今回は、ヒーローの彼氏とオフの日にデートしていたら……融合で人格が変質、オカマっぽくなっちゃった!?
しかもそんな彼氏とそのまま、デートを続けることになっちゃって。

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私の彼氏はケモヒーロー! ~なんでカマっぽくなってるの!?~

「やっほー、待った?」

 私はとびっきりのオシャレをして、彼氏の待つ場所に行く。

「お、来たか。今日もなんか、いい感じじゃん」

 なんか、とは何事か。

 せっかくこんな可愛い彼女がオシャレしてきたというのに!

 私はどこかぶっきらぼうに見える彼氏に、不満の視線をぶつける。

「ん、あれ、俺の顔に何かついてるか?」

 立派なクチバシが。

 「な〜んでもない! さ、デートしましょ!」

 マンゴネル。数ヶ月前、たまたま知り合った鷲獣人のオス。

 出会い方がドラマチックすぎるというか、なんというか。

 夜中、バイトの帰りが遅くなった時の事。

 急いで帰ろうと裏道を通ったら、タチの悪いチンピラたちがたむろしていて。

 ……まあ、そういう所だって知りながら通るとするのも悪いんだけど。

 案の定、チンピラたちに囲まれて、危ない目に遭わされそうになって。

「おいこら! 何してるんだ!」

 そんな時、野太い声が聞こえてきて。

 振り返ると……そこにはヒーロースーツを着た、逞しい鷲獣人が。

「ヤッベェ、マンゴネルじゃねぇかよ!?」

「くそ、ずらかるぞ!」

「待てぇー!!!」

 大慌てで逃げていくチンピラどもを全力で追う……のかと思いきや、私の目の前で立ち止まり。

「おい、大丈夫か? この辺は物騒だから、一人で歩くんじゃないぞ」

 もう、一目惚れ。

 こ〜んなかっこいい人、頼りになる人、そうそういないって私直感しちゃったもの!

 次の日からヒーロー協会に行って、マンゴネルのことを調べて、ちょくちょく出会うようになって。

 最初は困っていた彼も、少しずつ私の方を見てくれるようになって。

 そしてとうとう、今日が初のデートというわけ、キャッ!

 ……なんだけどぉ。

「よし、飯食うか飯。ラーメンとか、どうだ?」

「ん、んもう! いつもラーメンだけどさぁ! 今日はデートなんだから、違う物食べない?」

「ち、違う物ぉ? トンカツか?」

 吊り橋効果……と言ってしまうと悪いんだけど、どうも不器用というか、女性に興味がなさげというか。

 なんだろ、ヒーローバカっていうの?

『ヒーローであること』には一生懸命なんだけど、それ以外は興味が全くないって言うか。

 ん、まあ、ヒーローとしては正しい気もするんだけど、ねぇ。

 折角デートしているのにこれでは、ちょっと寂しいというか。

「んもー、もっとオシャレなの食べようよぉ! あ、そうだ! オシャレと言えば、マンゴネルもオシャレな服とか着てみれば?」

 デートの時にジャージみたいな服で来るかな、普通。

「オシャレって言われてもなぁ。ほら、ヒーローはいつでも仕事できないといけないだろ? だからこれでいいんだよ、これで」

 う、うう〜ん、そ、そうなんだけど、そうなんだけど。

 私としてはもっとこう、一緒に同じ話題で盛り上がりたいっていうか。

 一緒にいるだけで幸せなのはそうなんだけど、一緒にラーメン食べたりゲームしたりするのすごく楽しいんだけど。

 今日はそうじゃないのだ。

 男と女として、デートをしたいわけ。

 約束した時に「で、いつもと何が違うんだ?」とか聞いてきたけど。

 そういう男なんだけど。

 好き、なんだよねぇ……。

「と、とりあえず、商店街の方、行こ!」

「おう、そうだな。服、と言えば……」

 あ! もしかして、今日の服装褒めてくれる!?

