VRMMOなら友達ができると錯覚していた奴   作:不知火勇翔

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第4話

 ボッチには大まかに分けて2つの種類がある。

 

 

 1つは『能動的ボッチ』。

 自分が話すことで生じる利害得失を精査し、諦めと断捨離をした先に待つ境地に達した者達のことであり、かの高名なアラ○ギ氏が提唱した能動的孤独を体現する、言わば社交的な沈黙を守るボッチである。

 

 

 そしてもう1つが『行動的なボッチ』。

 これは未だに社会に対して幻想を持ち、未だに絶望しておらず生来的な陰キャに気づけていないボッチのことであり、痛い目にあったことが少ない中学生によくいるタイプである。

 

 

 さて、長々とボッチについて語ったが、ここで語りたかったのは僕がその『能動的ボッチ』であるということである。

 

 

 思い出して欲しいのは僕の入学式の時のこと。

 僕は本気の本気で高校デビューにかけていた。それこそ失敗したら同級生に土下座行脚しても良いぐらいには賭けていた。

 ・・・・しかし結局は失敗した。

 

 

 あの日あの瞬間、僕の中にあった『諦めゲージ』は怒髪衝天をついた。

 

 

 これはもうムリだと思った。

 

 

 だからもう終わりにしようと思った。

 

 

 ボッチのまま高校生活の全てを過ごす覚悟ができてしまっていた。

 

 

 周りに迷惑をかけず、自閉して貝のように高校3年間を過ごそうと思った。

 

 

 つまり僕は『行動的なボッチ』から『能動的ボッチ』へとシフトチェンジしてしまったのである。

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

 

 

「ブワッハハハハハハハハハハハ!」

 

 

 カウンターの奥にいた店主さんに促されるままに座り、半ば強制的に身の上話をペラペラと喋らされた僕は今、盛大に笑われていた。

 

 

「ハハハハハハハハハハッ!まさか、っっっまさか友達が欲しいだけなんて!!よりによってココを引き当てるなんてwwwww運が良いのか悪いのかw」

 

 

 

 もし店主さんが僕を叱ったり励ましたり慰めたりさてきたら僕は自分の惨めさに泣いていたので、まぁ笑ってくれた方が気が楽ではあるのだが、・・・・・・・・それでも笑い方というのがあるのではないだろうか。

 

 

 確かにアナタにとっては詮無いことかもしれないけど、僕にとっては死活問題なんだが?

 

 

「その、あの・・・・」

 

 

 出されたオレンジジュースの入ったグラスを両手で握り締め、下を向きながらチラチラと店主さんの表情を伺っていると、店主さんはオレンジジュースをもう一杯差し出してきた。

 

 

「そうね、アナタにとっては重大なことよね。ごめんなさい・・・・ブフフw」

 

 

 オレンジジュースは謝罪の意志表情ということなのだろうか。いやでもオレンジジュースの2杯目というのは流石に・・・・・・・・。というか笑いすぎだぞコラ。

 

 

「いやー笑った笑った。なかなかヤるわねアナタ。お笑いのセンスがあるわよ」

 

 

「ど・・・・・・・・どうも」

 

 

「真に受けるんじゃないわよ、お笑い舐めんな」

 

 

「!?!?」

 

 

 この世の理不尽の極致を見た気がした。

 

 

「で?アンタ、見たところカマってワケでもないし世捨て人ってワケでも家族がいないワケでもないんでしょう?

 次があるのなら、そう悲観するものでもないと思うのだけれど、そこのところはどうなの?アンタはちゃんと、考えられる全てをして友達作りに励んだのよね?」

 

 

 それはお姉ちゃんからよく言われるセリフであった。

 

 

 諦めんな、逃げんな、まだやれる。

 

 

 どれも耳障りの良い言葉だが、気力が完全にプッツン切れてしまっている人間からすれば苦痛の言葉でしかない。

 

 

「その・・・・もう・・・・いいかなって・・・・」

 

 

 病などで気力そのものがガリガリと削られた経験がある人なら分かると思うが、人間というのは起床するにも食事するにも『己の意志の力』というものを消費して初めて行動を可能とする生物である。

 

 

 僕は今、その『意志の力』、『将来の希望を見据えた上での前向きな行動をする意志』を持っていないし持てないし探しても見つけられないでいる。

 

 

 そんな状態なので、

 頑張れ

 は僕の脳髄で響くことはなかった。

 

 

 学校で頑張るというステージに、僕はもういない。

 

 

「学校は諦めてVRMMOで友達作り。健全な男子高校生とは言えないわね。

 ・・・・別に止めやしないけど、後悔するわよ?」

 

 

「・・・・・・・・」

 

 

 それは分かっているが、じゃあどうすれば良いのだろうか。

 

 

 僕は、どうすれば良いのだろうか。

 

 

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