これはガンダムに愛された少女の物語   作:ロボっピ

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お久しぶりです。

9月上映の特別版のFREE DAM楽しみです!


9話 消えていく光

ラクスの歌を聴き終えたマリエはその後、2人で食べ損ねていた食事をとっていた

 

『はぁ、お腹いっぱい』

 

「ええ、とても美味しかったです」

 

食事が終わりマリエはお腹をさすりながらそう言うと、ラクスも同意する様に頷く。正直、お嬢様のラクスの口に庶民的な食べ物が合うか心配だったが、どうやら大丈夫なようだ

 

そういえばラクスちゃんが此処に来てから今日で2日目になる訳だけど、ちゃんとシャワーは浴びられているのだろうか。食堂に来たのだってお腹を空かせたからだったし、艦長であるマリューさんがそこまで手を回せているのか正直自分にはわからなかった

 

『ラクスちゃんって此処にいる間シャワー浴びれた?』

 

「実は、その、お恥ずかしながらまだ浴びられていませんの。艦長様からは身の回りの世話を女性隊員に頼んだので何かあったらその方に聞くようにと言われたのですが、その方は昨日の食事を届けたきり、いらっしゃらなくて…」

 

そういえばミリアリアはフレイ・アルスターにラクスちゃんの食事を持って行く様に頼んでいたっけ?

 

『その人ってさっき食堂の中にいた?』

 

「いいえ、いませんでしたわ。それにその方は大人の女性ですもの」

 

なら、ミリアリアじゃないね。よかった

 

恐らく、その世話係を頼まれていた女性隊員は何らかの理由でミリアリアに今日の食事を運ぶ様に頼んだのだろう。同じ女ならシャワーに浴びたい気持ちもわかるはずなのに食事を一回運んだだけで他の事は他人に任せ、ほったらかしって…もしかして隊員の中にもコーディネイター嫌いが混じってるのかな?それともただ忙しかっただけ?

 

『…まぁ、後で聞いてみればいいか。ラクスちゃん、食器を片付けたらシャワーを浴びに行くんだけど一緒に行く?』

 

「いいんですの?是非、お願いしますわ」

 

任された仕事をサボる方が悪いんだし誰かに見られて、何か言われても理由を言えば分かってくれるよね

 

 

 

 

 

 

シャワー室に行くと幸い中には誰も居らず、すんなりとシャワーを浴びれた

 

「うふふ、お友達とシャワーを浴びるのは初めてです。洗いっこしませんか?マリエちゃん」

 

『えっ、いや、いいよ』

 

同性とはいえ、流石に恥ずかしいし

 

「遠慮なさらずに!ほら!」

 

『ちょ!ラクスちゃん!?』

 

隣でシャワーを浴びていた筈のラクスが笑顔で仕切りのドアを開けて入って来た。咄嗟に両手で身体を隠すも、抵抗もむなしくあっさりと片手を取られ、手に持っていた泡立ったスポンジでお腹を擦られる

 

『コラッ、くすぐったいよ!』

 

「うふふ、いいではありませんか」

 

『あははっ!やめてぇ!』

 

「マリエちゃんたらお肌ツルツルですわね。ここはどうですの?」

 

『キャッ、そんな所まで洗わなくていいから!!』

 

「あらあら、とっても柔らかい。もっと触らせて下さい!」

 

抵抗できぬままラクスに身体を隅々まで洗われるマリエは悲鳴を上げた

 

ひえええぇ!!助けてキラー!!

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃キラは__

 

「くしゅんッ__風邪かな?」

 

 

 

 

 

 

 

「お友達との身体の洗いっこ、とっても楽しかったですわ」

 

『疲れた…』

 

地獄の様なシャワータイムを終えたマリエはげっそりとした表情でそう溢した。対するラクスはツヤツヤと肌を輝かせご満悦の様子

 

「また一緒にシャワーを浴びましょうね」

 

『絶対、嫌だ』

 

そんなことを言わずにと言って来るラクスをツンとした態度で髪を乾かす

 

「髪、随分と長いですわね。何年ぐらい伸ばしているんですの?」

 