「今日もアニーは服、買うのか? 服めちゃくちゃ好きだもんな」

 ダメだこりゃ。

 誰のために服装を慎重に検討していると思っているのか……

 商店街の入り口に差し掛かり、どうしたものかと私がため息をついた時。

 ピタリ、とマンゴネルが足を止めた。

「ん、どうしたの?」

「……アニー、危ない!」

 巨体が私に覆い被さってくる。

 響く銃声。

 爆発のような音。

「な、何、何!?」

「ったく、真っ昼間から悪さするとはいい度胸だな!」

 ファスナーが降りる音。

 私にマンゴネルのジャージが被せられる。

 その隙間から様子を伺うと……

「オラオラオラ! お前ら、容赦しねぇぞ!」

 ヒーロースーツに身を包んだ彼が、悪党どもに飛び蹴りをお見舞いする瞬間。

 え、ちょっと待って?

 下にヒーロースーツ、ずっと着ていたわけ?

 ちょっとぉ〜。

 今日、あわよくばホテルに行けたらな、とか思ってたんだけど。

 服脱いだらヒーロースーツって、流石に冷めちゃうじゃない。

 でも、確かに、ヒーローとしては何も間違ってないというか。

 私がそんなバカなことを考えている間にも、マンゴネルはバッタバッタと悪い奴らを薙ぎ倒していく。

「く、くそ、今日はこの地域の担当は犬のあいつだって聞いていたんだが!?」

「先輩の悪口みたいなこと言ってんじゃねぇ!」

 最後の一人に翼でラリアットをぶちかまし、お掃除完了。

 か、かっこいい〜……やっぱり、こう言う所は素敵なのよね。

 いつ見ても惚れ惚れしちゃうっていうか。

「ったく、何だこのトラック……? まあ、後は先輩と警察に任せるとするか」

 マンゴネルが手をぱんぱんと鳴らし、私の元に帰ってくる。

 雄々しく逞しい体格、自信満々なその歩き方。

 やっぱり素敵、マンゴネルかっこいいわ♡

 べちょり。

 が。

 そんな彼のスーツに、生卵が直撃した。

 え、なになに?

「ノワケェ〜! またお前かぁ〜!」

「あはは、あはは、おっちゃんに大当たりぃ〜! もう一個!」

 べちょり。

「お、お前なぁ!!!」

 声のする方を見る。

「やーいやーい、鈍臭いんだ!」

 しゅた、っと高所から飛び降りたのは……

 キセルを咥えた、カラス獣人……の子供?

「こら待て! 今日という今日は逃さねぇぞ!」

「こっちこっち、あはは、あはは!」

 私は慌てて、マンゴネルに駆け寄る。

「ちょ、ちょっと、相手は子供でしょ?」

「ただのガキならいいんだけどな、あいつイタズラ好きでしょっちゅう危ない事するんだよ。しっかり説教しないとえらい事になるっていうか、あ、くそ!」

 私に返事をしている間に、背中に卵をぶつけられたらしい。

「こら、待てー!」

「ここまでおーいで、あはは、あはは! オイラに追いつけるかな〜?」

 カンカンに怒りながら、小さい子供を追い回してる。

 な、何だろう、私といるよりよっぽどイキイキしてるように見えるのは気のせいなのかしら?

 ちょっぴり、嫉妬しつつ……私も捕まえようとするけど、ノワケとかいう子はするりと避ける。

「おねーちゃんだあれ? おっちゃんの友達ー?」

「え、えぇーっと、友達というか……」

 こらこら、キセルでスカートめくろうとするな。

 ……恋人って胸張って言いたいんだけどなぁ。

 ノワケ君もそんなに興味ないのか、それとも私が抵抗したからかたちまち走り去ってしまう。

 あ、そっち、さっきのトラックあるんだけど。

「よーし、中入っちゃおっと!」

「お、おい! 何が入っているか分からないんだぞ、やめろ!」

 マンゴネルが全力で走り、ノワケ君をふん捕まえる。

 でもそれはちょっとだけ遅くって、ノワケ君はトラックの荷台を開けてしまい。

 ぽん、と軽い音と共に煙が溢れ出る。

 たちまち二人の姿は見えなくなっちゃって……

「あ、大丈夫かしら?」

 燃えてる、とかじゃないみたいだけど。

 どうしたもんかと考えていると、大柄なシルエットが一つ、歩いてくるのが見えた。

「あ、マンゴネル! 大丈夫だっ……え?」

 声をかけようとしたん、だけど……え?

