スラム街にて、いざこざがあったもののあかり誘拐の主犯であった結月ゆかりをスカウトしたあかりであった。
その後に、ゆかりを脅す形でスカウトしたこととなってしまったがゆかりをスカウトした影響で他の従業員の募集は順調に行った。
どうやらゆかりやその傘下の孤児たちのチームはこのスラム街にて一~二位を争うほどの強さだったらしく、そのゆかりを叩きのめしたセイカを恐れてかあかりを襲おうとする者たちがいなくなったのも影響しているだろう。
そしてあかりは新設された会社の社長室にセイカとゆかりを呼んだ。
「さて、ゆかりさん。改めてありがとうございます♪おかげで社員の確保なんかもスムーズに行きました」
「‥‥私は何もしてませんけど?」
「スカウト交渉に同伴してくれたじゃないですか~」
「そ、そのことはいいでしょう。で、ほんとになんですか?」
「ああ。社名が決まったことと、何を作るかについての相談です」
と、あかりは言った。
「社名は『紲星重工』とします」
「なるほど~あかりさんの苗字からとったわけですね?」
「ええ。あの糞親の会社の社名なんか入れたくありませんから」
とセイカの言葉にあかりは満面の笑みで答えた。
「ふ~ん、まぁ私は特に気にしませんけどね。で、何を作るんですか?」
と話を聞いていたゆかりはスペーシアンの‥‥というより『あかりの家庭環境も難儀な物だなぁ』と思いつつ話を促した。
「ええ、そこが問題なんですよ」
そう言ってあかりはある機械を取り出した。
「親が会社を建てた際に業者が気を利かせたのか設計図作成をサポートする機材などがあってこれは設計資格がない者でもしっかりとした設計図を作成できるんです」
「ん?なら簡単なのでは??」
「ええ、そう簡単ならいいですけど‥‥」
とゆかりの問いにあかりは答えつつパソコンを二人に向けた。
そこには実家である本社からの注文が来ていた。それも大量に…
「一応下請けってことになってるからね…。この調子じゃ半年は新規事業に着手できないの…」
「「ええ‥‥」」
それから半年後。
本社であるスター・カンパニーからの下請け業務として大量の作業用車両や精密部品を製造していた紲星重工は従業員が二千人近くにまで拡大していた。
「ふぅ‥‥。この会社もだいぶ成長できましたね」
「まぁスラム街や難民キャンプから就職希望者中心に人をかき集めてきましたからねぇ」
「おまけにあかりさんはスペーシアンとは思えないほどに私たちに優しいですからね。今じゃ月一回の就職希望者の受け入れのための受付が長蛇の列になってるみたいですし」
そう。いくら近隣のスラム街から人をかき集めても作業員も管理職も足りない状況はまずかったので近隣のスラム街や難民キャンプに社員募集を行ったのだ。
その過程で紲星重工はしっかりとアーシアンに給与を払い、福利厚生がしっかりとしていることからアーシアンの間で話題となって就職希望者が爆増。
結果、月に一回行っていた就職希望者募集の窓口の受付に就職希望者が押し掛けるという事態が多発していたのだ。
「私としては福利厚生はまだまだしっかりできてないと思うんですけどね…」
「‥‥それ本気ですか!?私なんか初任給を受け取ったときにあまりの高給にふらつきましたよ!!」
そう。紲星重工では基本的に大金持ちのスペーシアンが多い宇宙基準で給与を設定しているので幹部で五十万、平社員でも四十万近くを支払っているのだ。
おかげでスラム街や難民キャンプで生活していたアーシアン達の生活基準が上がって話題になって余計に就職希望者が増えるというある意味困った悪循環になっていた。
「さて、ようやくです…!ようやく新規事業に取り組めますね!!」
「ああ、そうでしたね。で、どんなものを作るんですか?」
あかりのセリフにゆかりは半年前のことを思い出して何を作るのか気になっていた。
「そうですね…。アーシアン…いや毎回こういってますけど差別発言になってるような…。とりあえず何にするか…」