『……覚えてない。正直、こんなに長いと手入れが大変でいつも三つ編みにしてるんだけど、不思議なことに髪を切ろうとは思わないんだよね』

 

自分がマリエ・ホワイトとなったあの日、太ももまであった髪は今では膝下まで伸びていた。何故、以前の自分がこんなにも髪を長く伸ばしていたのかはわからない。でも何か思い入れがあるのかなと思うと中々切れずにいた

 

『それに…髪が長い方が大人っぽく見えるでしょ?』

 

フレイ・アルスターが好きだったキラはきっと大人っぽい女の子が好みなんだろう。自分は背は高くないし胸もそこまで大きくない。だから少しでも大人っぽく見える様に髪を伸ばし続けた

 

「マリエちゃん、可愛いです!」

 

『うわぁ!突然抱きつくのはやめて!?』

 

「__キラ様が羨ましい(ボソッ」

 

『ん?何か言った?』

 

「いいえ、何でも♪」

 

 

 

 

 

 

 

シャワー室から出たマリエはこれから仕事がある為、ラクスを部屋に送り届けたらブリッジに向かおうと廊下を歩いていると、突然艦内に敵襲を知らせる警戒アラートが鳴り響いた

 

『敵!?まさか、またザフト!?』

 

逃げ切れた筈なのに、どうして!?

 

〈第一戦闘配備!繰り返す!総員、第一戦闘配備!〉

 

「マリエ!?それに…また部屋から出たんですか!?」

 

『キラ。ううん、私が部屋から出したの。まだシャワーが浴びられてなかったみたいで流石に辛いかなって思って』

 

マリエとラクスが部屋から出ている事に驚くキラだが、マリエの話を聞き、状況を理解したキラはそうだったのかと頷く。それと同時に彼女達から香るシャンプーの匂いを感じとり、「あ、いい匂い…」と一瞬思ったキラ。が、そんな場合じゃないとすぐにハッとして考えを消す様に頭を振る

 

「キラ様、どうしたんですの?急に賑やかになりましたけど…」

 

「戦闘配備なんです。さ、部屋に戻って」

 

「戦闘配備って、戦いになるんですの?」

 

「そうですよ。マリエもすぐにブリッジに向かって」

 

『う、うん』

 

「マリエちゃんもキラ様も戦われるんですの?」

 

「すみません。今は本当に話している余裕がなくて…また会いに行きますから、今度は部屋から出ちゃ駄目ですよ」

 

「はい…」

 

『ラクスちゃん、またね』

 

少し寂しそうな顔をするラクスに手を振りマリエとキラはそれぞれの場所に向かった

 

 

 

 

 

 

 

『すみません!遅れました!』

 

「遅いぞ!何をしていた!早く自分の担当に着け!」

 

『はい!』

 

ナタルに叱られたマリエは急いで席に座ると、既にメビウスゼロのサポートに回っていたミリアリアに小声で謝罪した

 

『遅れてごめん。状況は?』

 

「それが…今ザフトに先遣隊が襲われていてそれを助けるためにアークエンジェルが動くんだけど、その先遣隊にね…フレイのお父さんが乗ってるみたいなの」

 

『!!』

 

フレイ・アルスターのお父さん?

 

『そうなんだ…』

 

確か、フレイ・アルスターのお父さんって結構偉い人なんだよね。娘と会う為に態々此処までやって来たのかな

 

食堂の出来事もあり、気まずそうに話すミリアリアにそう返してからキーボードの上に乗せた指を動かした

 

 

 

敵の機体は…ジン3機とX303__イージス!?

