狐「慌てずとも暫くしたら帰ってくるだろ」
月「でも、あの子の加護が感じ辛くない?」
太陽「あ゛あ゛」
「また?」
最初に出てきた言葉はそれだった。
いつもの青い空は赤く染まり巨大な五芒星が浮かんでいる。いつもそばにあった松や杉の青々とした光景は昔行ったアメリカの街並みに血痕や腕、臓物がへばり付いていた。
此処は日本ではない。空気の感覚からしてもいつもの異界とは少し違うように感じた。
ふと、今居る路地から車が走れそうな大きな道路を見ると、獣の要素を持った人やサメに手足が生えた様な姿の者が、殺しあったりその死体を肌が土気色の貴婦人服を着た女性が食べていた。
よく異界に飛ばされる私でもここまでのスプラッタな光景を早々に見る事は今までは無かった。あっても困るが。
現実逃避を辞め、幸い騒乱から外れた路地であったのが幸いだ。いつもの巫女服に大幣も持ってきている。袖の中に結界や攻撃に回復など様々な用途に使えるお札に退魔の針、小太刀等が入っている。
ある程度は戦えることを確認し、路地に入ってきた酔っ払いを気絶させフード付きのローブを剥ぎ取り纏い、おそらく今居る中心街から出た。
「一体どこから出れるのかしら?」
「あいつらも人使いが荒い。こんな契約が無ければなぁ」
シルクハットを被り羽の生えた猫の様な人?が歩いてくる。あの道路の者達の様に危険な感じはしない。
「すみません。聞きたいことがあるのですが」
「下がれ!それ以上近づくな!」
「…私は何もしておりませんが?」
「…勘だが、お前をそれ以上近づけるのはマズい気がするんでな」
勘というものは時に思いもよらぬ幸運を招く。
私もそうだ。勘を信用しない者を信用できないぐらいには勘を大事にしている。
「…なるほど、賢明な判断ですね。勘を軽視しない貴方に敬意を表し、顔を見せない訳にはいかないですね。」
フードを外し顔を見せる。
「⁉︎」
「どうかしましたか?」
「お前、人間か?」
「?ええ、人間ですよ。それよりも聞きたいことがあるのですが、良いですか?」
「…ああ、」
「此処どこですか?」
「は?」
真剣な目でこちらを睨みつけていた猫の人は、あまりにも常識的な質問だったのか、ポカンとした間抜けな顔になり、いつ取り出したかわからないトランプを落としていた。
「ですから、此処はどこです?先程飛ばされたので此処がどこや貴方達がヒトなのかすらわかっていないのです。」
「なるほどな。此処は地獄だ。」
「地獄ですか…私、死んでないですよ?」
「だろうな。見るからに生きているし異形にもなっていない。」
なら一体どうして地獄に来てしまったのだろう。
途方に暮れ顔色が悪くなってきていたのでしょう。猫の人が一歩近づいて手を伸ばしてきた。
「なぁ、もしかしたら帰れるかもしれないぞ。地獄に行きた人間がいる事は問題があるだろうし。着いてきな。」
そう言って私の腕を持ち引っ張っていく。ほんの少しの問答で彼は地獄の中でも善人寄りなのだろう。
「何処に連れていくつもりですか?」
「何処って…あーそうか、お前は今日来たばっかりだったな。」
そう言って彼は違法増築としか言いようが無い崖上のホテルを指差し言った。
「俺の働いている場所、ハズピンホテルだ。」
今日、ハズピンホテルを初めて見たのですが、キャラと言うか、世界観に魅せられたが故に速攻で書き上げました。
プロットも方向性も何一つ考えずに書き上げた行き当たりばったりの作品です。
最後にひとつ、ハズピンの二次創作もっと増えて(懇願)