これはガンダムに愛された少女の物語   作:ロボっピ

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13話 記憶と真実

私には記憶がない。だから他の皆みたいに話す事ができなかった

 

初めの頃は何人かが声を掛けてくれたけど、看護師さんやお医者さんとしか話した事がない私は彼女達の話についていけなくて、困ってばかりで…その内誰も声を掛けてこなくなった

 

もう自分で自分がわからない

 

私は優しい人なの?明るい子?

 

どんな家族が、どんな友達が

 

好きなものは?

 

人と話す前に自分自身と話すので精一杯

 

"記憶を失う前の私ってどんな人間だったんだろう?"

 

でもそれは、いつだって答えのない問いだった

 

 

 

 

 

ガレッジの屋上で1人、偽物の空を眺めるマリエ

 

「……」

 

そんな彼女を少し離れた場所で紫色の瞳の少年が見つめていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『………ゆめ?』

 

なんだか懐かしい夢を見た気がする

 

目を覚ましたマリエはゆっくりと瞬きを繰り返す。顔を横を向ければキラが隣で気持ちよさそうに眠っていて、キラの可愛い寝顔にクスッと笑みが溢れた

 

ちょっと目が覚めちゃったし、散歩でもしてこようかな

 

まだ眠っているキラを起こさないように着替えてからマリエはそっと部屋を出た

 

 

 

 

皆、寝静まっているのか艦内はとても静かだった

 

『もうすぐ、第八艦隊と合流か…』

 

第八艦隊と合流した後、我々民間人はアークエンジェルとは別の戦艦に乗り換え地球に降りる事になるらしい。行き先は中立国家であり、私がヘリオポリスに来る前にいた国であるオーブ

 

『これでもう、キラが戦わずに済むんだよね?』

 

いくら機密情報であるストライクの存在を知ってしまったとしても自分達は軍人ではないんだから、マリューさん達ともお別れになる

 

そんなことを考えていた時だった

 

〈"マリエ__"〉

 

『!』

 

誰かに呼ばれ、振り返るが誰も見当たらない

 

『うそ、確かに名前を呼ばれた筈なのに…』

 

〈"マリエ___"〉

 

『…やっぱり聞き間違えじゃない』

 

だけど、声の主の姿は見当たらない

 

誰かが私を呼んでいる?それに前にもこんな事があったような___

 

〈"こっちに来て"〉

 

頭に直接響いてくる様な声に少しだけ恐怖を感じながらも、マリエは声に導かれるように進むと、辿り着いたのは格納庫だった

 

格納庫の中を覗くと固定されているストライクのみで人の姿はない

 

『まさかストライクが?なんて、そんな訳ないか』

 

ふと思いついた考えに首を振りストライクを見上げる

 

そういえばストライクとも、これでお別れだよね

 

マリエはピョンッと床を蹴り、ストライクの胴体部分まで上がると、そのまま機体に振れる

 

『いつもキラと一緒に戦って、私達を守ってくれてありがとう』

 

あなたがいなければ、キラも私達も戦争に巻き込まれて死んでいたから。ありがとうストライク

 

この思いがどうか伝わりますようにと、心からの感謝を伝えた時、突然ガチャっと音が鳴り、ストライクのハッチが開いた

 

『えっ、何で開いて!?』

 

コックピットの中には当然誰もいない。なのに何故ハッチが開いたのか

 

………もしかして私を呼んでいたのは貴方なの?

 

『乗れってこと?』

 

問いかけても何も答えない。だけどマリエにはそれで合っていると確信していた

 

コックピットの中に入り操縦席に座ると、またも勝手にハッチが閉じていく

 

閉じ込められた…。なんて焦る様子もなく呑気に閉まったハッチ眺めているのはきっと安心感のようなものを感じているからだろう。鼻をスンスン嗅ぐと仄かに香るキラの匂い

 

キラはいつもこんな感じに座ってるのかぁ。と、そんな事を思っていると、突如視界が真っ白に染まった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『此処は…』

 

さっきまでコックピットにいた筈が、何もない真っ白な空間にマリエはいた

 

「"久しぶりだね"」

 

何もなかった空間から現れた1人の少女に目を見開く

 

嘘、なんで、どうして…

 

『私と、同じ顔…』

 

そう、その少女の顔はマリエと瓜二つだった。瞳の色も髪の色も一緒で、違う点を挙げるとすれば、少女はマリエよりいくらか幼なげで、髪の長さと服装が違う所だろう。隊服姿のマリエに対し、目の前の少女は白いパイロットスーツを着ている

 