「あの、あかりさん。素人意見ですけど‥」
「なんですか?ゆかりさん」
アーシアンという単語が差別用語になってないかと悩みつつどんなのを作るべきか頭をひねっていたあかりにゆかりは言う。
「個人的にはこの紲星重工はアーシアン達の間ではすでに有名です。しかし、スペーシアン連中の間ではほぼ知られていないでしょう?だから本社であるご実家にも舐められる」
「ええ。先日も調子に乗ったのかコストを60%も下げろって言ってきましたからね」
「…そのことは初耳でしたが一旦置いときましょう。とにかくこの差別社会においてもアーシアン・スペーシアン双方の目に留まって歴史に名の残るような歴史的な商品がないといけません」
「…歴史的な?」
「はい。我々のようなアーシアンの足となり、男女隔てなく使用できるような車両がいいですね。それにスペーシアンの領域である宇宙やフロント等でも普通に使え、スペーシアンの競合他社にも負けないような汎用性と発展性・独自性を備えた車両でなければいけません」
「う、う~ん。難しいですね、すこし考えて技術部と一緒に試作車を作ってみます」
「分かりました」
あかりの返答を聞いたゆかりも『流石に無茶でしたかね?』と思いつつ退室していった。
しかし、転生者であったあかりには一つだけ心当たりがあった。日本の誇る自動車メーカーのホンダが作り、エンジン付きの乗り物で世界一作られたバイク『スーパーカブ』のような車両のような可能性がある車両を。
「『鉄血』のあれが使えますかね?とりあえずデザインだけは書き上げて技術部と相談しますかね」
そうあかりが言って一週間が過ぎたある日。
セイカとゆかりはあかりから紲星重工がつい先日土地の買収交渉に成功して設立した試験場に呼ばれていた。
「いったいなんでしょうかね?ゆかりさんは聞いていますか?」
「いいえ?」
キュルキュルキュルキュル!!
と疑問を持っていた二人の元にエンジン音が近づいてきた。
「「ん?ってええええ!?」」
ギュキャキャキャ!!!
そして二人の前にドリフトをして止まった。
その車両は三本の足にローラーを付け、車体後部は軽トラの荷台のようになっている無骨な車両がいた。
そして車体上部にあった戦車用にも見えるハッチが開けられてあかりが出てきた。
「お待たせしましたーー!!」
「いやいやいや!あかりさん!何やってんですか!社長なのに!!」
「セイカさん驚くところそこですか?まぁあかりさん、本当になにやってんですか危ないじゃないですか」
「いや~すみません。試乗してみたら楽しくてですね~♪」
よく見ると少し遠くから開発メンバーらしき人たちが走ってきていた。
「で、これが?」
「はい!我が紲星重工の希望の星となりえる車両!モビルワーカーです!!」
と、あかりは自信満々に名を紹介した。
そして追いついた開発メンバーが紹介書類を渡してきた。それを二人は読みつつあかりの説明を聞き始めた。
「まず輸送用としての運用を前提にしていますけど武装させることも可能!運用環境に合わせた改良も容易であり、水素エンジンや電気エンジンで駆動し、コストパフォーマンスもMSよりもはるかに格安!!宇宙仕様もありますし水素エンジンや電気エンジンで動くのでフロント内で使用もできます!どうでしょうかね!?」ワクワク!!
とあかりと開発メンバーはセイカとゆかりの反応を心待ちにしていた。
「…私としてはいいと思いますよ?セイカさんはどうですか?」
「ふむ‥‥。これは三万台は売れるんじゃないですかね!」
「ね、年間ですか?」
最近下請けとして製造した車両の販売成績を知っているセイカの発言に開発メンバーの一人が聞く。
「いえ?月間でですよ」
「「「「えええええ!?」」」」
まぁこれで紲星重工初の完全オリジナル製品ができたので翌月に販売が開始された。
次回 紲星重工の日常
続けた方がいいですか?
-
面白いから続いて!
-
面白くないからいい