 

選りに選ってまたイージスなのか…他の機体ならまだマシなのに、狙ってやってるとしたら相手はよっぽどたちが悪い

 

モニターを苦い顔で見つめながらインカムを耳に付けキラに声を掛ける

 

『キラ、準備はいい?敵は全部で4機。ジン3機とイージスだよ』

 

〈アスラン…〉

 

『大丈夫そう?』

 

〈うん。やれるだけやってみるよ〉

 

『わかった。気をつけてね』

 

〈キラ、ちょっといいか?〉

 

〈サイ…?〉

 

〈先遣隊にはフレイのお父さんが居るんだ。だから、その…頼むっ!!〉

 

〈…うん、分かった!〉

 

そんな会話を聞いているとマリエのモニターに全ての準備が整ったとの通知が届き、発進スタンバイの声を掛ける

 

『カタパルト接続!エールストライカー、スタンバイ!システム、オールグリーン!進路クリア!ストライク、どうぞ!』

 

〈キラ・ヤマト。ストライク、行きます!〉

 

 

 

 

 

 

ストライクとイージスの戦闘が始まり、お互い一歩も引かない戦いを繰り広げていた

 

『キラ…』

 

キラがイージスを抑えているにしても状況としては此方側が不利。敵は先遣隊を攻撃すれば此方が出て来るのを予測し、それに備えて戦力を出してきたのだ

 

フラガさんの機体も損傷して帰還すると報告が出てたし、アークエンジェルとストライクだけでこれだけの数を相手するとなると…

 

 

「フレイ!?」

 

「「「『!?』」」」

 

カズイの驚く声にそちらに目を向けると、いつの間にかブリッジの中に入って来ていたフレイ・アルスターがメインモニターを不安気な様子で見ていた

 

「フレイ!どうして此処に」

 

「パパ…パパの船は?」

 

「今は戦闘中です!非戦闘員はブリッジを出て!」

 

「パパの船はどれなの?どうなってるのよ!?」

 

マリューが厳しく注意するがその声が聞こえていないのか、父が乗る艦を必死に探すフレイ。その様子を見てマズイと思ったサイがフレイに駆け寄り、落ち着かせる様に肩を抑える

 

「落ち着けフレイ!」

 

「何よ!離して!」

 

その時、先遣隊の内の一隻がジンに撃たれ撃沈されてしまった。一瞬、目を離した隙に攻撃され、爆破してしまった戦艦に一同は言葉を失い、フレイは顔を真っ青にする

 

「あっ、あっ…」

 

「早くその子をこの場から出して!!」

 

「は、はい!!」

 

慌ててフレイの手を引っ張りブリッジから出て行くサイ。マリューは先程の自分のミスに対して悔しい思いを抱きながら、すぐにそれぞれの役割に戻る様に皆に伝えた

 

 

 

 

 

 

 

ブリッジから追い出されたフレイは暫く呆然としていたが、何か思い出したかの様にサイに詰め寄った

 

「あの子…キラは?あの子は何やってるの!?」

 

「頑張って戦ってるよ。でも、向こうにもイージスが居るし、なかなか…」

 

「でも言ったのよ!あの子!大丈夫だって!!」

 

 

 

"キラ!"

 

"フレイ…"

 

"戦闘配備ってどういうこと?先遣隊は?"

 

"わからない。僕にはまだ何も…"

 

"大丈夫だよね!?"パパの船、やられたりしないわよね?ね!?"

 

"…出来るだけの事はやるつもりだよ。でも、絶対に大丈夫とは言えない"

 

"嫌よっ!!"

 

"!?"

 

"大丈夫だって言って!あなた、コーディネイターなんでしょ!?なら、あんな奴らやっつけてよ!"

 

"ちょ、フレイ!落ち着いて!"

 

"大丈夫だって言うまでこの手放さないから!"

 

"フレイ!!今それどころじゃないだろ!?"

 

"だったら言ってよ!大丈夫だって言って…言ってえぇぇ!!"

 

"っ、…大丈夫だよ。僕達が助けるから大丈夫"

 

"うん…うんっ!絶対に約束だからね!"

 

"………"

 

 

「うっ…うっ…」

 

「大丈夫だから…ね?お父さんの船は大丈夫だから…」

 

そんな会話があった事を知らないサイは涙を流すフレイを安心させようと肩を支えながら優しく慰める。だか、敵からの攻撃を受けたのか艦全体に衝撃を受けると、恐怖と不安で一杯になったフレイがブリッジに戻ろうとするので必死に止める。これ以上、皆に迷惑をかけられない!