「"あぁ、驚かせちゃったかな?ごめんねマリエ"」

 

驚くマリエに少女は申し訳なさそうに頬を掻く

 

『あなたは…私なの?』

 

「"うーん、それはちょっと違うかな。でもキミを呼んだのはボクって事は合ってるよ。ボクはGAT-X105、ストライク!キミの初めての友達さ!"」

 

『貴女がストライク…?それに初めての、友達って……じゃあ、記憶を失う前の私を知っているの!?』

 

「"うん、知っているよ。ボクはマリエの失った記憶と混じった存在でもあるからね。この姿もボクが知ってるマリエの姿を元にしてるんだよ?"」

 

『その格好…私はパイロットだったの?』

 

「"そうだよ!マリエはボクの初期パイロット!でもボクだけじゃない。イージスもデュエルもバスターもブリッツもぜーんぶマリエが操縦してたんだ!"」

 

全部のガンダムを…コーディネイターじゃないと操縦が出来ないのにナチュラルの私が!?

 

ストライクの衝撃的な言葉に信じられないと驚きを露わにするマリエ

 

「まぁ、記憶がないキミが驚くのも当然だよね。キミはナチュラルにも関わらずガンダムに乗れた、これは事実だよ。キミには特殊な能力があったんだ」

 

それからストライクの口から告げられる数々の事実をマリエは知る事になる

 

 

 

マエリにはガンダムの声が聞こえる特殊な能力があった。初めて機体に乗った時からその声は聞こえて、マリエはストライク達の声に従い、OS を書き換えることなく自由に操縦することが出来た。ガンダムを製作したモルゲンレーテの一部の科学者達はそんなマリエをコーディネイター達との戦争に利用しようと目論んでいたが、それは不可能になる

 

OS を書き換えることなく自由自在に操縦出来るこの力はマリエにとってかなり負担が掛かった。過去の記憶が欠落しているのを感じたマリエはその事を訴え、検査を受けると力の負担は脳に掛かり、ガンダムを操縦する度に記憶が少しずつ失っていくことが発覚したのだ。その結果を知ったオーブ連合首長国の代表、ウズミ・ナラ・アスハはマリエをパイロットから外す事を決断。だが、マリエを利用しようと考えていた科学者達はそれを反対。機密情報を知っているマリエをそう簡単に野放しには出来ないと反発した所、ウズミはマリエ本人と話し合い、記憶が完全に失うまでガンダムの戦闘データを取り続け機密情報を全て忘れた後、マリエを解放する事が決まった

 

 

『___なんで、私がパイロットに選ばれたの…その声が聞こえる力がある事をその人達は知ってたから?』

 

「"ううん、その力がわかったのは偶然だよ。マリエがパイロットに選ばれたのもね。キミは幼い頃に事故で両親を亡くし、孤児だったんだ。身寄りのない子供から初期パイロットを選ぼうとしていたモルゲンレーテ社は孤児の中から頭が良く、機械に強い子供を探した。それがマリエだったんだ"」

 

『………』

 

私は、初めから家族がいなくて、ストライク達の初期パイロット。ガンダムの声が聞こえて、彼らと友達になって…でも、操縦すると記憶が少しずつ消えてしまう

 

これが、マリエ・ホワイトになる前の"マリエ"?

 

知りたかった過去?

 

『記憶は元に戻らないの?』

 

「"キミの失った記憶はボク達の中に眠っている。もしかしたら、またボクに乗ればキミの失った記憶が元に戻ることがあるかもしれない"」

 

『だけど、ガンダムに乗ったら…また、記憶が消えちゃうんだよね…?』

 

キラ達に出会えた大切な記憶を私は失いたくないっ!!

 

それに、私達はもう、この艦を降りるんだ

 

乗る必要なんて無い!

 

記憶を失うかもしれない恐怖で震えるマリエの身体をストライクは"泣かないで"と、優しく抱きしめる

 

「"……キミを此処に呼んだのは、お別れになる前に一度だけでもまたキミと話したかったからなんだ。また会えて嬉しかったよ。マリエ"」

 

"記憶がなくてもキミはボクの大切な友達さ"

 

マリエと同じ姿をしたストライクはにっこりと微笑んだ

 

 

 

 

 

 

______________________

原作と違う点

・ラクスはキラではなく、マリエに好意を向けている

・キラはフレイへの気持ち吹っ切れている

・ラクスを逃すのを手伝ったのはミリアリアとサイではなく、トール1人

・アスランとの関係はマリエしか知らず、カズイやフレイ達にはザフトに友人がいる事を知られていない←(ここ重要)

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