドよ……。)

 

 

そんなとき、自身が狂っていた間も仕えていてくれていた者たちから、一つの報せを受け取る。

 

正気を取り戻した直後、彼は本当に何もできないほどに心が衰弱してしまっていたのだが……。メイドの一人が耳元でその報告を何度も繰り返し伝えたことで、情報として新たに取得することが出来たのだ。

 

 

(子が前に進もうとしている時、親が障害となってしまっては、ならぬ。)

 

 

帝国との戦に大勝し、不戦条約を結んだこの時を好機と見た息子。そして自身の右腕であったマンティスは、教会勢力に対しての戦を行った。彼の知らぬ神の力を借りたようだが、無事に勝利。内憂外患両者ともに排除した今、残るは自身が呼びこんでしまった奸臣たちの排除のみという状況。彼の息子を最後の仕上げとして、王自身の体調をあえて公表することで敵を一網打尽にしようとしている。

 

その精力的な動きに、自身がしてしまった過ちを何とかしようとする息子の動きに。彼は王としてでなく父として、ほんの少しだけではあるが気力を取り戻すことが出来たのである。

 

 

(私に、出来ることは少ないだろう。だが……。)

 

 

洗脳状態にあった時の記憶に、奸臣の一人が自身に第二王子の所在を伝え、更にその暗殺計画を進言しに来ていた。現在それが実行中であり……、このままであれば息子の計画は途中で頓挫してしまうだろう。それだけは、避けなければならない。

 

さらに、先ほどメイドが王に伝えた計画では、一部の者が逃げ出してしまってもおかしくはない。その王国の新しい強者である別の教えを持つ“強者”であろうとも、この都市が拡大するごとに生み出されていった地下道の正確な地図などは把握しきれていないはずだ。

 

王国の中枢深く、国王しか持てぬ権限にまで手を伸ばしてしまっている奸臣たちがその“逃げ道”を把握していないわけがない。逃げられてしまう可能性が高いのだ。

 

 

(動かなければ。)

 

 

弱っていたとしても、彼は王。その可能性を瞬時に理解してしまったが故に、これまで過ちを少しでも償うために、消えそうになる意志を無理矢理叩き起こしながら、声を上げる。

 

 

「だれか。」

 

「は、ここに。」

 

 

彼の消えそうな小さな声に反応し、先ほどのメイドが彼の元に跪きながら現れる。

 

 

「先の計画者との会談を午後に、そして明日の朝いちばんに五大臣全員との会談を行う。手配を。……それと、地下道を埋めよ。お前に任せる。」

 

「かしこまりました。」

 

 

暗殺計画の破棄と、計画が露見せず同時に五大臣を纏めておくためのサポート。そして逃げ道を塞ぎ王都から誰一人として逃げ出せぬように、彼は指示を出す。王として最後の仕事になるだろうからこそ、彼は消えそうになる火に命をくべ、動くのだ。

 

 

(すべて終われば、私も処刑台に。いや、五大臣に罪を着せるのならば、フェルナンドの性格を考えるならば、難しいか。あるとしても、流刑。……可能であれば、我が友であったリッテルの元へ。最後に詫びを入れねば、死ぬに死ねぬ、か。)

 

 

 





あんまり長くするのもアレなので、速攻で五大臣消しますね♡


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