紲星重工の奮闘   作:島田愛里寿

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過去編からスタートさせることにしました。

制作意欲が上がるので感想お待ちしております!


過去編
第一話


A.S.117

 

月面のとある会社の社長室では社長らしき男性と娘らしき女性がケンカしていた。

 

 

「ええい!何度言ったらわかる!!アーシアン風情にそのような気遣いは不要だ!!」

 

「お父さんたちこそ何を言ってるの!!会社ってのは現場で働いてくれている人たちあってこそ!!あの人たちが汗水たらして働いてくれているおかげで私たちは贅沢できてるんだよ!?その人たちに正当な報酬を与えないで働かせ続けるなんて頭がおかしいよ!!」

 

 

「貴様!娘であっても言っていいことと悪いことが!!」

 

 

「私としては人間の屑みたいなあなた達の娘であることが恥ずかしいよ!!」

 

 

「なんだとぉ!?」

 

 

どうも彼らはアーシアンの扱いでもめているようだった。

 

 

アーシアンに寄り添う姿勢を示しているのは娘である紲星あかり。

 

彼女は生まれてからかなり聡明な頭脳の持ち主で本家であるスター・カンパニーの次期社長も確定であると言われている人物であったがスペーシアン企業としては問題のある性格の持ち主であった。

 

 

父親であるスター・ドレイドが母の紲星美奈子の進言を聞き入れて営業部の管理職を任せてみたところ、人件費が以前よりもかなり消費されていたので『横領か?』と疑い妻とともに調べるとアーシアン系従業員たちにスペーシアンと同額の給与を与えていることがスペーシアン系従業員たちからの告発で発覚したのだ。

 

 

そのため社長室に呼び出されて叱ろうとすると普段は聞いているだけだったあかりが真っ向から反発してきたためにこんな大喧嘩になっているのだ。

 

 

…実のところ彼女自身は転生者でもあり、日本の適切な労働基準法(まともに運用されているという話を聞いたことがないけども…)やソビエト連邦の創立理由等を知っていることからスペーシアンによるアーシアンへの弾圧は決して許されるものではなく、そのうち手痛いしっぺ返しを食らうのは確定であると思っていた。

 

 

彼女自身も前世では搾取される側であったのでアーシアンの気持ちは痛いほど分かった。なので労働者には当然の権利である給与を普通に与えていたのだがスペーシアン系の従業員から異物を見るような眼で見られていることに疑問を持っていた。まぁそれでも普通にやって来たのだが、親に呼ばれて叱られたことでついに堪忍袋の緒が切れたのだ。

 

 

その後数時間にわたって喧嘩は続き、書類を届けに来た社員が慌てて部屋の外に出ることもあったがそれでも収まらず、母が仲介に来たが母も生粋のスペーシアンだったのが原因で余計な発言をしてしまい、火種にジェット燃料を注ぎ込むというレベルの愚策をやらかしてしまい、あかりがぶち切れ父と母を殴り蹴り飛ばした後に部屋のドアが壊れるのではないかというレベルで叩きつけるように閉じて出て行ってしまった。

 

この時近くにいた社員は『あかりお嬢様の背後に鬼神が見えた…』と言ったとかなんとか…

 

 

それから数日後、あかりは母から役職の剥奪と自室での謹慎を命じられた。(まぁ当然であるが…)

 

 

そして一か月後

 

「で?何の用ですか?屑親」

 

 

「貴様!!」

 

 

「はいはい落ち着いて。あかりあなたには地球圏の新興企業兼うちの子会社の社長をしてもらいます」

 

 

「は?」

 

 

この母からの通達にあかりは一瞬思考が停止した。

 

 

ふつうはあり得ない措置だ。親であり社長である人物に暴力行為を働き、謹慎処分中だった人物には特に。

 

 

「頭がついに狂ったのかな?」

 

 

「いい加減にしなさい!あなたへの社会勉強の為よ!!」

 

 

「護衛兼補佐にうちの女性社員を付けてやる!分かったらさっさと荷物整理をしていってこい!」

 

 

そう言われて社長室を追い出されたあかりはひとまず荷物整理のために自室に向かった。

 