「もう、やぁねぇ。急に変な事になっちゃって、もう驚いちゃったわぁ〜!」

 体格とか、身長とか、服装とか、全部確かにマンゴネルなのだ。

 でも、顔の一部はノワケ君のような色に変わっていて……

 右手なんて丸々、カラス色になっている。

 それだけでもびっくりなのに、一番の驚きは。

「アニーちゃん、聞いてくれるかしら? よく分からないんだけどぉ、くっついちゃったみたいなのよぉ♡ うふふ、なんか、おかしいわよねぇ?」

 何なの、この喋り方。

 キリッと鋭い目つきもどこへやら。

 何だかちょっとやらしく垂れた目で、私に話しかけてくる。

「え、えっと、マンゴネル?」

「あらやだ、そういえばそうよね。マンゴネルだけど、ノワケだし……でも、ノワケだけどマンゴネルなのよね、今。どうしようかしら?」

 逞しい体をちょっとクネクネさせながら、何やら考え込んでいる。

 一体何がどうなってるの、これ?

「じゃあ、こうしましょ! ノワケで、マンゴネルだから、うふふ……ノワゲネルってことでどうかしら? あぁ〜、いい名前ねぇ、気に入っちゃったわぁ♡」

 自分で自分を抱きしめて、嬉しそうにしている。

 つ、ついていけない……

「え、えっと、マ……ノワゲネル? だっけ? 大丈夫なの?」

「そうねぇ、私は全然問題ないわよ」

 わ、私!?

「何よぉ、そんな驚いちゃってぇ」

 そりゃあ、デート中に彼氏がこう、急におかまチックになったら驚くと言うか。

「ちょ、ちょっといい?」

「いいわよ、どうしたのかしら?」

 どこか優しい視線を向けてくる。

「ええっと、ヒーローで、なんかちょっと不器用で、俺、俺なのがマンゴネルでしょ? それで、いたずらっ子でオイラオイラって言っていたのがノワケ君だったわよね?」

「うんうん、その通りねぇ。不器用って言われたらちょっと、傷ついちゃうけど!」

「……なんでその二人がくっ付いたら、そんな感じになっちゃうわけ?」

「わかんないわよぉ、そんなの。なってたんだから、仕方ないじゃない?」

 うわぁ。

「じゃ、じゃあ、元に戻ったりとかは?」

「どうなのかしらねぇ……私はすっごく、この私大好きで、最高で、ドキドキしちゃってるんだけど。アニーちゃんはどうかしら? 私、イヤ?」

 イヤかどうかで聞かれると困る。

 どうしたものか……

 そう、私が悩み始めた時だった。

「あら、ちょっと待って!? 今日のアニーちゃん、すっごくオシャレしてるじゃない?」

「え?」

 いきなり言われるはずのないことを言われて、びっくりしてしまう。

「ほらぁ、そのバッグとスカートの色、かなりいい感じじゃなぁい? それを崩さないように上の色も決めてるしぃ……あらら、ツノにも飾りつけてて、やぁねぇ、私全然気づいてあげられなくって……ごめんねぇ!」

「あ、う、ううん、べ、別にいいのいいの!」

 めちゃくちゃ正確な指摘に、正直びっくりしてる。

「あぁ〜ん、私もアニーちゃん見てたら、オシャレしたくなってきちゃったわ。一緒に服、見に行くのどうかしら?」

「え、も、元に戻らなくていいの!?」

「だってぇ、どうしてこうなったか分からないじゃない? じゃあ、どうやったら戻るかもわかんないし、それまでは私、私として楽しみたいっていうか!」

 な、なんか、調子狂っちゃう。

 そんな状態でも楽しもうとするの、すごいっていうか……

「ほらほらぁ、行きましょ行きましょ♡」

 自然に私の手を握って、軽く引いてくる。

 あ、あ、すごい、すごい。

 私の望んでいたシチュエーションだ。

 ……まさか、愛しの彼氏がなんかおかまっぽくなるとは思っていなかったけど。

「アニーちゃん、これとか似合うんじゃない?」

「え、そ、そう?」

「絶対似合うわよぉ、だってほら……」

 マンゴネル改めノワゲネルと、洋服屋でショッピング。

 私はノワゲネルにオシャレしてもらおうと思ったんだけど、グイグイと彼の方が服を勧めてくる。

「べ、別にいいって、それより」

「よくないわよぉ〜、だってアニーちゃん、とっても可愛いじゃない? 俺、まあもう私なんだけど、最初見ちゃった時にドキッとしちゃったんだからぁ」

 え、そうなの?