 

「嫌ぁ!離して!離してったらぁ!!」

 

「お願いだから、落ち着いてくれ!」

 

"〜〜♪"

 

「なんだ?歌?」

 

この歌、確かプラントのお姫様が歌ってた…

 

以前、廊下でキラと共に聞いた歌。それに気を取られていると、突然フレイの抵抗が弱まった。そして、その歌声に引き寄せられるかの様にフラフラと歌声がする部屋の前までやって来るとそのまま部屋のドアを開けた

 

「あれから__…ん?」

 

「………」

 

突然開いたドアに誰が来たのかとラクスが顔を向けるとそこには怖い顔をして自分を見る赤毛の少女の姿があった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ローエングリン、発射準備!ジンが来るぞ!ストライクは!?」

 

〈艦長!駄目だ!離脱しなきゃこっちまでやられるぞ!〉

 

「しかし!」

 

ジワジワと追い詰められていく先遣隊とアークエンジェルは未だ敵の機体を一機も倒せていない状態だった

 

『ストライクのバッテリー、残り僅かです!』

 

「くっ、仕方ありません…」

 

このまま戦えば、ストライクのバッテリーが尽きて全滅だ。そうなる前に撤退するしかないとマリューが決断しようとした時、ブリッジの扉が開いた

 

「「「『!!』」」」

 

入って来たのは険しい顔をしたフレイ

 

そして、ふわふわとしたピンクの髪の___

 

 

『ラクスちゃん!?アンタ何してっ、』

 

「うるさい!!この子を殺すわ!パパの船を撃ったら、この子を殺すって!あいつらに言って!」

 

「やめるんだ、フレイ!!」

 

「そう言ってえぇぇ!!」

 

悲鳴に似た叫び声。マリエ達がフレイを止めるよりも先にフレイの父が乗るモンゴメリがジンによって撃ち抜かれた

 

「い、いやあああああぁぁぁぁっ!!!!」

 

目の前の光景に絶望し、泣き叫ぶフレイ

 

「艦長!」

 

「ぁ…」

 

このままでは我々も撃沈しかねない!ナタルはマリューに指示を求めるも、彼女はフレイを複雑そうに見つめたまま動こうせず、ナタルは自分が動くしかないと判断しザフトに向けて通信を送った

 

「ザフト軍に告ぐ!こちらは地球連合軍所属艦、アークエンジェル!当艦は現在プラント最高評議会議長、シーゲル・クラインの令嬢、ラクス・クラインを保護している」

 

 

 

〈何っ!?〉

 

「え!?」

 

その放送はストライクとイージスにも聞こえおり、ナタルの言葉に驚き戦いの手を止める

 

「ナタルさん…一体どうして」

 

〈偶発的に救命ポッドを発見し、人道的立場から保護したものであるが以降、当艦へ攻撃が加えられた場合それは貴官のラクス・クライン嬢に対する責任放棄と判断し、当方は自由意志でこの件を処理するつもりであることをお伝えする!〉

 

〈…救助した民間人を人質に取る。そんな卑怯者と共に戦うのがお前の正義か!?キラ!〉

 

「アスラン、違うんだ。これはっ、」

 

〈彼女は助け出す!必ずなっ!〉

 

そう言い残し去って行くイージス

 

キラはそんな親友に結局何も言うことが出来ずにただ後ろ姿を見つめる事しか出来ない

 

〈キラ…敵は撤退した。帰還して〉

 

「マリエ、どういうこと!?なんで彼女が!」 

 

〈ごめん、これしか方法がなかったみたい。それに、フレイ・アルスターが暴れているこの状況じゃ…〉

 

「え、フレイ?」

 

どうしてフレイがブリッジに?それに暴れてるって

 

…理由は一つしかない

 

ブリッジにいたフレイはジンにモンゴメリが撃ち抜かれる光景を目の当たりにしたのだ。そして僕がフレイのお父さんを守りきれなかった姿も

 

「くそッ!」

 

先遣隊は全滅

 

フレイのお父さんを守ることも出来ず、ラクスを人質に取らせる羽目になってしまった

 

「僕は誰も守ることが出来ないのかっ!」

 

キラはストライクの中でそう、悔しい思いを溢したのだった

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