 

その道中では『ざまぁ(笑)』『アーシアンに親身になるからだ』『俺たちにたてつくからだぜ』『おかげで私たちが次期社長候補♪』『んじゃああいつの部下は山分けね♪』

 

と義理の妹や弟たちが嘲笑っていた。

 

 

このスター・カンパニーにおいて次期社長候補は他にも何人もいた。元々社長夫婦に子供がなかなか生まれなかったために養子としてスペーシアンの大企業の三男や三女等を受け入れており、彼ら彼女らの間で誰が次期社長になるかもめていた矢先にあかりが生まれたのだ。

 

そのおかげであかりが強制的に次期社長候補筆頭になってしまい、養子たちは焦っていたのだ。

 

 

そんな中、あかりがスペーシアンとしてはあるまじきアーシアンへの友好的な行為を繰り返したことと両親である社長夫妻に暴力行為に及んだことに目を付けた彼らは夫妻に取り入って自分たちの権益を得る為にあかりを追放処分にすることを提言、ようは彼らがこの茶番劇を仕組んだわけである。

 

 

「はぁ~、まぁあいつらじゃあ上に立っても会社経営なんて無理でしょ。上に立つ者は現場を知らなきゃ意味ないし…誰の言葉だったけ?ま、いいやさっさと準備しないと」

 

そう言って彼女は自室の私物をバッグに詰めていた。

 

そんな時、部屋のインターホンが鳴った。

 

 

京町セイカside

 

 

「うう…緊張します」

 

 

あ、どうも初めまして!私は京町セイカと申します!このスター・カンパニーの新人社員です!

 

 

…ただどうも私は運がない上にドジっ子でして…(-_-;)

 

つい先日もMS開発部門に配属になったばかりだというのに差し入れとして淹れてきたコーヒーをこぼしてMSの開発データを全部だめにしてしまったばかりかその際のゴタゴタで慌てて持ってきた修理用道具を転んで開発中で重要部分が露出していたMSの重要部分に叩きつけてしまって誘爆が誘爆を呼んでしまい、五機もの試作機を駄目にしてしまったんですよ‥うう。

 

 

格闘技なんかはめちゃくちゃ得意なんですけどね…。

 

んで先日の件で謹慎処分兼クビの通達が来るまで待機となっていたのですがついさっき社長夫妻に呼ばれまして…

 

 

『我々の愚娘は知っているな?』

 

 

『え?えっと‥養子の方々でしょうか??』

 

 

『違うわ!なぜ養子のやつらになるのだ!!あいつらは優秀な奴らだぞ!!あかりのことだ!!』

 

 

『ええ‥』汗

 

 

そう言われたときは唖然としましたよ?養子の方々は権力闘争にしか能に無く、本家の子であるあかりさんや他の一般社員の皆さんが後処理してあげているおかげで優秀に見えてるだけの無能連中ってのは新人の私でも知ってますから。

 

 

『あ奴は先日アーシアンの奴らにも給与を支払っておってな?そのことを叱ったらわしらに暴力行為を働きおったのだ!まぁその件も含めて地球で現実を学ばせようと思ってな?地球に新しく作った子会社の社長をさせることにしたんだ』

 

 

『は、はぁ。それでどうしてその件を問題を起こした私に?』

 

 

『わからんのか!?貴様には罰をかねてあかりの警護をしてもらう!!』

 

 

『勝手なことをしないように監視もお願いね?』

 

 

『え、ええ…』

 

 

流石にあきれましたよ?理由の前半は完全に自業自得じゃないですか。あかりさんは社員に分け隔てなく接し、労働者への対価をしっかりと払うという考え方の人。こんな自己中心的な親とはいつか決別するんじゃないかと一般社員たちの間でも酒の肴になってましたけどまさか自分たちでやるとは…。

 

 

まぁ警護なら得意ですからなんとかなるでしょ!

 

京町セイカside out

 

 

あかりがドアを開けると護衛を任せられたという京町セイカという社員がいた。

 

 

理由を聞いて納得した彼女は翌日の地球への便でセイカとともに地球に降り立ったのである。




次回 第二話 スラム街

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