 まさかこんな形でそんなこと聞くなんて。

「ほらほら、可愛いんだから、もっともっと可愛くならなきゃ損じゃない?」

 すっごく共感できることを言ってくる。

 マンゴネルだったら「なんでも可愛い」「どれも可愛い」みたいなことしか言ってこないのに。

「の、ノワゲネルはいいの?」

「私はとりあえず、後でいいわよ。私のだぁ〜い好きなアニーちゃんがオシャレして、それに負けないくらいのオシャレしたいんだもの!」

 私のやりたかった事を理解しているような発言に、ドキドキしてしまう。

 そう、そう。

 可愛い私に、かっこいいマンゴネル。

 二人で街を歩きたいわけで。

 私は嬉しくなって、ノワゲネルと相談して服を試着していく。

 客観的にいろいろアドバイスをくれて、自分でも気づかない事を気づかせてくれて。

 気づけば、想像をはるかに超えるくらい……私はオシャレさんになっていたのでした。

「あらあら、いいじゃないいいじゃない! うふふ、私もオシャレしがいがあるわねぇ♡」

 嬉しそうに笑いながら、ノワゲネルが自分のオシャレを始める。

「あら、これいいわねぇ。とりあえず着てみましょっと」

 とある服を手に取る、のだが。

「ま、待ってノワゲネル」

「あら、どうしたのかしら?」

「それ、女物よ?」

 いろんな獣人がいるこの世界、かなり大柄の女性物も当たり前。

 ノワゲネルが手に取ったのは、そういう……

「え、それがどうしたのかしら?」

「え、え?」

「やぁねぇ、別にオスだからオスの服じゃないとダメって事はないでしょ?」

「あ、う、うん、まぁ……」

「心配しないでいいわよ、そんな似合ってない服装にはならないからぁ!」

 ほ、本当に?

 私の心配をよそに、ノワゲネルは嬉しそうに試着室に入っていく。

 なんだろう、絶対スカートはいたおっさんみたいにしかならないと思うんだけど。

 

「うふふ、アニーちゃんとデート、楽しいわね♡」

「う、うん」

 めっちゃ可愛いんだけど。

 なんなの、それ?

 少し大きな帽子まで被っちゃって、完璧なコーデに身を包んだノワゲネルが私と並んで歩いている。

「ごめんなさいねぇ、もしかしたらビシッと決めた男と歩きたかったのかもしれないんだけどぉ……私、この服着てみたくってぇ」

 すっごく分かる。

 似合う、似合わないじゃなくて着たい服ってあるものね。

「え、えっと」

「はい、はい」

「すっごく、似合ってると思う」

「ほんとぉ? 嬉しいわぁ〜、うふふ! あ、じゃあ、お昼は私が奢ってあげちゃうわ!」

「えっ、いいの!?」

「うふふ、こういうのって男が奢ったらちょっとは格好がつくでしょ? そうねぇ……あ、思い出したわ! この前、雑誌で見たんだけどぉ……美味しいパフェ屋さんがあるって知ってるかしら?」

 またまたびっくり。

 今日、なんとかしてマンゴネルと行こうと思っていた場所なのだ。

「う、うん、すっごく人気なのよね、あそこ」

「うふふ、興味ありって感じね? じゃ〜あ、行ってみちゃう?」

「うん、うん!」

 なんかもうデートというよりは女友達と遊んでいる感じ。

 それはそれでいいんだけど、デート、したいんだけどなぁ。

 

