普通でいい   作:喜村幸輝

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六話

 

 深夜0時。

 協力戦終了の時刻となり、スタメンの皆は、一度エテルノの作戦会議室へと転送される時刻。

 私は先回りし、会議室の扉の前で、メンバー達の戻ってくるのを待っていた。

 暗がりの中、扉に耳をあてて。

 

「皆、協力戦お疲れ様だよ」

 

 声をあげたのは、ハヅキさんだった。

 

「途中アクシデントもあったし、今月の最終追い上げも凄まじいものだったから、補助券止まりだったと思うけど、よく頑張ったね」

 

 途中のアクシデントって、私のことだ……、と、私は拳を握りしめ、いてもたってもいられず、その部屋の中へと突入した。

 

「み、みんな!」

 

 勢い余って、バンッ、という扉の音で、皆が私の姿をとらえる。

 

「今回は、本当にごめんなさい!」

 

 私は頭を深々と下げる。

 呆気にとられ、みんな沈黙した。

 表情はわからないけど、きっと冷ややかな目なんだろうなぁ、と私は怖くて頭を戻せなかった。

 そこに、カツカツと足音を立てて、見慣れた第○二チームの戦闘靴が、私の視界に入る。

 

「リョウコ、気にするな! 私はこの通り、元気だからさ!」

 

 恐る恐る顔をあげると、ニッと笑っている居吹さんが、そこにいた。

 

「チカも大丈夫だよ!」

「まなはスタメンに戻れて、やったー!、って感じだよ♪」

 

 相変わらずの小さい子コンビは可愛らしく笑っている。

 

「アコっちこそ、ごめんなのだ」

頭をかきながらアコちんは言う

「無理にあっちの地点をまわらせてしまって……まだあのメモカの全てを分からないのに、強いからって思って……アコっちの地点を回ればよかったね」

 

 そこまでアコちんが言うと「アコ!」と、ハヅキさんがピシャリと制す。

 

「たらればは禁止だよ。少なからず、あのテンコの討伐に失敗したのは事実さ、でも、あれは皆がリョウコを持ち上げちまって、無理させたのもまた事実」

 

 ハヅキさんは困った顔を私に見せる。

 

「リョウコが謝るだけでなく、あたしらの方も謝らなきゃだよ、すまないね」

 

 どうやら、スタメン全員、私のことを責めたりはしなかった。

温かかった。

 思わず、私は涙を溢して、再度、ごめんなさい、とだけ言った。

 気にするな、と言わんばかりに、隊長さんが、私の足元にすり寄ってくる。

 

「あ、そうだ! 私、隊長さんにお願いがあって……ちょっとだけ、隊長さんと二人になってもいいですか?」

 

 メンバーは、こくりと頷いた。

 

 

 

 

 空を仰ぐと、星空がとても綺麗だった。

 私と隊長さんは、歩きながら、話をする。

 

「今回は本当にごめんなさい……協力戦お疲れ様でした」

 

 にゃぁ、と、隊長さんは応える。

 

「あのね、お願いっていうのは、いきなりこのイフメモカを使いこなす事ができなかったから、順番に私は強くなろうかなって思ったんです」

 

 私は、夢の中に出た私を思い出す。

泣いていた彼女を。

 

「あのメモカの力は、まだ私には早すぎたんだと思うんだ……だから、協力戦で疲れて、隊長さんいつも新コスイベントの探索さぼって、あのイベントやらないじゃないですか」

 

 隊長さんは、並んで歩いていたのに、私の言葉にギクリと一瞬歩みを止めた。

しかし、またしばらくすると足を動かし、私と並行する。

 

「あのイベントで、レアメモカが手に入るんですよ? もちろん、私の新しい衣装も手にはいる! 一緒に探索イベントやりませんか?」

 

 順番に強くなる、ならば、確実に次に手に入るのは、レアメモカとかになる。

 その前にハイノーマルもあるけれど。

 隊長さんは、助走をつけて、私の胸目掛けてジャンプする。

 

「はうわ! もう! それは、いいよってことですか?」

 

 笑いながら問う私に、隊長さんは、大きく、にゃぁ、と啼いた。

 

「私からこう聞くのは変ですけど……私、普通でいいですかね……」

 

 寂しそうに問う私に、隊長さんは、再び胸目掛けてジャンプする。

 気にするな、そのままでいい、とでも言うように。

 私も、えへへ、と笑って返した。

 辛いのにずっと背伸びをしっぱなしじゃ疲れるだけだよね。

 隊長さんは、普通の私を認めてくれてる。

 私はこのままの普通の私でいいんだ。

 その再確認ができた。

 空には、まだ輝く星がたくさんあった。

 暗闇の中泣いていたあの子の元にも、その輝きの一筋でも届いていればいいな、と私は願う。

 私は大好きな隊長さんを抱き上げ、一緒にその星空を見る。

 

「隊長……星がこんなに綺麗だよ……どこかにいる、もしもの私や、本来の隊長さんがいる世界でも、こんな綺麗な星空が見えているかな……?」

 

 隊長さんは、ぐるる、と喉を鳴らした。

 

 

【終】

 

 




ーーーーー

ここまで読んでいただき、ありがとう御座います。
久々のコピー本での小説でした。
まだイフメモカがでたばかりで、それが強かった時代のお話でした。
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