「東雲さんもイフメモカで強くなったんですから、チカ達、超級エリアに入ってもイケそうじゃないですか? 居吹さん!」
チカちゃんが、キラキラした目で居吹さんを見つめている。
あれからスタメン組は二手に別れた。
居吹さんとチカちゃんの特効組は、一体一体が強大な力を持つレイド反応が出ている地点一を。
一方、ハヅキさんとアコちんの究極スーパーレア収束組は、力は弱いオブリ反応が複数出ている地点二に。
私は強いから、という勝手な皆の判断により、特効組に入れられてしまった。
「早くチカ、東雲さんのメモカの力、見てみたいなぁ!」
チカちゃんは、キラキラした眼差しを今度は私に向ける。
「だから、使いこなしてないんだから、そんなに期待しないでよ、チカちゃん」
「でも、アタシもリョウコがどれだけ強くなったのか、見てみたいぞ」
居吹さんは微笑みながら続ける
「ホントは、また昔みたいに、ココナッツ・ベガとして、レイドオブリ戦に挑みたい所なんだが、そうも言ってられないしなぁ……」
そこまで言うと、居吹さんは立ち止まる。
「あれ? どうしたの? 居吹さん」
「どうやら……お出ましのようだ……!」
私とチカちゃんが、え?、と声を漏らすと同時に、いきなり地響きが伝わり、空気がピリピリとしたのがわかる。
ここはまだ、上級エリアであって、こんなにいきなりあたりの空気が変わることなんて、テンコしか……
(テンコ……しか……)
「まさか!」
「あぁ、どうやら、そのまさかのようだぜ!」
居吹さんは、ニッ、と笑って見せる。
空気感は変わったものの、これと言った音はなく、スゥッと巨大なバケ狐のような最強の力を持った敵ーーテンコが姿を現した。
「特効の力を存分に使っていいんですよね、居吹さん!」
「あぁ、アタシも一発、この力で思いっきり殴ってみたかったんだ!」
居吹さんは私を見て続ける
「リョウコ、馴れてないと思うが、そのメモカの力、見せてもらうぞ!」
私は一度頷き、任せて!、と答える。
すぐにチカちゃんが、テンコの真正面から自分自身の倍以上ある大砲を抱えるように持ち、行くよー!、という掛け声と共に大砲を放つ。
テンコがチカちゃんに気を取られているうちに、居吹さんは目にも止まらぬ早さでテンコの背後を取り、殴りかかる。
ミシミシとテンコの体から、不気味な音が辺りに響いた。
「これが、特効……!」
私はゴクリと生唾を飲む。
「何やってるんですか、東雲さん!」
チカちゃんが叫ぶ
「攻撃! 攻撃してください!」
「う、うん!」
私はまた、あの重い銃を手に取った。
パンッ、と一発打つも、やはり反動で腕が後ろに持っていかれる。
幸いテンコという標的が大きいので、外すことはない。
威力もそれなりで、テンコの表情が歪んだ気もした。
「リョウコ! 一発当たった位で攻撃を止めるな!」
居吹さんが喝を入れる。
「確かにそれでも効いてるようだけど、アコさんを助けた時みたいなすごいのはできないんですか!?」
チカちゃんも私を煽る。
私は、銃さえもまだまともに使いこなせないのに、前回、まぐれで扱えたあのヘリを、また同じように扱えるのか、その不安しかなかった。
私が攻撃を躊躇していると、テンコと対峙していたチカちゃんが、テンコの巨大な前足で叩き潰される。
「うわぁぁぁ!」
「チカ! 大丈夫か!?」
居吹さんが右手を大きく振りかぶって、テンコに殴りかかろうとしながら、チカちゃんの元に走る。
途端、テンコは大きくその場に飛び上がり、力一杯、地面へと着地した。
その衝撃は凄まじく『衝撃波』という言葉はこのことだ、と言わんばかり。私達は、それぞれ吹き飛ぶ。
(このままだと、全滅しちゃう……!)
私は意を決して、その場にジャンプする。
と、同時に、アコちんを助けた時と同様、ヘリの中へと移動していた。
私は、目の前の操作桿をギュッと握る。
「もう、どうにでもなっちゃえー!」