「さて、楽しみねぇ」

「うん、いっぱい種類あったから迷っちゃった」

 小洒落た店内、椅子からはみ出さんばかりのノワゲネルが満面の笑み。

 なんかこっちまで、嬉しくなっちゃうというか。

「……ええっと、なんだか、ごめんなさいね」

「え、何が?」

 なんで謝るんだろう。

「本当はくっつく前の私とデートだったのに、こうなっちゃって。ほ、ほら、私、こんな感じだから、全然違うじゃない?」

「別に別に、全然問題ないよ」

 事故なんだから、ねぇ。

「そ、そう? でももしかしたら、かっこいい彼氏とお散歩して、かっこいい彼氏とオシャレなもの食べたいって思っていたなら……全部壊しちゃったわけじゃない」

「あ、う、うん……」

「いくら私がよくっても、アニーちゃんががっかりだったら悪いものねぇ。せっかくデートするってなったのに、ほら、私、これでしょ?」

 自虐的に笑い、帽子を手に取る。

「そんな風にいうこと、無いと思うんだけどな」

「そ、そうかしら?」

「だって、ちゃんとマンゴネルの記憶あるんでしょう? ノワケ君の記憶があるかは私分からないけど、ちゃんと私のこと、気にしてくれてるし」

「う、うん」

 ストレートに言われて恥ずかしいのか、ちょっともじもじしてる。

 可愛いかも。

「だったら、私にとってノワゲネルになっても変わらないもん。私の事を好きでいてくれて、私もあなたが好きで。だめ?」

「ん、んもう、恥ずかしいじゃないのよぉ、そんなまっすぐ見つめちゃってぇ」

 負い目はあったみたいで、ちょっと目を逸らして。

「元に戻るかどうかは私分からないけど、ノワゲネルはノワゲネルって心なんでしょ? そこに嘘ついちゃってたら、それこそ私、寂しいっていうか」

 思っていたのとは違うけど、私……これはこれで楽しいから。

「あ、ありがと……ごめんね、なんか、デートなのに、ちょっと空気悪くしちゃって」

「大丈夫大丈夫! 私、ノワゲネルと一緒にいるのも楽しいもん!」

「うふふ、嬉しいわぁ♡」

「お待たせしました、チョコレートパフェです」

 私の目の前に可愛いパフェがやってくる。

「こちら、デラックスジャイアントパフェです」

 ドン、と机の大きな音。

「……た、確かに、大きいわね」

 油断していたのか、僅かにノワゲネルの顔が引き攣る。

「あはは、お似合いよお似合い!」

「やぁねぇ、ひどいわぁ〜!」

 私もノワゲネルも、すくすく笑っちゃって。

 私もちょっと手伝って、なんとかかんとか完食をして。

 なんだろう、本当に楽しい。

 けど、デートというよりは……やっぱり、女友達って感じで。

 

「ねぇねぇノワゲネル、本屋に寄っていい?」

「どうしたのかしら? 漫画でも買うの?」

「ううん、お気に入りのタレントの本があるかなって」

「えぇ〜、アニーちゃんどんなタレントが好きなのかしら」

 店に入り、新刊コーナーを漁り。

「あ、あった!」

 イケメンのオオカミ獣人アイドルが表紙の雑誌を手に取る。

「ふぅん、インタビューとか載ってるのかしら?」

「そうそう、今度主演の映画やるんだよ」

「あらぁ〜……」

 目を細め、表紙に視線が釘付け。

「ど、どうしたの?」

「あんまりそういうの興味なかったんだけどぉ、やだぁ、すっごくいい男じゃない、その人♡ 私、ファンになっちゃいそうだわぁ♡」

 ちょ、ちょっとちょっと。

 で、デート中なのに!

 他の女性に気が行くならまだしも、えぇ〜ッ!?

 デートじゃないって気がすると散々思っていたのに、この瞬間、すごい嫉妬の心。

 い、イケメンに浮気しちゃうって、ちょっと、えぇっ!?

 私はちょっと動転してしまい、気が気で無くなってしまう。

「あ、そうそう」

 そんな私の気持ちを知ってか知らずか、ノワゲネルは私に顔を近づけてきて。

「ん、なになに?」

 落ち着け私、平常心よ、平常心。

 ところが……そんな取ってつけた平常心は、甘い囁きでたちまち壊されてしまった。

「それはそれとして今日、ホテル……行かないかしらぁ?」

 た、確かにイタズラ好きのノワケ君が混ざってるわね、これ……。

 私はすっかりからかい上手になってしまった彼氏の肩を、真っ赤な顔でバシバシ叩くしかできないのであった。

 もう、笑っちゃってぇ、もう!

 

 

 おしまい


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